鹿島茂

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鹿島 茂(かしま しげる、1949年11月30日 - )は、日本のフランス文学者、評論家、明治大学国際日本学部教授。息子の鹿島直は写真家。

来歴・人物[編集]

神奈川県横浜市出身。神奈川県立湘南高等学校東京大学文学部仏文学科卒業。同大学院人文科学研究科博士課程単位習得満期退学。

著作活動としては当初は、フランス文学の研究翻訳を行っていたが、1990年代に入り活発な執筆活動を開始。1991年に『馬車が買いたい!』でサントリー学芸賞受賞、1996年『子供より古書が大事と思いたい』で講談社エッセイ賞、2000年『パリ風俗』で読売文学賞受賞。

共立女子大学助教授・教授を経て、2008年より明治大学教授。忙しい時期は月産400枚の原稿を書いており、常時定期連載を持っている。 

19世紀フランスを専門とし、オノレ・ド・バルザックエミール・ゾラヴィクトル・ユーゴーらを題材にしたエッセイで知られるが、その他にも幅広い分野での評論活動を行っている。古書マニア(19世紀フランスの希覯書が主な対象)としても有名で、猫好きでもある。

鹿島建設御曹司であるとの噂が流れた事もあった[1]。近年は、セックス関係(セクソロジー)の著書が多い。

政治に触れることはあっても党派的な主張はほとんどせず、対談の仕事が多い(対談相手は、福田、松原隆一郎山田登世子丸谷才一三浦雅士井上章一坪内祐三など)。角川財団学芸賞選考委員でもある。

古書収集に対する執着心が強く、家具メーカーに独自の解釈で天井つっぱり式の本棚を作らせた。ちなみに本棚は「カシマカスタム」の名で販売されている。

また、大学の学部3年生から大学院生だった1970年から1978年には、年平均400本の映画を観たほどの映画マニアであり、一度大学院の試験に失敗した時は、日活への就職を真剣に考えたという。そのこだわりぶりを、後に著書『甦る昭和脇役名画館』で披露した。

東京都内でイタリアン・レストランの「ラ・ボエム」やテクスメクス・レストランの「ゼストキャンティナ」、アジアン・レストランの「モンスーンカフェ」などを経営展開しているグローバルダイニングの社長の長谷川耕造は高校時代の友人で、長谷川が2000年に発表した著作『タフ&クール〜TOKYO midnightレストランをつくった男』にはインタビュアーとして登場している。

発言など[編集]

  • 週刊現代』2008年6月14日号で、天皇制の支持を明言した上で、皇位の女系継承容認論を展開している。その理屈は、皇室の特殊な立場からの結婚の難しさや、社会的な晩婚化とそれに伴った少子化から、皇位を男系男子で安定的に継承するのは無理があるというもの。また女系を容認すると、選択肢が非常に増えてしまうので、一定の制限をかけることが必要だとしている。
  • 毎日新聞・2006年1月15日付に掲載された書評で『脳内汚染』(岡田尊司・著)を激賞した。[1]同書は脳科学神経学の立場から、その信憑性に疑問を投げかける声も少なくない。[誰?]

著書[編集]

単著[編集]

  • 『「レ・ミゼラブル」百六景』(文藝春秋、1987年、文春文庫、1994年 新装版2012年)
  • 『新聞王伝説 パリと世界を征服した男ジラルダン』(筑摩書房、1991年)
  • 『デパートを発明した夫婦』(講談社現代新書、1991年)
  • 『馬車が買いたい!』(白水社、1991年、増補版2009年) サントリー学芸賞
  • 『絶景、パリ万国博覧会 サン・シモンの鉄の夢』(河出書房新社、1992年、小学館文庫、2000年)
  • 『パリ時間旅行』(筑摩書房、1993年、中公文庫、1999年)
  • 『パリの王様たち ユゴー・デュマ・バルザック三大文豪大物くらべ』(文藝春秋、1995年、文春文庫 1998年)
  • 『この人からはじまる』(新潮社、1995年、小学館文庫、2000年)現代日本人12名の評伝
  • 『歴史の風 書物の帆』(筑摩書房、1996年、小学館文庫、2009年)書評
  • 『子供より古書が大事と思いたい』(青土社、1996年、増補版2008年、文春文庫、1999年)講談社エッセイ賞
  • パサージュ論 熟読玩味』(青土社、1996年、新装版2004年) ベンヤミン最後の論考を論じる
  • 『パリ・世紀末パノラマ館』(角川春樹事務所、1996年、中公文庫、2000年)
  • 『かの悪名高き 十九世紀パリ怪人伝』(筑摩書房、1997年、小学館文庫、2000年)
  • 『明日は舞踏会』(作品社、1997年、中公文庫 2000年)
  • 『愛書狂』(角川春樹事務所、1998年) ゲスナー賞
  • 『暇がないから読書ができる』(文藝春秋、1998年) 読書案内
  • 『空気げんこつ』(文春ネスコ、1998年、角川文庫 2001年)
  • 『パリ五段活用 時間の迷宮都市を歩く』(中央公論社、1998年、中公文庫、2003年)
  • 『上等舶来・ふらんすモノ語り』(文春ネスコ 1999年)
    • 『クロワッサンとベレー帽 ふらんすモノ語り』(中公文庫、2007年)
  • 『職業別パリ風俗』(白水社、1999年、新装版2012年) 読売文学賞
  • 『衝動買い日記』(中央公論新社 2000年、中公文庫、2004年)
  • 『セーラー服とエッフェル塔』(文藝春秋 2000年、文春文庫、2004年)
  • 『文学は別解で行こう』(白水社 2001年) 初の文学評論集
  • 『人獣戯画の美術史』(ポーラ文化研究所、2001年)
  • 『解説屋稼業』(晶文社 2001年) 文庫「解説」集
  • 『背中の黒猫』(文藝春秋、2001年) エッセイ集
  • 『破天荒に生きる』(PHP研究所 2002年)近代日本の起業家たちの伝記
  • 『妖人白山伯』(講談社 2002年、講談社文庫 2009年) 長編小説
  • 『成功する読書日記』(文藝春秋 2002年)書評集
  • 『フランス歳時記 生活風景12か月』(中公新書、2002年)
  • 『オール・アバウト・セックス』(文藝春秋 2002年、文春文庫、2005年)
  • 『勝つための論文の書き方』(文春新書 2003年)
  • 『それでも古書を買いました』(白水社 2003年)
  • 『関係者以外立ち読み禁止』(文藝春秋 2003年)
    • 『乳房とサルトル』(光文社知恵の森文庫、2007年)
  • 『平成ジャングル探検』(講談社 2003年、講談社文庫、2007年)
  • 『悪女入門 ファム・ファタル恋愛論』(講談社現代新書、2003年)
  • 『情念戦争』(集英社インターナショナル 2003年)
  • 『社長のためのマキアヴェリズム』(中央公論新社 2003年、中公文庫、2006年)
  • 『文学的パリガイド』(日本放送出版協会 2004年、中公文庫、2009年)
  • 『怪帝ナポレオンIII世 第二帝政全史』(講談社、2004年、講談社学術文庫、2010年)
  • モモレンジャー@秋葉原』(文藝春秋 2005年)
  • 『悪女の人生相談』(講談社 2005年、講談社文庫、2008年)
  • 『60戯画 世紀末パリ人物図鑑』(中公文庫 2005年)
  • 『甦る昭和脇役名画館』(講談社 2005年)
    • 『昭和怪優伝 帰ってきた昭和脇役名画館』(中公文庫、2013年)
  • 『パリでひとりぼっち』(講談社 2006年) 小説、主人公は20世紀初頭の「日本人留学生」
  • 『パリの秘密』(中央公論新社 2006年、中公文庫 2010年) 歴史エッセイ集
  • 『悪党(ピカロ)が行く』(角川選書、2007年)
  • 『ドーダの近代史』(朝日新聞出版、2007年)
  • 『鹿島茂の書評大全 〈和物篇〉+〈洋物篇〉』(毎日新聞社、2007年)
  • 『神田村通信』(清流出版、2007年)
  • 『SとM』(幻冬舎新書、2008年)
  • 『パリの異邦人』(中央公論新社、2008年、中公文庫、2011年) 文庫は増補版、パリに滞在した作家たちの肖像。
  • モンマルトル風俗事典』(白水社、2009年)
  • 『プロジェクト鹿鳴館!』(角川oneテーマ21、2009年)
  • 吉本隆明1968』(平凡社新書、2009年) 
  • 『パリの日本人』(新潮選書、2009年、中公文庫 2015年) 文庫は「パリの昭和天皇」を増補
  • 『パリ、娼婦の館』(角川学芸出版、2010年) 
    • 『パリ、娼婦の館 メゾン・クローズ』(角川ソフィア文庫、2013年)
  • 『「ワル姫さま」の系譜学 フランス王室を彩った女たち』(講談社、2010年)
  • 『パリが愛した娼婦』(角川学芸出版、2011年)
    • 『パリ、娼婦の街 シャン=ゼリゼ』(角川ソフィア文庫、2013年)
  • 渋沢栄一 I 算盤篇』、『II 論語篇』(文藝春秋、2011年/文春文庫(上下)、2013年) 
  • 『蕩尽王、パリをゆく 薩摩治郎八伝』(新潮選書、2011年)
  • 『とは知らなんだ』(幻戯書房、2012年)
  • 『幸福の条件 新道徳論』(潮出版社、2012年)
  • 『「悪知恵」のすすめ ラ・フォンテーヌの寓話に学ぶ処世訓』(清流出版、2013年)
  • 『悪の引用句辞典 マキアヴェリ、シェイクスピア、吉本隆明かく語りき』(中公新書、2013年)
  • 『モンフォーコンの鼠』(文藝春秋、2014年)、メタフィクション
  • 『進みながら強くなる-欲望道徳論』(集英社新書、2015年)
  • アール・デコの挿絵本 ブックデザインの誕生』(東京美術、2015年)
  • 『大読書日記』(青土社、2015年)
  • 『フランス文学は役に立つ!-『赤と黒』から『異邦人』まで』(NHK出版、2016年)
  • 『ドーダの人、小林秀雄』(朝日新聞出版、2016年7月)
  • 『ドーダの人、森鴎外』(朝日新聞出版、2016年9月)
  • 『悪知恵の逆襲 毒か?薬か?ラ・フォンテーヌの寓話』(清流出版、2016年11月)
  • 『聖人366日事典』(東京堂出版、2016年12月)
  • 神田神保町書肆街考』(筑摩書房、2017年2月)
  • 『太陽王ルイ14世 ヴェルサイユの発明者』(角川学芸出版、2017年2月)
  • 『19世紀のパリ時間旅行』(青幻舎、2017年4月)

共著[編集]

  • 『バルザックがおもしろい』(山田登世子、藤原書店 1999年)
  • 『オン・セックス』(対話集:張競氏家幹人ほか全15名、飛鳥新社 2001年、文春文庫 2006年)
  • 『千年紀のベスト100作品を選ぶ』(丸谷才一三浦雅士ほか、講談社 2001年、光文社知恵の森文庫 2007年)
  • 『ぼくたち、Hを勉強しています』(井上章一原武史 朝日新聞社 2003年、朝日文庫 2006年)
  • 『読んだ、飲んだ、論じた』(福田和也松原隆一郎 飛鳥新社 2005年)
  • 『本日の論点 1』(福田和也・松原隆一郎 飛鳥新社 2006年)、本巻のみ刊。
  • 『文学全集を立ちあげる』(丸谷才一・三浦雅士 文藝春秋 2006年、文春文庫 2010年)
  • 『セックスレス亡国論』(聞き手斎藤珠里朝日新書 2009年)
  • 『カリカチュアでよむ19世紀末フランス人物事典』(倉方健作、白水社 2013年)
  • シャルリ・エブド事件を考える』(白水社、2015年) 関口涼子堀茂樹共編著

編著・写真・図集[編集]

  • バルビエ・コレクション〈1 - 3〉(バルビエ画集の編・解説 リブロポート、1992年 - 1994年)
  • バースデイ・セイント(飛鳥新社 2000年)守護聖人占い本
  • 内田魯庵-明治の文学第11巻(編・解説 筑摩書房、2001年) 
  • ギュスターヴ・モロー 絵の具で描かれたデカダン文学(六耀社、2001年)
  • バルザックを読む (1)対談篇、(2)評論篇(山田登世子共編、藤原書店 2002年)
  • 宮家の時代 セピア色の皇族アルバ (朝日新聞出版 2006年)
  • あの頃、あの詩を(文春新書、2007年)昭和30 - 40年代の「国語教科書」からの選詩集
  • ジョルジュ・バルビエ画集 永遠のエレガンスを求めて(写真鹿島直、六耀社、2008年)
  • パリのパサージュ 過ぎ去った夢の痕跡 (写真鹿島直、平凡社コロナ・ブックス、2008年)
  • 鹿島茂が語る山田風太郎角川文庫、2010年)。元はNHK教育テレビ私のこだわり人物伝」放送テキスト(2006年1月)
  • 鹿島茂コレクション1 グランヴィル -19世紀フランスの幻想版画-(求龍堂、2011年)
  • 鹿島茂コレクション2 ルビエ×ラブルール アール・デコ -色彩と線描のイラストレーション-(求龍堂、2012年)
  • 鹿島茂コレクション3 モダン・パリの装い(求龍堂、2013年)、以上3冊は、各小野寛子編
  • 失われたパリの復元 バルザックの時代の街を歩く(新潮社、2017年)

翻訳[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 鹿島茂『子供より古書が大事と思いたい』文春文庫、1999年。pp.109-112.

外部リンク[編集]