背負投

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背負投(せおいなげ)は、柔道投技手技16本の一つである。内股大外刈巴投と並んで、柔道の投げ技の定番である。講道館国際柔道連盟(IJF)での正式名。IJF略号SON。別名襟背負(えりせおい)、双手背負投(もろてせおいなげ)、双手背負(もろてせおい)。特に一本背負投と区別する必要があるときに使われる。

概要[編集]

前に崩しながら、前回りさばきで相手の懐に踏み込む、または、後ろ回りさばきで相手を引き出し、潜り込む様に体を沈め、(おんぶする様な形で)相手を背負い、自分の釣り手の肘を相手の脇の下に入れ、肩越しに(相手を担いで)引き手で引いて投げる技。

柔道の技の中でも最も有名な技の一つである。

一般に小さいものが大きい体の相手を投げるのに適した技であるとされる。

釣り手の使い方に特色のある技である。手技腰技の違いがあるものの、釣込腰とよく似ているが、背負投は引き手を利かせて前に投げる(釣り手で襟を釣り上げてから、引き手で袖を引く)が、釣込腰釣り手を利かせて横に投げる(引き手で万歳をさせる様に袖を引き出してから、釣り手で襟を釣り上げる)という違いがある。

逆背負投[編集]

逆背負投(ぎゃくせおいなげ)は韓国背負が普及して暫く経った後に、「逆に投げる背負投をスムーズに投げる技術」として生まれた背負投。

さらに、これを応用して、回転一本背負や原型に近い、回転背負落も開発された。

現在では、袖釣込腰に次ぐ逆技として使われる事が多い。

この技は、2007年頃から、国際大会などで、よく見かけるようになった技で、主にケンカ四つの体勢で仕掛ける事が多い[1]

左組みの場合、相手の右襟を左釣り手で掴んだ状態から、右引き手は相手の右襟(片襟)または、相手の釣り手側の奥袖を掴んで、自らの体を右足前回りさばきか左足後ろ回りさばきで右に一回転させながら(あるいは大きく反転しながら膝を付いて前かがみになった勢いで)、相手を釣り手側に投げる技[2]

片襟の場合は、通常の背負投と同様、背負投の変則組み手等のバリエーションとして見なされる事が多い。

また、回転一本背負回転背負落と違い、本来、背負投は引き手側に投げる場合がほとんどだが、賀持道明の投げ方に近いもので、釣り手に引き手をあてがって釣り手側に投げるものもある。江口も相当な実力の持ち主なので今後世界大会などで目にすることがあるかもしれない。

2015年に全柔連は、この技で投げられた選手が後頭部から畳に落下するなど、柔道事故を誘発しかねないとして、中学生以下にはこの技の使用を禁止することにした。

大会で使用した場合は反則負けとなる[2][3]

別名逆背負回転背負投回転背負逆双手背負投逆双手背負回転双手背負投回転双手背負

韓国背負[編集]

韓国背負(かんこくせおい)は釣り手で掴んでいる相手の襟に引き手を添える様にして、片襟で組み、腕を担いで、そのまま、背中から相手を叩きつける様に投げる逆背負投。

上級者向けの技であり、無理な体勢で投げると、大外刈の様に、相手の後頭部を打ち付ける事故や体を開いた際に、自分の肩の靭帯を断裂する等の大怪我にも繋がりやすいので、注意が必要である。

この技を誰が最初に使い出したかは定かでないが、2003年あたりに崔敏浩が使い出したとも言われている[1]

2008年北京オリンピック60kg級で優勝した前出の崔敏浩や、2009年の90kg級世界チャンピオンである李奎遠などが盛んに使っていたことから、この技が注目を集めるようになったと考えられている[4]

崔や李など韓国の選手が使っていたことから、俗称で「韓国背負い」とも呼ばれている[5]

2010年あたりからは軽量級や中量級の日本選手が頻繁に使い出すようになった[6]

全柔連は当初、この技を背負落と分類していたこともあったが[7][8]、そののち、背負投の一種とみなすようになった。

また、2015年、全柔連はこの技を通称「逆背負投」と呼ぶように告知した[2]。そののち、背負投のバリエーション逆背負投の一種として、扱われる事となった。

2012年あたりからは、それまで日本や韓国の選手によって使われてきたこの技が、フランスのロイク・ピエトリを始めとしたヨーロッパの選手の間でも使われるようになった[9]

この技で一本が決まった主な試合

別名韓国背負投(かんこくせおいなげ)。

背負投を得意とした選手[編集]

木村政彦や、東京オリンピックでの猪熊功及び、岡野功の華麗で豪快な背負投や一本背負投をテレビで見た人に、柔道の代表的な投技として背負投が浸透した。

その後、日本では谷亮子野村忠宏古賀稔彦が背負投の名手として知られている。

井上康生も重量級としては珍しい背負投の使い手であった。

フィクションの世界では柔道漫画の『YAWARA!』『柔道部物語』『帯をギュッとね』などで主人公の必殺技として描かれている。

『柔道部物語』が連載されていた時は古賀稔彦の全盛時代だったので特にこの背負投が登場人物たちの得意技として多く出てくる。

投の形[編集]

投の形の手技の2本目にあるが、実際には一本背負投の技法である[10]

これは投の形の制定された当時は技名の上では一本背負投と区別されていなかったためである。

技法的な部分は一本背負投#投の形を参照のこと。

分類と名称[編集]

1982年、講道館が投技の技名称一覧を制定した際は一本背負投も背負投に包含されていた。1995年4月、IJFは総会で一本背負投と背負投を分離している技の一覧を制定した。1997年、講道館はIJFに合わせる形で一本背負投と背負投を分離した[10]

脚注[編集]

  1. ^ a b Lee Kyu-Won’s Reverse Seoi
  2. ^ a b c 【審判委員会】少年大会における俗称「韓国背負い」の取り扱い並びに国内における「少年大会特別規定」への反映について
  3. ^ 柔道の「逆背負い投げ」中学生以下に危険技禁止、事故防止のため スポーツニッポン 2015年12月9日
  4. ^ Choi Min-Ho - The original reverse seoi-nage man
  5. ^ 格闘技 技の大百科 WAZAPEDIA 2011 ベースボール・マガジン社
  6. ^ Hiraoka: World's fastest reverse seoi man
  7. ^ 第16回アジア競技大会(2010/広州)柔道競技 70kg級 渡邉 美奈(コマツ) 5位
  8. ^ グランプリ デュッセルドルフ(ドイツ)52kg級 西田 優香((学)了徳寺学園職) 優勝
  9. ^ Pietri's Reverse Seoi
  10. ^ a b 醍醐敏郎著 『講道館柔道投技 上 手技・腰技』

外部リンク[編集]