書評

概要
[編集]文芸批評や解題、要約とは異なり、書物のあらすじや著者の作品群における本書の位置づけや類書との比較などの評価や批評も含んで、本書を紹介する[2][注 1]。新刊書を紹介するために行われることが多い[注 2]。
小説などの文芸作品のほか、専門書や学術書に対しても行われ、書評そのものも文芸評論・論文の一種(書評論文)として評価・批評の対象となることがある[2][5]。
語源
[編集]豊﨑由美はブックレビューの直訳(書+評)、大澤聡(近畿大学准教授、メディア史)は、直訳説以外に書物評論や新刊書批評の略語だったとの説も挙げている[6]。
歴史
[編集]書評は海外において、出版点数が激増した19世紀末から20世紀初頭にかけて成立したとされる[7]。『タイムズ文芸付録』や『ニューヨーク・タイムズ・ブックレビュー』などは、その一例である[7]。
日本では近代文学が成立した明治期に『出版月評』『日本図書月評』などの書評誌が創刊され、同時に『国民之友』『めさまし草』などの雑誌が文芸時評を掲載し始めたが、昭和期には書評専門紙として『日本読書新聞』、『図書新聞』、『週刊読書人』などが発行され、また書籍情報誌として『出版ニュース』、『本の雑誌』、『ダ・ヴィンチ』などがある[7]。大澤聡は、日本では1920年代半ばの円本ブーム、出版の大衆化に伴って書評が求められてきたとしている[6]。
弱点
[編集]豊﨑由美は、書評欄の分量が800字~1,200字に限られること、批評がしにくいことを弱点として挙げている[6]なお、本人は依頼される量の倍や4,000字を書いて削って収めているとしている[8]。
種類
[編集]書評は書物選択において重要な役割を持つが、出版社による新刊広告・宣伝色が強い書評や、著者と評者の関係に起因する「社交書評[注 3]」と評されるものもあり、同一図書に対する複数の書評の収集など、書評そのものの評価を実施する図書館もある[2][9]。
掲載誌等
[編集]主に新聞や雑誌の書評欄や、特定のテーマ・読者層を対象として良書・必読書を紹介するブックガイド[2][10]に掲載されるほか、書評専門誌、更には書籍を紹介する番組(書評番組)も存在する。また、ブックトークなど、口頭によるものもある[2]。
- 書評専門誌
- 書評番組
- 書評サイト
書評家
[編集]書評家、ブックレビュアーと呼ばれる、書評を職業にする人もいる。
- 主な書評家
その他
[編集]- ブックトーク・ビブリオバトル
また、読者間で図書を紹介しあうことや読書意欲を高めることを目的としたイベントとしてブックトークやビブリオバトルがあり、この中で書評が交わされることもある[11]。
- 書評アンソロジー
丸谷才一編『ロンドンで本を読む』、弓立社編集部編『ブックレビュー - 誘う書評・闘う書評-』(01,02,03)など、新聞や雑誌に載った書評を集めた書評アンソロジーが存在する。
- 書評大国
英文学の本場でタイムズ文芸付録やロンドン・レビュー・オブ・ブックスを有するイギリスは、書評大国と呼ばれることがある[6]。
- 書評の教育活用
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ↑ 国立国会図書館>リサーチ・ナビ>書評を探す
- 1 2 3 4 5 図書館用語辞典, p. 274.
- ↑ 豊崎由美 (2011), p. 13.
- ↑ 豊崎由美 (2011), p. 12.
- ↑ 草間悟 (1996), pp. 115–120.
- 1 2 3 4 5 6 豊崎由美 (2011), pp. 187–189.
- 1 2 3 日本大百科全書『書評』 - コトバンク
- ↑ 豊崎由美 (2011), p. 38-39.
- ↑ 河井弘志ほか (1983), pp. 225–229.
- ↑ 紀田順一郎 (1982), p. 45.
- ↑ 谷口忠大 (2015), pp. 14–16.
参考文献
[編集]- 豊崎由美『ニッポンの書評』光文社〈光文社新書〉、2011年4月。ISBN 978-4-334-03619-5。
- 図書館問題研究会 編『図書館用語辞典』角川書店、1982年10月。doi:10.11501/12274712。
- 草間悟『勉強・研究・発表の技法』南江堂、1996年11月。ISBN 4-524-20756-2。
- 河井弘志ほか 編『蔵書構成と図書選択』日本図書館協会〈図書館員選書〉、1983年11月。doi:10.11501/12235048。
- 紀田順一郎「本の小事典36 ブックガイド」『本』第72号、講談社、1982年、45頁、doi:10.11501/3468037。
- 谷口忠大「ビブリオバトルとは何か」『学校図書館』第775号、全国学校図書館協議会、2015年、14-16頁、doi:10.11501/13773974。