古本

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古本

古本(ふるほん)または古書(こしょ)とは、出版後に一度は消費者(所有者)の手元に置かれた中古の呼称。雑誌などを含む場合もある。新本(新刊本)と対応した言葉。古書店(古本屋)やインターネット売買を通じて再度流通することが多い。

売れ残るなどして新刊なのに安価で販売される本をゾッキ本(バーゲンブック、自由価格本とも)という。ゾッキ本は「新古本」と呼ばれることもあるが、それと類似した表現で、比較的近年に刊行された本の中古を販売する店を新古書店と分類することもある。

概要[編集]

京都・下鴨神社での夏の古本市

は出版された時代の文化の影響を強く記すものであり、歴史的な価値を持つ。絶版になったままの本や、後世に復刻されても古い版本に骨董や文化遺産として新刊にはない魅力・価値を見出して、探し求める愛好家は珍しくない。近世以前に著された和装本の一部は国宝文化財に指定されている。文学館や美術館博物館図書館などが購入あるいは寄贈を受け付けて、厳重に保管している稀覯書・希少本も多い。

そうした希少価値がなくても、「中古でいいから本を安く買いたい」という消費者も多く、古書の需要・流通を支えている。

多くの古本は、所有者が古本屋(古書店)に持ち込み、売却することで再び市場に流通する。業者を経由せず、個人がフリーマーケットインターネットオークションで他の消費者に直接販売する事例も見受けられる。新刊時の販売価格を大幅に下回る価格で買い取られるのが一般的だが、極端に流通が少なく需要が多い書籍(希少本・レア本)は、新刊時の販売価格を上回ることもある。流通に乗った古本は、買い取った古本屋でネット(「日本の古本屋」などを参照)なども含め販売されるほか、業者間の市(交換会や入札会と呼ばれる)に出され流通する。店頭での販売価格は各古本屋が、需給関係や本のコンディション(日焼け、汚れ、書込み等)から決定するため、まったく同じ古本でも、店によって価格が異なる。そのために「せどり」という商売が成立する。ネットの普及で「どこにどんな古本があるか」や相場を調べたり、売買したりが容易になり、古本を巡る状況は大きく変わっている。

古本の価値・価格[編集]

コンディションが良好な方が価格が高いことが一般的だが、それ以外にも、古本の値段や価値を左右する要因は多い。新刊時の出荷部数や重版の回数、電子書籍化を含む復刊や著作権保護期間切れによるデジタル公開の有無、本の内容が流行や実務的な需要(法律などの制度やビジネス知識)に合っているかどうか--などである。装丁が凝っていたり、古風(レトロ)だったりする本や初版、著者の署名入り(特に知人・著名人宛ての場合)、有名人の蔵書印が捺してある場合などは付加価値とみなされ、価格が上乗せされることもある。戦前戦後すぐの刊行で、有名書籍で保存状態が良好であれば、初版の方が高価なこともある。

同じ中身の本であっても、古本の価格は時期や店により変わる。ある古書店が高く販売している本が、別の店では店頭に置かれたワゴンや書棚で100円、10円といった廉価で販売されていたことは昭和期にもあった(せどりは、こうした価格差を活用したビジネスである)。

また高額な絶版本が文庫化や復刊、新装版や完全版の刊行、電子書籍化などにより、古本価格が一気に安くなることもある。ネット販売普及後、古本の購入を検討する人は価格の検索・比較がしやすくなったため、低価格競争の結果、需要が少ないまたは供給が多い本は値下がりする傾向にある。Amazon.co.jpでは1円で売られている本もある。

一方、かつては読み捨てられていたような本が高騰することもある。昭和中期~後期に刊行された貸本時代の漫画や児童向け読み物、単行本に比べ保管されにくい一部の雑誌などがその例である。遺品整理に古書業者が呼ばれて、希少な蔵書が引き取られて古書として再度販売されることも多いが、古本に関心がない人々により廃棄されてしまうリスクは常に存在する。

世界全体における古本の史上最高額については諸説あるが、2013年にアメリカで開かれたオークションで、17世紀の詩編『ベイ・サーム・ブック』が1420万ドル(日本円では約14億4000万円)で落札され、古書競売の世界最高額となったと報道された [1]。またコミックスとしては2011年に『アクションコミックス』が216万ドルで落札された際、「米コミック誌としては過去最高額」[2]だと報じられた。

古書店と古書店街[編集]

インターネットや目録販売専門の古書業者以外に、古書会館や百貨店など商業・公共施設で古本の即売会が開かれることも多い。常設の古書店は全国各地に点在しており、古書店が一つの地区や施設に集中する古書街も形成されている。東京都心神田神保町にある「神田古書店街」は、百数十軒もの古本屋が集まり、世界最大の古書店街となっている。外国ではチャリング・クロスカルチエ・ラタン琉璃廠イスタンブールのサハフラル・チャルシュスのように都市に成立してきたが、英ウェールズヘイ・オン・ワイは交通の不便な田舎町に成立した珍しい例である。

古書にまつわる文化[編集]

古本を含む書籍はそれ自体が文化的な存在であるうえ、希少本の探索に熱意を向ける蒐書家(ビブリオマニア)にはコレクターにつきものの悲喜こもごもが伴う。このため、かつては『彷書月刊』という古書専門雑誌が出版されていたほか、古本にまつわるエッセイや古書店主の回想録も多い。

10月は古書月間、10月4日は「古書の日」とされている。読まれた本への感謝を表すため、古書市会場となっている京都市の知恩寺では毎年10月下旬に古本供養を行っている[3]。東京の神田明神でも2017年10月5日、東京都古書籍商業協同組合が初の古本感謝祭を開いた[4][5]。物に対する通常の供養・おはらいと異なり、これらの本は焼却・廃棄はされず、再度販売されている。

また古書店には、元の持ち主にとって思い入れがある本や、秘密を書いた手記・日記魔術魔導書などが並んでいても不思議ではない雰囲気がある。このため、ミステリ小説ホラー小説などの舞台としても多く用いられる。

古書マニアの著名人[編集]

古書店主の著名人[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ “米最初の印刷本が史上最高額14億円で落札、17世紀の詩編”. ロイター. (2013年11月27日). http://jp.reuters.com/article/oddlyEnoughNews/idJPTYE9AQ02X20131127 2015年7月13日閲覧。 
  2. ^ AFP「スーパーマンがデビューしたコミック誌、史上最高額で落札」『スーパーマンがデビューしたコミック誌、史上最高額で落札 国際ニュース : AFPBB Newsクリエイティヴ・リンク2011年12月2日
  3. ^ 古本供養(知恩寺)
  4. ^ 古本感謝祭 開催します。東京古書組合ホームページ(2017年9月20日)
  5. ^ 「古本 感謝のおはらい/神田明神」『読売新聞』朝刊2017年10月5日(都民版)
  6. ^ 逢坂の『書物の旅』(講談社文庫)では「本の山に埋もれて大往生できれば、本もわたしも本望だと思う」と書いている。

関連項目[編集]