大野将平

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大野 将平
大野 将平.jpg
基本情報
ラテン文字 Shohei Ono
日本の旗 日本
出生地 山口県山口市
生年月日 1992年2月3日(24歳)
身長 170cm
選手情報
階級 73kg級
所属 旭化成
 
獲得メダル
男子柔道
世界柔道選手権大会
2013 リオデジャネイロ 73kg級
2015 アスタナ 73kg級
世界団体
2014 チェリャビンスク 73kg級
2015 アスタナ 73kg級
2013 リオデジャネイロ 73kg級
グランドスラム
2012 東京 73kg級
2014 東京 73kg級
2013 パリ 73kg級
アジア柔道選手権
2012 タシュケント 73kg級
世界ジュニア
2011 ケープタウン 73kg級
2013年10月22日現在
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大野 将平(おおの しょうへい、1992年2月3日 - )は、山口県山口市出身の日本柔道選手。階級は73kg級。身長170cm。血液型はO型。組み手は右組み。段位は四段。得意技は大外刈内股[1]。現在は旭化成に所属[2]

人物[編集]

柔道は7歳の時に松美柔道スポーツ少年団で始めた[1]。道場の2年先輩には後に無差別の世界チャンピオンとなる上川大樹がいた。その後、2歳上の兄である哲也を追って上京すると、講道学舎の所属となった[3]世田谷区立弦巻中学校から世田谷学園高校へ進むと、2年の時にはインターハイ73kg級で森下純平を破って優勝を果たした[1]。天理大学1年の時にはグランドスラム・東京に出場して5位となった。2年になると全日本ジュニアで優勝した[1]。そして世界ジュニアでも優勝を果たした[4]

2012年2月にはワールドカップ・オーバーヴァルトに出場して、シニアの国際大会初優勝を飾った[5]。11月には講道館杯決勝で大学の1年後輩である土井健史に内股で一本勝ちして初優勝を飾った[6]。12月のグランドスラム・東京では、決勝で綜合警備保障中矢力に一本勝ちしてグランドスラム大会初優勝を飾った[7][8]。 2013年5月の体重別では3位に終わったが、国際大会などでの実績が評価されて世界選手権代表に選ばれた[9]。8月の世界選手権では、初戦で元世界チャンピオンである韓国の王己春を反則負けに追いやるなどして順調に決勝まで進むと、決勝ではロンドンオリンピック銅メダリストであるフランスのウゴ・ルグラン跳腰で破り、6試合オール一本勝ちで優勝を飾った。この際に、「前に出る攻撃的な柔道ができた。全て一本で勝てたことは満足している。勝ち続ける選手になりたい。もっと強くなってリオ五輪でまたここに戻って来たい」と語った。また、団体戦でチームは3位だったものの、こちらでも全て一本勝ちして、個人戦と団体戦の計10試合をオール一本勝ちで飾ることになった[10][11][12]。その直後に下記の天理大柔道部の暴行事件発覚で、強化指定選手取消、停学、活動停止、主将解任の処分となった[13]

卒業後、2014年からは旭化成所属となった。暴力問題以降初の大会出場となった4月の選抜体重別では、決勝で中矢に浮落で一本勝ちして今大会初優勝を飾り、世界選手権代表に選出された[14]。続いて、世界チャンピオンになったことから推薦により無差別で争われる全日本選手権に出場すると、2回戦で100kg級の穴井亮平を判定で破るものの、3回戦で100kg超級の王子谷剛志に指導3で敗れた[15]。8月の世界選手権では4回戦で韓国の李栄淮に一本負けを喫して2連覇はならなかった[16]世界団体決勝では地元ロシアの選手と対戦して敗れたものの、チームは3-2で優勝を飾った[17]。12月のグランドスラム・東京では、決勝で了徳寺学園職員の秋本啓之に有効で敗れて2位にとどまった[1]

2015年2月のグランプリ・デュッセルドルフでは、準決勝の技あり以外は全て一本勝ちして優勝を果たした [18]。4月からは天理大学の大学院へも進んで、ロサンゼルスオリンピックの60kg級金メダリストである細川伸二の指導を受けることになった[19]。選抜体重別では準決勝でパーク24橋本壮市に有効で敗れた。しかしながら、金メダルに近い存在だとして、世界選手権の代表に追加で選出された[20]。8月の世界選手権では準々決勝ではヨーロッパチャンピオンであるイスラエルのサギ・ムキに技ありと有効3つを取って圧勝、準決勝では韓国の安昌林裏投げで一本勝ちすると、男子では1975年の世界選手権以来40年ぶりの日本選手同士の対決となった決勝では、世界チャンピオンの中矢を小外刈の技ありで破って、2013年以来2年ぶりの世界選手権優勝を果たすこととなった[21][22][23]世界団体では準決勝のドイツ戦で勝利して、チームの優勝に貢献した[24]。なお、世界選手権後のインタビューでは、柔道という競技は世界選手権で勝っても世間からは評価されないし、オリンピックに出れなかったり、出場しても負ければ全く意味をなさなくなるので、オリンピックに出場して必ず金メダルを取りたい。また、そういう部分にやりがいがあると語った[3][25]

2016年2月のグランプリ・デュッセルドルフでは準決勝でアンを内股の技ありで破ると、決勝ではアゼルバイジャンのルスタム・オルジョフをも内股の技ありで破って、今大会2連覇を達成した。試合後には、「全ては8月。そこで勝たなければ意味がない」と語った[26][27][28]。4月の選抜体重別では決勝で中矢を指導1で破って今大会2年ぶり2度目の優勝を飾り、リオデジャネイロオリンピック代表に選出された[29]。代表決定後の会見では、「全て(の経験)をリオにつなげられればいい。必ず金メダルを獲得したい」とコメントした[30]

IJF世界ランキングは1554ポイント獲得で6位(16/5/2現在)[31]

天理大学柔道部の暴力問題[編集]

2013年9月には天理大学柔道部で5月から7月にかけて天理大学柔道部4年生の男子部員4名が、1年生部員複数に対して暴力を振るい、そのうちの1名が鼓膜を破るなどのケガをしていたことが明らかになった。柔道部主将の大野も暴行現場に居合わせたものの、直接暴力は振るっていないという。大野は「(暴行を)止められず、ふがいない。申し訳ない」と弁明した。また、柔道部部長の藤猪省太や監督の土佐三郎らとともに暴行を受けた1年生部員の自宅に赴いて「申し訳なかった。これからは自分が4年生をきちんと指導する」と述べたという。

大学側はこの件を謝罪するとともに、大野は暴行現場には居合わせたものの、直接暴力とは関わっていなかったので世界選手権の出場を黙認したと説明した[32][33][34]

9月5日に大学側はこの件で柔道部部長の藤猪と監督の土佐を解任するとともに、大野を主将の任から解くことも発表した。柔道部に対しても再発防止策が確認されるまで無期限の活動停止処分を下すことになった。さらに全柔連専務理事の近石康宏は、今後の展開次第では世界チャンピオンである大野が全柔連の強化指定選手から外される可能性もあることを示唆した[13][35][36]。9月11日に天理大は大野将平選手を含む4年生の部員5人を30日の停学処分にしたと発表した。それによれば、大野は1年生1人に対して平手打ちを2回したとのこと[37]

9月18日に全柔連は懲罰委員会を開いて、暴力行為に関わった大野ら4年生9名に3ヶ月の登録停止処分を下したことを発表した。これにより、大野は全柔連の強化指定選手を外された。復帰は処分明けに検討されることになった[38]

10月12日には、停学処分の解けた大野を含めた天理大学柔道部が東日本大震災復興支援プロジェクトの一環として、宮城県七ケ浜町で仮設住宅の雨どいの清掃作業などのボランティア活動を行った。この際に大野は「主将として管理しなくてはいけなかった。申し訳ないと思っている。気持ちを新たに頑張りたい」と語った。暴力問題後、全柔連からボランティア活動を求められていた天理大学柔道部は、停学期間中だった大野らを含めてすでに奈良県内や学内において清掃活動に従事していた[39][40]

11月5日には大学当局から活動の一部再開が認められて、大野も早速練習に取り組むことになった[41]

2014年1月5日には強化指定選手に復帰することになり、さっそく全日本の強化合宿に参加した。その後の記者会見で大野は「人間としてどうあるべきか、改めて考えさせられる3か月だった」と事件を振り返るとともに「ご迷惑をかけ、本当に申し訳ないと思っている」と改めて謝罪した。続けて「最強かつ最高の選手になれるように努力したい」とも語った[42]。のち、同年8月の世界選手権の際に大野は「あれ(暴力事件)は周りが騒いだだけ。もう済んだこと。この世界は結局勝てば文句言われないんですよ」[43]と述べている。

戦績[編集]

(出典[1]JudoInside.com)。

有力選手との対戦成績[編集]

(2016年8月現在)

国籍 選手名 内容
日本の旗 中矢力 4勝1敗
日本の旗 秋本啓之 2敗
韓国の旗 安昌林 4勝
モンゴルの旗 サインジャルカル・ニャムオチル 4勝1敗
イスラエルの旗 サギ・ムキ 2勝
グルジアの旗 ヌグザリ・タタラシビリ 2勝
オランダの旗 デックス・エレモント 2勝
アゼルバイジャンの旗 ルスタム・オルジョフ 1勝

(参考資料:ベースボールマガジン社発行の近代柔道バックナンバー、JudoInside.com等)。

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f 「柔道全日本強化選手名鑑 2016」近代柔道 ベースボールマガジン社、2016年4月号
  2. ^ スタッフ・選手紹介 / 柔道部
  3. ^ a b 「金メダリストインタビュー 大野将平」近代柔道 ベースボールマガジン社、2010年12月号
  4. ^ 男女4階級で優勝=世界ジュニア柔道 時事通信 2011年11月5日
  5. ^ 柔道男子W杯、73キロ級で大野将平が優勝 読売新聞 2012年2月12日
  6. ^ 康生監督イチ押し 大野が決勝1本勝ち デイリースポーツ 2012年11月10日
  7. ^ 大野将平、津金恵がV…柔道グランドスラム 読売新聞 2012年12月1日
  8. ^ 大野「一本を取る柔道できた」/柔道 日刊スポーツ 2012年12月1日
  9. ^ 世界柔道代表18人を発表…過去の内容を重視で 読売新聞 2013年5月12日
  10. ^ 大野、オール一本で金=中矢は連覇ならず-世界柔道 時事通信 2013年8月29日
  11. ^ 世界柔道・談話 時事通信、2013年8月29日
  12. ^ 【世界柔道】大野、全10戦一本勝ち!男子団体で銅 スポーツ報知 2013年9月2日
  13. ^ a b 天理大・世界柔道金の大野将平が主将解任 日刊スポーツ 2013年9月5日
  14. ^ 高藤、海老沼、大野を選出=世界選手権代表-全柔連 時事通信 2014年4月6日
  15. ^ 「逃げずに」73キロ級世界王者・大野 2回戦で100キロ級の穴井破る MSN産経ニュース 2014年4月29日
  16. ^ ロンドン五輪金の松本、2回戦で敗退 スポーツニッポン 2014年8月27日
  17. ^ 男子が団体金、女子は銅 柔道世界選手権 日本経済新聞 2014年8月31日
  18. ^ 大野、一本勝ちで優勝 女子70キロ級・新井もV ドイツGP スポーツニッポン 2015年2月22日
  19. ^ 大野 今春から大学院生「ケガで柔道できない時に充電期間に」 産経新聞 2015年12月26日
  20. ^ 世界柔道代表決定 井上監督、大野は「金に近い」 日刊スポーツ 2015年4月30日
  21. ^ 世界柔道、金連発…57キロ松本・73キロ大野 読売新聞  2015年8月26日
  22. ^ 【世界柔道】大野2年ぶり金!前回王者・中矢破りリオ争い一歩リード スポーツ報知 2015年8月26日
  23. ^ World Championships 2015, Astana - DAY 3
  24. ^ 日本、団体で男女アベック優勝 柔道世界選手権 日本経済新聞 2015年8月30日
  25. ^ すべてのことに打ち勝ってこそ 金メダルがある【大野将平 インタビュー】 テレビ東京
  26. ^ 世界王者の大野が男子73キロ級優勝 柔道GP大会 スポーツニッポン 2016年2月21日
  27. ^ 大野が優勝=GPデュッセルドルフ-柔道 時事通信 2016年2月21日
  28. ^ 大野将平V 世界ランク1位安昌林にも圧勝 日刊スポーツ 2016年2月21日
  29. ^ 柔道五輪代表に近藤亜美、松本薫、大野将平ら発表 日刊スポーツ 2016年4月3日
  30. ^ 【リオ五輪代表会見コメント集】田知本「チャンピオンになって帰ってきたい」 サンケイスポーツ 2016年4月4日
  31. ^ World ranking list
  32. ^ 天理大柔道部で暴行、鼓膜破るけが 部長は把握後に全柔連理事に MSN産経ニュース 2013年9月4日
  33. ^ 天理大柔道部長、暴行隠蔽を否定…会見で謝罪 読売新聞 2013年9月4日
  34. ^ 世界柔道金・大野も暴行現場に…「彼が手を出したわけではない」 スポーツニッポン 2013年9月4日
  35. ^ 【柔道】天理大部内暴力で無期限活動停止!大野主将も解任 強化指定剥奪も スポーツ報知 2013年9月5日
  36. ^ 藤猪理事の辞表受理=再調査と報告の要請も-全柔連 時事通信 2013年9月5日
  37. ^ 世界柔道金の大野元主将も暴行、1年生に平手打ち…部員12人処分 MSN産経ニュース 2013年9月11日
  38. ^ 大野元主将らは登録停止3カ月=天理大暴力問題で処分-全柔連 時事通信 2013年9月16日
  39. ^ “活動停止中の天理大柔道部 大野前主将ら宮城でボランティア”. スポーツニッポン . (2013年10月10日)
  40. ^ “天理大柔道部がボランティア 暴力問題で被災地へ”. 47NEWS . (2013年10月12日)
  41. ^ “部内暴力発覚から2カ月…正木監督の天理大柔道部が練習再開”. スポーツニッポン . (2013年11月5日)
  42. ^ 大野将平、柔道暴力の処分から復帰…合宿に合流 読売新聞 2014年1月6日
  43. ^ 冨田のカメラ泥棒ではっきりした日本スポーツ界の深刻腐敗日刊ゲンダイ 2014年9月30日

外部リンク[編集]