須賀敦子

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須賀 敦子(すが あつこ、1929年2月1日 - 1998年3月20日)は、日本随筆家イタリア文学者。 従兄弟には、考古学者で同志社大学名誉教授の森浩一がいる。 20代後半から30代が終わるまでイタリアで過ごし、40代はいわゆる専業非常勤講師として過ごす。50代以降、イタリア文学の翻訳者として脚光を浴び、50代後半からは随筆家としても注目を浴びた。 2014年には、イタリア語から日本語への優れた翻訳を表彰する須賀敦子翻訳賞が創設された。

経歴[編集]

大手の水道工事業者、須賀工業経営者の家に生まれる。カトリック系の学校に通い、後にカトリックに入信。教会での活動に打ち込みながら聖心女子大学で学んだ後、自分の進路を決めかねていたが、1年後慶應義塾大学大学院の修士課程に進学。フランスの神学にあこがれてパリ大に留学するために慶應を中退するも、パリの雰囲気が肌に合わず、次第にイタリアに惹かれるようになる。1954年の夏休みにはペルージャでイタリア語を学び、イタリアへの傾倒を決定的なものとする。26歳の時に一旦日本に戻るが、29歳の時に奨学金を得てローマに渡る。この頃からミラノのコルシア書店関係の人脈に接するようになる。

1960年、後に夫となるジュゼッペ・リッカ(ペッピーノ)と知り合う。この年の9月にはペッピーノと婚約し、翌年11月にウディネの教会で結婚。ミラノに居を構え、ペッピーノとともに日本文学のイタリア語訳に取り組む。しかし1967年にはペッピーノが急逝。1971年にはミラノの家を引き払って日本に帰国する。

帰国後は慶大の嘱託の事務員を務めながら上智大学などで語学の非常勤講師を務める。専業非常勤講師の状況は1979年、50歳になるまで続く。1979年に上智大学専任講師、1981年に慶大にて博士号取得。1985年、日本オリベッティ社の広報誌にてイタリア経験を題材としたエッセイを執筆。以降はエッセイストとしても知られる存在となっていく。1997年に卵巣腫瘍の手術。翌年3月死去。

家族[編集]

[1]

  • 父親 須賀豊治郎 日本の近代的な上下水道を事業化した須賀工業の須賀家を継いだ。文学的素養があり、敦子は影響を受けた。
  • 母親 万寿 実家は豊後竹田の武士であったが、大阪に出てきた。
  • 叔父 藤七、栄一、保 
  • 夫 ペッピーノ
  • 妹 良子
  • 弟 新(あらた)

年譜[編集]

著書[編集]

全集[編集]

  • 『須賀敦子全集』 全8巻+別巻、河出書房新社、2000年~2001年 
    • 河出文庫、2006年~2008年。但し別巻は未刊
  1. ミラノ霧の風景、コルシア書店の仲間たち、旅のあいまに
  2. ヴェネツィアの宿、トリエステの坂道/エッセイ1957~1992
  3. ユルスナールの靴、時のかけらたち、地図のない道/エッセイ・1993~1996
  4. 遠い朝の本たち 本に読まれて 書評・映画評集成
  5. イタリアの詩人たち、ウンベルト・サバ詩集ほか
  6. イタリア文学論 翻訳書あとがき
  7. どんぐりのたわごと 日記
  8. 書簡 年譜 ノート・未定稿 初期エッセイほか
  9. 別巻、対談・鼎談(1992-98年)
  • 『日本文学全集25 須賀敦子』 河出書房新社、2016年5月

翻訳書(日本語訳)[編集]

  • G.ヴァンヌッチ編『荒野の師父らのことば』中央出版社 ユニヴァーサル文庫 1963
  • ジャック・マリタン,ライサ・マリタン『典礼と観想』エンデルレ書店 1967
  • ブルーノ・ムナーリ『木をかこう』至光社 1982
  • ブルーノ・ムナーリ『太陽をかこう』至光社 1984.
  • ナタリア・ギンズブルグ『ある家族の会話』白水社、1985 のち白水Uブックス 
  • ナタリア・ギンズブルグ『マンゾーニ家の人々』白水社、1988 のち白水Uブックス 
  • アントニオ・タブッキ『インド夜想曲』白水社、1991 のち白水Uブックス 
  • タブッキ『遠い水平線』白水社、1991 のち白水Uブックス 
  • ナタリア・ギンズブルグ『モンテ・フェルモの丘の家』筑摩書房、1991 のちちくま文庫、河出文庫 
  • タブッキ『逆さまゲーム』白水社 1995 のち白水Uブックス  
  • タブッキ『島とクジラと女をめぐる断片』青土社 1995
  • タブッキ『供述によるとペレイラは・・・』白水社 1996 のち白水Uブックス 
  • イタロ・カルヴィーノ『なぜ古典を読むのか』みすず書房、1997 のち河出文庫 
  • ウンベルト・サバ詩集』みすず書房 1998

日本文学のイタリア語訳[編集]

関連書籍[編集]

  • 『KAWADE夢ムック 追悼特集 須賀敦子 霧のむこうに』 河出書房新社、1998年
  • 『KAWADE夢ムック 須賀敦子 ふたたび』河出書房新社、2014年
  • 大竹昭子『須賀敦子のヴェネツィア』 河出書房新社、2001年
  • 大竹昭子『須賀敦子のミラノ』 河出書房新社、2001年
  • 大竹昭子『須賀敦子のローマ』 河出書房新社、2002年
  • 岡本太郎『須賀敦子のトリエステと記憶の町』 河出書房新社、2002年
  • 岡本太郎『須賀敦子のアッシジと丘の町』 河出書房新社、2003年
  • 稲葉由紀子『須賀敦子のフランス』 河出書房新社、2003年
  • 神谷光信『須賀敦子と9人のレリギオ カトリシズムと昭和の精神史』 日外アソシエーツ、2007年
  • 季刊誌 考える人 2009年冬号 書かれなかった須賀敦子の本』 新潮社、2009年
  • 『須賀敦子が歩いた道 とんぼの本』 芸術新潮編集部編、新潮社、2009年
  • 湯川豊『須賀敦子を読む』 新潮社、2009年、読売文学賞受賞
  • 『須賀敦子 静かなる魂の旅』 河出書房新社、2010年(BS朝日放送のドキュメンタリー3部作を再編集したDVDブック)
  • 三田文学 2014年冬季号(No.116) 特集-須賀敦子』 慶應義塾大学出版会、2014年
  • 松山巖 『須賀敦子の方へ』 新潮社、2014年 ISBN 978-4-10-370002-9
  • 若松英輔 『生きる哲学』 文春新書、2014年 「文學界」連載の書籍化。第1章が須賀敦子に充てられている。
  • 江國香織, 松家仁之, 湯川豊 『新しい須賀敦子』 集英社 2015年 ISBN 978-4-08-771632-0

関連番組[編集]

  • 『イタリアへ…須賀敦子 静かなる魂の旅 第1話 トリエステの坂道』(初回放送 2006年11月5日、BS朝日テレビマンユニオン
  • 『イタリアへ…須賀敦子 静かなる魂の旅 第2話 アッシジのほとりに』(初回放送 2007年11月18日、BS朝日、テレビマンユニオン)
  • 『イタリアへ…須賀敦子 静かなる魂の旅 最終話 ローマとナポリの果てに』(初回放送 2008年11月15日、BS朝日、テレビマンユニオン)
  • ETV特集『須賀敦子 霧のイタリア追想 ~自由と孤独を生きた作家~』(初回放送 2009年10月18日、NHK教育

脚注[編集]

  1. ^ 松山[2014:119に家族の写真がある]