海老沼匡

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海老沼 匡
基本情報
ラテン文字 Masashi EBINUMA
日本の旗 日本
出生地 栃木県の旗栃木県小山市
生年月日 (1990-02-15) 1990年2月15日(26歳)
身長 170cm
選手情報
階級 男子66kg級
所属 パーク24
段位 五段
 
獲得メダル
日本の旗 日本
男子 柔道
オリンピック
2012 ロンドン 66kg級
2016 リオデジャネイロ 66kg級
世界柔道選手権
2011 パリ 66kg級
2013 リオデジャネイロ 66kg級
2014 チェリャビンスク 66kg級
世界団体
2014 チェリャビンスク 66kg級
2015 アスタナ 66kg級
2012 サルヴァドール 66kg級
ワールドマスターズ
2012 アルマトイ 66kg級
グランドスラム
2009 東京 66kg級
2016 パリ 66kg級
2015 東京 66kg級
2010 東京 66kg級
2011 東京 66kg級
2011 リオ 66kg級
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海老沼 匡(えびぬま まさし、1990年2月15日 - )は、日本柔道家(66kg級)。栃木県小山市出身。血液型はO型。組み手は左組み。段位は五段。得意技は背負投パーク24所属。ロンドンオリンピックの柔道66キロ級銅メダリスト[1]

経歴[編集]

柔道は5歳の時に兄二人の影響で、後に60kg級世界チャンピオンの高藤直寿も所属することになる野木町柔道クラブで始めた[1][2]講道学舎出身。長兄に個人インカレを制覇した海老沼聖(現パーク24)、次兄に流通経済大学所属の海老沼毅がいる[1][3]

中学からは上京して講道学舎に所属することになった[1]弦巻中学3年の全国中学校柔道大会66kg級で優勝した[1]世田谷学園高校2年の時にはアジアジュニアで優勝した。なお、この大会で知り合ったことがきっかけで東北高校3年の阿部香菜と交際するようになり、後に結婚した[4]。3年の時にはジュニア体重別の73kg級で3位となった[1]

2008年に明治大学へ進学すると66kg級に階級を戻した[1]。1年の時にはジュニア体重別で2位になると、世界ジュニアでは3位となった[1]嘉納杯でも3位に入った。2年の時にはユニバーシアード講道館杯で優勝すると、グランプリ・アブダビではIJFワールド柔道ツアー初優勝を飾った[1]。続くグランドスラム・東京2009でも優勝を成し遂げた[1]。しかしワールドマスターズ2010では5位だった[1]。3年の時は体重別で優勝するも、東京で開催された世界選手権では3回戦でブラジルのレアンドロ・クーニャに肩車で敗れた[1]。4年の時には体重別で2連覇を果たすと、パリで開催された世界選手権では決勝で前年敗れたクーニャに内股で一本勝ちして優勝を飾った[5]

2012年4月には講道学舎の先輩である吉田秀彦が柔道部監督を務めるパーク24に就職した[1]。5月の体重別では決勝でロンドンオリンピック代表争いを演じてきた2010年の世界チャンピオンである筑波大学森下純平支釣込足で破って大会3連覇を飾り、オリンピック代表に選出された[6]

2012年7月のロンドンオリンピックでは、準々決勝で韓国の曺準好と対戦すると反則技である立ち姿勢から一挙に体を捨てる腕挫腋固を仕掛けられるも見過ごされ、GSに入ってから小内刈で有効ポイントを取りながら取り消しとなった。結果として判定にもつれ込み、一旦は相手に旗が上がるもののビデオ判定を担当するジュリーからの指摘で判定がやり直されて今度は海老沼の方に旗が上がったことにより勝利を得た。しかし準決勝ではグルジアのラシャ・シャフダトゥアシビリの前に隅返で敗れはしたものの、3位決定戦でポーランドのパベウ・ザグロドニクに大腰で破って銅メダルを獲得した[7][8][9]

2012年8月16日に出身地の栃木県及び小山市に凱旋報告を行い、その際には栃木県から栃木県スポーツ功労賞が授与され、また県の広報大使たる『とちぎ未来大使』に委嘱された[10]

2013年2月のグランプリ・デュッセルドルフ準決勝ではロンドンオリンピックで敗れたグルジアのシャフダトゥアシビリを横四方固で破ると、決勝でも綜合警備保障福岡政章を指導2で優勢勝ちして優勝を果たした[11]

しかし、5月の体重別では決勝で福岡に有効で敗れて2位にとどまった[12]

8月の世界選手権では決勝でカザフスタンのアザマト・ムカノフと対戦したが指導1を受けた後に、本来反則負けの対象となる立ち姿勢から体を捨てての脇固めを何度も仕掛けられながら反則が適用されず、左腕を負傷して苦しい展開となるが終盤に大内刈で逆転の一本勝ちを果たして、今大会6試合オール一本勝ちで2連覇を飾った。相手のムカノフも試合後のインタビューで、「骨が折れたと思ったが攻めてきた。サムライだよ」と海老沼の戦いぶりを称えた[13][14]。 なお、斉藤仁全柔連強化委員長はこの試合においてムカノフが繰り出した脇固めは反則負けの対象となる立ち姿勢から一挙に体を捨てる脇固めに該当するとして、IJFに試合内容の検証を要請することになった。斉藤強化委員長は「10月にIJFが新ルールの検証を行うので、それに対して送る要望の一つに含める。映像でしっかり確認してほしい。選手に危険なことは柔道にプラスにならない。IJFには再発防止を徹底させてもらいたい」と語った[15][16]。また海老沼も「あんな技が認められてしまったら、この先ケガをする人もたくさん出てくると思いますし、何ていうか、怒りがこみ上げてきます」とコメントしている[17]

2014年2月のグランプリ・デュッセルドルフでは、昨年に続いて2連覇を達成した[18]。4月の体重別では 準決勝で東海大学3年の高市賢悟に合技で敗れるが、世界選手権代表に選出された[19]。8月の世界選手権では決勝で地元ロシアミハイル・プリャエフを内股で破って日本男子としては2003年の井上康生以来、史上5人目の世界選手権3連覇を達成した[20]世界団体決勝では地元ロシアの選手と対戦して敗れたものの、チームは3-2で優勝を飾った[21]。12月のグランドスラム・東京では、準決勝で神港学園高校2年の阿部一二三と対戦すると、有効を先取しながら終盤に技ありを取られて逆転負けを喫すると、3位決定戦でも高市に一本負けして5位に終わった[22]。12月22日には女子63kg級で世界選手権の5位になったことのある三井住友海上阿部香菜と結婚した[23]リムジンを用意して東京タワーなどを回りながら、車内でプロポーズをしたという。阿部は柔道を一番に考える自分をきちんと理解してくれて、一緒にいても気を使わないところが良いと語っている[24][25]

2015年4月の選抜体重別では決勝で高市を技ありで破って3年ぶり4度目の優勝を飾り、世界選手権代表に選ばれた[26][27][28]。7月にはJOCからシンボルアスリートに選ばれた[29]。8月の世界選手権では3回戦で60kg級の元世界チャンピオンであるウズベキスタンのリショド・ソビロフ大内返で一本負けを喫して大会4連覇を逃した[30]世界団体では決勝で勝利するなどしてチームの優勝に貢献した[31]。12月のグランドスラム・東京では決勝で高上智史肩車で技ありと有効、さらに背負投でも有効を取られて完敗を喫した[32][33]

2016年2月のグランドスラム・パリでは準々決勝で世界チャンピオンのアン・バウルを内股で破るなどして決勝まで進むと、モンゴルのダワードルジ・トゥムルフレグを内股で破って優勝を飾った[34]。4月の選抜体重別では準決勝で日体大1年の阿部に技ありと有効を取られた挙句、背負落で投げられて完敗した。試合後の強化委員会では「海老沼の今日の負け方はあまりにひどい」との声が上がると、強化委員長の山下泰裕も「今日のあの試合で戦えるのか」と疑問を呈する有様だった。海老沼に圧勝した阿部は去年の講道館杯で3位に終わった時点でオリンピック代表争いから外されていたが、今後の伸びしろを考慮して、チャンスを与えるためにアジア選手権ワールドマスターズなど残りの国際大会に出場させて、様子を見た上で代表を改めて決定すべきだとの声も出た。海老沼のように過去の実績で代表にほぼ内定していたような選手でも、今大会であまりにも酷い負け方をした場合は事実上の内定を取り消すことを提案した強化委員もいた。しかしながら、結果として実績が物を言って、ロンドンオリンピックに続きリオデジャネイロオリンピック代表にも選出された[35][36]。代表決定後の会見では、「五輪の借りは五輪でしか返せない。4年間が無駄でなかったことを証明したい」とコメントした[37]。 6月には所属先のパーク24主催の壮行会において、「どんな形でも勝ちは勝ち。 とにかく勝ちにこだわりたい」とオリンピックへの決意を語った[38]。8月のリオデジャネイロオリンピックでは初戦となる2回戦で地元ブラジルのチャールズ・チバナを横四方固で破ると、3回戦で中国の馬端斌から有効と技ありを取った後に袖釣込腰で一本勝ち、準々決勝でもドミニカのワンダー・マテオから有効と技ありを取った後に背負投で破った、準決勝ではアンと対戦して指導1を先取しながら終盤に追いつかれると、GSに入ってから有効を取られて金メダルの夢は破れた。3位決定戦ではカナダのアントワーヌ・ブシャールを背負投で破って2大会連続となる銅メダルを獲得した[39]

世界ランキング[編集]

IJF世界ランキングは1254ポイント獲得で7位(17/2/5現在)[40]

  • 世界ランキングの年度別変遷
2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年
順位 4 9 4 7 3 2 14 7

(出典[1]JudoInside.com)。

柔道スタイル[編集]

肩車掬い投げ朽木倒といったタックル系が得意技である。しかし2009年国際柔道連盟はこれらの技を反則としたため9月の全日本ジュニアでは敗者復活戦敗退に終わった。しかし講道館杯では内股背負投腰車で全試合一本勝ち、決勝でも内柴正人を退け金メダルを獲得した[1]

戦績[編集]

(出典[1]JudoInside.com)。

有力選手との対戦成績[編集]

(2016年12月現在)

対戦成績
国籍 選手名 内容
日本の旗 阿部一二三 2敗
日本の旗 高市賢悟 1勝2敗
モンゴルの旗 ダワードルジ・トゥムルフレグ 3勝
韓国の旗 アン・バウル 3勝1敗
イスラエルの旗 ゴラン・ポラック 2勝
ウクライナの旗 ゲオルグリー・ザンタラヤ 2勝
フランスの旗 ロイク・コルバル 2勝
ロシアの旗 ミハイル・プリャエフ 2勝1敗
ロシアの旗 カマル・ハーン=マゴメドフ 1敗
モンゴルの旗 ハシュバータル・ツァガンバータル 2勝2敗
ブラジルの旗 レアンドロ・クーニャ 3勝1敗
韓国の旗 曺準好 3勝0敗
ジョージア (国)の旗 ラシャ・シャフダトゥアシビリ 1勝1敗
ロシアの旗 ムサ・モグシコフ 1勝2敗

(参考資料:ベースボールマガジン社発行の近代柔道バックナンバー、JudoInside.com等)。

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 「柔道全日本強化選手名鑑 2016」近代柔道 ベースボールマガジン社、2016年4月号
  2. ^ “海老沼選手と高藤選手、地元野木町で柔道初稽古”. 47NEWS. 下野新聞 (全国新聞ネット). (2014年1月3日). オリジナル2014年8月8日時点によるアーカイブ。. http://web.archive.org/web/20140808053246/http://www.47news.jp/sports/localsports/2014/01/post_20140103100305.html 2016年8月4日閲覧。 
  3. ^ 海老沼、あこがれた兄に導かれた連続銅メダル
  4. ^ リオへの軌跡:第1部 柔道男子・海老沼匡選手
  5. ^ 海老沼が男子66キロ級金/世界柔道 日刊スポーツ 2011年8月24日
  6. ^ 吉田秀彦の愛弟子、海老沼五輪切符/柔道 日刊スポーツ 2012年5月13日
  7. ^ 異例の旗判定取り消し=海老沼あわや敗者に-柔道男子66キロ級〔五輪・柔道〕 時事通信 2012年7月30日
  8. ^ 海老沼が「銅」 日本柔道2個目のメダル MSN産経ニュース 2012年7月30日
  9. ^ Cho Jun-Ho's illegal waki-gatame
  10. ^ メダリスト凱旋 安藤、鮫島、海老沼3選手に県スポーツ功労賞 下野新聞 2012年8月17日閲覧
  11. ^ 海老沼、岡本が優勝=柔道グランプリ 時事通信 2013年2月24日
  12. ^ 福岡、階級上げて初V=全日本選抜体重別柔道 時事通信 2013年5月11日
  13. ^ 66キロ級の海老沼匡、2連覇を飾る…世界柔道 MSN産経ニュース 2013年8月28日
  14. ^ 海老沼、2連覇! 左腕痛めるも一本勝ち 柔道世界選手権 zakzak 2013年8月28日
  15. ^ 日本チームが検証要請へ 海老沼が負傷した決勝で MSN産経ニュース 2013年8月28日
  16. ^ 全柔連、IJFに検証要請へ=海老沼の負傷で-世界柔道 時事通信 2013年8月29日
  17. ^ 「復帰記念インタビュー 海老沼匡」近代柔道 ベースボールマガジン社、2014年3月号、12頁
  18. ^ 松本、海老沼が優勝 グランプリ大会 MSN産経ニュース 2014年2月22日
  19. ^ 高藤、海老沼、大野を選出=世界選手権代表-全柔連 時事通信 2014年4月6日
  20. ^ 【世界柔道】海老沼、井上以来のV3!軽量級では初の快挙 スポーツ報知 2014年8月26日
  21. ^ 男子が団体金、女子は銅 柔道世界選手権 日本経済新聞 2014年8月31日
  22. ^ 男子66キロ級、17歳の阿部が海老沼破り優勝!/柔道 サンケイスポーツ 2014年12月5日
  23. ^ 柔道・海老沼匡選手が結婚…相手は阿部香菜選手 読売新聞 2014年12月22日
  24. ^ 【柔道】海老沼匡 金メダル取りの支えは「夫婦愛」 東京スポーツ 2016年7月11日
  25. ^ 【柔道】海老沼の活躍の裏に香菜さんの献身サポート 東京スポーツ 2016年7月11日
  26. ^ 海老沼、田知本姉妹がV 柔道の全日本選抜体重別選手権  日本経済新聞 2015年4月5日
  27. ^ 海老沼、中矢ら選出=世界選手権代表-柔道 時事通信 2015年4月5日
  28. ^ 海老沼 雪辱の男泣きV 男子66キロ級の第一人者は俺だ! スポーツニッポン 2015年4月6日
  29. ^ シンボルアスリート及びネクストシンボルアスリートが決定
  30. ^ 【世界柔道】海老沼が4連覇逃す!3回戦で一本負け スポーツ報知 2015年8月25日
  31. ^ 日本、団体で男女アベック優勝 柔道世界選手権 日本経済新聞 2015年8月30日
  32. ^ 日本勢、男女5階級を全て制す…柔道GS第1日 読売新聞 2015年12月4日
  33. ^ 海老沼まさか…高上に完敗「金獲るためにもっと強くならないと」 サンケイスポーツ 2015年12月5日
  34. ^ 海老沼と志々目が優勝 柔道のGSパリ大会第1日 日本経済新聞 2016年2月7日
  35. ^ 柔道五輪代表に近藤亜美、松本薫、大野将平ら発表 日刊スポーツ 2016年4月3日
  36. ^ 日本柔道を襲った「海老沼ショック」 新鋭に惨敗も代表入り 東京スポーツ
  37. ^ 【リオ五輪代表会見コメント集】田知本「チャンピオンになって帰ってきたい」 サンケイスポーツ 2016年4月4日
  38. ^ リオ五輪柔道代表の海老沼と高藤 壮行会で意気込み語る 東京スポーツ 2016年6月8日
  39. ^ 海老沼匡、2大会連続の「銅」…柔道男子
  40. ^ World ranking list

関連項目[編集]

外部リンク[編集]