サウナ

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ミュンヘンドイツ)のサウナ

サウナ: Sauna)は、蒸し風呂という入浴方法のひとつで、フィンランドが発祥とされ、ほかに遠赤外線式などサウナにもいくつかの形態がある。サウナ風呂(サウナぶろ)ともいう。通常、室内は80度以上となる。日本へは1964年東京オリンピック後に普及。和温療法は、低い温度(60度)のサウナによる心不全に対する日本で開発された治療法である[1]

構造と入浴法[編集]

サウナ室内部

室温を高温に設定したサウナ室に全裸又は水着、もしくはタオル着用で入室し身体を温めて、をかく。入室前や入室後に水風呂に入ったり、シャワーを浴びたりして身体を冷やすとともに、汗や汚れを落とす。これを温冷交代浴という。本場のフィンランドでは屋外に出て冷気に身を晒したり、自然の湖に入ったりすることもある。サウナ室内の設定温度は60度程度から100度程度まである。

乾式湿式がある。乾式の場合、室温は80〜100になるが、乾燥しているため火傷の心配がない。ただし、金属性の装身具を身体に装着すると、過熱し危険である。また、壁に触れると低温やけどを起こすことがある。呼吸は、内臓に悪影響が懸念され、呼吸が推奨される。乾式サウナで濡れたタオルを室内で絞ると、室内に水蒸気を発生し、熱伝導率が高まり熱く感じる。これは水蒸気が空気の300倍の熱伝導率を有するためである。

湿式にはロウリュ、スチームバス、ミストサウナなどがある。サウナ室内で熱した石に水をかけて発生させた水蒸気を浴びる「ロウリュ」、タオル等を振り回し熱風をかける「アウフグース」、白樺の葉付きの枝(ヴィヒタ)で身体を叩いて血行を促進する「ウィスキング」といった習慣もある[2]日本古来のかま風呂や、温泉の蒸気を利用した蒸し湯なども湿式サウナの一種である。

家庭用サウナ[編集]

小型の家庭用サウナ(神戸メディケア製)

家庭で使用するサウナで、少人数用が主流を占め、遠赤外線ミストサウナなどもあり、多くのメーカーが発売している[3]

サウナにおける裸[編集]

サウナへ向かう、水着を着用した男女(フィンランド

北欧ドイツなどにはサウナが町の随所にあるが、そのような、例えばフィンランドやドイツのホテルに併設されているような物では、全混浴は、ごく一般的なことであり、習慣としてとらえる人がほとんどである。それらの国においても、例外なく全員が全でサウナに入るわけでなく、自宅であるか、あるいは親しい間柄の人かなどの理由で、水着やタオルなどを着用する場合もある[4]

サウナを使用後、には、全のままに飛び込ぶ全裸水泳(スキニー・ディップ)を、には、全面凍った海に開けられた穴に全で飛び込み泳ぐアイススイミングを行うことが楽しまれている[5]

歴史[編集]

湖畔にあるフィンランドのサウナ小屋

サウナの発祥はフィンランドとされる。1000年以上の歴史があり、フィンランドの多くの家庭にサウナがあり、総数は約550万人の人口に対して約300万とする推計もある。 蒸し風呂の文化は古来、日本を含む世界各地にあった。古代ローマ帝国テピダリウム(微湿浴室)とラコニクム(発汗室)、オスマン帝国などイスラム教圏のハマム、ロシアバーニャメキシコのテメスカル、朝鮮半島の汗蒸(ハンジュン、한증)などである[6]

フィンランドで2番目に大きい都市タンペレは、「世界のサウナの首都」として正式に宣言された。[7][8]

日本への普及[編集]

日本では1964年東京オリンピック後に普及した。マッサージ、熱した薬草香油の薫りを浴びさせるアロマテラピーサウナ、マッサージや美容サービスなどと組み合わせた施設もある[2]

大型ホテル・旅館の共同浴場、健康ランドスーパー銭湯カプセルホテルスポーツクラブなどに多く設置されている。近年では一般的な規模の銭湯でも小さなサウナ室を併設していることろも増えている。また、単独でサウナと称している施設もあり、それらの中には簡易な宿泊施設として利用できるものもある。北欧と違い男女混浴であることはない。

日本のサウナ大使は2名、長嶋茂雄とマンガ家のタナカカツキである[9]

効能[編集]

サウナ浴の効能には温水浴と同等の効能があり、全身の血行促進と気分転換の作用がある。

通常のサウナを定期的に使用している場合、そうでない人よりも表皮バリア機能と角質水分量が良い[10]

通常の入浴では、鼻アレルギーの症状改善は湯から出た直後のみだが、ミストサウナでは90分後でも改善効果が見られた[11]

2018年の調査で13のランダム化比較試験 (RCT) が見つかり、9研究は心不全に対する和温療法で比較された標準治療よりも指標を改善し、2研究は慢性疼痛に対するRCTでは頭痛の減少および職場復帰の増加が見出され、2研究は風邪の人で大きな効果はなく[12]。ランダム化比較試験より証拠の信頼性は弱いが、フィンランドでサウナを頻繁に利用する2315人の20年以上の前向き追跡調査では、認知症66%・アルツハイマー病65%のリスク低下、心臓関連の突然死の63%の減少、全死因の40%のリスク減少が見られている[12]。十数人の予備研究では、リウマチや強直性脊椎炎の痛みや倦怠感の減少、2研究は慢性疲労症候群に対するRCTで倦怠感や不安な気分などを改善し、覚醒剤のデトックス(または解毒)では症状の減少を示し、脂溶性の毒(PCB、残留性有機汚染物質のひとつ)ではサウナの効果はなかった[12]。精子数の減少とサウナ停止半年後に正常化したこと、また40研究中6研究では軽度の副作用の報告があり、ほかの1研究では熱に耐えられないとして温度低下の変更があり、また閉所恐怖症のため中止した例が1件あった[12]

排出[編集]

排出されてしまうミネラル成分は人体の生命活動に必要不可欠なものであり、逆に過度な発汗により慢性疲労や熱中症の原因になりやすいため発汗の際には充分な水分補給とミネラル補給が必要である。

サウナは汗中の鉛の排泄量を増加させたという研究がある[13]

サウナによってデトックスが言われることがあるが、ポリ塩化ビフェニル(PCB)など「体脂肪に蓄積する」残留性有機汚染物質の研究者は、それらはからはほとんど出ない、食生活からとりこんだうちの0.02%だと述べている。[14](なおPCBなどダイオキシンは脂溶性で主な排泄経路は、皮脂である[15])。

和温療法[編集]

鄭忠和(てい ちゅうわ)は、1989年、鹿児島の病院で心臓病末期の患者の願いをかなえるため、心電図などを見ながら注意して毎日温泉の湯に入れることになったが、次第に心不全の症状が軽快していくことを目の当たりにした[1]。データもとっていたが、湯の水圧は注意が必要なほど心臓の内圧を高めるため、通常より低い温度(60度)のサウナを利用して心不全に対する治療法となった[1]。研究報告を続けるがなかなか認知されず、2007年にはなごみとぬくもりを意味する「和温療法」と命名、日本の2010年版『慢性心不全治療ガイドライン』には補助療法として記載されるに至った[1]。血管内皮機能を改善し、酸化ストレスを低下させ、心不全の予後改善、不整脈改善効果があり、また閉塞性動脈硬化症や動脈硬化危険因子のある生活習慣病の人の治療にも期待されている[16]

その他[編集]

フィンランドヘルシンキをはじめ、サウナが普及している国や地域では動画共有サイトYouTubeに利用方法をまとめた動画[17]や体験記を投稿している人が多い。

サウナを題材とした作品[編集]

テレビ
ラジオ

出典[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ a b c d 鄭忠和「和温療法(日本で開発された治療法)」『循環器専門医』第22巻第1号、2014年、 123-130頁、 doi:10.1253/jjcsc.22.1_123
  2. ^ a b サウナ!熱き楽園/薬草・こだわり水風呂…本場を参考に進化」『朝日新聞』朝刊2018年8月30日(文化の扉面)2018年9月5日閲覧
  3. ^ 家庭用サウナ コトバンク (朝日新聞DIGITAL)
  4. ^ 高島昌俊 (2019年2月23日). “「全裸混浴サウナ」に行ってみた。これが“当たり前”の国もある”. 日刊SPA!. 2019年4月8日閲覧。
  5. ^ フィンランドのサウナは「男女で裸の付き合い」ってほんと?気になる真相と持ち物5選”. TABIPPO.NET (2017年4月5日). 2019年4月26日閲覧。
  6. ^ なぜサウナは健康によいのか 公益社団法人日本サウナ・スパ協会(2018年9月5日閲覧)。
  7. ^ フィンランドレポート【タンペレ編】
  8. ^ 自然とサウナ - Visit Tampere
  9. ^ マンガ サ道~マンガで読むサウナ道~(1). 講談社. (2016-01-22) 
  10. ^ Kowatzki D, Macholdt C, Krull K, Schmidt D, Deufel T, Elsner P, Fluhr JW (2008). “Effect of regular sauna on epidermal barrier function and stratum corneum water-holding capacity in vivo in humans: a controlled study”. Dermatology 217 (2): 173–80. doi:10.1159/000137283. PMID 18525205. 
  11. ^ 保手浜勝、竹森利和、平岡哲也、荻野敏「鼻アレルギーに対するミストサウナの効果」『耳鼻咽喉科展望』第49号、2006年、 37-40頁、 doi:10.11453/orltokyo1958.49.Supplement1_37
  12. ^ a b c d Hussain J, Cohen M (2018). “Clinical Effects of Regular Dry Sauna Bathing: A Systematic Review”. Evid Based Complement Alternat Med 2018: 1857413. doi:10.1155/2018/1857413. PMC: 5941775. PMID 29849692. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5941775/. 
  13. ^ Parpaleĭ IA, Prokof'eva LG, Obertas VG (1991-5). “The use of the sauna for disease prevention in the workers of enterprises with chemical and physical occupational hazards”. Vrach Delo (5): 93–5. PMID 1866932. 
  14. ^ ルーバー荒井ハンナ・翻訳 (2018年4月13日). “「汗をかいてデトックス」はウソだった、研究報告”. ナショナルジオグラフィック日本版サイト. 2020年9月30日閲覧。 その原文: Erika Engelhaupt (2018年4月13日). “Can You Really Sweat Out Toxins?”. National Geographic. 2020年9月30日閲覧。
  15. ^ 小栗一太、赤峰昭文、古江増隆 「第9章」『油症研究 30年の歩み九州大学出版会、2000年6月。ISBN 4-87378-642-8。292、295頁。
  16. ^ 宮田昌明「温熱刺激の臨床への応用:- 和温療法の効果とその作用機序 -」『日本東洋医学系物理療法学会誌』第41巻第2号、2016年、 1-7頁、 doi:10.32255/jjsop.41.2_1
  17. ^ Six Steps To Do Sauna - Eurobest Helsinki, https://www.youtube.com/watch?v=wGN3UulLH0Y 2019年4月21日閲覧。 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]