2004年アテネオリンピックの柔道競技

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2004年アテネオリンピックの柔道競技(2004ねんアテネオリンピックのじゅうどうきょうぎ)は、2004年に開催されたアテネオリンピックにて2004年平成16年)8月14日から8月20日までの日程で実施された柔道競技である。

男女とも7階級が行われた。

概要[編集]

男子[編集]

  • 60kg以下級の野村忠宏(日本)が五輪柔道史上初の三連覇を達成した。
  • 66kg級では、世界選手権を連覇し優勝候補であったアラシュ・ミレスマイリイラン)が、イスラエル選手との対戦を拒みボイコット(計量失格)した。政治的理由によるボイコットは問題視されたが、断定が困難であったため最終的に処罰は行われなかった。なお、ミレスマイリの棄権はイラン国内では賞賛され、金メダリストと同等の待遇を受けた[1]

女子[編集]

  • 78kg以下級では、世界選手権4連覇を誇りながら過去2度の五輪はいずれも初戦敗退していた阿武教子が3度目の挑戦で優勝した。日本の女性警察官史上初の金メダル獲得となった。
  • 韓国の女子選手が不甲斐ない負け方をしたという理由で控え室においてコーチに殴られるという暴力事件が発生した。それを見て非常にショックを受けたカナダの選手がその一件をカナダのマスコミに伝えると、IOCジャック・ロゲ会長に知られるところとなり、IJFに事実確認が要請されることになった。IJFの教育コーチング理事である山下泰裕がそのコーチに事の真偽を確かめると、女子選手を殴った事実を認めた。これを受けて、韓国側はこのコーチを選手村から追放して本国へ送還させる処置を取った。さらに、この件で柔道界に多大な迷惑を掛けたことを山下に詫びることにもなった[2][3]

競技結果[編集]

男子[編集]

階級
60kg以下級 日本 野村忠宏
日本 (JPN)
グルジア ネストル・ヘルギアニ
グルジア (GEO)
韓国 崔敏浩
韓国 (KOR)
モンゴル ハシュバータル・ツァガンバータル
モンゴル (MGL)
66kg以下級 日本 内柴正人
日本 (JPN)
スロバキア ヨゼフ・クルナーチ
スロバキア (SVK)
キューバ ヨルダニス・アレンシビア
キューバ (CUB)
ブルガリア ゲオルギ・ゲオルギエフ
ブルガリア (BUL)
73kg以下級 韓国 李元熹
韓国 (KOR)
ロシア ビタリー・マカロフ
ロシア (RUS)
アメリカ合衆国 ジミー・ペドロ
アメリカ合衆国 (USA)
ブラジル レアンドロ・ギルヘイロ
ブラジル (BRA)
81kg以下級 ギリシャ イリアス・イリアディス
ギリシャ (GRE)
ウクライナ ロマン・ゴンチュク
ウクライナ (UKR)
ブラジル フラビオ・カント
ブラジル (BRA)
ロシア ドミトリー・ノソフ
ロシア (RUS)
90kg以下級 グルジア ズラブ・ズビャダウリ
グルジア (GEO)
日本 泉浩
日本 (JPN)
オランダ マルク・ハイジンハ
オランダ (NED)
ロシア ハサンビ・タオフ
ロシア (RUS)
100kg以下級 ベラルーシ イハル・マカラウ
ベラルーシ (BLR)
韓国 蔣盛晧
韓国 (KOR)
イスラエル アリエル・ゼエビ
イスラエル (ISR)
ドイツ ミヒャエル・ユラック
ドイツ (GER)
100kg超級 日本 鈴木桂治
日本 (JPN)
ロシア タメルラン・トメノフ
ロシア (RUS)
オランダ デニス・ファンデルヘースト
オランダ (NED)
エストニア インドレク・ペルテルソン
エストニア (EST)

女子[編集]

階級
48kg以下級 日本 谷亮子
日本 (JPN)
フランス フレデリク・ジョシネ
フランス (FRA)
中国 高峰
中国 (CHN)
ドイツ ユリア・マティヤス
ドイツ (GER)
52kg以下級 中国 冼東妹
中国 (CHN)
日本 横沢由貴
日本 (JPN)
キューバ アマリリス・サボン
キューバ (CUB)
ベルギー イルス・ヘイレン
ベルギー (BEL)
57kg以下級 ドイツ イボンヌ・ベニシュ
ドイツ (GER)
北朝鮮 ケー・スンヒ
北朝鮮 (PRK)
キューバ ユリスレイディス・ルペティ
キューバ (CUB)
オランダ デボラ・フラベンステイン
オランダ (NED)
63kg以下級 日本 谷本歩実
日本 (JPN)
オーストリア クラウディア・ハイル
オーストリア (AUT)
キューバ ドリュリス・ゴンサレス
キューバ (CUB)
スロベニア ウルシカ・ジョルニル
スロベニア (SLO)
70kg以下級 日本 上野雅恵
日本 (JPN)
オランダ エディス・ボッシュ
オランダ (NED)
ドイツ アネット・ベーム
ドイツ (GER)
中国 秦東亜
中国 (CHN)
78kg以下級 日本 阿武教子
日本 (JPN)
中国 劉霞
中国 (CHN)
キューバ ユリセル・ラボルデ
キューバ (CUB)
イタリア ルチア・モリコ
イタリア (ITA)
78kg超級 日本 塚田真希
日本 (JPN)
キューバ ダイマ・ベルトラン
キューバ (CUB)
ロシア テア・ドングザシビリ
ロシア (RUS)
中国 孫福明
中国 (CHN)

各国メダル数[編集]

国・地域
1 日本 日本 8 2 0 10
2 中国 中国 1 1 3 5
3 韓国 韓国 1 1 1 3
4 グルジア グルジア 1 1 0 2
5 ドイツ ドイツ 1 0 3 4
6 ベラルーシ ベラルーシ 1 0 0 1
ギリシャ ギリシャ 1 0 0 1
8 ロシア ロシア 0 2 3 5
9 キューバ キューバ 0 1 5 6
10 オランダ オランダ 0 1 3 4
11 オーストリア オーストリア 0 1 0 1
フランス フランス 0 1 0 1
北朝鮮 北朝鮮 0 1 0 1
スロバキア スロバキア 0 1 0 1
ウクライナ ウクライナ 0 1 0 1
16 ブラジル ブラジル 0 0 2 2
17 ベルギー ベルギー 0 0 1 1
ブルガリア ブルガリア 0 0 1 1
エストニア エストニア 0 0 1 1
イスラエル イスラエル 0 0 1 1
イタリア イタリア 0 0 1 1
モンゴル モンゴル 0 0 1 1
スロベニア スロベニア 0 0 1 1
アメリカ合衆国 アメリカ合衆国 0 0 1 1

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ Mystery over Iran judo 'protest' BBC 2004年8月15日
  2. ^ 国際柔道連盟理事としてのアテネ
  3. ^ 「山下泰裕IJF教育コーチング理事の4年間」近代柔道 ベースボールマガジン社、2008年4月号、91-95頁

外部リンク[編集]