サイ・ヤング賞

サイ・ヤング賞(サイ・ヤングしょう、英: Cy Young Award)とは、メジャーリーグベースボール(MLB)のナショナルリーグとアメリカンリーグの両リーグにおいて、記者投票で選出された年間最優秀投手に贈られる賞[1]。最多受賞者は7度のロジャー・クレメンス[1]。
概要
[編集]通算勝利・通算敗戦・通算先発・通算投球回など数々のメジャー記録を保持し、1955年に死去したサイ・ヤングの名誉を称えて翌1956年に制定された。最初は両リーグのうちから1人だけが選ばれていたが、1967年以降はナショナルリーグとアメリカンリーグの両リーグからそれぞれ1人ずつ選出されている[1]。
選出方法は、全米野球記者協会所属の記者60人による投票で決まる。記者が、1位票(7点)、2位票(4点)、3位票(3点)、4位票(2点)、5位票(1点)の5種類の票を投票し、その合計獲得点の最も高い選手が受賞者となる。各記者の投票内容は全米野球記者協会の公式サイトで公表される。
歴代最多受賞は、ロジャー・クレメンスの7回。連続受賞記録はグレッグ・マダックスとランディ・ジョンソンの4年連続である。一方、ノーヒットノーラン(7回)や通算奪三振(5174個)のMLB最多記録を持つノーラン・ライアンは一シーズンでの奪三振MLB記録を更新した1973年のアメリカン・リーグ投票で2位になったのが最高で[2]、選手生活の中では受賞できなかった。
日本プロ野球(NPB)にも、その年の最も優れた投手に贈られる賞として沢村栄治賞(沢村賞)がある。ただし、サイ・ヤング賞はリリーフ投手も受賞対象であるが、沢村賞は先発投手限定である。沢村賞はサイ・ヤング賞を真似て作られた賞とする文献も存在するが[3]、沢村賞が制定されたのは1947年であり、その歴史はサイ・ヤング賞(1956年制定)より古い。
歴代受賞者
[編集]凡例
| アメリカ野球殿堂入り選手 | |
| + | 投手三冠(最多勝利・最優秀防御率・最多奪三振)獲得 |
| § | 満票選出 |
- 着色セルは両リーグ受賞達成者を示す。
- 成績の項は左から勝利・敗戦・セーブ(セーブ0の場合は省略)・防御率・奪三振の順(太字はリーグ1位)で示す。
複数回受賞者
[編集]凡例
| アメリカ野球殿堂入り選手 | |
| 2025年開幕時点で現役 |
- 着色セルは両リーグ受賞達成者を示す。
| 投手 | 回数 | 年度 |
|---|---|---|
| ロジャー・クレメンス | 1986, 1987, 1991, 1997, 1998, 2001, 2004 | |
| ランディ・ジョンソン |
1995, 1999, 2000, 2001, 2002 | |
| スティーブ・カールトン |
1972, 1977, 1980, 1982 | |
| グレッグ・マダックス |
1992, 1993, 1994, 1995 | |
| サンディー・コーファックス |
1963, 1965, 1966 | |
| トム・シーバー |
1969, 1973, 1975 | |
| ジム・パーマー |
1973, 1975, 1976 | |
| ペドロ・マルティネス |
1997, 1999, 2000 | |
| クレイトン・カーショウ |
2011, 2013, 2014 | |
| マックス・シャーザー |
2013, 2016, 2017 | |
| ジャスティン・バーランダー |
2011, 2019, 2022 | |
| ボブ・ギブソン |
1968, 1970 | |
| デニー・マクレイン | 1968, 1969 | |
| ゲイロード・ペリー |
1972, 1978 | |
| ブレット・セイバーヘイゲン | 1985, 1989 | |
| トム・グラビン |
1991, 1998 | |
| ロイ・ハラデイ |
2003, 2010 | |
| ヨハン・サンタナ | 2004, 2006 | |
| ティム・リンスカム | 2008, 2009 | |
| コーリー・クルーバー | 2014, 2017 | |
| ジェイコブ・デグロム |
2018, 2019 | |
| ブレイク・スネル |
2018, 2023 | |
| タリック・スクーバル |
2024, 2025 |
- 年度の太字は満票選出を示す
チーム別受賞回数
[編集]最多はロサンゼルス・ドジャースの12回。
| チーム | 回数 | 年度 |
|---|---|---|
| ブルックリン/ロサンゼルス・ドジャース | 1956, 1962-1963, 1965-1966, 1974, 1981, 1988, 2003, 2011, 2013-2014 | |
| ミルウォーキー/アトランタ・ブレーブス | 1957, 1991, 1993-1996, 1998, 2024 | |
| フィラデルフィア・フィリーズ | 1972, 1977, 1980, 1982-1983, 1987, 2010 | |
| ボストン・レッドソックス | 1967, 1986-1987, 1991, 1999-2000, 2016 | |
| デトロイト・タイガース | 1968-1969, 1984, 2011, 2013, 2024-2025 | |
| ニューヨーク・メッツ | 1969, 1973, 1975, 1985, 2012, 2018- 2019 | |
| ボルチモア・オリオールズ | 1969, 1973, 1975-1976, 1979-1980 | |
| クリーブランド・インディアンス/クリーブランド・ガーディアンズ | 1972, 2007-2008, 2014, 2017, 2020 | |
| ニューヨーク・ヤンキース | 1958, 1961, 1977-1978, 2001, 2023 | |
| アリゾナ・ダイヤモンドバックス | 1999-2002, 2006 | |
| オークランド・アスレチックス | 1971, 1974, 1990, 1992, 2002 | |
| シカゴ・カブス | 1971, 1979, 1984, 1992, 2015 | |
| トロント・ブルージェイズ | 1996-1998, 2003, 2021 | |
| ヒューストン・アストロズ | 1986, 2004, 2015, 2019, 2022 | |
| サンディエゴ・パドレス | 1976, 1978, 1989, 2007, 2023 | |
| カンザスシティ・ロイヤルズ | 1985, 1989, 1994, 2009 | |
| ミネソタ・ツインズ | 1970, 1988, 2004, 2006 | |
| シカゴ・ホワイトソックス | 1959, 1983, 1993 | |
| ピッツバーグ・パイレーツ | 1960, 1990, 2025 | |
| サンフランシスコ・ジャイアンツ | 1967, 2008-2009 | |
| セントルイス・カージナルス | 1968, 1970, 2005 | |
| モントリオール・エクスポズ/ワシントン・ナショナルズ | 1997, 2016-2017 | |
| ミルウォーキー・ブルワーズ | 1981-1982, 2021 | |
| ロサンゼルス・エンゼルス・オブ・アナハイム/ロサンゼルス・エンゼルス | 1964, 2005 | |
| シアトル・マリナーズ | 1995, 2010 | |
| タンパベイ・レイズ | 2012, 2018 | |
| シンシナティ・レッズ | 2020 | |
| マイアミ・マーリンズ | 2022 | |
| コロラド・ロッキーズ | ||
| テキサス・レンジャーズ |
脚注
[編集]- ^ a b c 依田雄太 (2025年11月13日). “【MLB】山本由伸、自身初のサイ・ヤング賞ならず…レギュラーシーズンで昨季上回る好成績も ポストシーズンでの大活躍は評価対象外”. サンスポ. 2025年11月13日閲覧。
- ^ この年のライアンの成績は21勝16敗1セーブ、防御率2.87、奪三振は上記の通りにMLB新記録の383。
- ^ 一例として玉木正之著『プロ野球大辞典』(新潮文庫、1990年、ISBN 4101070121)には「沢村賞という投手に与えられるタイトルですら、アメリカのサイ・ヤング賞にならったものだ」(P.209)という誤った記述がある。