JR北海道キハ281系気動車
| JR北海道キハ281系気動車 | |
|---|---|
キハ281系気動車
(2008年3月3日 / 新札幌駅) |
|
| 営業最高速度 | 130km/h |
| 設計最高速度 | 145km/h |
| 編成定員 | 353名(7両編成) |
| 最大寸法 (長・幅・高) |
21,300/2,863/4,077mm (キハ281形) |
| 機関出力 | 355ps/2,100rpm ×2基 / 両 (N-DMF11HZD形機関) |
| 駆動装置 | 液体式(N-DW15) |
| 変速段 | 変速1段・直結3段 最終減速比2.087 |
| 台車 | N-DT281形 (ヨーダンパ付ボルスタレス式) |
| ブレーキ方式 | 電気指令式空気ブレーキ (機関ブレーキ・排気ブレーキ併用) |
| 保安装置 | ATS-SN |
| 製造メーカー | 富士重工業・日本車輌製造 |
| 備考 | |
|
この表について
|
|
キハ281系気動車(キハ281けいきどうしゃ)[1]は、北海道旅客鉄道(JR北海道)が1992年(平成4年)から製作した特急形気動車である。
目次 |
[編集] 概要
1991年(平成3年)から着手された札幌 - 函館間の高速化事業にあわせてJR北海道が開発した特急形振子式気動車である。四国旅客鉄道(JR四国)2000系気動車の仕様を基に設計され、試作車として1992年1月に先頭車2両、同年10月に中間車1両を製作し各種試験に供した。1993年(平成5年)から富士重工業と日本車輌製造で量産に移行し、1994年(平成6年)3月1日に札幌 - 函館間の特急「スーパー北斗」として営業運転を開始した。
日本国内の在来線気動車において、最高速度 130 km/h での営業運転を初めて行った系列である。曲線通過速度は 本則 + 30 km/h で、札幌 - 函館間を従来車両(キハ183系気動車)から約30分短縮し、最速3時間00分で連絡する。
1994年に通商産業省グッドデザイン商品(現・日本産業デザイン振興会グッドデザイン賞)選定、1995年(平成7年)に鉄道友の会ローレル賞を受賞した。
[編集] 構造
- 車体
- 2000系気動車の構造を踏襲した軽量ステンレス製で、前頭部のみ普通鋼製である。客用扉は気密性の高いプラグドアとされている。
- 前頭部は高運転台構造で、波動輸送対応で増結しやすいよう貫通路付とされた。高運転台は重心位置の点で振子車両には不向きとされるが、見通しの向上と踏切事故時の運転士保護のため採用したもので、JR北海道が本系列以降に開発した特急形車両は、全てこの前頭形状を採用している。先頭車の出入台は前頭部貫通路に接続しており、貫通扉には作業時の前方監視用にワイパー付の扉窓を設ける。かつては貫通路と出入台との間は開放されており、副次的に乗客の前面展望を可能としていた。
- 外部配色は前頭部と客用扉周囲をコバルトブルー、ステンレス地の無塗装部分との境界を萌黄色(ライトグリーン)とし、側窓周囲は窓柱を黒くした連続窓風のデザインである。
- ロゴマーク
- 前頭部側面には車両形式名と振子機能をイメージした「FURICO 281」のロゴマークとリサージュ図形が配されている。なお、前頭部側面のロゴマークは、以下の変更を経ている。
- HEAT 281 - Hokkaido Experimental Advanced Train
- 1992年 - 1994年。試作車落成時から営業運転開始まで。
- HEAT 281 - Hokkaido Express Advanced Train
- 1994年 - 2002年。営業運転開始時にロゴデザインと共に変更された。
- FURICO 281
- 機関
- 走行用機関はコマツ製の直列6気筒ディーゼル機関 SA6D125H-1(JR形式:N-DMF11HZA・355ps/2100rpm)を各車に2台装備し、液体変速機は直結3段式のN-DW15形を使用している。
- 台車
- 台車はヨーダンパ付ボルスタレス式の N-DT281A 形で、制御付自然振子機構を装備し、重心を下げるため車輪径を 810 mm に小径化している。振子機構はキハ281形試作車では381系電車や2000系気動車で実績のあるコロ式を用いたが、耐寒耐雪能力向上のため、後に製作されたキハ280形試作車ではJR四国8000系電車試作車に用いられた曲線ベアリングガイド式を採用し、この方式で量産された。振子作用時の車体最大傾斜角は 5° で、曲線通過速度は本則+ 30 km/h に向上した。
- ブレーキ
- 電気指令式空気ブレーキで、制動距離の短縮のために機関ブレーキ・排気ブレーキを併用している。
- 接客設備
- 内装は785系電車の様式を踏襲し、フリーストップ式のリクライニングシートを設置、車内客室出入口上部にLED式の案内表示装置が設置されている。グリーン車の座席は2+1列の3列シートで、重心のバランスをとるために車体中央で配列が逆転し、点対称になっている。グリーン車ではラジオ放送[2]・BGMを標準で装備し、普通車でも市販のFM放送が受信できるラジオで聞くことができる。[3]
トイレは洋式であり、試作車で循環式と真空式の汚物処理装置の比較試験を行い、量産車では真空式とされた。暖房方式は機関排熱利用による温水式、冷房装置は機関直結式の N-AU281 形を各車の屋根上に2台搭載している。
- その他設備
|
|
|
| この音声や映像がうまく視聴できない場合は、サウンド再生のヒントをご覧ください。 | |
- 自動放送装置をJR北海道の車両では初めて装備し、車内放送のメロディにはJR北海道のオリジナルチャイムを搭載し、自動案内放送・車掌放送・運転抑止などのパターンがある。これは以降のJR北海道特急形車両の多くに採用された。
- 2006年(平成18年)3月18日からは、自動放送チャイムに「アルプスの牧場」「ハイケンスのセレナーデ」「鉄道唱歌」が追加された。同時に車内案内表示器も英語による案内を開始している。
[編集] 形式別概説
[編集] キハ281形
運転台付の普通車である。客用扉は片側2か所に設置されている。
- 試作車 (901・902)
- 901 は函館向き、902 は札幌向きの先頭車である。
- 先頭部貫通扉は小型の扉窓を設け、ワイパーを装備しない。一部のドアの色が異なる。落成時の台車は、コロ式の振子機構をもつ N-DT281 形である。排障器(スカート)は落成当初ライトグレーであったが、すぐに車体同色に変更された。洋式トイレと男子用トイレがある。定員48名。
- 量産車 (1 - 6)
- 1・3・5 は函館向き、2・4・6 は札幌向きの先頭車である。正面貫通扉窓が大型化され、専用のワイパーが追設された。座席の手摺の形と、男子用トイレの形状が異なる以外は、試作車とほぼ同じ仕様である。台車は振子機構を曲線ベアリングガイド式とした N-DT281A 形に変更された。
[編集] キハ280形
編成の中間に組成される、運転台のない普通車である。客用扉は片側1か所である。
- 試作車 (901)
- 100番台 (101 - 110)
- 試作車とほぼ同じ仕様で製作された量産中間車である。定員60名。トイレ・洗面所はない。台車は振子機構を曲線ベアリングガイド式とした N-DT281A 形に変更された。
- 基本番台 (1 - 4)
[編集] キロ280形
運転台のないグリーン車である。 1 - 4 の4両が在籍する。
座席数は26席で、配置は横1+2列、中央で配置が逆転する。各座席にはラジオ放送・BGMのオーディオパネルを装備する。車内販売準備室、車掌室、男子用トイレと洋式トイレがある。台車・駆動系の仕様はキハ280形量産車と同一である。かつては、喫煙コーナー[5]、テレホンカード式公衆電話が設置されていたがのちに撤去されている。
キロ280-1 のみ出入り口付近に車両製造所プレートがあり、グリーン車マーク表記が異なるなどの差異がある。
[編集] 運用
27両全てが函館運輸所に所属し、7両編成を基本とした3本が組成されて運用されている。
「スーパー北斗」15号は函館→札幌を3時間00分で結ぶ最速列車で、 106.2 km/h の表定速度は日本の在来線でもっとも速い[6]。
2004年(平成16年)にはNHK大河ドラマ『新選組!』のラッピング広告が試作車2両を含む一部車両に施された。同番組の放映終了後にラッピングは撤去された。
キハ283系と1両単位での連結が可能で、多客時の増結や本系列の検査時などでしばしば実施されている。混結時における振子作用時の車体最大傾斜角は、本系列に合わせた5度となる。なお、基本編成がキハ283系である場合、増結車に本系列が使用されることはない。
[編集] 現況と動向
本系列の投入により最高速度 130 km/h 運転が可能となったのみならず、曲線通過速度の向上により、札幌 - 函館間で従来 38 % であった最高速度運転区間は 56 % にまで拡大し、運転時分の短縮に大きく寄与した。
従前より「北斗」系統と競合していた新千歳空港 - 函館空港間の航空便は、本系列の運転開始時点で定期便3往復を運航していたが、1994年(平成6年)6月に通年の定期便を休止[7]していたが、2010年(平成22年)6月30日でエアーニッポンネットワーク(A-net, 現・ANAウイングス)が丘珠空港から撤退したことに伴い、同年7月1日からは新千歳空港 - 函館空港間は5往復を運航している。
「スーパー北斗」用に投入された後の増備は改良型のキハ283系に移行し、本系列の製造は27両で終了した。
氷塊落下による側窓破損防止のため、2001年(平成13年)から全車に側窓保護改造を行った。側窓の外側にポリカーボネート製の保護ガラスを設けている。
2005年(平成17年)から「重要部品取替工事」が行われた。これは本系列全車を対象とし、客室の案内表示器の改造、側面行先表示器・正面愛称表示器の汚れ落し、再塗装などを実施した。普通車の座席モケットが従来の紫から青に変更された車両もある。先頭車は前照灯をHID灯に交換した。試作車ではトイレ設備の更新も行っている。
同工事では走行機器についても整備交換がなされ、機関は排気ガス対策を施した N-DMF11HZD (355 ps / 2100 rpm) に換装された。試作車特有の装備は、先頭車のコロ式振子付台車・中間車のディスクブレーキ式台車について、量産車のものに小改良を施した N-DT281B 形台車に交換するなど、量産車との仕様統一がなされている。
試作車のうちキハ281形900番台の2両は、2010年時点では増結車両として使用されることが多い[8]。
[編集] リニューアル
2008年(平成20年)7月から、キハ183系と共に普通車指定席の座席改装が開始された[9]。これは、2006年12月17日からキハ283系が行っているものと同様、座席幅の拡大・背もたれ枕の設置・快速「エアポート」などに設定されている「uシート」と同様なチケットホルダーなどの設備を導入し、居住性の向上を図るものである[10]。
また、2011年(平成23年)10月からはキハ183系、キハ283系と共にグリーン車の座席改装も開始される。これらは2013年3月までに全車両の改装を完了する予定である[11]。
2012年3月現在、リニューアル施工済みの車両は以下の通り。
- キハ281形(2 - 6)
- キハ280形
- 基本番台(全車両)
- 100番台(103 - 110)
- キロ280形(4)
[編集] 脚注
- ^ JR北海道ではWebサイトなど外部文書において「281系気動車」と表記しているが、慣例的なものや、JR西日本281系電車との混同を防ぐため、一般には「キハ281系」と呼ばれることが多い。
- ^ NHKラジオ第1放送、NHK-FM放送、HBCラジオを再送信している。
- ^ キハ283系気動車も同様。
- ^ 2006年3月18日ダイヤ改正後、カード式公衆電話を撤去し、業務用スペースとしている。
- ^ 2006年3月18日ダイヤ改正で全面禁煙化により灰皿・空気清浄機が撤去され携帯電話使用スペースとなった。
- ^ 本系列投入当初は途中停車駅は上りが東室蘭のみ、下りは東室蘭と苫小牧のみでそれぞれ最速2時間59分(表定速度106.8km/h)で運転する列車もあったが、停車駅の増加などにより、2011年時点のダイヤでは所要3時間00分の列車が最速となる。
- ^ 休止以降は北海道エアシステム (HAC) ・エアトランセ (TSQ) による不定期の運航が断続した。2008年には、従前より通年運航している丘珠空港発着便のうち、北海道エアシステムの1往復を冬季のみ新千歳空港発着に変更して運航していた。
- ^ 『JR気動車客車編成表 2010』(交通新聞社)による。
- ^ 函館方面特急列車の指定席が全てグレードアップ座席になります! (PDF) - JR北海道プレスリリース 2008年7月14日
- ^ 特急列車の指定席にグレードアップ座席が新登場! (PDF) - JR北海道プレスリリース 2006年12月13日
- ^ グリーン車の座席をリニューアル! (PDF) - JR北海道プレスリリース 2011年10月13日
[編集] 参考文献
- 交友社 『鉄道ファン』 1992年4月号 No.372 P12 - 15
- 交友社 『鉄道ファン』 1993年1月号 No.381 P67 - 69
- イカロス出版 イカロスMOOK 名列車列伝シリーズ 5 『特急おおぞら&北海道の特急列車』 1998年
- 鉄道ジャーナル社 『鉄道ジャーナル』 2004年12月号 No.458 特集:JR北海道の幹線輸送
- 電気車研究会 『鉄道車両年鑑』 2005年版 鉄道ピクトリアル臨時増刊 No.767 2005年
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||