JR北海道キハ150形気動車

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JR北海道キハ150形気動車
0番台 苗穂運転所所属車(2006年11月 / 函館本線 小樽駅)
0番台 苗穂運転所所属車
(2006年11月 / 函館本線 小樽駅
最高速度 110km/h
車両定員 49(席)+68(立)=117名(0番台)
49(席)+66(立)=115名(100番台)
最大寸法
(長・幅・高)
20,000×2,925.4×3,940(mm)
車体材質 普通鋼
車両質量 33.4t(0番台)
33.1t(100番台)
機関出力 N-KDMF15HZ
450ps/2,000rpm(連続定格)
駆動装置 液体式(N-DW14C形)
変速段 変速1段・直結2段
台車 ボルスタレス台車
N-DT150形(2軸駆動)・N-TR150形
制動方式 CLE応荷重装置付電磁自動空気ブレーキ
機関ブレーキコンバータブレーキ
保安装置 ATS-SN
直通予備ブレーキ
製造メーカー 富士重工業

キハ150形気動車(キハ150がたきどうしゃ)は、北海道旅客鉄道(JR北海道)が1993年平成5年)から運用する一般形気動車である。

概要[編集]

積雪急勾配線区における単行運転を考慮して開発された、高出力機関装備の両運転台式気動車である。

JR北海道では国鉄分割民営化の際に、地方ローカル線用の車両として製造された気動車を大量に継承した。このうちキハ22形キハ56系などは経年30年を超え、老朽化による取替えが喫緊の課題であった。また、本来単行運転で十分な需要しかない閑散線区においても、キハ40形は出力不足の関係で冬季積雪時には2両編成が必須であること(単行では排雪運転に足る出力がない)などの問題点が顕在化していた。

これらを解決するために開発された一般形気動車が本形式である。高出力機関を搭載して動力性能を向上し、北海道の一般形気動車で初めて冷房装置を搭載するなど接客設備の改善もなされたほか、ワンマン運転設備の搭載、バス用汎用部品の採用など製造コスト削減も考慮された。

本形式は1995年までに27両が富士重工業で製造された。旭川運転所苗穂運転所苫小牧運転所の各所に配置され、地域輸送に使用されている。

構造[編集]

室蘭本線480D列車
2011年8月14日
黄金駅-稀府駅

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内装
内装
N-DT150形台車
N-DT150形台車
キハ40形との混結運用(2009年9月 / 小樽駅)
キハ40形との混結運用
(2009年9月 / 小樽駅)

車体は普通鋼製で、全長は20m級、客用扉は片開き式のものを片側2か所に設ける。車体の前後に運転台をもつ両運転台式で、1両単位での運用が可能である。前照灯は正面上部の左右および正面中位の左右に4灯を装備する。これは冬季の降雪時に視界を確保するためで、標識灯は正面上位、貫通扉の真上に配置する。警笛は電子式と空気式を併用する。外部塗色はJR北海道の一般形気動車標準の配色で、白色の車体全周にスカイブルーと萌黄色の帯を配するが、一部の車両は配色が異なる。

座席は客用扉の隣接部をロングシートとしたセミクロスシートで、クロスシート部は1+2列の配置である。0番台では冷房装置を搭載する。循環式汚物処理装置付のトイレを出入口付近に設け、隣接して車椅子スペースを備える。運賃箱など、ワンマン運転用の各種設備も製造当初より装備する。

従来の北海道向け車両では客室と出入台との間に仕切り扉を設けていたが、本形式ではこれに代わる寒冷対策として、座席の客用扉隣接部に樹脂製の袖仕切りを設け、客用扉は押ボタン式の半自動ドア[1]として、開放時間を最小限にできるようにしている。他の酷寒地対応として、機関始動および暖房用の機関予熱器(容量30000kcal/h)を装備するほか、燃料タンクは500Lを2個装備として大容量化している。

駆動機関はコマツ製の過給器吸気冷却器付の直噴式ディーゼル機関N-KDMF15HZ形(SA6D140-H・定格出力450ps/2000rpm・最大トルク173kgm/1400rpm 水平直列6気筒・総排気量15240cc)を1基装備する。450psの定格出力はキハ40形 (DMF15HSA・220ps) の2倍強、2台機関搭載のキハ56形 (DMH17H・180ps×2) をも上回る。液体変速機は湿式多板クラッチによる変速1段・直結2段式のN-DW14C形で、コンバータブレーキの機能をもち、下り勾配での抑速装置として機関本体の機関ブレーキと併用できる。

台車は空気バネ付のボルスタレス台車 N-DT150形(動台車)/N-TR150形(付随台車)で、牽引力確保のため2軸駆動としている。軸箱支持機構は積層ゴム[2]を用い、車輪踏面片押し式の基礎ブレーキ装置を備える。空気ブレーキはキハ40形などと共通の3圧式制御弁をもつCLE方式(応荷重装置付電磁自動空気ブレーキ)である。

これらの駆動系改良[3]により、最高速度110km/hでの走行が可能である。一方で、放熱器・燃料タンクなどの補機類にはバス用などの自動車用部品・汎用部品を用い、製造コスト削減を図っている。

本形式はキハ40形などの従来形式とブレーキシステムの互換性があり、混結しての運用も可能である。車両間を電気的に接続するジャンパ栓は正面の片側にのみ設けられ(片渡り)、本形式同士を連結する際は、必ず各車の向きを同一方向に揃える必要がある。

形態区分[編集]

0番台(旭川運転所所属車)
0番台(旭川運転所所属車)
  • 基本番台 (1 - 17)
1993年(平成5年)に10両、1995年(平成7年)に7両が製造された。
客室窓は大型の固定窓で、冷房装置を搭載する。定員は117名で、自重は33.3tである。
側面帯と客用扉の配色は配置箇所によって異なり、旭川運転所の車両はラベンダーをイメージしたライトパープル、苗穂運転所の車両はスカイブルー+萌黄色である。


100番台
100番台
  • 100番台 (101 - 110)
1993年(平成5年)に10両が製造された。定員は115名、自重は33.1tである。
客室窓は小窓に変更され、上半分を内傾式で開閉可能な機構とした。このため車体構造の設計を変更し、外壁厚さを増したため定員が減少している。冷房装置は装備せず、客室天井にはクールファンを設ける。


運用・現況[編集]

方向幕然別 - 札幌
(2006年9月 / 札幌駅)

基本番台は、10両(1 - 10)が旭川運転所に、7両(11 - 17)が苗穂運転所に配置され、以下の区間で使用されている。

旭川運転所所属車
留萌本線においてはキハ54形の車両改造に伴って一時的に運用された。そのため、函館本線の旭川 - 深川間でも留萌本線への送り込み列車として運転された。また導入当初は宗谷本線(旭川駅 - 永山駅 - 比布駅)、石北本線(旭川駅 - 当麻駅)でも使用されていたが、その後根室本線での運用が開始されたこともあり、2008年時点では運用されていない。宗谷本線では旭川 - 北旭川(旭川運転所)間の回送列車のみ運転される。
苗穂運転所所属車

100番台は、全車が苫小牧運転所に配置され、以下の区間で使用されている。

100番台の函館本線での使用は冬季のみで、同区間で通常使用されるキハ40形の代替として使用されている。これは積雪時の運転において線路上の排雪を容易にし、勾配も多い同区間での定時運行を確保するためである。基本番台との併結のほか、キハ40形と混結して使用することもある。

その他[編集]

空気バネ圧制御式車体傾斜装置の試験車として本形式が使用された。1996年(平成8年)頃から試験を行い、後のキハ201系で実用化されている。

脚注[編集]

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  1. ^ 半自動機能は現在使用されていない。
  2. ^ 211系電車のDT50形台車、721系電車のN-DT721形台車と同一の方式である。
  3. ^ 本形式の駆動系は後にオハフ51形客車キハ143形気動車に改造する際にも採用された。

参考文献[編集]

  • 交友社『鉄道ファン』 1993年5月号 No.385 p76~78
  • 交友社『鉄道ファン』 1993年8月号 No.388 p112~113

関連項目[編集]