玄米

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玄米(げんまい)とは、果実である(もみ)から籾殻(もみがら)を除去した状態で、また精白されていない状態のである。自然乾燥の場合、籾殻がなくとも、種子としての機能を失っておらず、播種(はしゅ)すればが出るが、市販のほとんどの玄米は加熱乾燥されているので、死んでいて発芽しない可能性がある。

精白とは、玄米から(ぬか)を取り除き白米にすることである。玄米は、白米よりビタミンミネラル食物繊維を豊富に含むため[1]健康食品として用いられている。

玄米

目次

[編集] 概要

は白くないので、玄米も白い色ではない。

普通の炊飯器で炊くと、消化が悪く、食感も悪くてぼそぼそになる。日本では、玄米は精白によって白米と米糠に分けてそれぞれ販売され、米穀店の店頭に玄米が置かれることはまれだった。飽食の時代を経て、健康食として愛好者が徐々に増え、味も好まれるようになってきた。健康のためでなく味で玄米食をしている人も多い。玄米の炊飯に対応した炊飯器も市販されている。

農薬除草剤が糠の部分に残留する可能性が白米よりも高い」、「有機栽培や無農薬・低農薬の玄米の方が慣行栽培のものに比べ安全」との説があるが、残留農薬検査は玄米を対象として行われており、また農薬の残留は、通常定められた使用方法を遵守する限り問題とされない。また、米糠の繊維ダイオキシン類の排泄作用が強いため、カネミ油症事件でも有効な治療法の一つとして考えられている[2]

[編集] 容量と質量

生玄米1合約180ml → 約156g

[編集] 栄養

食品に含まれる栄養素[1]
(食品 100 g あたり)
食品名 玄米 精白米
エネルギー 350kcal 356kcal
たんぱく質 6.8g 6.1g
脂質 2.7g 0.9g
炭水化物 73.8g 77.1g
ナトリウム 1mg 1mg
カリウム 230mg 88mg
カルシウム 9mg 5mg
マグネシウム 110mg 23mg
リン 290mg 94mg
2.1mg 0.8mg
亜鉛 1.8mg 1.4mg
0.27mg 0.22mg
マンガン 2.05mg 0.80mg
β-カロテン当量 1mcg 0
ビタミンD (0) (0)
ビタミンE 1.4mg 0.1mg
ビタミンK (0) 0
ビタミンB1 0.41mg 0.08mg
ビタミンB2 0.04mg 0.02mg
ナイアシン 6.3mg 1.2mg
ビタミンB12 (0) (0)
葉酸 27mcg 12mcg
パントテン酸 1.36mg 0.66mg
ビタミンC (0) (0)
食物繊維 3.0g 0.5g

の部分にキレート作用が強いフィチン酸を多く含む。フィチン酸はミネラルと結合してフィチン酸塩になる。研究ではミネラルが著しく少ない食事においてフィチン酸が大量の場合にミネラルの吸収を阻害するが、通常の食事では問題がない[3]。この作用は必須ミネラルの摂取量が著しく低い開発途上国の子供のような人々には好ましくない[4]。また、玄米にはビタミンB1が白米よりも多く含まれている。現代のような飽食の時代にあっては、肉類を始めとして副食をふんだんに摂取するので問題がないが、大正時代以降、昭和初期にかけて脚気が国民病として流行したのは、十分な副食を摂らずに白米を常食したことに原因があったとされる。

明治時代には、石塚左玄によって提唱された玄米菜食による食養が実践され、食養会という食養実践団体ができた。これはマクロビオティックとして継承され欧米でも普及し、アメリカでは医療の歴史として国営のスミソニアン博物館に収録されることとなった。スミソニアン博物館には玄米も資料として収録されている[5]。日本綜合医学会[6]にも玄米菜食による食事療法が受け継がれている。

昭和初期以降、医師二木謙三が玄米を完全食と呼び、健康のために玄米食を普及することに努めた。 1943年(昭和18年)ごろには大日本玄米連盟があり、1万人以上が加盟していた[7]

1942年(昭和17年)以降、大政翼賛会で国民を玄米に復帰させるとして議題となり、時の首相であった東條英機が玄米を常食していることも伝わり世論は玄米に傾いた[8]伝染病研究所の研究者らが玄米食について研究し12月の「医界週報」での報告では、玄米食によって小食になったうえ下痢も減り仕事の耐久力が上がり、医療費は1/17に減ったが、炊飯に要する燃料は増加したと伝えたので、栄養学者も認めざるをえなくなった[9]1945年(昭和20年)の「食生活指針」で、食べることを推奨された。

1990年前後から、全粒穀物が健康に貢献するという科学的な根拠が蓄積されてきたため、各国の食生活指針として推奨されるようになった。

詳細は「全粒穀物」を参照

[編集] 利用

玄米を炊いたりにしたりすると、胚乳は膨らみ、糠層は膨らまないので破れる。

圧力釜で炊けば、糠層も消化の良い分子になり、食感も良く、日本人好みの粘りがあるようにモチモチにも炊ける。 といっても、白米に比べれば食物繊維が多いため消化が悪く、胃腸が弱っている場合は消化不良になることもある。

一晩水に浸けて吸水させた後、普通の炊飯器で炊くことも可能である。トウモロコシの穀粒の皮と同様に糠層の消化が悪く、吸水時間が短ければ食感も悪くぼそぼそになるが、12時間以上浸けて、分量の1.5倍ぐらいの水で炊くと普通に炊けるようになる。

ちなみに、富士山頂のような高地では気圧が低く、沸点も低いので胚乳のみの白米でも炊けない。

圧力釜仕様の炊飯器は、玄米炊きに対応している。 玄米炊きに対応しない場合、発芽玄米の方が適している。

玄米食を始める場合、白米に混ぜて炊いてみる方法がある。 白米4に対して玄米1の割合で炊くとプチプチした食感を得られる。カレーを食べる際などに用いることもある。混合炊きだとかえっておいしくないと感じる場合もあるため、玄米100%もあわせて試されたい。

農産物検査法による公示の農産物規格規程で、籾の混入が、玄米は一等で0.3%以下と定められている。茶碗一杯3000粒として9粒まで許容されている。白米は、0.0%と定められている。 玄米の規格は、白米の原料としてのものといえ、玄米食用としての公的規格や業界団体の規格は無いので、玄米食用として販売されているもの以外は、籾の混入が多い。 籾の混入は、玄米好きにとっても、白米に比べての難点といえる。 発芽玄米は当然玄米食用である。標準の30kg袋入りは、玄米食用と断りのない限り、白米の原料である。少量で販売されているものは、玄米食用と家庭用精米機による自宅精米用がある。

レトルトの粥や、シリアル食品などにも加工される。発芽玄米では、白米と同様、無菌パックのご飯も市販されている。

玄米を用いたメニューを提供する食堂やレストランも少ないながら存在する。例えばバーミヤンのメニューには発芽玄米ご飯がある。

[編集] 白米との比較

圧力釜で炊けば栄養成分も味の成分も多く味わいが豊かで、食感も糠層がプチプチとした歯ざわりを持ち、白米の飯には無いおいしさがある。砂糖の黒砂糖上白糖と同様である。

米は、保存性から玄米か籾で貯蔵される。日本では玄米で貯蔵する。 精白後の白米は、皮をはがれた状態であり、日数の経過と共に酸化等により劣化していくので、少しずつ購入する方が新鮮である。これに対し、発芽玄米でない普通の玄米は時間経過に対する劣化が少ない。 玄米も白米も、低温貯蔵がより望ましい。害虫を防ぐには密閉容器が良い。白米を好む虫と玄米を好む虫は異なる。

農薬を多く使ったものでは、白米より農薬が多く残っている場合がある。

[編集] 脚注

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  1. ^ a b 五訂増補 日本食品標準成分表 (文部科学省)
  2. ^ 小栗一太、赤峰昭文、古江増隆 『油症研究 30年の歩み九州大学出版会、2000年6月。ISBN 4-87378-642-8。序文、268-269頁。
  3. ^ 予想される副作用 - IP6とイノシトール
  4. ^ Hurrell RF. "Influence of vegetable protein sources on trace element and mineral bioavailability." J Nutr. 133(9), 2003 Sep, pp2973-7. PMID 12949395
  5. ^ Health Food: Macrobiotic Brown Rice National Museum of American History, Division Medicine and Science (英語) (Smithsonian Institution)
  6. ^ 特定非営利活動法人 日本綜合医学会
  7. ^ 荻原弘道 『日本栄養学史』 国民栄養協会、1960年。160頁
  8. ^ 荻原弘道 『日本栄養学史』 国民栄養協会、1960年。157頁。
  9. ^ 荻原弘道 『日本栄養学史』 国民栄養協会、1960年。160-161頁。

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク