小内巻込

小内巻込(こうちまきこみ)は、柔道の投げ技の横捨身技の一つである。講道館や国際柔道連盟 (IJF) での正式名。IJF略号KUM。別名捨身小内[1](すてみこうち)[2]、抱小内刈(だきこうちがり)[2]、小内掛(こうちがけ)[3]、抱き込み小内[1](だきこみこうち)。異読「こうちまっこみ」[4]。
概要
[編集]相手に上体を密着し、小内刈のように脚の内側を相手の脚の内から深く絡ませながら自ら体を捨て倒れ込みながら相手を後ろに倒す技。そのまま右脚で相手の右脚を刈りながら、相手の右袖と右脚を自身の体に巻き付けるようにして倒れ込み、肩で相手を押し後方に倒す。また、相手の腕を一本背負投のように抱えながら行う場合もある。
著名な試合では、リオデジャネイロオリンピック男子73 kg級決勝において、大野将平がルスタム・オルジョフに対して、この技で一本を取り、金メダルを獲得した。
変化
[編集]小内落
[編集]小内落[5][6](こうちおとし)は右組の場合、相手の右脚を右腕で抱きながらの右足での相手の右脚への小内巻込。自ら前方回転する要領で相手を真後ろに転倒させる[7]。左手で相手の右袖を引きつけながら右腋で相手の右腿をはんでもよい[6]。柔道家の山本秀雄が考え出し、数多くの大会で使った技[8]。本人によると、体の大きな男を倒すために3年がかりで学んだ[9]。山口利雄(後のプロレスラー山口利夫)を1935年、満州において、この技でやぶっている[10][11]。
2009年のルール改正で帯より下をつかむことが禁止されたため、小内落は試合での使用が制限されることになった。連続技、返し技として使うことはできたが、審判の判断が難しかった。のちにこれらも禁止となった。なお、講道館審判規定で行われる試合においては、制限はない[12]。
分類と名称
[編集]1982年の「講道館柔道の投技の名称」制定に向けて講道館では新名称の候補に「抱小内刈」として挙がったが足技の小内刈に含めることになり、独立した技名と認められず採用されなかった[13]。1995年9月、千葉市での国際柔道連盟 (IJF) 総会でIJF教育委員会(佐藤宣践委員長)で検討してきた「小内巻込」を含む「技名称」を決定[14]。2017年、多様化する技術への対応のために講道館技研究部で技名称の再検討を行った結果、IJFに合わせこの技を正式に認めることになった[15]。
脚注
[編集]- 1 2 津村弘三「IJF技名称改正について」『柔道』第69巻第7号、講道館、1998年7月1日、56頁。
- 1 2 嘉納行光、川村禎三、中村良三、醍醐敏郎、竹内善徳『柔道大事典』佐藤宣践(監修)(初版第1刷)、アテネ書房、日本、1999年11月21日、142頁。ISBN 4871522059。「小内巻込」
- ↑ 三船久蔵、工藤一三、松本芳三『柔道講座』 第4巻、白水社、日本、1956年2月25日、27-30頁。
- ↑ Mikinosuke KAWAISHI (1955) (フランス語). Ma méthode de judo. Jean Gailhat(仏訳、イラスト). フランス: Judo international. pp. 46-47. "KOUCHI-MAKKOMI"
- ↑ 「初段月次試合成績」『作興』第8巻第4号、講道館文化会、1929年4月1日、60頁。「小林辰三 小内落 上村平八郎〇」
- 1 2 山本秀雄「投技の解説 小内落」『柔道』第44巻第5号、講道館、1973年5月1日、22-25頁。
- ↑ 山本秀雄「投げわざ」『柔道入門』(改訂新版)東京書店、日本、1993年10月1日、114-115頁。ISBN 4-88574-607-8。
- ↑ 大橋孝司・サテライト 編「大男もふっとぶ「小内おとし」」『柔道コーチ1週間』山本秀雄(監修)、中野昭一・境木康雄(イラスト)、斉藤ヨシアキ(写真)、フォート・キシモト(写真)、浅野利治(マンガ)(初版)、偕成社、日本〈チャンピオンスポーツ教室〉、1975年10月、76頁。10。
- ↑ 山本秀雄「昔の技、今の技」『柔道』第52巻第4号、講道館、1981年4月1日、11頁。
- ↑ 山本秀雄「好きな技・思い出の技」『柔道』第58巻第3号、講道館、1987年3月1日、18頁。
- ↑ 工藤雷助「学生柔道の伝統 小内刈りの名人・山本秀雄」『秘録日本柔道』東京スポーツ新聞社、1973年5月25日、284頁。
- ↑ 「タックル技」は一度で反則負けに 来年より実施-ウィキニュース
- ↑ 「柔道の投技の名称について」『柔道』第54巻第2号、講道館、1983年2月1日、22頁。
- ↑ 『柔道』第67巻第1号、講道館、1996年1月1日、58-60頁。
- ↑ 柔道の技名称について