京阪3000系電車 (2代)

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京阪3000系電車(2代)
中之島線開通ヘッドマークを掲出した3000系3003F(2008年10月19日 土居駅)
中之島線開通ヘッドマークを掲出した3000系3003F
(2008年10月19日 土居駅)
編成 8両編成6本(48両)
営業最高速度 110 km/h
起動加速度 2.8 km/h/s
減速度 4.0 km/h/s(常用最大)
4.3 km/h/s(非常)
編成定員 982人
車両定員 先頭車113人/中間車126人
全長 先頭車18,900mm/中間車18,700 mm
全幅 2,782 mm
全高 4,138 mm
車体材質 アルミニウム合金
編成質量 249.5t
車両質量 27.0 - 36.5t
軌間 1435 mm
電気方式 直流1,500V
架空電車線方式
編成出力 2,400kW
主電動機 かご形三相誘導電動機
TDK6151-C
主電動機出力 200kW
歯車比 6.07
駆動装置 TD平行カルダン駆動方式
制御装置 IGBT素子VVVFインバータ制御方式 ATR-H4200-RG6004A
台車 電動車:川崎重工業KW-77E 軸梁式ダイレクトマウント空気ばね台車
付随車:住友金属工業FS577 モノリンク式ダイレクトマウント空気ばね台車
制動方式 回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ (HRDA-1)
保安装置 京阪形ATS
製造メーカー 川崎重工業兵庫工場
備考 軌条塗油装置(曲線検知、シーケンサ制御)・ホーム検知装置・運転状況記憶装置・自動放送装置を搭載
グッドデザイン賞
Wikipedia laurier W.png
第49回(2009年
ローレル賞受賞車両

京阪3000系電車(けいはん3000けいでんしゃ)は、2008年平成20年)10月19日に営業運転を開始した京阪電気鉄道優等列車用の電車である。元来は快速急行用として登場し、後に特急にも使用されるようになった。車内には転換クロスシートを備えており、車体の塗装にも独自の紺色が用いられている。愛称はコンフォート・サルーン

投入の経緯[編集]

2008年10月19日の中之島線開業にあわせて、同線に直通する快速急行に使用する車両として[1]川崎重工業で8両編成6本(48両)が製造された。

車両デザインはGKデザイン総研広島が担当した。車両全体のデザインコンセプトは、文化・風情の香りに現代的感覚を融合させた「風流今様」であるため、先頭車の前面は「花鳥風月」をイメージした円弧状になっている。また、車内にも円弧状のデザインを採り入れている。

車体・機器[編集]

構体は6000系以降の京阪標準の大型押出型材を用いたアルミニウム合金製であるが、一部摩擦攪拌接合を用いる箇所がある。

車体塗色は上半分が紺(エレガント・ブルー)、下半分が(アーバン・ホワイト)、帯が(スマート・シルバー)で、水都大阪とともにのれんや伝統と格式をイメージさせる紺色に白と銀色を加えることで、都市のきらめきや石庭における川の流れを感じさせるものになった。

種別・行先表示器は京阪の車両で初めてフルカラーLED式が採用された[2][3]ほか、京阪線系統の車両としては初のシングルアーム式パンタグラフ (PT7163-A) を装備する[4]

京阪線の両開き扉車としては1650型以来の戸袋窓が本系列で設けられた。

冷房装置は能力24.2kW (21,000kcal/h) の集約分散式を屋根上に2基搭載している。

主回路は10000系と同一の東洋電機製造IGBT素子2レベルVVVFインバータ制御であり、起動加速度も10000系と同一の2.8km/h/sである。8両編成時の電動車 (M) と付随車 (T) の構成(MT比)は3M5Tである。

先頭車には車輪の空転を防ぐ増粘着材噴射装置・運転状況記録装置・ホーム検知装置が設置されている。

内装[編集]

3000系車内。座席は横1列+2列配置

座席は、ラッシュ時の立席スペース確保と閑散時の京阪間直通客を中心とした着席サービスを両立させるために、客用ドア間はJR西日本223系0・2500番台225系5000番台と同じような横2+1配列転換クロスシート、車端部はロングシート、運転席後部は横2+2配列転換クロスシートが採用されている。また、座席の表地には東レ製のスエード調マイクロファイバー素材「エクセーヌ」を鉄道車両として初採用したほか、転換クロスシート部にはタグも設置されている。

横2+1配列の採用により、クロスシート部分においても2+2配列の倍近い916.5mmの通路幅を確保し、立席スペースに余裕を持たせている。立席客のために吊り革も設置されており、座席においても1人あたりの座席幅が450mm(2人掛けクロスシート部分) - 470mm(ロングシート部分)と、従来の車両よりも拡大された。なお、客用ドア付近の吊り革は京阪独自の跳ね上げ式ではなく、他事業者の車両でも見られる一般的なものである。

車内案内表示装置として京阪の車両で初めて液晶ディスプレイ (LCD) を各客用ドア上部に1か所設置された。次駅案内やドアの開閉方向などを知らせるほか、朝日新聞社共同通信社提供のニュースも流れる。また、ドア開閉予告灯も各客用ドアに1か所ずつ設置するほか、非常通報装置を併設した車椅子スペースも設置されている。客用ドアおよび貫通扉部分には、濃い木目調パネルが使われている。車両間の貫通扉はセンサー式の自動ドアで、8000系0番台同様に取っ手を握ると開く仕組みになっている。実際には、取っ手を握る位置に手を置くと、貫通扉柱に埋め込まれた装置から照射される光が遮られるため、機械が反応して扉が開く。

自動音量調整機能つき自動放送装置を搭載しており、特急快速急行・通勤快急運用においては日本語英語アナウンスによる情報提供を実施する[5]。この放送前には向谷実作曲のジングルが流れる。営業運転開始当初は、すべての自動放送前にジングルが流れたが、2009年以降は一部の放送でジングルカットがなされている。

客室照明は10000系(10004F以降)で省略されていた蛍光灯カバーの素材を、グラスファイバー製に変更した上で復活させた。製造会社はユニチカである。

車両中間部の乗降口は扉のすぐ近くまで座席があるため、乗降の妨げにならないように戸口付近に立つスペースがない。

車内妻面に掲出される車両番号・落成年次・製造メーカー(川崎重工業の英語略称「Kawasaki」)・禁煙ピクトグラム・号車番号表示は、東日本旅客鉄道(JR東日本)E233系などと同様に、すべて1枚のシールにまとめている(これは当系列以降の新造車および8000系更新車でも採用されている)。

編成[編集]

出町柳方から3000形+3500形+3600形+3700形+3150形+3550形+3750形+3050形の8両で組成されている。登場時、本系列は出町柳方から4両目の中間車を抜いた7両編成、同5両目から7両目を抜いた5両編成、同4両目から7両目を抜いた4両編成を組成しての運用が可能[6]であった。交野線宇治線での試運転などでは、5両で運用されたことがある。しかし、2013年から2014年にかけて、3004F・3005F・3006Fについては、出町柳方から3両目と4両目の間、同7両目と8両目の間の連結器を交換する固定編成化工事が行われ[7]、中間車を抜いての運用ができなくなった。

運用[編集]

定期運用[編集]

本系列の導入当初は中之島線中之島 - 出町柳間の快速急行・通勤快急を主体に運用されており、早朝深夜の一部運用では特急・急行・準急・普通運用として天満橋 - 淀屋橋間にも入線していた。

2008年10月19日改定時点のダイヤでは、特急列車では上りの深夜の1本(土休日ダイヤでは早朝・深夜のそれぞれ1本)に使用されたほか、平日の朝ラッシュ時から昼間時への移行期に区間急行(中之島発萱島行、萱島発中之島行[8]に各1本)、また夕ラッシュ時にも萱島発中之島行の区間急行1本でも運用されていた。

2009年9月12日のダイヤ改定以後は、従来一般3扉車で運転されていた平日夜間の上り特急6本が新たに3000系の運用となった。これに伴い、従来3000系で運転されていた夜間の快速急行6往復12本が一般3扉車の運転に差し替えられ、21時台の快速急行については運転区間を樟葉までに短縮されている[9]。なお、下り特急での定期運用は設定されていなかった。また、区間急行は平日朝の萱島6時20分発の中之島行きと中之島9時42分発の萱島行きに運用された。

2011年5月28日のダイヤ改定からは昼間の快速急行が特急に変更されたため、昼間の特急でも運用されるようになり[10]、中之島線への入線はラッシュ時のみになっている。また、同改定以後は一部の朝ラッシュ時の特急にも運用されるようになったため、新たに女性専用車両ステッカーが貼られた。よって現在は特急専用車ではないが、半ば特急などの優等列車に優先的に運用される車両としての性格が強い。

臨時列車等[編集]

正月ダイヤで急行として運用されている3000系電車(2009年1月撮影。)

臨時運転(主に春や秋に)の特急や快速急行が運転されない正月ダイヤ時の一部特急・急行・準急にも運用される。

2008年10月19日の営業運転初日には6本中5本が通常運用として主に快速急行の運用に就いたほか、残りの予備編成1本も中間車(3701)を1両抜いた7両編成で中之島発開業初列車(普通出町柳行き)として使用された[11][12]。正月ダイヤでは快速急行は運休し、代わりに特急・急行運用を中心に充当されている。 2009年10月18日には、寝屋川車両基地で開催される「ファミリーレールフェア」に12歳以下の子どもと保護者らを輸送する特別列車(抽選)に、同系が5両編成に組成されて運用された。

同年の京都市美術館三条駅から地下鉄東西線乗り換え東山駅または神宮丸太町駅が至近)ならびに国立国際美術館渡辺橋駅が至近)での「ルーヴル美術館展」開催期間中は、1編成の両端車両でそれぞれ異なるデザインの円形ヘッドマークを掲げて運行していた[13](茶色ベースの前者は出町柳寄りの3000形に、緑色ベースの後者は中之島寄りの3050形にそれぞれ掲出)。

ラッピング[編集]

きかんしゃトーマス号のラッピングとなった3006F。写真では特急として運用中(2013年3月撮影)

履歴[編集]

  • 2007年平成19年)4月11日 - 車両の新造を発表。
  • 2008年(平成20年)
    • 4月15日 - 形式・塗装・車内などの詳細を公式発表。
    • 5月27日 - 30日 - 寝屋川車庫に3001F搬入。
    • 6月30日 - 3001F竣工・試運転開始。
    • 7月2日 - 3002F竣工・試運転開始。
    • 7月16日 - 3003F竣工。
    • 7月31日 - 3004F竣工。
    • 8月6日 - 3001Fを4連に組み替え宇治線で試運転[15]
    • 8月28日 - 3005F竣工。
    • 9月16日 - 3006F竣工[16]
    • 9月19日 - 鉄道友の会京都支部・阪神支部が合同で天満橋 - 寝屋川車両基地間往復の試乗会を開催。
    • 10月19日 - 営業運転開始。
  • 2009年(平成21年)
    • 6月15日 - 鉄道友の会2009年度ローレル賞受賞[17]
    • 10月1日 - 2009年度グッドデザイン賞受賞[18]
    • 10月18日 - 「ファミリーレールフェア 2009」開催に伴い、中之島 - 寝屋川車両基地間で団体臨時列車「ファミリーレールフェア号」を運転。運用されたのは3002Fで、本系列初の5両編成による運転となった。なお、会場内には3001Fが展示された。
    • 11月14日 - 中之島駅で『ローレル賞』の授賞式がおこなわれ、記念電車が「鉄道友の会会員」を乗せ中之島駅 - 寝屋川車庫間で運転される。
  • 2010年(平成22年)
    • 7月7日 - 交野線私市駅で開催される「ひらかた☆かたの 七夕伝説 『おりひめ』と『ひこぼし』の出逢い」のイベント用臨時列車「おりひめ」として、3001Fが4両編成に短縮されて同線で運用される[19]

受賞[編集]

  • 第49回ローレル賞(鉄道友の会)
    • 京阪の車両が鉄道友の会から賞を受けるのは6000系(1984年ローレル賞)以来25年ぶり、2系列目である。西武30000系電車(同車は最終選考で落選)や豊橋鉄道T1000形電車とともに最終選考段階までノミネートされ、受賞した。
  • 2009年度グッドデザイン賞(日本産業デザイン振興会)
    • 中之島線内の4つの新駅と同時受賞。京阪では過去に、宇治駅の新駅舎や駅構内でのワゴン販売「プラットボーイ」(現在廃止)でグッドデザイン賞を受賞したことはあるが、鉄道車両で受賞するのはこれが初めてであった。

脚注[編集]

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  1. ^ 福島温也「京阪電気鉄道 現有車両プロフィール 2009」、『鉄道ピクトリアル2009年8月臨時増刊号』第822巻、電気車研究会、2009年8月 249頁
  2. ^ 種別表示には他の車両には入っていない「貸切」がある。これは鉄道友の会の試乗会の際に使用された。
  3. ^ 当初、急行の種別表示の背景色は赤色だったが、2010年11月頃から他の系列と同様オレンジ色になった。
  4. ^ LED式行先表示器・シングルアーム式パンタグラフともに、大津線系統ではすでに800系で採用されている。なお、シングルアーム式パンタグラフは1971年に京阪線で試験的に採用されたことがある。
  5. ^ 2003年9月6日ダイヤ改正以前は特急で自動放送による情報提供を実施していたが、改正後は停車駅が増加し、8000系に搭載されていた自動放送装置のROM容量が限界に達したため一時使用を停止した。その後、中之島線開業の際に機器を更新した上で8000系と本系列で再度、自動放送による情報提供を開始した。ただし両系列とも急行以下の種別では他の系列と同様に車掌による肉声アナウンスである。
  6. ^ 福島温也「京阪電気鉄道 現有車両プロフィール 2009」、『鉄道ピクトリアル2009年8月臨時増刊号』第822巻、電気車研究会、2009年8月 249 - 250頁
  7. ^ ジェー・アール・アール『私鉄車両編成表 2014』、交通新聞社、2014年7月 132頁・201頁
  8. ^ 萱島発中之島行は回送の折返しである。
  9. ^ 差し替えられた本数が合わない理由は、いずれも三条・樟葉→淀屋橋間を回送して送り込まれる列車の運用と差し替えを行ったため。
  10. ^ 『私鉄車両年鑑2013』、イカロス出版、2013年3月、75頁
  11. ^ 京阪中之島線が開業交友社鉄道ファン』railf.jp鉄道ニュース、 2008年10月19日
  12. ^ なお、平日ダイヤにおいては昼間運用に充当される5編成の他、夕方に残り1編成が出庫して、20分毎となる中之島 - 出町柳間の快速急行の運用に加わるため予備編成が存在しないことから、本系列の検査時には一般8連車が代走する。
  13. ^ 京阪沿線で『ルーヴル美術館展』開催をPRし、旅客誘致を図ります! (PDF) 2009年6月15日 京阪電気鉄道 報道発表資料
  14. ^ 3月2日(土)から「きかんしゃトーマス号2013」の運転を開始します! 今回は4編成が登場&うち1編成のメインキャラクターは投票で決定! (PDF) 2013年2月18日、京阪電気鉄道
  15. ^ 「関西の鉄道No55」2008年9月25日発行より
  16. ^ 鉄道友の会発行の機関誌『RAILFAN』2008年10月号による。
  17. ^ 2009年度ブルーリボン賞・ローレル賞決定 (PDF) 鉄道友の会、2009年6月15日
  18. ^ グッドデザインファインダー
  19. ^ 京阪 私市駅で『おりひめとひこぼしの出逢い』を開催」交友社『鉄道ファン』railf.jp鉄道ニュース、2010年7月8日

参考文献[編集]

  • 京阪電気鉄道(株)鉄道技術部技術課(車両担当)「京阪電気鉄道 3000系」、『鉄道ファン』2008年11月号(通巻571号)、交友社、 pp. 65 - 70。

外部リンク[編集]