ザック・グレインキー

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ザック・グレインキー
Zack Greinke
ロサンゼルス・ドジャース #21
Zack Greinke on September 17, 2013.jpg
2013年9月17日
基本情報
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
出身地 フロリダ州オーランド
生年月日 1983年10月21日(31歳)
身長
体重
6' 2" =約188 cm
195 lb =約88.5 kg
選手情報
投球・打席 右投右打
ポジション 投手
プロ入り 2002年 MLBドラフト1巡目(全体6位)でカンザスシティ・ロイヤルズから指名
初出場 2004年5月22日
年俸 $26,000,000(2014年)[1]
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)

ドナルド・ザカリー・グレインキー(Donald Zackary Greinke,1983年10月21日 - )はアメリカ合衆国フロリダ州オーランド出身のプロ野球選手投手)。MLBロサンゼルス・ドジャース所属。右投右打。日本の報道等ではグリンキーとも表記される。

経歴[編集]

プロ入り前[編集]

高校時代の2002年ゲータレード最優秀野球選手(Gatorade National Baseball Player of the Year)に選出され、ベースボール・アメリカは高校生として最も優れた選手の一人と評した[2]

ロイヤルズ時代[編集]

ロイヤルズは当初、2002年のMLBドラフトで大学生投手を1巡目で指名する予定だったが、スカウトから「彼はどの大学生よりも早くメジャーに昇格できます」という推薦を受け、グレインキーを1巡目(全体6位)で指名[3]

2003年はA+級のウィルミントン・ブルーロックスウィチタ・ラングラーズで15勝4敗・防御率1.93を記録し、オールスター・フューチャーズゲームのアメリカ選別に選出された。シーズン終了後には、カロライナリーグの最優秀投手やロイヤルズ傘下の最優秀投手に選出された[4]

2004年は開幕をAAA級オマハ・ロイヤルズで迎え、5月22日に2002年のMLBドラフト1巡目で指名された投手の中で最も早くメジャーデビューを果たした。球団史上、20歳でメジャーで登板経験のある投手はグレインキーの他にブレット・セイバーヘイゲンのみである[5]。この年は8勝11敗ながら、防御率は3.97。新人王投票でも4位となった。

2005年は5月15日時点で0勝4敗で、防御率3.09など投球内容はよかったが、6月以降は調子を落とし、シーズン通して5勝17敗(アメリカンリーグ最多敗戦)、防御率は5.80。

2006年の春季キャンプで社会不安障害によりチームを離脱、自宅で生活を送った[6]。後にグレインキーはカンザスシティ・スター紙のインタビューで「僕のうつ病は自殺したくなるほど重度のものではなかったけど、先発で投げるのがいやになって、だんだん試合に出たくなくなったんだ。しまいには野球が嫌いになって選手を辞めたくなったんだ。」と語っている[7]。6月にマイナーで復帰し、9月22日にメジャー初登板、3試合を投げ、1勝0敗、防御率4.26という成績に終わった。

2007年は4月26日のツインズ戦でトリー・ハンターの顔面直撃の投球以降、その直後の2試合の登板で計12失点を記録するなど制球が悪化[8]。5月10日以降はリリーフとして登板していたが、8月24日に先発登板。それ以降、シーズン終了までに7試合に先発登板し、防御率1.85を記録。

2008年は32先発でリーグ2位の23回クオリティ・スタートを記録し、5回を投げ切れなかったことは1回のみと安定した投球を見せた[7]投球回は初めて200の大台を上回り、防御率3.47は球団史上1997年ケビン・エイピアーが3.40を記録して以降最良(規定投球回以上)だった[6]。シーズン終了後の2009年1月26日に球団と4年総額3,800万ドルで契約延長した[6]

2009年、グレインキーは圧倒的な投球内容でサイ・ヤング賞を受賞

2009年は4月に5勝0敗・防御率0.50・44奪三振と両リーグ最高の成績で月間最優秀投手に選出された[9]。また、昨シーズンから4月24日にかけて38イニング連続無失点を記録し[10]ケビン・エイピアーの球団記録を16年ぶりに更新[11]オールスター初選出を果たし、8月25日のインディアンス戦では15奪三振を記録し、マーク・グビザーの球団記録を21年ぶりに更新[12]。33試合の先発登板で16勝8敗・防御率2.16(リーグ1位)・242奪三振を記録し、シーズン終了後にはアメリカンリーグサイ・ヤング賞を受賞。最下位チームからの受賞は1997年ロジャー・クレメンス(当時トロント・ブルージェイズ)以来、16勝での受賞はアメリカンリーグでは当時最少勝利(ストライキで短縮されたシーズンを除く)となった。

2010年は10勝14敗と負け越した。

ブルワーズ時代[編集]

2010年12月19日に内野手のユニエスキー・ベタンコートと共に、アルシデス・エスコバーロレンゾ・ケインジェイク・オドリッジジェレミー・ジェフレスとの2対4のトレードでミルウォーキー・ブルワーズに移籍した[13]

2011年3月、バスケットボールをしている最中に肋骨を亀裂骨折し[14]、シーズン初登板は5月4日までずれ込んだ。序盤は打ちこまれる試合が多く、前半戦終了時点での防御率は5.45だったが、後半は持ち直して自己最多タイの16勝をあげた。最終的な防御率3.88に対して、元同僚ブライアン・バニスターの影響でグレインキー本人も強く意識するようになったというFIPは2.98であり、xFIPは2.56でリーグ1位だった[15][16]

2012年7月4日の対ヒューストン・アストロズ戦で先発登板するも、わずか4球を投げただけで退場処分となる(投球回数0 0/0)[17]。翌7月5日の対ヒューストン・アストロズ戦で前日に続いて先発登板する[17]。この試合では、3回を投げた。その後、MLBオールスターゲームを挟んで、リーグ再開日の7月13日の対ピッツバーグ・パイレーツ戦で先発登板[17]。この登板で、3試合連続先発登板を記録した。MLBにおける3試合連続先発登板は、1917年レッド・フェイバー(CWS)以来95年ぶりの記録であった[17]。ちなみにフェイバーは、ダブルヘッダー2試合とその翌日の試合に連続して先発登板している[17]

エンゼルス時代[編集]

2012年7月22日アリエル・ペーニャジョニー・ヘルウェグジーン・セグラとのトレードでロサンゼルス・エンゼルス・オブ・アナハイムへ移籍した。移籍後は13試合に登板し、6勝2敗、防御率2.63だった。オフの10月29日にFAとなった。

ドジャース時代[編集]

2012年12月10日ロサンゼルス・ドジャースと総額1億4700万ドルの6年契約を結んだ。この契約はニューヨーク・ヤンキースの左腕CC・サバシアが2008年オフに結んだ7年1億6100万ドルに次ぐ史上2位の大型契約であり、年平均に換算するとサバシアを上回る2450万ドル(約20億円)の史上最高額となった。また、右投手としてはマット・ケインの5年1億1250万ドルを上回る史上最高の大型契約となった[18]。付帯条項として、2015年のシーズン終了後にFAになれる権利があり、シーズン途中にトレードされた場合はそのオフにFAになれる権利も付け加えられた[19]

2013年4月11日のサンディエゴ・パドレス戦でカルロス・クエンティンと乱闘になり、その後の検査の結果、左鎖骨骨折で全治8週間となった[20]。この年は28試合に登板し、15勝4敗、防御率2.63と6年連続で二桁勝利を挙げ、勝率はリーグ1位の.789を記録した。

2014年は5年ぶりにオールスターゲームに選出された。レギュラーシーズンでは、防御率2.71・自己ベストの17勝を挙げ、2年連続での防御率2.00台、4年連続での15勝以上を記録し、右のエースとしてクレイトン・カーショウと共にチームをプレイオフに導いた。また、自身初めてゴールドグラブ賞を受賞した。

選手としての特徴[編集]

フォーシーム(92-96マイル)、ツーシーム(91-95マイル)を中心に、カットボール、スライダー、カーブ、チェンジアップを投げ分ける。

先述のように社会不安障害を患った経験から、プレッシャーの強いチームに所属することに不安を抱えていると言われ、ロイヤルズとの契約には、2011年までニューヨーク・ヤンキースやボストン・レッドソックスを含む15チームに対するトレード拒否条項が含まれていた[21][22]。もっとも最近では勝てるチームに所属したいという思いが強くなっていると周囲に語っており、また契約最終年となる2012年にはそのような条項は含まれていなかったとされる[23]

年度別投手成績[編集]





















































W
H
I
P
2004 KC 24 24 0 0 0 8 11 0 0 .421 599 145.0 143 26 26 3 8 100 1 1 64 64 3.97 1.17
2005 33 33 2 0 0 5 17 0 0 .227 829 183.0 233 23 53 0 13 114 4 2 125 118 5.80 1.56
2006 3 0 0 0 0 1 0 0 0 1.000 28 6.1 7 1 3 2 0 5 0 0 3 3 4.26 1.58
2007 52 14 0 0 0 7 7 1 12 .500 507 122.0 122 12 36 5 3 106 3 1 52 50 3.69 1.30
2008 32 32 1 0 0 13 10 0 0 .565 851 202.1 202 21 56 1 4 183 8 1 87 78 3.47 1.28
2009 33 33 6 3 4 16 8 0 0 .667 915 229.1 195 11 51 0 4 242 5 0 64 55 2.16 1.07
2010 33 33 3 0 2 10 14 0 0 .417 919 220.0 219 18 55 1 7 181 4 0 114 102 4.17 1.25
2011 MIL 28 28 0 0 0 16 6 0 0 .727 715 171.2 161 19 45 0 4 201 10 0 82 73 3.83 1.20
2012 21 21 0 0 0 9 3 0 0 .750 504 123.0 120 7 28 0 0 122 4 0 49 47 3.44 1.20
LAA 13 13 0 0 0 6 2 0 0 .750 364 89.1 80 11 26 0 2 78 4 0 35 35 3.53 1.19
'12計 34 34 0 0 0 15 5 0 0 .750 868 212.1 200 18 54 0 2 200 8 0 84 82 3.48 1.20
2013 LAD 28 28 1 1 0 15 4 0 0 .789 717 177.2 152 13 46 1 7 148 5 0 54 52 2.63 1.11
2014 32 32 0 0 0 17 8 0 0 .680 821 202.1 190 19 43 3 2 207 12 0 69 61 2.71 1.15
通算:11年 332 291 13 4 6 123 90 1 12 .577 7769 1872 1824 181 468 16 54 1687 60 5 798 738 3.55 1.22
  • 2013年度シーズン終了時
  • 各年度の太字はリーグ最高

獲得タイトル・表彰[編集]

脚注[編集]

  1. ^ Zack Greinke Contracts, Salaries, Cap Hits, & Transactions” (英語). Spotrac.com. 2013年12月16日閲覧。
  2. ^ Royals Select RHP Zack Greinke in 1st Round” (英語). MLB.com (2002年6月4日). 2009年12月5日閲覧。
  3. ^ 大冨真一郎 「苦悩の暗闇からの生還 ザック・グレインキー [ロイヤルズ]」『メジャー・リーグ記録集計号 ザ・スタッツブック 2009』、ベースボールマガジン社、2009年、雑誌 20448-11/25、75 - 77頁。
  4. ^ Gettis, Greinke win honors” (英語). MLB.com (2003年9月23日). 2009年12月5日閲覧。
  5. ^ 友成那智、村上雅則 『メジャーリーグ・完全データ選手名鑑2005』 廣済堂出版、2005年、151項。ISBN 978-4-331-51093-3
  6. ^ a b c Beck, Jason (2009年1月26日). “Greinke inks four-year deal with Royals” (英語). MLB.com. 2009年4月29日閲覧。
  7. ^ a b 友成那智、村上雅則 『メジャーリーグ・完全データ選手名鑑2009』 廣済堂出版、2009年、162項。ISBN 978-4-331-51370-5
  8. ^ 友成那智、村上雅則 『メジャーリーグ・完全データ選手名鑑2008』 廣済堂出版、2008年、178項。ISBN 978-4-331-51300-2
  9. ^ Kaegel, Dick (2009年5月5日). “Greinke tops among AL hurlers in April” (英語). MLB.com. 2009年12月5日閲覧。
  10. ^ Kaegel, Dick (2009年4月25日). “Completely dominant: Greinke dazzles” (英語). MLB.com. 2009年12月5日閲覧。
  11. ^ Wills, Todd (2009年4月19日). “Greinke's scoreless innings streak at 34” (英語). MLB.com. 2009年12月5日閲覧。
  12. ^ Associated Press (2009年8月25日). “Greinke sets team record with 15 K's to snap five-game losing streak” (英語). ESPN.com. 2009年12月5日閲覧。
  13. ^ Kaegel, Dick(2011-12-06). Yost: Youth will be served for Royals in '12. royals.com(英語). 2012年1月29日閲覧
  14. ^ Nightengale, Bob(2011-03-09). Brewers' Zack Greinke, Aaron Boone talked basketball injuries. USATODAY.com(英語). 2012年1月29日閲覧
  15. ^ Kepner, Tylar(2009-11-18). Use of Statistics Helps Greinke to A.L. Cy Young. Th New York Times(英語). 2012年1月29日閲覧
  16. ^ Major League Leaderboards » 2011 » Pitchers » Dashboard. FanGraphs Baseball(英語). 2012年1月29日閲覧
  17. ^ a b c d e “95年ぶり、ブ軍・グリンキーが3戦連続先発”. サンケイスポーツ. (2012年7月14日). オリジナル2012年7月17日時点によるアーカイブ。. http://web.archive.org/20120717033522/www.sanspo.com/baseball/news/20120714/mlb12071410190005-n1.html 2012年7月14日閲覧。 
  18. ^ グリンキー、ドジャース移籍=6年121億円の大型契約−米大リーグ 時事通信(2012年12月11日)
  19. ^ Zack Greinke can opt out of Dodger deal in 3 years and test the market again FOX Sports on MSN
  20. ^ Greinke the latest to be injured in a scuffle
  21. ^ Teams on Greinke's no-trade clause revealed. CBSSports(英語)
  22. ^ Greinke's No Trade Clause Involve Rangers, Dodgers, Angels. SB Nation(英語)
  23. ^ Determining stretch ahead with Greinke. JSonline(英語)

外部リンク[編集]