ジャスティン・バーランダー

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ジャスティン・バーランダー
Justin Verlander
ヒューストン・アストロズ #35
Justin Verlander in 2016.jpg
デトロイト・タイガース時代
(2016年5月13日)
基本情報
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
出身地 バージニア州グーチランド郡マナキンサボット
生年月日 (1983-02-20) 1983年2月20日(34歳)
身長
体重
6' 5" =約195.6 cm
225 lb =約102.1 kg
選手情報
投球・打席 右投右打
ポジション 投手
プロ入り 2004年 MLBドラフト1巡目(全体2位)でデトロイト・タイガースから指名
初出場 2005年7月4日
年俸 $28,000,000(2017年)[1]
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)
国際大会
代表チーム アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
獲得メダル
男子 野球
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
パンアメリカン競技大会
2003 野球

ジャスティン・バーランダーJustin Verlander、本名:ジャスティン・ブルックス・ヴァーランダーJustin Brooks Verlander, 1983年2月20日 - )は、アメリカ合衆国バージニア州グーチランド郡マナキンサボット出身のプロ野球選手投手)。右投右打。MLBヒューストン・アストロズに所属。

妻はモデルのケイト・アプトン[2]

経歴[編集]

プロ入り前[編集]

タカホーリトルリーグ(Tuckahoe Little League)所属時からコントロールは酷いものの、抜きん出た肩の強さを見せていた。13歳の時には父リチャードの手に負える球速ではなくなっており[3]、キャッチボールを止められてベースボールアカデミーに入れられた。アカデミー入学直後に行った球速測定では、既に84mph(約135.2km/h)を記録していた。高校入学時には93mph(約149.7km/h)、その後一時期呼吸器障害により球速を落とすが、オールド・ドミニオン大学英語版進学時に復活[3]。在学中にフォーシーム・ファストボールツーシーム・ファストボール以外にカーブサークルチェンジを習得して投球の幅を広げ、大学通算で335.2イニングで427奪三振を記録。また3年連続で全米選抜に選出された。

2003年7月に開催されたサントドミンゴパンアメリカン競技大会野球アメリカ合衆国代表に選出された[4]

プロ入りとタイガース時代[編集]

2004年MLBドラフト1巡目(全体2位)でデトロイト・タイガースから指名を受ける。指名から契約まで4か月を要し、10月25日に球団史上最高額となる契約金315万ドルで入団した[5][3]

2005年はA級レイクランド、AA級エリーで好成績を残し、メジャーに昇格。7月4日クリーブランド・インディアンス戦でメジャーデビューを果たしたが、5.1回を投げ4失点で敗戦投手。2試合目は7月23日ミネソタ・ツインズ戦で6回5失点でまたも敗戦投手。これがこの年のメジャー最後の登板となり、AA級エリーに降格した[6]。マイナーリーグでの防御率1.29は全体で6位の成績だった[7]

2006年は開幕から先発ローテーションに定着。5月には4勝1敗・防御率1.73の成績でルーキー・オブ・ザ・マンスに選出され、5月22日カンザスシティ・ロイヤルズ戦でメジャー初完封を達成[8]オールスターゲームのアリーグの32人目の選手を選出する「ファイナルボート」にノミネートされたが、選出はならなかった[9]。シーズン通算で30試合に先発登板し、投球回200回未満で21被本塁打とやや被弾が多かったものの、防御率3.63はリーグ第4位、球団新人投手としては1976年マーク・フィドリッチの19勝以来の高水準となる17勝を上げ[6]、124奪三振は球団新人右腕投手の新記録となった[6]。投票で28票中26の1位票を集め、ルーキー・オブ・ザ・イヤーに選出された[10]

投手コーチのチャック・ヘルナンデスは「非常にインパクトを受けたのは、彼のメンタル的な安定さ」で「大概の若いピッチャーは失敗を恐れてやりすぎるものだが、彼はピンチに陥っても感情のコントロールができている」と証言する通り精神的に非常に安定しており、登板時に投球や審判の判定によって取り乱す事はほとんどない。しかし、ケニー・ロジャースが「シーズンを通して気持ちを抑える難しさを学んでいるところだ」と証言している通り[11]6月17日から8月1日にかけて7連勝したが、8月11日以降は3勝5敗・防御率5.86と調子を落とした。

ノーヒットノーラン達成時の様子

2007年6月12日、地元デトロイトでのミルウォーキー・ブルワーズ戦で、タイガースの投手としては1984年4月7日ジャック・モリス以来、デトロイトでは1952年8月25日ヴァージル・トラックス以来となるノーヒットノーランを達成した[12]オールスターゲームに初めて選出された。18勝6敗・183奪三振と前年を上回る数字を記録し、勝率.750はリーグ1位となった。

2年目のジンクスを跳ね返し、エースへ成長。シーズン終了後にミゲル・カブレラを獲得するなどの大型補強で強力打線が完成したが、先発投手で確実に計算できるのは自身1人という状態で2008年の開幕を迎えた[13]。初の開幕投手を務めたが、不調で負けが先行。6月11日からは6連勝を記録して8勝9敗まで持ち直したが、その後2度の4連敗を喫し、結局リーグワーストの17敗でシーズンを終えた。優勝候補と目されていた[14]チームは地区最下位に終わった。9月1日ニューヨーク・ヤンキース戦では自己最短の1.2回、8失点で降板。試合後の会見で「今年はいろいろ不運なことが多くて、自分のシーズンを持っていかれた感じ」と話し、この日のストライクゾーンが厳しかったと発言したため、ジム・リーランド監督からは責任転嫁の姿勢を批判された[14]

2009年は4月は1勝2敗・防御率6.75・34奪三振だったが、5月は5勝0敗・防御率1.52・56奪三振の成績でピッチャー・オブ・ザ・マンスに選出され、その間に球団史上1971年ミッキー・ロリッチ以来となる3試合連続2桁奪三振を達成した[15]。最終的に19勝・269奪三振を記録し、最多勝利最多奪三振の二冠(勝利数はCC・サバシアフェリックス・ヘルナンデスとタイ)を獲得した。サイ・ヤング賞の投票ではザック・グレインキー、ヘルナンデスに次ぐ3位。2010年2月4日に5年総額8,000万ドルで契約を延長[16]

2011年は終盤に12連勝を記録するなど24勝5敗・防御率2.40・250奪三振を記録し、最多勝・最優秀防御率・最多奪三振の投手三冠を達成する大活躍でチームの24年ぶりとなる地区優勝に貢献。初のサイ・ヤング賞を満票で受賞し、更に投手としては1992年デニス・エカーズリー、先発投手としては1986年ロジャー・クレメンス以来となるMVPも受賞した。

2012年オールスターゲームの先発投手に選ばれたが、集中打を浴びて1回で5点を失った。地区シリーズ、リーグ優勝決定シリーズでは、サンフランシスコ・ジャイアンツとのワールドシリーズ第1戦では敗戦投手になった。サイ・ヤング賞の投票ではデビッド・プライスに4ポイント及ばず、2年連続の受賞を逃した[17]

2013年3月29日、2015年から2019年までの契約延長が決定。契約内容は年俸2800万ドルで5年総額1億4000万ドル。さらに2019年シーズンにサイ・ヤング賞の得票5位以内に入っていれば、2020年シーズンを年俸2200万ドルの内容で契約延長することができる。2013年から2020年までの総額2億200万ドルは投手に支払われる額としてMLB史上最高額となる[18]

2014年1月9日に体幹の筋肉の修復手術を行った。復帰には6週間かかる見込みで、デーブ・ドンブロウスキーGMは「スプリングトレーニングには間に合うだろう」と発表した[19]。スプリングトレーニング中の2月18日に復帰し、ブルペンで54球を投げた[20]。レギュラーシーズンでは、2008年以来の不調に陥る。9年連続での2ケタ勝利となる15勝を挙げたが、2年連続で12敗して自責点がリーグワースト。防御率4.00はおろか4.50を超えたのも2008年以来であった。この年通算150勝を達成。

2015年は故障の影響もあり、20試合の先発登板に留まって5勝8敗に終わった。この年は、ルーキーイヤー以来10年ぶりに規定投球回未達だった。

2016年は2年ぶりに開幕投手を務めた(6回3失点で勝敗つかず)。4月は防御率5.46だったが、徐々に持ち直し、5月18日に通算2000奪三振を達成[21]、7月以降は18試合123イニングで9勝3敗・防御率1.98と好投を続けた。シーズン通算では16勝(リーグ6位タイ・9敗)・227.2イニング(リーグ2位)・防御率3.04(リーグ2位)・254奪三振で4年ぶり4度目となる最多奪三振を獲得。WHIPでもリーグトップを記録した。サイ・ヤング賞の投票では1位投票は30人中14人を獲得したが、元同僚のリック・ポーセロに5ポイント及ばず2位に終わった。この結果にバーランダーの婚約者であるケイト・アプトンTwitterで選考委員や受賞したポーセロを罵倒するコメントをし、大きな波紋を呼んだ[22]

2017年8月30日コロラド・ロッキーズ戦でメジャー初打点を記録した[23]。この年は8月までに28試合に先発したが、10勝8敗、防御率3.82と前年よりも成績を落としていた。

アストロズ時代[編集]

2017年8月31日後日発表選手とのトレードで、ヒューストン・アストロズへ移籍した[24]。移籍後は5試合に先発し、5勝無敗・防御率1.06・WHIP0.65と驚異的な好投を見せ、地区優勝に貢献した。両チーム合計では33試合先発で、15勝8敗・防御率3.36・219奪三振と、前年に続き200イニング到達・奪三振率9.0越えを果たした。 オフの11月にケイト・アプトンと結婚式を挙げた[25]が、この影響でヒューストンで行われた優勝パレードは欠席した[2]

投球スタイル[編集]

スリークォーターから、常時95mph(約153km/h)前後、最速102mph(約164km/h)のフォーシームと、80mph前後のカーブ、80mph後半のスライダー、80mph中盤のチェンジアップを駆使する[26]。制球力に定評があり、通算与四球率が2.7を記録している。

バーランダーの投球に関してイチローは「(速球だけでなく)それぞれ(の変化球)が一級品。どれでも三振をとれる。やっぱりいいピッチャー」と絶賛している[27]

詳細情報[編集]

年度別投手成績[編集]





















































W
H
I
P
2005 DET 2 2 0 0 0 0 2 0 0 .000 54 11.1 15 1 5 0 1 7 1 0 9 9 7.15 1.76
2006 30 30 1 1 0 17 9 0 0 .654 776 186.0 187 21 60 1 6 124 5 1 78 75 3.63 1.33
2007 32 32 1 1 0 18 6 0 0 .750 866 201.2 181 20 67 3 19 183 17 2 88 82 3.66 1.23
2008 33 33 1 0 1 11 17 0 0 .393 880 201.0 195 18 87 8 14 163 6 3 119 108 4.84 1.40
2009 35 35 3 1 0 19 9 0 0 .679 982 240.0 219 20 63 5 6 269 8 4 99 92 3.45 1.18
2010 33 33 4 0 0 18 9 0 0 .667 925 224.1 190 14 71 0 6 219 11 2 89 84 3.37 1.16
2011 34 34 4 2 1 24 5 0 0 .828 969 251.0 174 24 57 0 3 250 7 2 73 67 2.40 0.92
2012 33 33 6 1 0 17 8 0 0 .680 956 238.1 192 19 60 2 5 239 2 1 81 70 2.64 1.06
2013 34 34 0 0 0 13 12 0 0 .520 925 218.1 212 19 75 1 4 217 3 1 94 84 3.46 1.32
2014 32 32 0 0 0 15 12 0 0 .556 893 206.0 223 18 65 1 5 159 5 1 114 104 4.54 1.40
2015 20 20 1 1 0 5 8 0 0 .385 535 133.1 133 13 32 1 3 113 2 0 56 50 3.38 1.09
2016 34 34 2 0 0 16 9 0 0 .640 903 227.2 171 30 57 1 8 254 6 0 81 77 3.04 1.00
2017 28 28 0 0 0 10 8 0 0 .556 729 172.0 153 23 67 4 3 176 5 0 76 73 3.82 1.28
HOU 5 5 0 0 0 5 0 0 0 1.000 120 34.0 17 4 5 0 1 43 0 0 4 4 1.06 0.65
'17計 33 33 0 0 0 15 8 0 0 .652 849 206.0 170 27 72 4 4 219 5 0 80 77 3.36 1.18
MLB:13年 385 385 23 7 2 188 114 0 0 .623 10513 2545.0 2242 244 771 27 84 2416 78 17 1061 979 3.46 1.18
  • 2017年度シーズン終了時
  • 各年度の太字はリーグ最高

獲得タイトル[編集]

表彰[編集]

記録[編集]

MiLB
MLB

背番号[編集]

  • 59(2005年)
  • 35(2006年 - )

代表歴[編集]

  • 2003年パンアメリカン競技大会野球アメリカ合衆国代表

脚注[編集]

  1. ^ Justin Verlander Contract, Salary Cap Details & Breakdowns” (英語). Spotrac. 2017年9月8日閲覧。
  2. ^ a b Justin Verlander and Kate Upton had their long-awaited wedding on Saturday in Italy MLB.com Cut4 (英語) (2017年11月5日) 2017年11月12日閲覧
  3. ^ a b c 友成那智村上雅則 『メジャーリーグ・完全データ選手名鑑2007』 廣済堂出版、2007年、129、132頁。ISBN 978-4-331-51213-5
  4. ^ 2003 Pan American Team Roster USABaseball.com: The Official Site of USA Baseball (英語) (2010年9月21日) 2017年7月2日閲覧
  5. ^ Justin Verlander Transactions” (英語). Baseball-Reference.com. 2008年12月25日閲覧。
  6. ^ a b c MLB公式プロフィール参照。2017年9月8日閲覧。
  7. ^ 2005 Pitching Leaders for ERA - Baseball-Reference.com” (英語). Baseball-Reference.com. 2008年2月22日閲覧。
  8. ^ “Justin Verlander named American League Rookie of the Month” (英語) (プレスリリース), MLB.com (Detroit Tigers), (2006年6月5日), http://detroit.tigers.mlb.com/news/press_releases/press_release.jsp?ymd=20060605&content_id=1489311&vkey=pr_det&fext=.jsp&c_id=det 2017年9月8日閲覧。 
  9. ^ Mark Newman (2006年7月6日). “Nomar, A.J. named Final Vote winners” (英語). MLB.com. 2010年3月6日閲覧。
  10. ^ Jason Beck (2006年11月13日). “Verlander wins AL Rookie of the Year” (英語). MLB.com. 2008年4月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年9月8日閲覧。
  11. ^ Associated Press (2006年9月17日). “A Special Season for Verlander and the Tigers” (英語). The New York Times. 2010年3月6日閲覧。
  12. ^ Jason Beck (2007年6月12日). “Verlander makes history in Detroit” (英語). MLB.com. 2017年9月8日閲覧。
  13. ^ 「2008年MLB選手名鑑 デトロイト・タイガース [大型補強で超強力打線が完成 不安要素は層が薄いブルペン]」『月刊スラッガー』2008年4月号、日本スポーツ企画出版社、2008年、雑誌 15509-4、38 - 39頁。
  14. ^ a b 谷口輝世子 「MLB30球団レポート&全選手個人成績 デトロイト・タイガース/DET エースの責任転嫁に対し、監督が辛口批判」『月刊スラッガー』2008年11月号、日本スポーツ企画出版社、2008年、雑誌 15509-11、77頁。
  15. ^ Jason Beck (2009年6月4日). “Verlander, Porcello take home honors” (英語). MLB.com. 2017年9月8日閲覧。
  16. ^ Jason Beck (2010年2月4日). “Verlander, Tigers finalize five-year deal” (英語). MLB.com. 2017年9月8日閲覧。
  17. ^ Mike Axisa (2012年11月14日). “David Price & R.A. Dickey Win Cy Young Awards” (英語). MLB Trade Rumors. 2017年9月8日閲覧。
  18. ^ http://espn.go.com/mlb/story/_/id/9111981/justin-verlander-detroit-tigers-agrees-deal-which-worth-202-million-sources
  19. ^ “Justin Verlander update” (英語) (プレスリリース), MLB.com (Detroit Tigers), (2014年1月9日), http://m.tigers.mlb.com/news/article/66438614/justin-verlander-update/ 2017年9月8日閲覧。 
  20. ^ Jason Beck (2014年2月18日). “Verlander throws 54 pitches in bullpen session” (英語). MLB.com. 2017年8月9日閲覧。
  21. ^ タイガース バーランダーが通算2000奪三振達成 史上76人目 スポニチ 2016年10月3日閲覧
  22. ^ バーランダーのCY賞落選に美人モデル婚約者激怒「記者をクビにしなさい!」 Full-Count 2016年11月18日閲覧
  23. ^ Verlander dazzles on hill, collects first MLB RBI” (英語). MLB.com (2017年8月30日). 2017年9月1日閲覧。
  24. ^ “Astros acquire Verlander from Tigers” (英語) (プレスリリース), MLB.com (Houston Astros), (2017年8月31日), http://m.astros.mlb.com/news/article/251777026/astros-acquire-verlander-from-tigers/ 2017年9月1日閲覧。 
  25. ^ Supermodel Kate Upton Marries Astros’ Justin Verlander Just Days After His World Series Win”. PEOPLE.com (2017年11月4日). 2017年11月7日閲覧。
  26. ^ Pitch Type | FanGraphs Baseball
  27. ^ http://www.nikkansports.com/baseball/mlb/news/f-bb-tp2-20120807-996708.html

関連項目[編集]

外部リンク[編集]