ラグビーワールドカップ2019 日本代表
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ユニオン | 日本ラグビー協会 | ||
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愛称 | ブレイブ・ブロッサムズ | ||
エンブレム | サクラ | ||
会長 | 森重隆 | ||
コーチ |
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主将 | リーチマイケル | ||
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ラグビーワールドカップ2019 日本代表 (ラグビーワールドカップ2019 にほんだいひょう)は、2019年に日本で開催されたラグビーワールドカップ2019のラグビー日本代表である。
概要[編集]
ラグビーワールドカップ2015イングランド大会で南アフリカに勝利するなど、初めて一次リーグで3勝をあげ躍進を遂げたブレイブ・ブロッサムズだが、大会後にエディ・ジョーンズヘッドコーチが退任。2016年1月、新ヘッドコーチにジェイミー・ジョセフを迎え、新体制が始動。2016年10月に、チームスローガンを「ONE TEAM」に決定した[1]。アタックコーチにトニー・ブラウン、スクラムコーチに長谷川慎を招聘。2019年8月29日に、W杯日本大会の登録メンバー31名が発表された。チームソングはビクトリーロード。
大会経過[編集]

ホスト国として挑んだワールドカップでは、予選プール・開幕戦においてロシアと対戦。序盤、日本のプレーには硬さが見られ、ハイパントの処理ミスからロシアに先制トライを許したが、松島幸太朗の2トライで逆転に成功し12-7で前半を終える。後半もピーター・ラピース・ラブスカフニと松島のハットトリックとなるトライなどで突き放した日本が30-10で快勝を収める。
2戦目はランキング2位(試合前時点)の強豪アイルランド戦は主将のリーチマイケルをリザーブに残し、ラブスカフニをゲーム主将とする陣容で挑んだ。前半にアイルランドに2トライを許したものの、田村優の3本のペナルティゴールで9-12と接戦に持ち込むと、後半に福岡堅樹のトライにより逆転し19-12で勝利。スクラムでアイルランドと互角以上に渡り合い、後半は無失点の堅守でアイルランドとの対戦において通算10戦目にして初勝利となった[2]。
3戦目のサモア戦はリーチがスターターに復帰。前半はラファエレティモシーのトライなどで16-9でリードして折り返した。後半は54分にラインアウトモールから姫野和樹のトライでいったん突き放したが、72分にサモアもトライを返し7点差となった。しかし日本は75分に福岡、試合終了間際に松島がそれぞれトライを決め再度サモアを突き放し、合計4トライのボーナスポイントも得て38-19で3連勝を飾った。この時点でA組3位以内が確定し、次回2023年フランス大会の出場権を獲得[3]。
予選プール最終戦となる4戦目は、前回大会で唯一敗れた強豪スコットランドと対戦。対戦前の勝ち点は日本14、スコットランド10であり、日本は勝利または引き分けなら無条件で、負けてもボーナスポイントの獲得状況によっては予選突破が決まる状況であった。試合序盤の6分にスコットランドに先制トライを許したが、日本は細かくパスを繋ぎ17分に松島のトライと田村のキックで同点。25分にはフィールド中央で堀江翔太、ジェームス・ムーア、ウィリアム・トゥポウが連続でオフロードパスをつなぎ、最後は稲垣啓太がそのまま中央でトライを決めて逆転。39分にもラファエレのキックパスを受けた福岡がトライを決め、前半を21-7とリードして終える。後半開始早々42分に福岡のトライで28-7とリードを広げたが、スコットランドも49分、54分に立て続けにトライを奪い28-21と7点差に迫った。しかしその後日本はスコットランドの猛攻を凌ぎ28-21で勝利。勝ち点19の予選プール1位通過で、史上初の決勝トーナメント進出を決めた。ティア2の国が予選プール全勝で1位となるのはワールドカップ史上初のことである。
準々決勝は10月20日にプールB2位の南アフリカと対戦。開始早々の4分に南アフリカが先制トライ。日本は20分に田村のペナルティキックで3点を返した。日本は30分ごろまで速い連続パスをつないで優勢に立っていたが、その後は徐々に南アフリカの反撃を受けて守勢にまわるようになった。しかし南アフリカの反則やミスもあり、前半はそのまま3-5と接戦で折り返した[4]。後半に入っても日本の劣勢が続き、南アフリカの3本ペナルティキックで徐々に差をつけられると、さらに66分と70分の2本のトライで突き放された。日本は後半は得点を奪えず、3-26で敗れてワールドカップ初のベスト8で大会を終えた。
ワールドカップでの活躍を受けラグビー日本代表は空前のブームとなり、その年の流行語大賞にチームスローガンの「ONE TEAM」が選ばれ、紅白歌合戦では多くの日本代表選手がゲストに呼ばれ、会場とお茶の間でビクトリーロードを合唱した。
登録メンバー[編集]
ポジション | 名前 | 所属チーム | キャップ数 | 出場状況 | 備考 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ロシア戦 9月20日 |
アイルランド戦 9月28日 |
サモア戦 10月5日 |
スコットランド戦 10月13日 |
南アフリカ戦 10月20日 | |||||
PR | 稲垣啓太 | ![]() |
28 | ![]() |
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木津悠輔 | ![]() |
3 | |||||||
具智元 | ![]() |
7 | ![]() |
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中島イシレリ | ![]() |
2 | ![]() |
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ヴァルアサエリ愛 | ![]() |
8 | ![]() |
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HO | 北出卓也 | ![]() |
0 | ||||||
坂手淳史 | ![]() |
16 | ![]() |
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堀江翔太 | ![]() |
61 | ![]() |
〇 | ![]() |
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アイルランド戦プレイヤー・オブ・ザ・マッチ | |
LO | トンプソンルーク | ![]() |
66 | ![]() |
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〇 | 〇 | ![]() |
|
ヴィンピー・ファンデルヴァルト | ![]() |
12 | ![]() |
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ヘルウヴェ | ![]() |
13 | ![]() |
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ジェームス・ムーア | ![]() |
2 | 〇 | 〇 | 〇 | ![]() |
〇 | ||
FL | ツイヘンドリック | ![]() |
44 | ![]() |
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![]() |
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徳永祥尭 | ![]() |
11 | |||||||
ピーター・ラブスカフニ | ![]() |
2 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ![]() ![]() |
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リーチマイケル ![]() |
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62 | ![]() |
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〇 | ||
FL/No.8 | 姫野和樹 | ![]() |
12 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ![]() |
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No.8 | アマナキ・レレィ・マフィ | ![]() |
24 | ![]() |
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SH | 茂野海人 | ![]() |
9 | ||||||
田中史朗 | ![]() |
70 | ![]() |
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流大 | ![]() |
18 | ![]() |
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SO | 田村優 | ![]() |
57 | ![]() |
〇 | 〇 | 〇 | ![]() |
|
SO/CTB | 松田力也 | ![]() |
19 | ![]() |
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||
CTB | ウィリアム・トゥポウ | ![]() |
9 | ![]() |
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||||
中村亮土 | ![]() |
18 | 〇 | 〇 | ![]() |
![]() |
〇 | ||
ラファエレティモシー | ![]() |
17 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
WTB | 福岡堅樹 | ![]() |
33 | ![]() |
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〇 | 〇 | スコットランド戦プレイヤー・オブ・ザ・マッチ | |
アタアタ・モエアキオラ | ![]() |
3 | |||||||
レメキロマノラヴァ | ![]() |
11 | 〇 | 〇 | 〇 | ![]() |
サモア戦プレイヤー・オブ・ザ・マッチ | ||
FB/WTB | 松島幸太朗 | ![]() |
33 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ロシア戦プレイヤー・オブ・ザ・マッチ |
FB | 山中亮平 | ![]() |
13 | ![]() |
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- 「選手名」欄の「
」は、キャプテン(主将)。
- 「所属チーム」、「キャップ数」は、大会登録選手発表時点(2019年8月29日)。
- 「出場状況」欄の「〇」はフル出場、「
」は途中交代アウト、「
」は途中交代イン
選出外最終合宿参加者[5][編集]
ポジション | 名前 | 所属チーム | キャップ数 | 備考 |
---|---|---|---|---|
PR | 石原慎太郎 | ![]() |
11 | |
三浦昌悟 | ![]() |
7 | ||
山下裕史 | ![]() |
51 | ||
山本幸輝 | ![]() |
7 | ||
HO | 堀越康介 | ![]() |
2 | |
LO | アニセサムエラ | ![]() |
12 | |
FL | 布巻峻介 | ![]() |
7 | |
CTB | 梶村祐介 | ![]() |
1 | |
ティム・ベネット | ![]() |
6 | ||
FB | 野口竜司 | ![]() |
13 |
スタッフ[編集]
役職 | 名前 | 所属 |
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強化委員長 | 藤井雄一郎 | 日本ラグビーフットボール協会 |
ヘッドコーチ | ジェイミー・ジョセフ | 日本ラグビーフットボール協会 |
アタックコーチ | トニー・ブラウン | 日本ラグビーフットボール協会 |
ディフェンスコーチ | スコット・ハンセン | ジャパンエスアール |
スクラムコーチ | 長谷川慎 | 日本ラグビーフットボール協会 |
ストレングス&コンディショニングコーチ | サイモン・ジョーンズ | 日本ラグビーフットボール協会 |
ストレングス&コンディショニング(S&C)コーチ | 太田 千尋 | 慶應義塾大学 |
メンタルコーチ | デイビッド・ガルブレイス | 日本ラグビーフットボール協会 |
ドクター | 高森 草平 | 横浜南共済病院 |
パフォーマンスコーディネーター | カール・マクドナルド | 日本ラグビーフットボール協会 |
ヘッドトレーナー | 井澤 秀典 | ドームアスリートハウス |
トレーナー | 青野 淳之介 | セコムラガッツ |
分析 | アンドリュー・ワッツ | 日本ラグビーフットボール協会 |
分析 | 浜野 俊平 | 日本ラグビーフットボール協会 |
分析 | 戸田 尊 | 日本ラグビーフットボール協会 |
通訳 | 佐藤秀典 | EHB International |
総務 | 大村武則 | 日本ラグビーフットボール協会 |
アシスタント | 笹林 由美子 | 日本ラグビーフットボール協会 |
バゲージマスター | 山室 ランドル | 日本ラグビーフットボール協会 |
広報 | 藪木 宏之 | 日本ラグビーフットボール協会 |
試合結果[編集]
プールA[編集]
Pld | W | D | L | TF | PF | PA | +/− | BP | Pts | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
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4 | 4 | 0 | 0 | 13 | 115 | 62 | +53 | 3 | 19 |
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4 | 3 | 0 | 1 | 18 | 121 | 27 | +94 | 4 | 16 |
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4 | 2 | 0 | 2 | 16 | 119 | 55 | +64 | 3 | 11 |
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4 | 1 | 0 | 3 | 8 | 58 | 128 | -70 | 1 | 5 |
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4 | 0 | 0 | 4 | 1 | 19 | 160 | -141 | 0 | 0 |
第1試合(ロシア戦)[編集]
9月20日 19:45 |
日本 ![]() |
30 - 10 | ![]() |
東京スタジアム, 調布 観客動員数: 45,745人 レフリー: ナイジェル・オーウェンズ (ウェールズ) |
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トライ: 松島幸太朗 (3) 12' m, 39' c, 69' c ラブスカフニ 47' m コンバート: 田村優 (1/3) 40' 松田力也 (1/1) 71' PK: 田村優 (2/2) 44', 64' |
レポート | トライ: ゴロスニツキー 5' c コンバート: クシュナレフ (1/1) 6' PK: クシュナレフ (1/1) 61' |
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プレイヤー・オブ・ザ・マッチ
アシスタントレフェリー
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備考
- ラグビーワールドカップ史上初めて、ティア1でない国同士による開幕戦となった。
- 松島幸太朗が、日本人選手として初めて、ワールドカップでのハットトリックを達成した。また、ラグビーワールドカップの開幕戦における最多得点を記録した。
- ロシアのトライはラグビーワールドカップの開幕戦における最速得点となった。
第2試合(アイルランド戦)[編集]
9月28日 16:15 |
日本 ![]() |
19 - 12 | ![]() |
小笠山総合運動公園エコパスタジアム, 袋井 観客動員数: 47,813人 レフリー: アンガス・ガードナー (オーストラリア) |
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トライ: 福岡堅樹 58' c コンバート: 田村優 (1/1) 60' PK: 田村優 (4/5) 17', 33', 39', 71' |
レポート | トライ: リングローズ 13' m カーニー 20' c コンバート: カーティー (1/2) 21' |
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プレイヤー・オブ・ザ・マッチ
アシスタントレフェリー
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備考
- イアン・ヘンダーソンが、この試合で代表50キャップを達成した。
- 日本がアイルランドを初めて下した試合である。
- アイルランドがワールドカップのプール戦で敗北したのは、30–15でアルゼンチン代表に敗北した2007年ラグビーワールドカップ以来となる。
- アイルランドがティア2の国に敗北したのは、40–25でサモア代表に敗北した1996年の試合以来となる。
- アイルランドは、試合後半にポイントを全く獲得できなかった。これは、2016年のシックス・ネイションズにおけるフランス代表戦以来となる。
第3試合(サモア戦)[編集]
10月5日 19:30 |
日本 ![]() |
38 - 19 | ![]() |
豊田スタジアム, 豊田 観客動員数: 39,695人 レフリー: Jaco Peyper (南アフリカ) |
---|---|---|---|---|
トライ: ラファエレ 28' c 姫野和樹 53' c 福岡堅樹 76' m 松島幸太朗 80+5' c コンバート: 田村優 (3/4) 29', 55', 80+7' PK: 田村優 (4/5) 3', 8', 24', 51' |
レポート | トライ: タエフ 73' c コンバート: Taefu (1/1) 74' PK: Taefu (4/5) 10', 15', 34', 45' |
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プレイヤー・オブ・ザ・マッチ
アシスタントレフェリー
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第4試合(スコットランド戦)[編集]
10月13日 19:45 |
日本 ![]() |
28 - 21 | ![]() |
横浜国際総合競技場, 横浜 観客動員数: 67,666(93.5%)人 レフリー: ベン・オキーフ (ニュージーランド) |
---|---|---|---|---|
トライ: 松島幸太朗 17' c 稲垣啓太 25' c 福岡堅樹 39' c, 42' c コンバート: 田村優 (4/4) 19',26',40',43' |
レポート | トライ: ラッセル 6' c ネル 49' c ファーガソン 54' c コンバート: レイドロー (2/2) 7', 50' ラッセル (1/1) 55' |
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プレイヤー・オブ・ザ・マッチ
アシスタントレフェリー
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備考
- スコットランド代表の700回目のテストマッチである。
- 日本代表がスコットランド代表に初めて勝利した試合である。
- ラグビーワールドカップのトーナメント戦史上初めて、ティア2の国がティア1の国を2ヶ国破った。
- この勝利により、日本はトップでプールステージを終え、決勝トーナメント進出を決めた。これは日本のみならず、アジア全体においても初めての出来事である。
- 日本の決勝トーナメント進出は、ティア2の国としては4ヶ国目となり、2007年ラグビーワールドカップにおけるフィジー代表以来となった。
- 日本は、プール内の全てのゲームで勝利した最初のティア2国となった。
準々決勝(南アフリカ戦)[編集]
10月20日 19:15 |
日本 ![]() |
3 - 26 | ![]() |
東京スタジアム, 調布 観客動員数: 48,831(97.7%)人 レフリー: ウェイン・バーンズ(イングランド) |
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PK: 田村優 (1/1) 20' |
レポート | トライ: マピンピ (2) 4' m, 70' m デクラーク 66' c コンバート: ポラード (1/3) 66' PK: ポラード (3/4) 44', 49', 64' |
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プレイヤー・オブ・ザ・マッチ
アシスタントレフェリー
|
備考
視聴率[編集]
ラグビーワールドカップ2019では、日本国内開催および日本代表の快進撃により、日を追うごとに視聴者が増加していき、以下のように記録的な高視聴率をおさめた(ビデオリサーチ社による関東地区の地上波テレビ 世帯視聴率[7])。いずれも生中継。
準々決勝の南アフリカ戦の平均視聴率41.6%は、2019年の全番組で1位だった[8][9][10][11]。また、決勝トーナメントへの出場(ベスト8)をかけた予選第4試合スコットランド戦は、2019年の全番組で2位[9]。
放送権を持つ日本テレビとNHKは、その日の深夜あるいは翌日すぐに再放送し、見逃し視聴者への対応を行った。この他に、有料BS放送J Sportsによるワールドカップ全試合の生中継や時間差放送、頻繁な再放送があった。
放送日 | 放送開始時刻 | 放送分数 | 放送局 | 試合 | 対戦相手 | 平均視聴率 | 瞬間最高視聴率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
2019年9月20日(金) | 19:30 | 144分 | 日本テレビ | 予選1 | ロシア戦 | 18.3% | 25.5% |
2019年9月28日(土) | 17:10 | 81分 | NHK総合 | 予選2 | アイルランド戦 | 22.5% | 28.9% |
2019年10月5日(土) | 19:15 | 139分 | 日本テレビ | 予選3 | サモア戦 | 32.8% | 46.1% |
2019年10月13日(日) | 19:30 | 130分 | 日本テレビ | 予選4 | スコットランド戦 | 39.2% | 53.7% |
2019年10月20日(日) | 19:10 | 136分 | NHK総合 | 準々決勝 | 南アフリカ戦 | 41.6% | 49.1% |
ラグビーワールドカップ2019は、前大会で話題を集めた五郎丸歩選手が不在のため、視聴率は大苦戦するという予想もあった[12]。しかしこのような高視聴率を獲得した原因を、テレビ評論コラムニストの木村隆志は、「『ルールがわからない』『ほとんど選手を知らない』という“にわかファン”の多さ」と、彼らが「自ら『私、“にわか”だから』と公言して楽しむ」ことができたからだと考察している[13]。さらに4つの要因として
- 日本代表の躍進が、単に勝つだけでなく、劇的なシーンの連続で、新たなファン層を掘り起こした
- 試合の前後に日本代表選手たちが頻繁に発するコメント「選手・スタッフ・応援する人々によるONE TEAM」[14]が、人々の心に響いた
- 世界で40億人が視聴する[15]ラグビーワールドカップというビッグイベントが、日本ではなじみが薄いながらも国内開催で、新鮮だった
- 6月に池井戸潤の小説『ノーサイド・ゲーム』が出版され、それをテレビドラマ化して7月からW杯開幕5日前まで放送し話題となった[16]TBSのアシスト[17][18]
を挙げている[13]。またメディアアナリストの鈴木祐司も、視聴率の詳細データをもとに、にわかラグビーファンがラグビーの歴史を変えたと考察している[18][19]。ビデオリサーチ社の柿倉樹は、ドラマ『ノーサイド・ゲーム』がラグビー応援ムードを醸成し、予選第2試合アイルランド戦の内容が「にわかファン」に火をつけたと分析している[7]。「にわかファン」だと肯定的に自称する多くの新しいファンの存在を、日本ラグビー協会も歓迎し、大会成功の一因だとしている[20]。
表彰関連[編集]
- 受賞
- 第67回菊池寛賞 - 日本文学振興会は「さまざまな国から来た選手たちが『ONE TEAM』となり、強豪国を破る姿は、日本中に勇気を与えた」ことを理由に、ラグビー日本代表を菊池寛賞に選出した。
- 第32回小学館DIMEトレンド大賞 - ラグビー協会とともに特別功労賞に選出された
- Number MVP賞 - Sports Graphic Numberが選出する2019年度MVPを受賞した[21]
- 新語・流行語大賞 - チームのスローガン「ONE TEAM」が大賞を受賞した
- 日本スポーツ賞 - 2019年度の大賞を受賞。
- テレビ朝日ビッグスポーツ賞 - 特別貢献賞を受賞
- 報知プロスポーツ大賞 - 特別賞を受賞
- 毎日スポーツ人賞 - グランプリを受賞
- 日本スポーツマンシップ大賞[22]
- ノミネート
- ワールドラグビーが選定する年間最優秀チーム賞にノミネートされた。また年間最優秀コーチ賞にジェイミー・ジョセフがノミネートされた[23]
- ローレウス世界スポーツ賞 - ブレークスルー賞にノミネート[24]
脚注[編集]
- ^ ジョセフHC「一つになって戦う」スローガンは「ONE TEAM」スポーツニッポン2016年10月29日
- ^ “日本再び衝撃の大金星!世界2位アイルランド撃破”. 日刊スポーツ (2019年9月28日). 2019年10月6日閲覧。
- ^ “日本、サモア撃破で3連勝!松島劇的トライでボーナスポイントゲット/ラグビーW杯”. サンケイスポーツ (2019年10月5日). 2019年10月6日閲覧。
- ^ 【ラグビーW杯】 南アフリカ、トライ許さず準決勝進出 日本はベスト8で敗退BBC2019年10月20日
- ^ RWCメンバー入りへ、日本代表最終合宿に41人 - ラグビーワールドカップ公式サイト 2019年8月15日付
- ^ worldrugby.org. “日本代表歴代最多98キャップの“鉄人”大野選手、現役引退 | ワールドラグビー”. www.world.rugby. 2021年10月30日閲覧。
- ^ a b 株式会社ビデオリサーチ. “初!自国開催となったラグビーW杯2019 日本大会~日本代表戦の見られ方は? | テレビ | VR Digest plus データでイマを読み解く” (日本語). テレビ. 2021年9月30日閲覧。
- ^ 株式会社ビデオリサーチ. “初!自国開催となったラグビーW杯2019 日本大会~日本代表戦の見られ方は? | テレビ | VR Digest plus データでイマを読み解く” (日本語). テレビ. 2021年9月30日閲覧。
- ^ a b 株式会社ビデオリサーチ. “2019年 年間高世帯視聴率番組30(関東地区) | 過去の視聴率 | 週間高世帯視聴率番組10” (日本語). www.videor.co.jp. 2021年10月1日閲覧。
- ^ ラグビー日本×南アフリカ41・6%瞬間49・1% 日刊スポーツ、2019年10月21日
- ^ 日本-南ア戦平均視聴率は41・6%!今年全番組1位のスコットランド戦上回る/ラグビーW杯 サンスポ・コム、2019年10月21日
- ^ “ラグビーW杯「高視聴率は無理な話」とテレビ関係者が語る深刻理由! (2019年9月20日)” (日本語). エキサイトニュース. 2021年10月2日閲覧。
- ^ a b “日本中が「ラグビーにわかファン」で溢れる理由 | スポーツ” (日本語). 東洋経済オンライン (2019年10月19日). 2021年10月2日閲覧。
- ^ “ラグビー日本代表、丸の内で「ONE TEAMパレード」沿道ぎっしり 選手ら歩いて感謝伝える - スポニチ Sponichi Annex スポーツ” (日本語). スポニチ Sponichi Annex. 2021年10月2日閲覧。
- ^ “ラグビーW杯、40億人が視聴する大イベントの「経済効果」” (日本語). ダイヤモンド・オンライン. 2021年10月2日閲覧。
- ^ “「ノーサイド・ゲーム」13・8%最終回で最高更新”. 日刊スポーツ. 2021年10月2日閲覧。
- ^ “「ノーサイド・ゲーム」視聴率では測れない凄み | テレビ” (日本語). 東洋経済オンライン (2019年8月18日). 2021年10月2日閲覧。
- ^ a b “高視聴率は“パス回し”と“スクラム”から~ラグビーW杯は次世代のテレビ界の第一歩~(鈴木祐司) - 個人” (日本語). Yahoo!ニュース. 2021年10月2日閲覧。
- ^ “ラグビーが視聴率30%を超えた瞬間~歴史を変えたのは“にわかラグビーファン”~(鈴木祐司) - 個人” (日本語). Yahoo!ニュース. 2021年10月2日閲覧。
- ^ world.rugby. “RWC2019大会成功に「にわかファン」の存在、若年層選手の増加を歓迎 | ラグビーワールドカップ” (英語). www.rugbyworldcup.com. 2021年10月2日閲覧。
- ^ 2019年『Number MVP賞』はラグビー日本代表に決定!
- ^ ラグビー日本代表に日本スポーツマンシップ大賞
- ^ 日本代表が年間最優秀チーム賞候補に! ジェイミーは最優秀コーチ賞にノミネート
- ^ 大坂、ラグビー日本代表は受賞逃すローレウススポーツ賞