フェリックス・ヘルナンデス

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フェリックス・ヘルナンデス
Felix Hernandez
シアトル・マリナーズ #34
Felix Hernandez close up.JPG
基本情報
国籍 ベネズエラの旗 ベネズエラ
出身地 カラボボ州バレンシア
生年月日 1986年4月8日(29歳)
身長
体重
6' 3" =約190.5 cm
230 lb =約104.3 kg
選手情報
投球・打席 右投右打
ポジション 投手
プロ入り 2002年 アマチュア・フリーエージェントとしてシアトル・マリナーズと契約
初出場 2005年8月4日 デトロイト・タイガース
年俸 $22,857,142(2014年)[1]
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)
国際大会
代表チーム ベネズエラの旗 ベネズエラ
WBC 2009年

フェリックス・アブラハム・ヘルナンデスFelix Abraham Hernandez, 1986年4月8日 - )は、ベネズエラバレンシア出身のプロ野球選手投手)。MLBシアトル・マリナーズ所属。スペイン語ではフェリス・エルナンデス

愛称は「キング・フェリックス(キング)」。専門誌上では「フェノム(phenom:スター)」と呼ばれている。

経歴[編集]

14歳の時点で既に速球は145キロを記録し、契約解禁年齢の16歳の誕生日までにシアトル・マリナーズアトランタ・ブレーブスニューヨーク・ヤンキースヒューストン・アストロズなどが獲得に乗り出した[2]。最終的に大ファンであるフレディ・ガルシアがエースとして活躍していたマリナーズを選択し[2]2002年7月に契約。そのころから「将来のエース」、「10年に一人の逸材」と言われ続けた[3]2003年にA級、2004年にA級とAA級、2005年にAAA級でプレイ。

2005年8月4日デトロイト・タイガース戦にて、19歳の若さでメジャーデビューを果たす。初先発初勝利はならなかったものの、8月9日のミネソタ・ツインズ戦で2度目の先発登板で初勝利。同年は12試合に先発登板し4勝4敗・防御率2.67を記録した。

2006年6月11日に初完投、8月28日に初完封を記録(共にロサンゼルス・エンゼルス戦)。開幕から25試合目までに56の四球を与え、課題の制球難が顕著に現れたが、最後の6試合にはその数は4に抑えるなど、成長を見せた。首脳陣は肘や肩の故障を恐れ、同年シーズンの投球回数を春季キャンプを併せて200イニング程度に抑える決定を下し、スライダーを投げることを事実上禁止した[2]。夏場にはローテーションを飛ばし、他の投手に投げさせたり[2]、最後に登板予定だったスケジュールをキャンセルした[4]

2008年6月23日ニューヨーク・メッツとの交流戦にて、2回表に2死満塁で打席に立ち、右中間に満塁本塁打を放った。満塁本塁打はアメリカンリーグの投手では37年ぶり、マリナーズの投手では球団史上初であった。

2009年第2回WBCベネズエラ代表に選出され、エースとしてチームを牽引した。シーズンでは自身初のオールスター出場を果たしたほか、リーグ最多タイの19勝(5敗)で球団史上初となる最多勝のタイトルを獲得。勝率や被打率でもリーグ1位の数字を残し、奪三振数は自身初めて200を超えた。そのほか、月間最優秀投手を2度受賞するなど1年通して安定した投球内容でチームを支えた。サイ・ヤング賞レースではザック・グレインキーに敗退し受賞はならなかったものの、ジャスティン・バーランダーCC・サバシアロイ・ハラデイといった好投手を抑えて2位を記録した。

2010年8月25日のボストン・レッドソックスとのダブルヘッダー第2戦でデビッド・オルティーズから空振り三振を奪い、球団史上4人目、また史上3番目の若さでの通算1000奪三振を達成した[注 1][5][6]最優秀防御率のタイトルを獲得。また、2年連続で最小被打率を記録したほか、先発登板数・投球回・クオリティ・スタート数でも1位、奪三振数・WHIPで2位、完投数・完封数で3位を記録。シーズンを通してハイレベルな投球を続けた一方で打線の援護には恵まれず、勝利数は伸びなかったものの、その投球内容の良さが評価され、先発投手としては史上最少となる13勝(12敗)でサイ・ヤング賞を獲得した[7]

2011年は前年のような安定感のある内容には欠けたものの、先発投手陣の柱としてチームを支え、2年ぶり2度目のオールスター出場を果たした。このシーズンで14勝(14敗)を記録したことで通算85勝となり、球団入りのきっかけにもなった大ファンであるフレディ・ガルシアがマリナーズで記録した通算76勝を超えた。その他、自身の記録としては3年連続5度目の2桁勝利・6年連続6度目の30先発登板・4年連続4度目の200投球回・3年連続3度目の200奪三振を記録した。

2012年4月には東京ドームでの日本開幕戦で先発した。序盤は球速が上がらず心配されたが[8]、徐々に復調し、8月15日の本拠地でのタンパベイ・レイズ戦において、史上初の記録となるシーズン3人目のMLB史上23人目となる完全試合を達成。マリナーズでは球団史上初の完全試合投手となった[9]。最終的にリーグ最多の5完封勝利を含む13勝(9敗)を記録した。

2013年1月に第3回WBCベネズエラ代表の暫定メンバーに選出された。2月13日にマリナーズと総額1億7500万ドルの7年契約を結んだ[10][11]。この契約はCC・サバシアの7年1億6100万ドルを抜いて投手史上最高額となった。(2014年現在では投手史上3位の金額)2月8日にWBC出場を辞退することを発表し、ツイッター上でベネズエラのファンに謝罪した[12][13]。正式契約前の身体検査で肘に異常が見つかり、一時は契約の成立が不安視されたが、2月12日に正式に契約延長を行った[14]。4月22日のアストロズ戦で通算100勝を達成。シーズンを通しては12勝10敗、防御率3.04だった。

2014年7月25日、7回1失点で降板し、1971年にトム・シーバーが記録した13試合連続7イニング以上2失点以下のメジャー記録に並んだ。最終的には、8月11日までの16試合連続に更新した。前述の連続好投記録などもあり、シーズンを通して活躍して最優秀防御率のタイトルも獲得し、サイ・ヤング賞の最有力候補と見られていたが、受賞したのはコーリー・クルーバーであった。ヘルナンデスはクルーバーより、防御率、被打率、WHIP、QS率などでは大きく上回ったが、勝利数、奪三振数、FIPWARの差が勝敗を分けたと言われている。なお、防御率(2.14)およびWHIP(0.915)は21世紀に入ってからのアメリカンリーグでは最高の記録であった。

2015年5月10日のオークランド・アスレチックス戦、サム・ファルドから三振を奪い、史上4番目の若さ(29歳1ヶ月)で通算2000奪三振を達成した[15][注 2]

特徴[編集]

かつては常時96 - 97mph(約154.5 - 156.1km/h)を計測していた速球(フォーシームツーシームシンカー))と、曲がりの大きなスライダー、平均80mphを超えるカーブ、平均90mph近くを記録する速く鋭いチェンジアップと言った球種が持ち味[3]。特にツーシームは速い上に良く動くが、調子の悪いときはそれに頼りすぎるため、投球が単調になり本塁打を打たれる場合が多い。メジャーリーグの先発投手の中でも、直球の平均球速が95mphを越えるのはヘルナンデスとデトロイト・タイガースジャスティン・バーランダーだけだと言われていた[16]。14歳の時点で既に速球は145km/hを記録していたという[2]。ただし、近年は球速が低下傾向にあり、技巧派に転身しつつある。2012年は速球の平均球速が93mph前後にまで低下した[17]

スライダーも投げられるが、コーチ陣が怪我を恐れて2008年まで投球を禁止していた。ランディ・ジョンソンと比較されるほどの将来性を持つ、と太鼓判を押されている。また、内野ゴロを打たせることに長けた典型的なグラウンドボーラーである。GB/FB(全ゴロ数÷全フライ数)は通算で1.33を記録しており、2006年がリーグ4位、2007、2008年が2位、2009年が3位、2010年が5位と、デビュー当初から常に上位に入っている。

自分のボールに絶対的な自信を持っており、上記の様な状況でツーシーム等の速球系の球を投げたがるヘルナンデスに対し変化球を要求する捕手の城島健司とは衝突が絶えず、2006年12月27日にNHKで放映された城島の特集番組でのインタビューに応じた彼は「捕手はただ、投手が投げたいボールを受ければいいんだ。城島のリードなんて、僕は認めないよ」と言っている。この番組収録後の2007年シーズン、開幕投手として選ばれたヘルナンデスは、城島と組んで息の合った投球を見せ、8回無失点12奪三振で勝利投手となった。試合後には「やっとバッテリーというか、心が通い合う関係を築けたような気がする。僕が何を投げたいのか、彼は理解してくれている。今は、気持ちよくジョーに投げられる」とも語っている。

しかしながら2009年には、城島と組んだ序盤の5試合で1勝3敗、防御率7.22という結果に終わり、その後はロブ・ジョンソンなど、城島以外の捕手を相手に投げるようになった。そのため、城島はヘルナンデスが登板する日は休養を取ることになった。

年度別投手成績[編集]





















































W
H
I
P
2005 SEA 12 12 0 0 0 4 4 0 0 .500 328 84.1 61 5 23 0 2 77 3 0 26 25 2.67 1.00
2006 31 31 2 1 2 12 14 0 0 .462 816 191.0 195 23 60 2 6 176 11 0 105 96 4.52 1.34
2007 30 30 1 1 0 14 7 0 0 .667 808 190.1 209 20 53 4 3 165 7 1 88 83 3.92 1.38
2008 31 31 2 0 0 9 11 0 0 .450 857 200.2 198 17 80 7 8 175 8 1 85 77 3.45 1.39
2009 34 34 2 1 0 19 5 0 0 .792 977 238.2 200 15 71 0 8 217 17 1 81 66 2.49 1.14
2010 34 34 6 1 1 13 12 0 0 .520 1001 249.2 194 17 70 1 8 232 14 1 80 63 2.27 1.06
2011 33 33 5 0 2 14 14 0 0 .500 964 233.2 218 19 67 0 7 222 12 1 99 90 3.47 1.22
2012 33 33 5 5 2 13 9 0 0 .591 939 232.0 209 14 56 0 12 223 13 2 84 79 3.06 1.14
2013 31 31 0 0 0 12 10 0 0 .545 823 204.1 185 15 46 1 3 216 13 0 74 69 3.04 1.13
2014 34 34 0 0 0 15 6 0 0 .714 912 236.0 170 16 46 1 5 248 18 0 68 56 2.14 0.92
通算:10年 303 303 23 9 7 125 92 0 0 .576 8425 2060.2 1839 161 572 16 62 1951 116 7 790 704 3.07 1.17
  • 2014年度シーズン終了時
  • 各年度の太字はリーグ最高

獲得タイトル・表彰・記録[編集]

タイトル・表彰[編集]

記録[編集]

  • 年度1位記録
    • 最高勝率:1回(2009年)
    • 最多投球回:1回(2010年)
    • 最小被打率:3回(2009年、2010年、2014年)
    • 最小WHIP:1回(2014年)
    • 投手最多刺殺:1回(2009年)
  • その他記録
    • シーズン防御率:2.14(2014年)※球団記録
    • 2年連続最小被打率(2009年 - 2010年)※球団タイ記録
    • 18試合連続クオリティ・スタート(2009年8月1日 対テキサス・レンジャーズ - 2010年4月26日 対カンザスシティ・ロイヤルズ) ※球団記録
    • 1イニング4奪三振(2010年6月3日 対ミネソタ・ツインズ戦)※球団史上3人目、アメリカンリーグ史上20人目[18]
    • 通算1000奪三振(2010年8月25日)※球団史上4人目。史上3番目の若さ。また、24歳139日での達成は1952年以降でバート・ブライレブン(23歳121日)、ドワイト・グッデン(23歳249日)に次ぐ3番目の若さ
    • 完全試合(2012年8月15日)※MLB史上23人目、球団史上初。

その他[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 24歳139日での達成は1952年以降でバート・ブライレブン(23歳121日)、ドワイト・グッデン(23歳249日)に次ぐ3番目の若さ
  2. ^ 年少記録上位3人はバート・ブライレブンサム・マクダウェルウォルター・ジョンソン

出典[編集]

  1. ^ Felix Hernandez Contracts, Salaries, Cap Hits, & Transactions” (英語). Spotrac.com. 2013年12月29日閲覧。
  2. ^ a b c d e 友成那智、村上雅則 『メジャーリーグ・完全データ選手名鑑2007』 廣済堂出版、2007年、227項。ISBN 978-4-331-51213-5
  3. ^ a b 小林信行「フェリックス・ヘルナンデス [マリナーズ] ”キング”は真のエースになれるのか」『スラッガー』2008年8月号、日本スポーツ企画出版社、2008年、雑誌15509-8、46 - 49頁
  4. ^ MLB.com Hargrove believes in King Felix's talent
  5. ^ http://seattle.mariners.mlb.com/news/article.jsp?ymd=20100825&content_id=13916022&vkey=recap&fext=.jsp&c_id=sea
  6. ^ http://sports.espn.go.com/mlb/recap?gameId=300825302
  7. ^ Felix Hernandez wins AL Cy Young,ESPN.com(英語),2010年11月19日閲覧
  8. ^ Felix Hernandez and Missing Velocity FanGraphs Baseball
  9. ^ “ヘルナンデスが完全試合=シーズン3人、史上初-米大リーグ”. 時事通信. (2012年8月16日). http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2012081600085 2012年8月16日閲覧。 
  10. ^ Mariners sign RHP Felix Hernandez to seven-year contract”. MLB.com Mariners Press Release (2013年2月13日). 2014年8月1日閲覧。
  11. ^ Doug Miller (2013年2月13日). “New deal brings out emotion, excitement in Felix”. MLB.com. 2014年8月1日閲覧。
  12. ^ http://seattle.mariners.mlb.com/news/article.jsp?ymd=20130208&content_id=41496268&vkey=news_sea&c_id=sea Negotiations ongoing, Felix won't pitch in Classic
  13. ^ Mariners general manager Jack Zduriencik disputes report on status of Felix Hernandez's elbow, says ace is 'his normal self' MLB.com
  14. ^ Felix Hernandez, Seattle Mariners officially agree to new contract ESPN
  15. ^ “Felix notches 2,000th career strikeout”. MLB.com. (2015年5月10日). http://m.mlb.com/news/article/123584206/seattle-mariners-pitcher-felix-hernandez-becomes-fourth-youngest-to-reach-2000-strikeouts 2015年5月10日閲覧。 
  16. ^ Lindy's Fantasy Baseball 2007 pp120
  17. ^ Brooks Baseball · Home of the PitchFX Tool - Player Card: Felix Hernandez
  18. ^ http://www.baseball-almanac.com/feats/feats19.shtml
  19. ^ http://seattle.mariners.mlb.com/news/article.jsp?ymd=20101020&content_id=15736796&vkey=news_sea&c_id=sea

外部リンク[編集]