石井洋二郎
石井 洋二郎(いしい ようじろう、1951年7月24日 - )は、日本の文学研究者・フランス文学者。東京大学名誉教授。19世紀フランスの詩人ロートレアモンの専門家。他に社会学者ピエール・ブルデューの紹介などでも知られる。父は元郵政事務次官(1975-1977年)・KDD社長・会長の石井多加三。
東京大学教養学部長として2015年3月に述べた学位記授与式の式辞[1]はネット時代の情報のあり方に警鐘を鳴らすものとして話題を集めた[2][3]。
来歴[編集]
- 1951年、東京都生まれ
- 1970年、東京教育大学附属駒場高等学校卒業
- 1970年、東京大学文科一類(教養学部)入学
- 1975年、東京大学法学部第2類(公法コース)卒業
- 1978年、パリ第4大学修士課程修了
- 1980年、東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了
- 1980年、東京大学教養学部助手
- 1982年、京都大学教養部助教授
- 1987年、東京大学教養学部助教授
- 1994年、同大学教授
- 1996年、同大学大学院総合文化研究科教授
- 2007年、駒場図書館長
- 2009年4月、「ロートレアモン 越境と創造」で東京大学から博士(学術)[4]
- 2010年、東京大学大学院総合文化研究科副研究科長・教養学部副学部長
- 2011年、同大学評議員
- 2012年、同大学副学長
- 2013年、東京大学大学院総合文化研究科長・教養学部長
- 2015年、同大学理事・副学長(--2019年)
- 2017年、定年退職、東京大学名誉教授、同大学政策ビジョン研究センター特任教授、日本フランス語フランス文学会会長
- 2019年、中部大学教授、大学院国際人間学研究科長
- 2021年、同創造的リベラルアーツセンター長
- 2022年、中部大学特任教授
受賞等[編集]
- 1991年、ブルデュー『ディスタンクシオン』の翻訳により渋沢・クローデル賞を受賞
- 2001年、『ロートレアモン イジドール・デュカス全集』で日本翻訳出版文化賞および日仏翻訳文学賞を受賞
- 2009年、『ロートレアモン 越境と創造』で芸術選奨文部科学大臣賞受賞
著書[編集]
- 『時事フランス語の入門』(白水社 1988年)
- 『フランス文法要説』(朝日出版社 1992年)
- 『差異と欲望 ブルデュー『ディスタンクシオン』を読む』(藤原書店 1993年)
- 『パリ 都市の記憶を探る』(ちくま新書 1997年)
- 『身体小説論 漱石・谷崎・太宰』(藤原書店 1998年)
- 『文学の思考 サント=ブーヴからブルデューまで』(東京大学出版会 2000年)
- 『21世紀への時事フランス語』(白水社 2001年)
- 『美の思索 生きられた時空への旅』(新書館 2004年)
- 『新フランス文法要説』(朝日出版社 2005年)
- 『メディアのフランス語入門 ル・モンドからインターネットまで』(白水社 2005年)
- 『毒書案内 人生を狂わせる読んではいけない本』(飛鳥新社 2005年)
- 『ロートレアモン 越境と創造』(筑摩書房 2008年)
- 『科学から空想へ よみがえるフーリエ』(藤原書店 2009年)
- 『異郷の誘惑 旅するフランス作家たち』(東京大学出版会 2009年)
- 『フランス的思考 野生の思考者たちの系譜』(中公新書 2010年)
- 『告白的読書論』(中公文庫 2013年)
- 『大人になるためのリベラルアーツ: 思考演習12題』(藤垣裕子共著 東京大学出版会 2016年)
- 『時代を「写した」男 ナダール 1820-1910』(藤原書店 2017年)
- 『続 大人になるためのリベラルアーツ:思考演習12題』(藤垣裕子共著 東京大学出版会 2019年)
- 『危機に立つ東大 入試制度改革をめぐる葛藤と迷走』(ちくま新書 2020年)
- 『ブルデュー『ディスタンクシオン』講義』(藤原書店 2020年)
- 『東京大学の式辞 歴代総長の贈る言葉』(新潮新書 2023年)
編著書[編集]
- 『文化の権力 反射するブルデュー』(宮島喬共編 藤原書店 2003年)
- 『フランス文学』(渡邊守章、柏倉康夫共編著 放送大学教育振興会 2003年)
- 『フランスとその〈外部〉』(工藤庸子共編 東京大学出版会 2004年)
- 『21世紀のリベラルアーツ』(藤垣裕子、國分功一郎、隠岐さや香、水声社 2020年)
- 『リベラルアーツと外国語』(鳥飼玖美子、小倉紀蔵、ロバート・キャンベル、水声社 2022年)
- 『リベラルアーツと自然科学』(大栗博司、長谷川眞理子、下條信輔、水声社 2023年)
翻訳[編集]
- ジャン=ピエール・パストリ『パトリック・デュポン エトワールの情熱』(新書館 1986年)
- ジェラール・マノニ、ピエール・ジュオー『パリ・オペラ座のエトワール』(石井啓子共訳 新書館 1986年)
- ジャックリーヌ・レッシャーヴ『カニングハム 動き・リズム・空間』(新書館 1987年)
- ピエール・ブルデュー『ディスタンクシオン 社会的判断力批判1』(新評論 1989年/藤原書店 1990年、新版2020年)
- ピエール・ブルデュー『ディスタンクシオン 社会的判断力批判2』(藤原書店 1990年、新版2020年)
- ロベール・ミュシャンブレッド『近代人の誕生 フランス民衆社会と習俗の文明化』(筑摩書房 1992年)
- 『マリウス・プティパ自伝』(新書館 1993年)
- ピエール・ブルデュー『芸術の規則 1・2』(藤原書店 1995-96年)
- ピエール・ブルデュー『遺産相続者たち』(監訳 藤原書店 1997年)
- アラン・コルバン『人喰いの村』(石井啓子共訳 藤原書店 1997年)
- アベ・プレヴォ『マノン』(石井啓子共訳 新書館 1998年)
- イジドール・デュカス『ロートレアモン全集』(筑摩書房 2001年/ちくま文庫 2005年)
- サン=テグジュペリ『星の王子さま』(ちくま文庫 2005年)
- 『ロラン・バルト講義集成 3 小説の準備』(筑摩書房 2006年)
- ピエール・ブルデュー『実践理性 行動の理論について』(加藤晴久、三浦信孝、安田尚共訳 藤原書店 2007年)
- ジュリアン・グリーン『モイラ』(岩波文庫 2023年)
脚注[編集]
- ^ “平成26年度 教養学部学位記伝達式 式辞”. 2020年7月7日閲覧。
- ^ “東大卒業式、抜群のセンスでコピペ情報に警鐘 「肥った豚…」ネタに”. 2020年7月7日閲覧。
- ^ “東大卒業式の式辞が深いと話題に「善意のコピペや無自覚なリツイートは......」(全文)”. 2020年7月7日閲覧。
- ^ “博士論文書誌データベース”. 2020年7月7日閲覧。