柔道形

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柔の形 第一教「肩廻」

柔道の形(じゅうどうのかた)とは、日本伝講道館柔道において、攻撃防御の理合いを習得するために行われる形稽古。柔道では単に「」(かた)と呼ばれる。 )(かた)による形稽古は日本の武道日本の武術)では普遍的な稽古法である。柔道(柔術)では、技を掛ける「取(とり)」と技を受ける「受(うけ)」にわかれ、決められた手順で技を掛け、受け止め、反撃し、それを反復することによってその理合と技を習得するものである。我が国の修行方法といえる。

柔道の前身である柔術では形稽古から順序対応法を変えた「形残り」という稽古法が工夫され、乱取り(乱捕)に発展した。現在の柔道では自由な乱取り攻防がなされている。

概要[編集]

柔道における形と乱取の関係は、柔道創始者嘉納治五郎によると「乱捕と形は、作文と文法の関係」[1]と説明され、そのいずれが欠けても不十分とされる。柔道形の技には、後に試合や乱取りでは禁止されたものがある。

柔道の形には投の形(なげのかた)、固の形(かためのかた)、極の形(きめのかた)、講道館護身術(こうどうかんごしんじゅつ)、精力善用国民体育(せいりょくぜんようこくみんたいいく)、柔の形(じゅうのかた)、五の形(いつつのかた)、古式の形(こしきのかた)がある。剛の形(ごうのかた)も存在するが、未完成ということで現在はほとんど行われていない。本家講道館で開催される形の講習会においては、精力善用国民体育、剛の形は扱われていない。また、講習会の最後には、演技会が行われ段階に応じて、習得証、精熟証、熟達証が発行されている。

昇段の際には、形も審査対象となる。「講道館昇段資格に関する内規」(2015)によれば、初段で投の形(手技、腰技、足技のみ)、二段で投の形全部、三段は固の形、四段は柔の形、五段は極の形、六段は講道館護身術、七段は五の形、八段は古式の形である。女子は「講道館女子柔道昇段資格に関する内規」(2016)によると、初段で投の形(手技、腰技、足技のみ)、二段で投の形全部、三段は固の形、四段は柔の形、五段は極の形、六段は講道館護身術、七段は五の形、八段は古式の形である。

例年正月に行われる講道館の鏡開式(かがみびらきしき)においては、投の形、固の形、極の形、柔の形、講道館護身術、五の形、古式の形の7種の形が行われ、一度に観覧することが出来る。また、全柔連主催の大会においても、いくつかの形が決勝の前などに披露されるようになっている。

競技組織[編集]

国内では、競技柔道偏重への憂いも叫ばれるようになり、全日本柔道連盟の教育普及委員会が中心となり講道館と共催のかたちで、1997年(平成9年)9月講道館大道場において公式競技として初めて「全日本柔道形競技大会」が開かれ、形の競技化がはじまった。 大会会長の嘉納行光(財)講道館長、(財)全日本柔道連盟会長は、「形の本質を考えた場合、その基本に忠実でなければならないのは勿論であるが、ただ形式を真似ただけでは何の意味もなく、それぞれの個性からかもし出された味わい深みと云った芸術性を有する主観的内容が要素となっているだけに、審査基準設定の難しさ、又審査する者自身が形を十分に習得し、評価について判断力を有することが強く要求される事から今日迄実現に踏み切れなかった」と述べている。 さらに10回(10年間)の国内選手権大会を経てから、形の国際大会開催の機運が高まり、第1回講道館柔道「形」国際大会2007年(平成19年)に日本で開催されることになる。 2009年(平成21年)には、全柔連に形特別委員会(松下三郎委員長)が設置され、世界代表選手の選考、強化を図る強化部会と、規定や審査員制度等の整備充実を図る普及部会で構成されることになった。形競技大会の運営に関しては、全日本柔道形競技大会実行委員会が担当している。

国際柔道連盟は[2]、発展プロジェクト委員長のジャン・ルック・ルージェ理事のもと、ヨーロッパ柔道連盟が中心となり2008年1月に各大陸代表者を集めてパリで形委員会(フランコ・カペレッティ委員長:イタリア)を結成した。最初の形委員は、杉山正治(ヨーロッパ)、竹内久仁子(パンナム)、小俣幸嗣(アジア)、アイバー・エンディコット・デイビス(オセアニア)であり、アフリカからは遅れてトーマス・デュンケル(南アフリカ)が加わった。そこでは投の形、固の形、極の形、柔の形、講道館講道館護身術の5種目をおこなうこと、各大陸で審査員を認定し、世界選手権のプレ大会であるワールドカップにおいて国際審査員を認定することが決定された。ルールや競技方法はヨーロッパ柔連のものが採用されたが、形は講道館のものであるという認識のもと、講道館発行のビデオを元にすることになった。

競技方法[編集]

Judo KATA competition result Koshiki

競技は形審査規程によるが、日本国内と国際柔道連盟では、試合場のサイズ、審査方式などで若干異なる。
国内は、講道館柔道形競技規程によって行われる。競技が行われるのは、国内では投の形、固の形、極の形、柔の形、講道館護身術、五の形、古式の形の7種である。 審査員は5名で、各技のほか、礼法、全体の流れを評価項目とする。審査員は各技毎に10点満点で評価し、その最高点と最低点は除外され、残りの3人の合計点数が技の得点となり、それを100点満点で換算し表示する。
外国では国際柔道連盟形競技規程によって行われ、審査員は各技毎に10点満点で評価し、その最高点と最低点は除外され、3人の得点の合計点を表示する。そのため、形によって技数がことなることもあり、総点も違っている。例えば投の形では技数15のほか、はじめの礼法、終わりの礼法が加わるため170点満点である。国際柔道連盟では五の形、古式の形を除く5種で行われている。

競技規程[編集]

講道館形競技規定の内容(2013年4月施行)は、以下の様である。

  1. 形の種類
  2. 試合場
  3. 得点表示
  4. 服装
  5. 衛生
  6. 演技順序
  7. 審査及び審査員
  8. 審査方法
  9. 審査基準
  10. 失格
  11. 負傷/病気等の発生
  12. 抗議の禁止
  13. その他

国際規定の内容(2010年1月)は、以下の様である。

  1. 試合場
  2. 得点の表示
  3. 参加者
  4. 服装
  5. 衛生面
  6. 審査員
  7. 形の評価法
  8. 形のはじめの動作、終わりの動作
  9. 怪我、病気、事故
  10. 規定外の事態が発生した場合

からなる。技の評価は大きな間違いは5点、中程度の間違いは3点、小さな間違いは1点の減点となる。

審査員[編集]

形審査員が審査している

審査員は国内、国際ともに試験によって資格が形毎に認定される。全日本柔道連盟は公認形審査員規程によって、これを定めている。2008年6月には、アジア柔道連盟が初の審査員セミナー、試験を講道館で開催し、日本、イラン、シリア、香港、台湾、カザフスタン、韓国の審査員が認定された。さらに11月には、パリで国際柔道連盟の審査員試験が行われ32人が認定された。形ワールドカップはこれらの審査員によって行われ、その後の世界形選手権も継続されている。 国内では、2012年から毎年、試験が行われ公認審査員が認定されており、研修会も行われている。

競技会[編集]

国内[編集]

  • 全日本柔道形競技大会

1997年(平成9年)9月27日講道館において、第1回の形競技大会が開催された。実施種目は投の形、柔の形、古式の形の3種であった。審査員は、投の形主任が大沢慶己、柔の形主任が安部一郎、古式の形が川村禎三であり、ほかに講道館から高田勝善、和村公男、山本四郎、尾形敬史、梅津勝子、石橋桂子、秋山澄子、若松節子、永井多恵子があたった。地区柔連からは、柳沢甚之助(北海道)、大野木利永(東北)、長谷川博之(関東)、佐藤哲也(東京)、岡本栄八郎(北信越)、山本富男(東海)、桑形宗光(近畿)、浅田耕平(中国)、村田利行(四国)、宮川善一(九州)らがあたった。審査は各形ごとに7名以上の審査員で行うことが定められ第1回は9名であった。審査員席は2名ずつ演技場の各辺から四方を囲む形で配置された。 優勝者は、投の形は鵜沢忠男・岩佐誠一組、柔の形は横山悦子・大森千草組、古式の形は佐藤正・宇津木俊博組であった。 10回大会までは、全種目が行われていなかったが、11回(2008年)からは、7種目が行われるようになった。

  • 講道館柔道「形」国際競技大会

2007年10月27,28日に講道館で行われた。大会は初日が全ての組による予選、2日目に予選上位3組による決勝戦が行われ、全て日本チームが優勝した。試合場は9m四方で、実施された種目は、投の形、固の形、極の形、柔の形であり、初日に予選、2日目に決勝が行なわれた。2日目午後には講習会が行われた。審査は日本から2名、海外から講道館が選考した3名による5名の審査員で行われ、最高点と最低点を除いた3人の合計点を100点満点に換算し得点とした。国際ルールは規定されておらず、国内のルールが採用された。参加国は17カ国、チームは投の形、極の形が9、柔の形が10、固の形が11であった。 この大会は、これ以降開催されていない。

Judging kata
  • 日本ベテランス国際柔道大会(日本マスターズ柔道大会)

2004年12月から毎年開催されている形と乱取りが同時に行われ、30歳以上の男女が参加できる大会。7種の形が行われており、近年は外国人にも参加に道が開かれ、2016年の柔の形は香港チームが優勝している。

外国[編集]

ヨーロッパでは2005年に欧州柔道連盟が第1回欧州柔道「形」選手権大会をロンドン郊外で開催した。2009年には世界選手権大会が開催され、アジアで2011年にはアジア選手権大会がそれぞれ形単独で開催されている。さらに東南アジア地区のSEA(South East Asia)Gamesでは、2007年から投の形(捨身技を除く。2009年からは全て)と柔の形が隔年で実施されている。

  • 形ワールドカップ

2008年11月には世界選手権大会のテストイベントとして国際柔道連盟形ワールドカップ [3]がパリで開催され、投の形に13カ国、18組、固の形に12カ国、16組、極の形に11カ国13組、柔の形に13カ国17組、講道館護身術に11カ国12組参加した。投の形は、内山貴之、松井孝文組がルーマニアに敗れて2位、固の形は、松本裕司、中橋政彦組が優勝、極の形は、今尾省司、清水和憲組が優勝、柔の形は、横山悦子、大森千草組が優勝、講道館護身術は、濱名智男、山崎正義組が優勝した [4]

  • 世界選手権大会
世界形選手権大会2014 優勝チーム

第1回は、マルタ2009年10月に開催された[5]。24カ国から82組が参加した。1カ国から各形に2組までの参加が認められたが、日本は各形1組を送った。日本代表選手は、投の形、近藤克幸・大河内哲志組、固の形は、松本裕司・中橋政彦組、極の形は、竹石憲治・植松恒司組、柔の形は、横山悦子・大森千草組、講道館護身術は、濱名智男・山崎正義組であり、全種目とも日本代表選手が優勝した。

第2回は、ブダペスト2010年5月に開催された。参加国は28カ国、132組であった。日本代表選手は、投の形、大嶋修次・鴨治由貴組、固の形は、小室宏二・高野賢司組、極の形は、竹石憲治・植松恒司組、柔の形は、横山悦子・大森千草組、講道館護身術は、濱名智男・山崎正義組であり、全種目とも日本代表選手が優勝した。

第3回は、フランクフルト2011年6月に開催された。日本代表選手は、投の形、坂本道人・横山喬之組、固の形は、小室宏二・高野賢司組、極の形は、竹石憲治・植松恒司組、柔の形は、横山悦子・大森千草組、講道館護身術は、濱名智男・山崎正義組であり、全種目とも日本代表選手が優勝した。参加したのは、投の形27組(18カ国)、固の形24組(14カ国)、柔の形24組(14カ国)、極の形18組(12カ国)、講道館護身術23組(13カ国)だった。

第4回は、ポルデノーネ2012年9月に開催された。参加国は28カ国、133組。日本代表選手は投の形(14カ国)、坂本道人・横山喬之組、固の形(14カ国)は、中山智史・林聖治組、極の形(14カ国)は、今尾省司・清水和憲組、柔の形(18カ国)は、横山悦子・大森千草組、講道館護身術(15カ国)は、武田武・宮崎純一組全て優勝した。

第5回は、京都2013年10月に開催された。参加国数は30か国地域。参加組数は103組。投の形23組、固の形19組、極の形21組、柔の形24組、講道館護身術16組。日本代表選手は投の形、坂本道人・横山喬之組が準優勝、固の形は、中山智史・林聖治組が優勝、下野龍司・大館斗志爾(京都)が2位、極の形は、今尾省司・清水和憲組が優勝、柔の形は、横山悦子・大森千草組が優勝、講道館護身術は、武田武・宮崎純一組が3位、宮本秀樹・渡辺正喜組(京都)が優勝した。

第6回は、マラガ2014年9月に開催された。日本代表選手は投の形、坂本道人・横山喬之組、固の形、中山智史・林聖治組、極の形、竹石憲治・植松恒司組、講道館護身術、宮本秀樹・渡辺正喜組が優勝した。柔の形、横山悦子・大森千草組は準優勝だった。

第7回は、アムステルダム2015年9月に開催された。日本代表選手は投の形、坂本道人・横山喬之組、固の形、中山智史・林聖治組、極の形、竹石憲治・植松恒司組、柔の形、白野恵・白野光組、講道館護身術、宮本秀樹・渡辺正喜組がそれぞれ優勝した。

第8回は、マルタ2016年10月に開催された。日本代表選手は投の形、坂本道人・横山喬之組、固の形、中山智史・林聖治組、講道館護身術、宮本秀樹・渡辺正喜組がそれぞれ優勝し、極の形、竹石憲治・植松恒司組、柔の形、高野恵・白野光組は準優勝だった。

  • アジア選手権大会
アジア形選手権大会優勝チーム2014

第1回はバンコック2011年3月に開催された。日本代表選手は、投の形、坂本道人・横山喬之組、固の形は、小室宏二・高野賢司組、極の形は、竹石憲治・植松恒司組、柔の形は、横山悦子・大森千草組、講道館護身術は、濱名智男・山崎正義組であり、全種目とも日本代表選手が優勝した。

第2回もバンコック2012年2月に開催された。

第3回大会は、シンガポール2013年3月に開催され、12各国35組70人が参加した。日本代表選手は、投の形、赤坂洋輔・若菜大介組、固の形は、松川博茂・杉山康弘組、極の形は、今尾省司・清水和憲組、柔の形は、白野恵・白野光組、講道館護身術は、武田武・宮崎純一組であり、全て優勝した。

第4回は、バンコック2014年11月に開催された。全種目とも日本代表選手が優勝した。

第5回は、2015年12月にバンコックで開催された。8カ国・地域から23組46人が参加した。投の形、赤坂洋輔・若菜大介組、固の形、松川博茂・杉山康弘組、極の形、今尾省司・清水和憲組、柔の形、石田桃子・石田真理子組、講道館護身術、池田孝生・酒巻文孝組が優勝した。

  • SEA GAME (South East Asia Games)
ネピドーにおける柔道形競技

SEA Games にも2007年大会バンコックから投の形、柔の形が採用されている。2009年大会はビエンチャン、2011年はジャカルタ、2013年はネピドー(ミャンマー)で行われている。

投の形[編集]

投の形(なげのかた)は、手技腰技足技真捨身技横捨身技各3本ずつ、計15本からなる投げ技の形。各技それぞれ左右の施技を行う。手技、腰技、足技は初段の審査の対象であり、真捨身技、横捨身技と先の3つを合わせた全てが2段の審査の対象である。 また、受(投げられるほう)が打ちかかってくる技に(背負投浮腰裏投横車)があるが、これは、時代背景として渦巻による天倒への打撃が有効と見做されていたためである。 投の形が作られたのは明治1718年頃であり、当初は10本であったとされる。15本となってからも、後に、掬投→肩車、釣落→隅返と変更されている。現在の形は、1960年に講道館において統一されたものである。

  • 手技(てわざ)
  • 腰技(こしわざ)
  • 足技(あしわざ)
  • 真捨身技(ますてみわざ)
    • 巴投(ともえなげ)
    • 裏投(うらなげ)
      Uranage
    • 隅返(すみがえし)
  • 横捨身技(よこすてみわざ)

固の形[編集]

固の形(かためのかた)は、抑込技、絞技、関節技、各5本からなる固め技の形。現在の試合では禁止されている技(足緘:膝関節を極める技)も含む。1884年(明治17年)、1885年(明治18年)頃、「投の形」とともに制定された。「投の形」と併せて「乱取の形」ともいう。1960年、講道館によって現在のかたちに統一された。

距姿

極の形[編集]

極の形(きめのかた)は、真剣勝負の形とも称され、柔道の技法(投げ技、固め技、当身技)を駆使した実戦的な形で、俊敏な体さばきと効果的な極め方を学ぶ。両者座って行う「居取」8本、両者立って行う「立合」12本からなる。講道館で制定されたのは、1887年(明治20年)であるが、13本であった。その後、大日本武徳会で1906年(明治39年)に7本が加えられ、20本となり全国で統一された。現在のものは1977年(昭和52年)に講道館で統一された。

  • 居取(いどり)
    • 両手取(りょうてどり)
    • 突掛(つっかけ)
    • 摺上(すりあげ)
    • 横打(よこうち)
    • 後取(うしろどり)
    • 突込(つっこみ)
      突込
    • 切込(きりこみ)
    • 横突(よこづき)
  • 立合(たちあい)
    切下
    • 両手取(りょうてどり)
    • 袖取(そでとり)
    • 突掛(つっかけ)
    • 突上(つきあげ)
    • 摺上(すりあげ)
    • 横打(よこうち)
    • 蹴上(けあげ)
    • 後取(うしろどり)
    • 突込(つっこみ)
    • 切込(きりこみ)
    • 抜掛(ぬきがけ)
    • 切下(きりおろし)

柔の形[編集]

突出
肩押

柔の形(じゅうのかた)は、1887年(明治20年)頃に創られた。最初は10本くらいで、1907年(明治40年)頃に今日の15本になった。現在のものは1977年(昭和52年)に講道館で統一された。

柔の形は、柔よく剛を制すの理合を会得するために、緩やかな動作で、力強く、表現的、体育的に組み立てられたもので、第一教から第三教まで各5本の計15本から成り立つ。

講道館は柔の形の特徴を次のように説明している。

  1. どんな服装でも、どんな場所でも、どんな時でも、自由に練習することができる。
  2. 老若男女の区別なく、誰でも楽しく柔道の理論を学ぶことができる。
  3. 攻撃防御の動作を緩やかな動作で行うから、その理合(りあい)を正確かつ容易に学ぶことができる。
  4. 伸筋を働かせたり、体を反らせたりすることが多いので、乱取りと併せ行うことによって、体の円満な発達をはかることができる。
  5. 自然な体さばきと、無理のない変化により、美的な情操を養うことができる。
  • 第一教
    斜打
    • 突出(つきだし)
    • 肩押(かたおし)
    • 両手取(りょうてどり)
    • 肩廻(かたまわし)
    • 腮押(あごおし)
  • 第二教
    • 切下(きりおろし)
    • 両肩押(りょうかたおし)
    • 斜打(ななめうち)
    • 片手取(かたてどり)
    • 片手挙(かたてあげ)
  • 第三教
    • 帯取(おびとり)
    • 胸押(むねおし)
    • 突上(つきあげ)
    • 打下(うちおろし)
    • 両眼突(りょうがんつき)

講道館護身術[編集]

講道館護身術(こうどうかんごしんじゅつ)は、1956年(昭和31年)に制定された現代護身術としての柔道技術を形としたもの。徒手の部12本、武器の部9本からなる。拳銃を想定した形があることが特徴的であり、また、一度柔道体系から削除された手首関節技(小手挫(小手捻)、小手返)が天神真楊流から再採用されている。制定には1952年(昭和27年)、「講道館講道館護身法制定委員会」を設けて検討した。委員は永岡秀一十段、三船久蔵十段、佐村嘉一郎十段や、小田常胤九段、栗原民雄九段、中野正三九段をはじめ、菊池揚二八段、工藤一三八段、子安正男八段、長畑功八段、早川勝八段や酒本房太郎九段(当時七段、天神真楊流柔術)、富木謙治八段(当時七段)ら合計25名が尽力した。
練習の仕方は「行き合い」をとる事を建前にし、実地に即応できるようにしている。 1995年(平成7年)世界柔道選手権大会での演武では演武者が学生、チンピラなどに扮してコント風に演じられた。

  • 講道館講道館護身法制定委員会
  • 徒手の部
    • (1)組み付かれた場合
      • 両手取(りょうてどり)
      • 左襟取(ひだりえりとり)
      • 右襟取(みぎえりとり)
      • 片腕取(かたうでとり)
      • 後襟取(うしろえりどり)
      • 後絞(うしろじめ)
      • 抱取(かかえどり)
    • (2)離れた場合
      • 斜打(ななめうち)
      • 顎突(あごつき)
      • 顔面突(がんめんつき)
      • 前蹴(まえげり)
      • 横蹴(よこげり)
  • 武器の部
    • (1)短刀の場合
      • 突掛(つっかけ)
      • 直突(ちょくづき)
      • 斜突(ななめづき)
    • (2)杖の場合
      • 振上(ふりあげ)
      • 振下(ふりおろし)
      • 双手突(もろてづき)
        双手突
    • (3)拳銃の場合
      • 正面附(しょうめんづけ)
      • 腰構(こしがまえ)
      • 背面附(はいめんづけ)

補足[編集]

三船久蔵十段が創案した護身術の形の草案が映像として市販もされている。

五の形[編集]

五の形の1本目

五の形(いつつのかた)は、1887年(明治20年)に作られた攻防の理合いを「」にたとえて表現したもの。高尚に表現された理合いを芸術的な動作で表現する。5本の動きからなるが、それぞれには名前がない。嘉納は最初の2本は起倒流と趣を同じにしているが、あとの3本は.昔の柔術には全くなかったものだとしている。天神真楊流に極意口伝として伝えられていた形であった、押返(おしかえし)、曳下(曳外)(えいげ)、巴分(ともえわかれ)、浪引(ろういん)、石火分(せっかのわかれ)がこれらに相当するとする説もあるが、講道館の公式な見解にはみられない。

天神真楊流の押返では受が先に取を押すのに対して五の形の一本目では最初から取が受を押し始める点に相違がある以外は全て同じ内容である。

現在のかたちは1992年(平成4年)講道館で統一された。

講道館のテキストでは、以下の様に説明されている。

  • 一本目(小さな力でも合理的に間断なく攻めれば,ついには大きな力をも制する理の表現)
  • 二本目(強大な攻撃に対し,その力をそのまま利用して制する理の表現)
  • 三本目(渦潮の内円が外円を制する理の表現)
  • 四本目(大波が岸部に打ち寄せ、何物をも呑み込んで引き返す理の表現)
  • 五本目(正面から打ち寄せる大波に直面し、一瞬、実を捨ててこそ浮かぶ瀬もある理の表現。宇宙の現象を表現したとの説もある)

古式の形[編集]

古式の形の夢中
水車

古式の形(こしきのかた)は、創始者嘉納治五郎が学んだ柔術起倒流」と「天神真楊流」のうち、起倒流の竹中派に伝えられていた形をそのまま保存したものである。現在の乱取り等は着衣のみの軽装で行われるが、この形は鎧組討(よろいくみうち)を想定している。初期には「起倒流・表裏の形」「起倒流の形」などと称されていた。

嘉納師範は、柔道の勝負上の精妙な理合いの原則を理解させるために古式の形を残した。表の形14本、裏の形7本であり、表は荘重優雅に段をつけて、裏は敏速果敢に段をつけずに動作する。現在のかたちは、1990(平成2)年に統一されたものである。

水流
曳落

1894年(明治27年)5月20日、小石川下富坂町に講道館道場が新築され、落成式の際に嘉納が小田勝太郎を相手に演じ、勝海舟(勝も起倒流の修行経験があった)が感極まったといわれ次のような書を贈っている。「無心而入自然之妙、無為而窮変化之神」(無心にして自然の妙に入り、無為にして変化の神を窮む)。

錣返
    • 体(たい)
    • 夢中(ゆめのうち)
    • 力避(りょくひ)
    • 水車(みずぐるま)
    • 水流(みずながれ)
    • 曳落(ひきおとし)
    • 虚倒(こだおれ)
    • 打砕(うちくだき)
    • 谷落(たにおとし)
    • 車倒(くるまだおれ)
    • 錣取(しころどり)
    • 錣返(しころがえし)
    • 夕立(ゆうだち)
    • 滝落(たきおとし)
    • 身砕(みくだき)
    • 車返(くるまがえし)
    • 水入(みずいり)
    • 柳雪(りゅうせつ)
    • 坂落(さかおとし)
    • 雪折(ゆきおれ)
    • 岩波(いわなみ)

[編集]

  1. ^ 嘉納治五郎述 「柔道家としての嘉納治五郎(12)」 『作興』6巻12号1927年(昭和2年) 16pp
  2. ^ 第1回世界柔道形選手権大会 大学体育研究 32  2010
  3. ^ IJF形ワールドカップ2008 大学体育研究 31 2009
  4. ^ 柔道 80(2) 2009
  5. ^ 第1回世界柔道形選手権大会 大学体育研究 32 2010

剛の形[編集]

剛の形(ごうのかた)は、柔の形に対してくつられ「剛柔の形」と称して1887年(明治20年)に制定された。最初ともに剛で相対し、のちに取が柔で剛を制するという組み立てである。嘉納治五郎が研究が十分でなかったとしてそのままになった、という経緯から、現在はほとんど行われていない。

    • 背負投
    • 後腰
    • 掬投
    • 左背負投
    • 浮腰
    • 裸絞腰挫(はだかじめこしくだき)
    • 飛越浮腰(とびこしうきごし)
    • 大外落
    • 後腰
    • 肩車

精力善用国民体育[編集]

精力善用国民体育(せいりょくぜんようこくんみんたいいく)は、体育的要素を取り込んだ1人でできる当身技の形の「単独動作」29本と、2人が組んで行う「相対動作」20本がある。「国民体育」というように、体育的に行う。

  • 単独動作
    • 第一類(15本)
      • 五方当(5本)(ごほうあて)その場で足を動かさずに当身の動作
        • 左前斜当(ひだりまえななめあて)
        • 右当(みぎあて)
        • 後当(うしろあて)
        • 前当(まえあて)
        • 上当(うえあて)
      • 大五方当(5本)(おおごほうあて)足を踏み込んで当身の動作
        • 大左前斜当(おおひだりまえななめあて)
        • 大右当(おおみぎあて)
        • 大後当(おおうしろあて)
        • 大前当(おおまえあて)
        • 大上当(おおうえあて)
      • 五方蹴(5本)(ごほうげり)
        • 前蹴(まえげり)
        • 後蹴(うしろげり)
        • 左前斜蹴(ひだりまえななめげり)
        • 右前斜蹴(みぎまえななめげり)
        • 高蹴(たかげり)
    • 第二類(14本)
      • 鏡磨(かがみみがき)
        Kagami-migaki
      • 左右打(さゆううち)
      • 前後突(ぜんごつき)
      • 両手上突(りょうてうえつき)
      • 大両手上突(おおりょうてうえつき)
      • 左右交互下突(さゆうこうごしたつき)
      • 両手下突(りょうてしたつき)
      • 斜上打(ななめうえうち)
      • 斜下打(ななめしたうち)
      • 大斜上打(おおななめうえうち)
      • 後隅突(うしろすみつき)
      • 後打(うしろうち)
      • 後突(うしろつき)
      • 前下突(まえしたつき)
  • 相対動作(20本)
    • 第一類(極式練習、10本)(きめしき)
      • 居取(いどり)
        • 両手取(りょうてどり)
        • 振放(ふりはなし)
          精力善用国民体育の技
        • 逆手取(ぎゃくてどり)
        • 突掛(つきかけ、つっかけ)
        • 切掛(きりかけ)
      • 立合(たちあい)
        • 突上(つきあげ)
        • 横打(よこうち)
        • 後取(うしろどり)
        • 斜突(ななめつき)
        • 切下(きりおろし)
    • 第二類(柔式練習、10本)(じゅうしき)
      • 一教(いっきょう)
        • 突出(つきだし)
        • 肩押(かたおし)
        • 肩廻(かたまわし)
        • 切下(きりおろし)
        • 片手取(かたてどり)
      • 二教(にきょう)
        • 片手上(かたてあげ)
        • 帯取(おびとり)
        • 胸押(むねおし)
        • 突上(つきあげ)
        • 両眼突(りょうがんつき)

関連書[編集]

  • De Crée, Carl (2012), The Origin, essence, biomechanical foundations, and teaching and performance challenges of Itsutsu-no-kata [The Forms of Five] ―Kōdōkan jūdō’s esoteric sixth kata [Thesis]; Rome, Italy: University of Rome, pp. 1–423
  • De Crée, Carl; Jones, Llyr C. (2009a), Kōdōkan Jūdō's Elusive Tenth Kata: The Gō-no-kata - "Forms of Proper Use of Force" - Part 1, Archives of Budo 5: 55–73
  • De Crée, Carl; Jones, Llyr C. (2009b), Kōdōkan Jūdō's Elusive Tenth Kata: The Gō-no-kata - "Forms of Proper Use of Force" - Part 2, Archives of Budo 5: 74–82
  • De Crée, Carl; Jones, Llyr C. (2009c), Kōdōkan Jūdō's Elusive Tenth Kata: The Gō-no-kata - "Forms of Proper Use of Force" - Part 3, Archives of Budo 5: 83–95
  • De Crée, Carl; Jones, Llyr C. (2011a), Kōdōkan Jūdō's Inauspicious Ninth Kata: The Joshi goshinhō - "Self-defense methods for females" - Part 1, Archives of Budo 7: 105–123
  • De Crée, Carl; Jones, Llyr C. (2011b), Kōdōkan Jūdō's Inauspicious Ninth Kata: The Joshi goshinhō - "Self-defense methods for females" - Part 2, Archives of Budo 7: 125–137
  • De Crée, Carl; Jones, Llyr C. (2011c), Kōdōkan Jūdō's Inauspicious Ninth Kata: The Joshi goshinhō - "Self-defense methods for females" - Part 3, Archives of Budo 7: 137–139
  • 小谷澄之、大滝忠夫『最新柔道の形』不昧堂出版 1987年(昭和62年) ISBN 4829300930
  • 小俣幸嗣 『昇段審査のための柔道の形入門[投の形][柔の形]』大泉書店 2007年(平成19年) ISBN 978-4-278-04695-3

講道館編纂の形解説本[編集]

  • (財)講道館『形解説小冊子 講道館護身術』
  • (財)講道館『形解説小冊子 投の形』
  • (財)講道館『形解説小冊子 固の形』
  • (財)講道館『形解説小冊子 極の形』
  • (財)講道館『形解説小冊子 柔の形』
  • (財)講道館『形解説小冊子 五の形・古式の形』

いずれも講道館インターネットショップで購入可

外部リンク[編集]