投球回
投球回(とうきゅうかい、英: Innings pitched / IP)は、野球における投手記録の一つで投手が登板したイニングの数を表す。投球回数、投球イニングともいう。
概要[編集]
イニングの途中で投手が交代した場合には、登板時に取った(攻撃側に記録された)アウト一つにつき1/3ずつを加える。投手がアウトを一つも取れずに降板した場合の投球回は、0ではなく0/3と記録する。また、イニングをまたいで登板したが、アウトを取れなかったイニングがある場合にも、1 0/3などと記録する。
新聞などでは便宜上、投球回の0/3、1/3、2/3(活字で一字に収める場合は0⁄3、1⁄3、2⁄3)をそれぞれ.0、.1、.2と表記することがある(日本野球機構の公式ウェブサイトなど、「0/3」や「.0」の代わりに「+」記号を用いる媒体もある)。
メジャーリーグベースボールや日本プロ野球では、歴代最多投球回の記録上位のほとんどがプロ野球リーグ草創期の選手で占められている。
草創期には優秀な投手の数は多くなく、ごく少数の優秀な投手が過度に優先起用されていたため、チーム投球回全体のかなりの割合を担っていたが、次第にリーグの競技水準が上昇し優秀な投手の数が増えてくると、各投手間の起用機会は均一化していった。
これにより先発ローテーションが整備され、また投手分業制が進展していき、1980年代後半以降はMLB・日本ともに一投手の投球回数は多くとも1シーズンで200から250投球回程度にとどまっている。
日本プロ野球[編集]
通算記録[編集]
順位 | 選手名 | 投球回 |
---|---|---|
1 | 金田正一 | 5526.2 |
2 | 米田哲也 | 5130.0 |
3 | 小山正明 | 4899.0 |
4 | 鈴木啓示 | 4600.1 |
5 | 別所毅彦 | 4350.2 |
6 | 梶本隆夫 | 4208.0 |
7 | スタルヒン | 4175.1 |
8 | 東尾修 | 4086.0 |
9 | 山田久志 | 3865.0 |
10 | 稲尾和久 | 3599.0 |
順位 | 選手名 | 投球回 |
---|---|---|
11 | 若林忠志 | 3557.1 |
12 | 野口二郎 | 3447.1 |
13 | 長谷川良平 | 3376.1 |
14 | 平松政次 | 3360.2 |
15 | 山本昌 | 3348.2 |
16 | 工藤公康 | 3336.2 |
17 | 村田兆治 | 3331.1 |
18 | 三浦大輔 | 3276.0 |
19 | 松岡弘 | 3240.0 |
20 | 江夏豊 | 3196.0 |
- 記録は2022年シーズン終了時[1]
シーズン記録[編集]
順位 | 選手名 | 所属球団 | 投球回 | 記録年 |
---|---|---|---|---|
1 | 林安夫 | 朝日 | 541.1 | 1942年 |
2 | 野口二郎 | 大洋 | 527.1 | |
3 | 真田重蔵 | パシフィック | 464.2 | 1946年 |
4 | 野口二郎 | 東京セネタース | 459.0 | 1939年 |
5 | スタルヒン | 東京巨人軍 | 458.1 | |
6 | 亀田忠 | 黒鷲 | 456.2 | 1940年 |
7 | 別所昭 | 南海ホークス | 448.1 | 1947年 |
8 | 白木義一郎 | セネタース | 440.0 | 1946年 |
9 | 石原繁三 | 大和 | 439.1 | 1942年 |
10 | 白木義一郎 | 東急フライヤーズ | 439.0 | 1947年 |
2リーグ制後 | |||||
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順位 | 選手名 | 所属球団 | 投球回 | 記録年 | 備考 |
1 | 権藤博 | 中日ドラゴンズ | 429.1 | 1961年 | セ・リーグ記録、新人記録[注 1] |
2 | 秋山登 | 大洋ホエールズ | 406.0 | 1957年 | |
3 | 稲尾和久 | 西鉄ライオンズ | 404.0 | 1961年 | パ・リーグ記録 |
4 | 402.1 | 1959年 | |||
5 | 金田正一 | 国鉄スワローズ | 400.0 | 1955年 | 左投手記録 |
記録は2022年シーズン終了時点[3] |
メジャーリーグベースボール[編集]
通算記録[編集]
順位 | 選手名 | 投球回 |
---|---|---|
1 | サイ・ヤング | 7356.0 |
2 | パッド・ガルヴィン | 6003.1 |
3 | ウォルター・ジョンソン | 5914.1 |
4 | フィル・ニークロ | 5404.0 |
5 | ノーラン・ライアン | 5386.0 |
6 | ゲイロード・ペリー | 5350.0 |
7 | ドン・サットン | 5282.1 |
8 | ウォーレン・スパーン | 5243.2 |
9 | スティーブ・カールトン | 5217.2 |
10 | ピート・アレクサンダー | 5190.0 |
順位 | 選手名 | 投球回 |
---|---|---|
11 | キッド・ニコルズ | 5067.1 |
12 | ティム・キーフ | 5049.2 |
13 | グレッグ・マダックス | 5008.1 |
14 | バート・ブライレブン | 4970.0 |
15 | ボビー・マシューズ | 4956.0 |
16 | ロジャー・クレメンス | 4916.2 |
17 | ミッキー・ウェルチ | 4802.0 |
18 | クリスティ・マシューソン | 4788.2 |
19 | トム・シーバー | 4783.0 |
20 | トミー・ジョン | 4710.1 |
- 記録は2022年シーズン終了時[4]
シーズン記録[編集]
順位 | 選手名 | 所属球団 | 投球回 | 記録年 |
---|---|---|---|---|
1 | ウィル・ホワイト | シンシナティ・レッズ | 680.0 | 1879年 |
2 | チャールズ・ラドボーン | プロビデンス・グレイズ | 678.2 | 1884年 |
3 | ガイ・ヘッカー | ルイビル・エクリプス | 670.2 | |
4 | ジム・マコーミック | クリーブランド・ブルース | 657.2 | 1880年 |
5 | パッド・ガルヴィン | バッファロー・バイソンズ | 656.1 | 1883年 |
6 | 636.1 | 1884年 | ||
7 | チャールズ・ラドボーン | プロビデンス・グレイズ | 632.1 | 1883年 |
8 | ジョン・クラークソン | シカゴ・ホワイトストッキングス | 623.0 | 1885年 |
9 | ジム・デブリン | ルイビル・グレイズ | 622.0 | 1876年 |
ビル・ハッチソン | シカゴ・コルツ | 1892年 |
- 左投手記録はリー・リッチモンド(ウースター・ルビーレッグス、1880年)の590.2回
- 参照[5]
2リーグ制後 | |||||
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順位 | 選手名 | 所属球団 | 投球回 | 記録年 | 備考 |
1 | エド・ウォルシュ | シカゴ・ホワイトソックス | 464.0 | 1908年 | ア・リーグ記録 |
2 | ジャック・チェスブロ | ニューヨーク・ハイランダーズ | 454.2 | 1904年 | |
3 | ジョー・マクギニティ | ニューヨーク・ジャイアンツ | 434.0 | 1903年 | ナ・リーグ記録 |
4 | エド・ウォルシュ | シカゴ・ホワイトソックス | 422.1 | 1907年 | |
5 | ビック・ウィリス | ボストン・ビーンイーターズ | 410.0 | 1902年 | |
6 | ジョー・マクギニティ | ニューヨーク・ジャイアンツ | 408.0 | 1904年 | |
7 | エド・ウォルシュ | シカゴ・ホワイトソックス | 393.0 | 1912年 | |
8 | デイブ・ダベンポート | セントルイス・テリアズ | 392.2 | 1915年 | FL記録 |
9 | クリスティ・マシューソン | ニューヨーク・ジャイアンツ | 390.2 | 1908年 | |
10 | ジャック・パウエル | ニューヨーク・ハイランダーズ | 390.1 | 1904年 | |
記録は2022年シーズン終了時点[6] |
- 左投手記録はルーブ・ワッデル(フィラデルフィア・アスレチックス、1904年)の383.0回
脚注[編集]
注釈[編集]
出典[編集]
- ^ 歴代最高記録 投球回【通算記録】 - NPB.jp 日本野球機構(シーズン中は毎日更新)
- ^ 歴代最高記録 投球回【シーズン記録】 - NPB.jp 日本野球機構
- ^ https://npb.jp/bis/history/ssp_ip.html
- ^ 通算記録 (MLB) - Baseball-Reference.com
- ^ シーズン記録 (MLB) - Baseball-Reference.com
- ^ https://www.baseball-reference.com/leaders/IP_season.shtml