風の谷のナウシカ
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『風の谷のナウシカ』(かぜのたにのナウシカ)は、徳間書店のアニメ情報誌『アニメージュ』に連載された宮崎駿の漫画作品、および1984年に劇場公開された宮崎駿監督のアニメ映画作品、及び同映画のイメージソングの曲名である。
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目次 |
[編集] 概要
漫画作品は、アニメージュ誌上で1982年に連載が開始され、1994年に終了した。その間、映画制作などのため何度か休載している。多忙を極めた宮崎駿が連載を維持するために、鉛筆原稿のまま雑誌掲載された回もある。
映画作品は、単行本全7巻の漫画全体から見ると序盤に当たる2巻目の途中まで連載された時点での作品であり、映画公開後に連載を再開した漫画とは内容が異なる。
本作のオリジナリティは高く評価され、漫画版は第23回日本漫画家協会賞の大賞を受賞、8ヶ国語で翻訳・発売されている。映画版も各賞を受賞し、宮崎アニメの中ではSF的要素が色濃い作品であることもあり、アニメファンの支持が高い作品である。
注意:以降の記述で物語に関する核心部分が明かされています。
[編集] あらすじ
人類は極限まで文明を発達させ自然を征服するが、「火の七日間」と呼ばれる最終戦争を引き起こす。高度な文明は滅び、瘴気(有毒ガス)が充満する「腐海」と呼ばれる菌類の森や獰猛な蟲(むし)たちを生んでしまう。それから千年余り、わずかに残った人類は、古(いにしえ)の文明の遺物を発掘して利用しつつ逞しく生きていた。腐海は拡大を続け、人類の生活を脅かしていた。
腐海のほとりにある辺境の小国「風の谷」は、大国トルメキアの戦乱に巻き込まれた。「風の谷」の族長の娘であるナウシカは、過酷な運命に翻弄されながらさまざまな人びとと出会い、自分自身と世界の運命、太古より繰り返されて来た人の業とも呼べる営みに向き合い、大国と小国そして腐海と人類との共生の道を探す。
[編集] 作品の背景
自然と科学技術の対立、文明の破壊と再生はいくつかの宮崎駿作品に見られるが、本作品もその一つである。また、公害や自然破壊などいわゆる環境問題や、戦争批判という側面もある。
漫画版では物語序盤に提示されていた自然と科学技術という単純な二項対立の構図が、後半において複雑な構図に変化するなど、物語のテーマが大きく変わっていった。その背景には、ソ連崩壊に伴う東西冷戦終結など実際の時代背景が大きく変化した影響が大きいことを宮崎本人が当時のインタビューで明かしている。
宮崎が、主人公ナウシカのモデルとして言及しているのは、日本の古典文学である堤中納言物語に登場する「虫愛づる姫君」で、これは後に映画「もののけ姫」の題材ともなっている。また、その名前は、ギリシア神話に登場する王女ナウシカアに由来する(オデュッセウスの項目を参照)[1]。青衣の民のモデルはサハラ砂漠のトゥアレグ民である。
物語のモデルとした地域は定かでない。『COMIX BOX』(コミックボックス)1984年5・6月号の対談で「(風の谷のイメージは)中央アジアの乾燥地帯なんです」と発言し、『風の谷のナウシカ 宮崎駿水彩画集』で、腐海のモデルはウクライナ・クリミア半島のシュワ―ジュとコメントしたのが目立つ程度である。なお、「風の谷はパキスタンのフンザをモデルにしている」とか「オーストラリアのウルル(エアーズロック周辺)が舞台」という説も流布しているが、関連書籍やスタジオジブリのホームページなどにその類の記述は一切なく、噂話の域を脱し得ない。また、スタジオジブリはオーストラリアに関しては参考にした場所は無いとしている。ただし、辺境として出てくる国々の以前の形として古エフタル王国と言う名前が出てくるあたり、ササン朝と突厥に滅ぼされた中央アジアのエフタルと呼ばれる歴史上の遊牧民(言語など一切が謎に包まれている)がモデルになっているのは間違いないであろう。 [2]。
ルネ・ラルーのアニメ映画『ファンタスティック・プラネット』(1973年)や、宮崎自身がファンだという漫画家・諸星大二郎の影響も指摘される[3][4]。なかでもフランスの漫画家メビウス[5]の『アルザック』(1975年)には強い影響を受け「『ナウシカ』という作品は、明らかにメビウスに影響されつくられたものです。」と宮崎自身メビウスと対談した際語っている。また、腐海と人間との関連性には、中尾佐助の唱えた照葉樹林文化論の影響も大きかった。他に「地球の長い午後」「デューン砂の惑星」等のSF小説の影響を指摘する論者もいる[6]。
[編集] 漫画連載から映画化までの経緯
アニメージュ編集部では、宮崎の監督作『未来少年コナン』『ルパン三世 カリオストロの城』を通じて、まだ無名だった宮崎の才能に早くから着目しており、1981年8月号には「宮崎駿特集」を掲載していた。
当時の宮崎は、アニメ制作会社テレコム・アニメーションフィルムに在籍しており、『ルパン三世 カリオストロの城』の監督を務めた後、『リトル・ニモ』の準備とイメージボードの作成、イタリアとの合作である『名探偵ホームズ』の演出などを担当していた。しかし、その時点では両作品共に一般公開される目処が立っていなかったことに加え、自ら『もののけ姫』などのアニメ化企画を提出したが会社には採用されなかったため、自分が関わった作品が世に出ない事に不満を抱えている状態だった。
「宮崎駿特集」担当編集者の鈴木敏夫は、宮崎に漫画連載を依頼。渋る宮崎を口説き落とした。漫画の依頼に対し宮崎は、『戦国魔城』というアニメ化前提の企画を提出したが、徳間書店側は傘下の映画会社大映に原作が存在しないことを理由の一つとして、この企画を却下している。『ナウシカ』の連載は、1982年1月発売の1982年2月号から開始された。結果的にアニメ化を前提としないマンガ作品を描くことになったため、宮崎は当初、「漫画として描くならアニメーションで絶対できないような作品を」と意図していた。そのためアニメ化は困難と思えるほど細密な書き込みがなされ、一般読者のみならず一部の目の肥えた漫画マニアにも驚きと賞賛をもって受け入れられている。
その後、宮崎は『ニモ』を降板、1982年11月にはテレコムを退社してフリーとなり、一時『ナウシカ』の漫画連載が唯一の仕事となる。この状況を知った尾形英夫アニメージュ編集長は、同誌の主催するイベント「アニメグランプリ」で上映する短編としてのアニメ化を提案。これに対し宮崎は「どうせ作るなら劇場用長編に」と回答し、徳間書店社長の徳間康快の承諾を得たことで『ナウシカ』の劇場用長編アニメ映画化構想が始動した。広告代理店大手の博報堂に宮崎の弟が勤めていたのも大きな原動力となり、映画化構想は実現することになる。
[編集] 映画「風の谷のナウシカ」
[編集] 概要
1984年に徳間書店と博報堂の共同出資により、アニメ映画化、全国の東映洋画系の劇場で同年3月11日より公開される。制作は「トップクラフト」が担当した。
環境問題をテーマの一つに盛り込んでいたこともあって、朝日新聞のコラム「天声人語」で取り上げられるなど、従来のアニメ映画の枠を越える評価を受けた。ナウシカは91万人の観客を動員し、当時の劇場版アニメーション作品としては異例ともいえる7億円以上の配給収入を得て成功を収めた。数々の映画賞を受賞し、アニメーション作家としての宮崎駿の知名度を大きく引き上げた作品となった。
映画版ナウシカは、演出上の理由からナウシカが王蟲の暴走を食い止めるために王蟲の群れに巻き込まれるエピソードなどが加えられている。これについて宮崎は、映画を宗教的な画面にしてしまったことへの忸怩たる思いを隠さず、宿題が残った映画であると発言した。[7]
また、映画版には大国トルメキアと対立する土鬼諸侯連合(ドルク)が登場しない。映画版ではナウシカが伝説の救世主的キャラクターとして描かれるが、その後に連載された漫画版ではそのような記述は抑えられている。
同時上映は、宮崎が1982年にテレコム・アニメーションフィルム在籍時に演出として参加していながらお蔵入りになっていた『名探偵ホームズ』。宮崎の手がけた短編6作品のうち、「青い紅玉(ルビー)の巻」と「海底の財宝の巻」2作品が上映された。後のテレビシリーズとは声優など細部で異なる点がある。
映画完成後、トップクラフトを改組する形でスタジオジブリが設立され、以降の宮崎と高畑勲の長編アニメーション映画を制作する拠点となった。
[編集] 制作体制
映画製作にあたっては、宮崎の漫画を連載していた『アニメージュ』を発行する徳間書店が中心的な役割を果たした。当時、徳間グループは大映を傘下に抱えていたが、アニメへの理解とノウハウがなかったため、大映は製作に関与せず、グループ総帥である徳間康快指揮の下、徳間ジャパンなども含めたグループ総動員で宣伝活動がなされている。
映画は1983年になって始動し、同年5月、プロデューサーに高畑勲が選ばれる。長年宮崎と仕事を組んで来た仲間であり、宮崎の指名によるものだった。当初自分はプロデューサー向きではないと渋ったものの、徳間書店の鈴木敏夫の説得により受諾する。8月から作画に取りかかる。制作拠点となったのは、宮崎や高畑の東映動画時代の同僚である原徹たちが運営していた「トップクラフト」。主に海外合作を手がけているアニメスタジオであった。ここに宮崎らはフリーで参加するという形を取る。当初、宮崎らは、東京ムービー傘下のテレコム・アニメーションフィルムを制作母体として考えていた。同社は長編アニメーション制作を目的に設立された会社で「ルパン三世 カリオストロの城」もここで制作された。宮崎や高畑は籍を離れたとはいえ、大塚康生などかつての仲間たちも在籍している。宮崎の考える制作環境としてはうってつけだったが、同社は『NEMO/ニモ』の準備に忙しく、一部スタッフが手伝い程度に参加するに留まった。
本作には、それまで宮崎と付き合いのなかった新しい顔ぶれのスタッフも多数参加している。宮崎や高畑が要求する高いレベルのスタッフが「トップクラフト」内だけでは不十分だったこともあり、2人が過去に関係した人材のみならず、鈴木敏夫ら「アニメージュ」関係者も、現場取材を通じて知った人材などをスカウトしてスタッフが集められたためだ。
タツノコプロ系のなかむらたかしや中村光毅、テレビ時代の東映動画の中心アニメーターであるOH!プロダクションの小松原一男、金田パースという独特の作画で人気だった金田伊功、後に『新世紀エヴァンゲリオン』で名を馳せる庵野秀明など、錚々たるメンバーが集結している。個性的なスタッフが揃ったことで魅力ある画面に仕上がった。原画には宮崎の厳しいチェックがあったとされるが、キャラクター描写などにその個性を見出すマニアもいる。庵野秀明は作品ラストの巨神兵のシーンの原画を担当している。庵野は担当シーンの人物作画が全く出来ず”丸チョン”で済ませて宮崎に任せてしまったり、宮崎の指示に不満があってタイムシートを勝手に書き換えたと述懐している(この件に関して、宮崎は黙認したようである)。金田伊功は、その後ジブリと宮崎アニメを支える有力スタッフとなり、1997年の『もののけ姫』まで連続して参加した(本作では人物にパースを付けすぎて、宮崎に大幅に手直しされたという逸話がある)。ちなみに、宮崎が絵コンテを仕上げるスピードが遅かったために、それに応じて作品の規模は縮小している。
映画化にあたってイメージガールが募集され、後に女優となる安田成美がグランプリを獲得して、松本隆作詞、細野晴臣作曲の「風の谷のナウシカ」を歌った。同曲は、当初、主題歌となる旨が発表されていたが、宮崎及び高畑の反対で、劇中本編で使用されることはなく、映画宣伝用のイメージソングとしてEDタイトルに刻み込まれるに留まった。CMや歌番組などで披露された安田の独特な歌い方は視聴者に強烈なインパクトを残し、それなりのヒットを記録する。曲そのものの評価は高く、2007年に発売された「細野晴臣トリビュート・アルバム」でも、坂本龍一と嶺川貴子のコンビでカヴァーされている。
音楽には久石譲が参加している。後に宮崎作品になくてはならない存在になる久石の初参加作品である。当初、久石は映画に先行して発売されたイメージアルバムの担当で、映画の劇伴音楽は前述の安田成美の主題歌を担当した細野が担当する予定であったが、宮崎と高畑が、久石譲のイメージアルバムを気に入ったため、本編の音楽にも起用され、主題歌のみが存在することになった。なお、久石のイメージアルバムへの起用はレコード会社の推薦で、それまで宮崎も高畑も久石の予備知識は何もなかったという。
[編集] 海外版
『風の谷のナウシカ』には、『風の戦士たち(Warriors of the Wind)』というバージョンが存在しており、1985年に米国のニューヨークのみで短期間劇場公開されている。これは低予算映画で知られるロジャー・コーマンが創立したニューワールド・ピクチャーズ社の配給であり、単純明快な勧善懲悪・ヒロイック・ファンタジーを好むと思われる米国の市場に合わせるべく単なるアクションものへと改変されている。ナウシカは「ザンドラ姫」に改名、日本で116分だった上映時間は95分になっている。このバージョンを知らなかった宮崎は、朝日新聞1985年9月17日夕刊「いまアニメの時代」の連載3回目を読んで初めて知り、無断で改変されたことに激怒、結果的にこの改変を許してしまった徳間書店側は宮崎に謝罪したという。
『風の戦士たち』は同年にVHSビデオとしても発売されている。ジャケットのイラストは、巨神兵に乗った正体不明の人物3名が中央に配され、それをペガサスに跨ったやはり正体不明の人物と、メーヴェらしき飛行物体に乗ったザンドラ姫が囲んでおり、日本人が知るナウシカのイメージとは大きく異なっている。さらに『風の戦士たち』の状態で他国に転売されており、イギリス版、スペイン版、フランス版、ドイツ版へと広がっているのが確認されている。フランスではVIP Internationalから『Le Vaisseau Fantôme』(幽霊船)の題で、Blue Kid's Videoから『星のプリンセス(La Princesse des Etoiles)』の題で発売された。[8]
その後ディズニー配下のブエナビスタ・インターナショナルがビデオ配給の権利を得てからは、勝手な改変を施されていないバージョンが各国に配給されるようになった。2005年にDVDで発売されたナウシカの完全英語版は、同年アメリカで最も売れた日本アニメDVD作品となっている。またこのバージョンはカンヌ国際映画祭の「カンヌ・クラシック」部門でも上映され、フランスでは劇場公開が行われた。
[編集] キャッチコピー
本作のキャッチコピーは、「少女の愛が奇跡を呼んだ」であり、これは映画宣伝会社メイジャーの徳山雅也宣伝プロデューサーによるものである。
[編集] 声の出演
| キャラクター | 声の出演 日本語版 | 声の出演 英語版 |
|---|---|---|
| ナウシカ | 島本須美 | アリソン・ローマン |
| ジル | 辻村真人 | マーク・シルヴァーマン |
| 大ババ | 京田尚子 | トレス・マクニール |
| ユパ | 納谷悟朗 | パトリック・スチュアート |
| ミト | 永井一郎 | エドワード・ジェームズ・オルモス |
| ゴル | 宮内幸平 | フランク・ウェルカー |
| ギックリ | 八奈見乗児 | ジェフ・ベネット |
| ニガ | 矢田稔 | マーク・シルヴァーマン |
| トエト | 吉田理保子 | |
| アスベル | 松田洋治 | シャイア・ラブーフ |
| ラステル | 冨永み~な | エミリー・バウアー |
| クシャナ | 榊原良子 | ユマ・サーマン |
| クロトワ | 家弓家正 | クリス・サランドン |
| ペジテ市長 | 寺田誠(現・麦人) | マーク・ハミル |
| ラステルの母 | 坪井章子 | ジョディ・ベンソン |
| 少年 | 坂本千夏・TARAKO・鮎原久子 | |
| 少女 | 菅谷政子・貴家堂子・吉田理保子 | |
| コマンド | 水鳥鉄夫 | |
| ペジテ市民 | 中村武己・島田敏 | |
| ペジテの少女 | 太田貴子 | |
| トルメキア兵 | 野村信次・大塚芳忠 |
[編集] スタッフ
- 制作:原徹
- プロデューサー:高畑勲
- 原作・脚本・監督:宮崎駿
- 音楽:久石譲
- 美術監督:中村光毅
- 音響監督:斯波重治
- 作画監督:小松原一男
- 原画:金田伊功、丹内司、なかむらたかし、賀川愛、庵野秀明、高坂希太郎、渡部高志、小田部羊一、篠原征子、二木真希子ほか
- 演出助手:棚沢隆、片山一良
- 制作進行:押切直之、神戸守、島崎奈々子
- 制作:トップクラフト
- 製作:徳間書店、博報堂
[編集] 受賞・推薦
- 毎日新聞映画コンクール・大藤信郎賞
- キネマ旬報読者選出ベストテン1位
- キネマ旬報ベストテン7位
- WWF世界自然保護基金推薦
- 日本のメディア芸術100選アニメ部門選出
- 第2回日本アニメ大賞 大賞
- 1985年星雲賞演劇部門・メディア部門受賞
| 星雲賞演劇部門・メディア部門 |
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[編集] ラジオドラマ
アニメ映画公開前日の1984年3月10日深夜(日付は3月11日)にニッポン放送「オールナイトニッポン」で映画を宣伝する「風の谷のナウシカスペシャル」が生放送された。ゲストは宮崎駿監督やナウシカガールの安田成美。この特別番組内では、約30分のラジオドラマが流された。当時の同種のアニメ映画のオールナイトニッポンスペシャルでは生のラジオドラマも多かったが、本作では事前に収録が行なわれていた。宣伝という性格上、ストーリーと声優のキャスティングはアニメ版に準拠し、途中までをドラマ化し後は映画館で見て下さいという趣向だった。脚色は藤井青銅、演出はドン上野こと上野修。
[編集] ゲーム
劇場アニメ版とのタイアップで、当時の8ビットパソコン用にナウシカを素材としたコンピュータゲームが作られた。1984年に徳間書店がテクノポリスソフトのブランド名で出したMSX用ゲームソフト「忘れじのナウシカ・ゲーム」、PC-6001用ゲームソフト「ナウシカ危機一髪」、PC-8801用ゲームソフト「風の谷のナウシカ」の3作である。アドベンチャーゲームだったPC-8801用のものはともかく、PC-6001用とMSX用はシューティングゲームである。MSX版はナウシカが腐海の蟲たちを撃ち殺してスコアを稼いでゆくという噂があったが、これはガセである。これ以降、ジブリ作品を題材としたコンピューターゲームが一切現れていない。その原因を作ったのはこのゲームであり、このゲームに宮崎や高畑が激怒したためとファンの間では語られる。また宮崎駿がコンピューターゲーム嫌いになったのはこのゲームが原因という記述が井坂十蔵の「宮崎駿のススメ。」にもある。しかし、噂の域を出ないのではないかとの指摘もある。宮崎駿はラピュタの頃のインタビューで「テレビゲームはアニメのライバルだと思ってるからやらない」と語っている。
[編集] 諸設定
(原)は原作に登場,(映)は映画版に登場 を意味する。
[編集] 年代設定
極限まで科学技術が発展した人類の引き起こした「火の7日間」と呼ばれる最終戦争により、文明が滅びた後千年余りが経過した未来の地球が舞台となる。人々の生活様式は、最終戦争以前の高度産業文明の産物を発掘し利用しつつも、基本的には中世を彷彿とさせる水準にまで退行している。
[編集] 風の谷
主人公ナウシカの故郷である辺境の小国。人口は500人程度。
海から吹き付ける風を動力として活用しながら、中世レベルの農業と採取活動により成り立っている。また、潮風により腐海の胞子から守られているが、わずかに届く腐海の毒は人々を確実に蝕んでおり、死産や四肢硬化を引き起こしている。
族長の住む城の大風車で地下500メルテ(作中における長さの単位)から水を汲み上げ、それを貯水池にいったん引いて寝かせてから沸かして飲料用・農業用に用いている。
漫画版では、自治権の保証と引き替えに、族長が招集に応じてガンシップで参戦するという盟約をトルメキアと結んでいる。
- ナウシカ(原,映)
- 風の谷の姫。大気の流れを読み腐海の毒から人々を守り導く「風使い」の少女。14歳[9]。
- ジル(原,映)
- 風の谷の族長でナウシカの父。かつては風使いとして飛ぶことも出来たようだ。身体を腐海の毒に侵されており、ナウシカに谷の行く末を託す。原作ではその病によって死去するが、映画ではトルメキア兵に殺された。
- ユパ・ミラルダ(原,映)
- ジルの旧友でナウシカの師。腐海の謎を解くためにトリウマのカイ・クイとともに旅を続けている。その剣の腕は腐海辺境一と賞されている。原作ではクシャナを庇い壮絶な最期を遂げる。
- ミト(原,映)
- 腐海の毒による四肢硬化により農作業を離れ城の守りに就いた「城オジ」の一人。ナウシカの忠臣。原作では最後まで生き残ったが、その寿命が近いことが示唆されている。
- 大ババ(原,映)
- 齢100歳を超える腐海辺境一の年寄り。「大海嘯」の伝承を語る。(原作ではそれほど重要な人物ではない)
- ゴル(映)、ギックリ(映)、ムズ(原)、ニガ(原,映)
- 城オジ達。ナウシカの初陣に同行する。
- トエト(原,映)、ネカリ(原)
- 風の谷の適齢期を迎えた娘。ユパから婚礼衣装の飾りにとタリア河の石を贈られる。
- テパ(原)
- 風の谷の少女。見習い風使い。訓練中に蟲にぶつかり、落下しそうになるが、ナウシカの幻覚を見て、見事に無傷で着陸した。
[編集] 辺境諸国
風の谷はもちろん、砂の谷やペジテなど、腐海のほとりにある小国群。人口は少なく風の谷で500人程度、産業文明の遺産であるガンシップと言う高性能小型戦闘機を所有している。漫画版ではトルメキアを盟主として同盟を結んでいる。 この地には「火の七日間」を経てもなお、産業文明の技術を伝えるエフタルと言う巨大王国が栄えていたが、王位継承戦争やそれが引き金になって起こった3度目の大海嘯(大規模な腐海の拡大)によりナウシカの時代から300年前に滅亡。以後小国に分裂し、トルメキアの宗主権下に入ったとされる。その名残で辺境の人びとは、国に関わらずみずからをエフタルの民と称しており、風の谷の場合「エフタル風の谷の民」となる。
腐海のほとりということもあり、毎年多くの都市が腐海に飲み込まれ、人が住める土地が減っていっている。
恐らくトルメキアには存在しないと思われるガンシップを所有しているため、(ガンシップのような高性能戦闘機開発技術は産業文明が生んだ直系のもので、エフタルに受け継がれ、トルメキアでは失われたものと考えられる)同盟国であるトルメキアにとって貴重な兵力調達先となっていた。トルメキアの南下作戦に際してクシャナらによって徴兵されたが、土鬼軍の罠によりトルメキア軍はクシャナの乗るコルベット単艦を残し全滅。自ら志願したナウシカを除く全ガンシップは帰路に着いた。更に土鬼が辺境の地を狙っている事を知り、再びトルメキアに徴兵されることを嫌った国々はトルメキアとの同盟を破棄し、土鬼の襲来に備え再びエフタルの旗の下に集い連合を組んだ(しかし、土鬼マニ族が神聖皇帝のやり方に疑問を感じ作戦を中断し、ペジテの巨神兵を漁るだけで帰還したため、土鬼の来襲は実現しなかった)。
映画版では風の谷とペジテのみ登場し、巨神兵の捜索をしていたクシャナが辺境の国々を統合し国家を建設しようとしたが失敗した。
なお、実際に5世紀中頃から6世紀中頃にかけて、中央アジアにエフタルと言う国家が存在している。突厥とサーサーン朝ペルシアによって地上から抹殺された遊牧民国家で、民族ごと破壊されたために、彼らが残した文明的痕跡はなく、謎に包まれている。
- 酒屋の主人(原)
- 工房都市セム市に属する超硬質セラミック鉱山街の酒屋の主人。ユパが立ち寄った際、クイを娘のエアが勝手に預かってしまったため、対処に困り1000ルミィで売り飛ばそうとした。
- エア(原)
- 酒屋の主人の娘。ユパに頼まれクイを預かっていた。父親がクイを売ろうとした事に激怒し街中で親子喧嘩をした。2巻と4巻で顔のデザインが若干違う。
[編集] トルメキア
風の谷からはるか西方(漫画版付属の地図では東方)にある、強大な軍事力を誇る軍事国家。辺境の族単位の小国群を従えている。
映画版は帝国。トルメキアは風の谷と主従関係は存在せず、突然辺境諸国を征服しに来た軍事国家として描かれる。
漫画版では王国、都はトラス。漫画版では特に東ローマ帝国をモデルにしていると思われる。国王はヴ王と称し、子は3人の皇子と1人の皇女クシャナ(末娘)。映画版では王族はクシャナのみ登場し他の王族は不明。主な構成人種とヨーロッパ系の白人で、アジア系の土鬼と対置されている。
漫画版で描かれる土鬼領サパタ諸侯国における籠城戦はオスマントルコ帝国によるコンスタンティノポリスの包囲を彷彿とさせる。クシャナ配下の騎兵が電撃的な機動戦を展開して城塞を包囲する土鬼の攻城砲台群を壊滅させてゆく様が躍動的に描かれており、また城外に討って出たクシャナの用兵や装備等は近世の西・中央ヨーロッパを参考とする等、イメージの元となるものは様々である。
トルメキアの王族による王位継承争いは古くからの伝統で物語中も過酷である。クシャナの母(王妃)が主張するには「正統なトルメキア王家の血を引くのはクシャナのみ」ということであるが、ヴ王自身はオーマと対峙した際、自身の血筋をして「我が血は最も古く、しかして常に新しい」ことを誇っているので、ヴ王も相当有力な出身のようである。おそらく、ヴ王は王家の直系の王族であるクシャナの母と政略結婚することで王位につけたのだろう。3人の皇子の支持者は正統な王位継承権者のクシャナが幼いころに毒殺しようとしており、身代わりの母が精神に異常をきたす。これが元で、クシャナは父と兄達への復讐を誓うことになる。
3皇子はクシャナの兄なのに「正統な王家の血を引いていない」とすると皆ヴ王の連れ子(前妻との間との息子)ということになる。特に第3皇子とクシャナの対立は激しく、兄達は彼女の軍事力を削ごうと、わざと不利な戦線へ派遣したり、無謀な作戦を実行させたりした。この結果当初6,000人いた第3軍は最終的に200人まで減少してしまう。更に敵に有利な情報を漏洩させたり生々しい兄弟同士の争いを描かれており、クシャナは3人の兄たちと父を毒蛇・肉塊の化け物と言っている(トルメキア王家の紋章である、互いに争う双頭の蛇は、これらの王家代々の骨肉の争いを象徴していると言われている。ここも、在りし日のローマ帝国を彷彿とさせる)。
漫画版最後で3皇子が行方不明になっていたため、崩御寸前のヴ王からクシャナに王位を譲られたがクシャナは生涯代王として王位には就かず、以後トルメキアは「王を持たぬ王国」になったとされる[10]。原作中でクシャナは「すでに王はいる」と語っており、おそらくそれはナウシカの事であり、故に代王と自らを称したのであろうことが推測される。
- クシャナ(原,映)
- トルメキアの第4皇女。容姿端麗かつ優れた軍人であり、トルメキアの誰よりも兵から絶大な信頼と忠誠を得ている。その卓越した戦術的能力と部隊全体を鼓舞するカリスマ性から、敵からは「トルメキアの白い魔女」と恐れられている。非常に思慮深く聡明な女性だが、王家の人間としての帝王学からか冷徹にすら見える態度を貫き、喜怒哀楽など個人的な感情を表に出す事は少ない。しかし母親への侮辱だけは許さず、逆上し怒りをあらわにする事がある。戦乱の中、ナウシカやユパとの出会いを経て真の王道に目覚めていく。
- 原作では土鬼の王蟲の幼虫を使った作戦で艦隊を失うが、それが兄の陰謀だと知り命令どおり南下を続ける。その後、第3軍主力と合流するため土鬼の地へ入り、唯一生き残っていたサパタに駐留していた本隊と合流した。そして攻城砲破壊後、部隊を脱出させるための船を奪取するため、カボの基地へ向かうが蟲の襲撃を受け失敗。ユパに助けられサパタへ帰還するがすでに壊滅した後だった。その後、ナムリスに捕縛されるが、面会時の会話から、彼とは以前よりお互いのことをよく知っている様子である。そして、第3軍本隊の命とトルメキアの王位継承権と引き換えに戦略結婚を受諾。ナムリスと供にトルメキアへ侵攻しようとするが、叛乱を起こして船を掌握。ヒドラに衣服を破られたナウシカに自らのマントを手渡した後、巨神兵と供に飛び立つ彼女に『シュワで会おう』と約束する。墓所の主を自分の目で確かめようとしていたが、ナウシカが先に封印した為、叶わなかった。
- 映画版では過去に蟲に襲われ片腕を失っており(「我が夫となる者はさらにおぞましきものを見るだろう」と述べていることから、体の他の部分も失われているらしい)、その腕は義手になっている。また腐海と蟲を忌々しいものとして嫌悪し、それら全てを人類に対する害悪と全否定するクシャナは、腐海と蟲の存在意義を理解し受け入れようとするナウシカのアンチテーゼとして映画版における重要なキーパーソンといえる。
- クロトワ(原,映)
- 軍参謀。平民上がりの野心家。ヴ王から秘石の入手と供に、クシャナの監視・謀殺の任務を命じられていた。しかしそれもクシャナに見破られ、お偉方の秘密を知り過ぎた故に、いずれにせよ自分は抹殺されると悟りクシャナの側に付く。原作では軍人ならびに参謀としては優秀な人物である。元コルベット(ボロ船)乗員だったため操船術にも長けており、叩き上げである事からか兵からの人望も篤い。カボ脱出時に重コルベットに激突され重傷を負うも、しぶとく生き残る。
- 映画版ではクシャナ直属の軍参謀として登場。原作にある謀略の手先という設定は削除されているため、実質クシャナを頂点とする軍の中間管理職の一人にすぎない。しかしクシャナが行方不明になった際には部隊の全権を掌握しようと目論むなど、野心家としての設定は健在である。また成長途中の巨神兵に『可愛い化け物』と語りかけ、クシャナが腐海から生還した事を知るや『短ぇ夢だったなぁ』と呟き、元の職務に戻るなどよりシニカルな人物に描かれている。
- セネイ(原)
- 第3軍士官。クシャナの忠臣。主力がサパタから脱出後もカボへ向かったクシャナを待っていたが、ヒドラの襲撃を受け死亡。
- 将軍(原)
- 3皇子によりサパタ駐留の第3軍の指揮官として送り込まれた。将校ではあるが無能な人物。土鬼の攻撃が迫った際、兵士を見捨てて逃げようとするが失敗。兵士達にクシャナを逮捕するよう命じるが、誰も従おうとしなかった。その後クシャナと供に攻城砲破壊に出撃するが、攻城砲の直撃を受け死亡。
- ヴ王(原)
- トルメキア国王。先王の血を引くクシャナの謀殺を図っていた。第1、第2皇子が蟲が来たことを口実に逃げ帰ってきた為、壊滅したトルメキア軍を再編し、自ら軍を率いてシュワへ急襲を仕掛ける。その後、聖都シュワを制圧したが、墓所内へ侵入出来ずに苦戦していた所で巨神兵(オーマ)と遭遇。彼に『墓所の中に居る人物と交渉したい』と墓所の前まで誘導するが、オーマはナウシカの命令に従い墓所を封印しようとする。その後、プロトンビームの撃ち合いになり、シュワもろとも主力部隊も全滅。しかし、全兵力を失ったことで墓所の中へ案内される。そして後で入ってきたナウシカと共にシュワ墓所の秘密を知り、墓所の主の要求を拒否。墓の主の最後の光からナウシカを庇い致命傷を負う。脱出後、クシャナに王位を譲り死去。遺体はシュワの地で荼毘に付された。
- 3皇子(原)
- クシャナの異母兄3人。ヴ王の命で第2軍を率いて土鬼に侵攻する。第3皇子は蟲の襲撃で死亡。第1、第2皇子は先に撤退し本国へ逃げ帰るも、ヴ王の逆鱗に触れ、戦争が済むまで帰還を禁じられ、国境を固めるよう言い渡される。その後、ヴ王がシュワ出撃したのを聞いて自らもシュワへ出撃。途中でナウシカとオーマに接触し、彼らを利用しようとするも失敗。ナウシカへの同行を申し出て彼女と同行する。その後、立ち寄った廃墟にてヒドラに幻想を見せられ、本来の目的を忘れ至福の時を得た。
- 道化(原)
- ヴ王の宮廷道化師。ナウシカと相対するために墓所の主に体を乗っ取られる。後にクシャナの王位継承の証人とされる。
[編集] 土鬼諸侯連合
「土鬼」は「ドルク」と読む。映画版には登場しない。
トルメキアと拮抗する勢力である国家連合で、神聖皇帝とその下の官僚機構である僧会が各種族侯国を統べている。宗教色が強く、各侯国の族長が僧侶であったり、国政を儀式化している部分もある。代々超常能力のある神聖皇帝の家系が治め、当初は超能力を持ちその体の劣化のため沐浴槽の中で過ごす皇弟ミラルパが実質的統治者として治めていたが彼は謀殺され、以降は超常能力は無いが不老不死である実の兄の皇兄ナムリスが実権を握る(あくまでも神聖皇帝はナムリスであり、超常の力がなかったためにミラルパに実権を奪われてしまった)。皇弟ミラルパは熱心な宗教家であった(本来は土民を支配しやすいように宗教を利用していたのが、いつしか自分ものめり込んでいったとおぼしい。その事をナムリスは「嘘も100年くり返すと、本人まで信じる始末」と笑い飛ばした)のに対し、皇兄ナムリスは無神論者であり、弟から実権を奪回すると、苛烈な宗教排斥(僧会の解散、僧侶の虐殺など)を行った。国も一枚岩な訳ではなく種族・部族間の揉め事が絶えず、物語中でもナウシカから子供を託されたサジュ族の女性が、それを目撃した仇敵であるサパタ族の人間に誤解され『トルメキアに通じ、たらふく食っていた』と因縁をつけられた挙句『汚ねぇサジュ族の女』と罵倒されチヤルカの前に引きずり出される等(チヤルカが機転を利かし事なきを得た)、内紛の火種を抱えた状態にある。
漫画版では、腐海の拡大による農地の減少によって発生した食糧危機が原因でトルメキア辺境への拡大侵攻を開始した事情が明確に描かれており、単なる悪役ではなく、またトルメキア辺境を侵攻する土鬼の人びとも同様に居住地を追われた土鬼辺境の人びとであり、弱者がより弱い者を探して虐げ搾取する、それ故に侵攻される側としても到底受け容れることもできず互いに潰し合うしかないという、人の業を体現する存在として描かれる。また、「自殺兵」と呼ばれる特攻兵士が爆弾を抱えて突撃してくる等、苛烈な戦術を用いて、戦いの不毛さを体現する役回りも演じていた。当初はマニ族、ビダ族がクシャナ率いる南下部隊を壊滅させた後、北上して辺境へ侵攻する手はずだった。しかし、南下部隊を壊滅させたものの、皇弟のやり方に疑問を感じたマニ族の僧正は作戦を中断し帰還。皇弟に異議を申し立てるも、聞き入れられず処刑された。さらに、トルメキア本土に対し使用を試みていた粘菌兵器が暴走し国土が疲弊し、北上作戦自体が中断。神聖皇帝ナムリスが復権しトルメキア侵攻を計画するも、ナウシカの説得とクシャナの反乱、ナムリスの死亡のため実現することはなかった。
以前は土王と呼ばれるクルバルカ家(ちなみにその末裔のチクク(ルワ・チクク・クルバルカ)が登場する)が治めていたが、時代が下るごとに圧政と狂気に満ちた政治になっていったため、ミラルパやナムリスの父である先代の神聖皇帝により追放された。しかし土鬼諸国の庶民の間には、いまだにクルバルカ家に対する崇敬や、神聖皇帝と僧会によって禁止されたはずの土着宗教の信仰が密かに残っており、僧会の布教と土着信仰が混同されているところもある。
「火の七日間」で焼き尽くされる以前の技術が、聖都シュワにある墓所に封印されており、神聖皇帝や土王などこの地の君主達は墓所とその内部の研究を保護しつつ、墓所の主から君主としての権威を承認され墓所の技術を利用してきた。トルメキアとの戦争でも、墓所のもつ古代の技術(ミラルパの100歳と言う長寿やナムリスの不老不死の技術も含む)を利用し、腐海の植物を人為的に強毒化させたり、巨神兵を蘇生させるなどして戦争を有利に導くはずだったが、逆に大海嘯で国土が飲み込まれ、沿岸部を残し消滅した。
- マニ族僧正(原)
- マニ族の長で、神聖皇帝より北上作戦の先遣隊として派遣されていた。王蟲を使ってクシャナの艦隊を壊滅させたものの、王蟲を止めたナウシカが古き伝承にある「青き衣の者」であると感じ、作戦を中断し帰還する。そして、蟲使いの村で王蟲を培養していることを知り、これを破壊しようと試みる。その後、ユパの協力を得て王蟲の培養槽の破壊に成功するが、謀反の疑いを掛けられ脱出に失敗、光臨した皇弟ミラルパと対峙する。僧会の傲慢さと皇帝の驕慢を批判し、大海嘯を自分達でまねきよせ破滅への道を進んでいると進言したが、背教者と見なされ、ユパたちを助けるため自ら人壁となって壮絶な最期を遂げる。その後も霊となりながらもナウシカを守った。
- ケチャ(原)
- マニ族の娘でエフタル語を解する。気性は激しい。僧正の死後アスベルやユパと行動を共にする。
- オジル(原)
- マニ族の兵士。ナウシカが土鬼と初めて接触した際に登場。ナウシカを気に入り手篭めにしようとしたが、ナウシカの反撃に遭い、その際マスクが剥がれ瘴気を吸って死亡。ケチャに『泣く子も黙る嫌な奴』と言われ、僧正も彼が死んだことを咎めず『(彼の)無礼を許してくれ』と謝るあたり人望は無かったようである。
- ミラルパ(原)
- 神聖皇弟。超常の力を持つために兄ナムリスを差し置いて帝国の実権を握っている。兄によると即位して初めの20年は名君として臣民のことを案じていたが、やがていつまで経っても愚かな民衆に絶望し、恐怖政治へと移行したらしい。老いと死を何より恐れており、シュワの墓所の技術で延命処置を行っているが、幼少時のトラウマから移植を嫌い、沐浴などの化学的処置で長寿を保っている。その為、肉体がすでに限界に達しており、長時間外の空気にふれる事の出来ない体になっている。3巻では比較的見た目の若いのに対し、4巻では長時間沐浴をしていなかった為に髪が全て抜け落ち、皮膚もシワだらけになり、目が窪むなど急激に老化が進んだ。その後、ナウシカを葬り去ろうと精神だけで接触したが反撃を受け失敗。治療の為に聖都シュワで沐浴していた所をナムリスによって薬液に毒物を入れられ謀殺された。肉体の死後も魂とも言えるその影はさまよい続け、ナウシカに乗り移ろうとしていたが、ナウシカによって救われ成仏した。
- ナムリス(原)
- 神聖皇兄。超常の力が無かった為、帝位に着きながらも実権を弟に奪われていた。弟と違い体が分解する恐怖を克服し、肉体移植により若さを保っている。極めて狡猾かつ冷酷な性格で、トルメキアに侵攻しようとしている事を「愚行の繰り返し」と開き直り、人間の営みを「いじましくみみっちい」と切り捨て、ユパに人民を救出しないのかと問われ「艦を難民船にしろと言うのか?」と吐き捨て土鬼の民を見殺しにしようとしたりした。治療のため帰還した弟を謀殺。実権を取り戻し、ヒドラ達を率いて自ら出陣する。そして、クシャナの持っているトルメキアの王位継承権と第3軍精兵の持参金を狙い彼女を捕縛し政略結婚を図る(その時のやり取りから、お互いに顔見知りのようである)。その後、巨神兵を伴い難民たちと供にトルメキアへ侵攻しようとするが、ナウシカが難民たちを説得し土鬼諸侯の殆どが離反。ナウシカと対峙し辱めようとするが、彼女を母親と認識した巨神兵に左腕と胃袋を吹き飛ばされ瀕死の重傷を負う。その時に体はヒドラと同じにしたと本人が語っており、肉体をヒドラに置き換えることで不死身になっていたものと思われる。クシャナに胸座を掴まれた時に首がもげたが、頭だけになってもしゃべっていた(ただし苦痛は人間のまま)。巨神兵が飛び立ったときの光圧で船から落下し、その後の消息は不明。
- 初代神聖皇帝(原)
- ナムリス、ミラルパの父。かつては民衆の救済を願う少年であり、「人類を救いたい」と書き残して庭の主の許から連れ出したヒドラと共にクルバルカ家を滅ぼし帝位に就く。しかし、結局は人間の業に負け虚無に喰われ、土民を愚民としか見なくなり、過去の人の歴史と同じ過ちを繰り返していく。肉体移植により長寿を保とうとしたが、まだ完全な技術では無かったため、何らかの異常により身体が分解して肉片の塊となって死亡。その場に居合わせた事が、ミラルパが移植を拒む理由になっている。
- 博士(原)
- 土鬼の僧会に仕える科学者の総称。墓所に封印された技術を使い、皇弟の延命措置や皇兄の不老不死化の手術、粘菌やヒドラの培養・育成、巨神兵の蘇生などを行っていた。実際は『聖なる文章の解読と検証にすべてをささげる教団』に属しており、自らを『墓所の主の下僕として中に住まうことを許された選民』であると語っている。ちなみに、博士として表舞台に出てくるのは教団が養成した下人である。恐らく下人以外は全員ヒドラ。そして、下人にはシュワの墓所についての詳しい事柄は知らされていないようである。
- ヒドラ(原)
- 墓所の秘術により生み出された身長3m程の人造兵士。怪力で人間の力では歯が立たない。サボテンの様な体表を持ち、頭部を破壊されない限り死なない。知能は低く共食いさえする。ナムリスが長年かけて手懐けていた。ヒドラ使いは歯に細工をして独特の音を出してヒドラを操っている。
- チクク(原)
- クルバルカ家の末裔の少年。本名ルワ・チクク・クルバルカ。超常(念話)の力を持ち、ナウシカを慕い行動を共にする。
- チヤルカ(原)
- 軍司令官。僧兵上がりで超常の力は無い。ミラルパの忠臣で、攻城砲全滅の責任を問われ司令官を解任されるが、その後も彼に重用された。ナウシカやチククとの出会いにより国土や国民を大海嘯から救おうとする。ナウシカが行方不明となったのを聞き飛行ガメで救出へ向かう。そこでセルムから腐海や粘菌を含む自然の営みを聞かされ自らの愚かさに気づく。ナウシカ救出後、セルムとチククに彼女を託し、宿営地へ帰還するがナムリスに捕縛される。そして、見せしめに処刑されかけるがナウシカとチククに救出され、生き延びた人々を率いて海岸沿いの高台へ避難させた。
- 粘菌を積んだ艦を爆破時に死亡したと思われていた為(実際はナウシカに救出され、行動を供にしていた)、報告があった時に『皇弟様や僧会にとって大変な痛手となった』と言われ、処刑時にナムリスからも『殺すには惜しい人物』と評されたことから、その能力を高く評価されていたことが伺える。人柄もよく、サパタ族の人間に因縁をつけられていたサジュ族の女性を助け、子供たちの名札を作りケドの地への移住を手配したり、サパタ長老の失言や僧兵の前で邪教のお経を唱えた民衆を非常事態であるからと(前者は国を思うあまり、後者は救助が来た嬉しさのあまりで、両者とも反逆の意図は無かった)見逃した事からも良く出来た人間であることが伺えるが、司令官と言う役職柄恨みを買うことが多く、人民の救出に奔走していた事実を知らない者の評価はかなり悪い(現にマニ族からは『悪党』呼ばわりされている)。
- 名も無き僧兵(原)
- 名称不明の僧兵。ナウシカ救出に向かうチャルカ達に同行し、飛行ガメの操縦を担当した。ちょい役だが6巻の1/3ほど出ずっぱりでセリフも多く割と存在感がある。ナウシカ救出後、チャルカと供に宿営地へ帰還するが、彼がどうなったかは不明。
- 庭の主(原)
- シュワから20リーグほど離れた廃墟に住むヒドラ。瞬時に人の心を探る能力を持つ。訪れた人の心に入り込み、悲しみや苦痛を忘れさせ下僕としてしまう。今までにこの呪縛をといた人物は先代の神聖皇帝とナウシカのみ。決まった姿を持たず相手に合わせて変えており、ナウシカの前に現れた姿は母親に似た女性。実は古の詩や曲、古代の生物などの文化を伝える役目を担っていた。
- 墓所の主(原)
- シュワの墓所の地下に存在する球体の肉塊。「火の七日間」以前の超技術や腐海の秘密を守り続けており、夏と冬の年2回、1行ずつ表面に古代文字で浮き出てくる。実は墓所全体が一つの生物であり、オーマの攻撃で真っ二つに裂けたが、自ら傷口を塞いでいた。彼も又ヒドラであり、千年前に作られた神の一つである。協力を拒否したナウシカとヴ王を希望の敵として抹殺しようと図るも、ミトやセルムの妨害に遭い隙が出来たところをオーマの命を掛けたプロトンビームを受け傷口が再び破れる。そして最期は傷口に沿って這い上がってきたオーマに握りつぶされ悲鳴と供に崩れ去った。
- その体液は王蟲と同じ成分で、より深い青色であった。
[編集] ペジテ
トルメキアと同盟を結んでいる小さな都市国家。火の7日間以前の遺跡からエンジンやセラミック装甲等を発掘しては加工供給する工房都市である。このペジテで巨神兵の「卵」(漫画版では骨格)が発掘され、それを狙ったトルメキアの侵攻を受けた事から物語は展開する。
漫画版では、クシャナ率いるトルメキア親衛隊に滅ぼされ、避難民船も蟲に襲われ墜落しアスベルを残し全滅してしまう。
映画版では、生き残りの避難民達は巨神兵を使い腐海を焼き人間の世界を取り戻すことを最終的な目的にし、ペジテに駐留するトルメキア軍を壊滅させるため王蟲を使ってみずからの国を滅ぼす。そして巨神兵奪還のため風の谷に王蟲を向わせるが、ナウシカの命がけの制止により王蟲は止まり、作戦は失敗する。以後については語られていないが、エンディングで風の谷の人とペジテの人が供に、農作業をしているような場面があったため、風の谷に移住したと思われる。
なお「ペジテ」という地名は、以前に宮崎の漫画「砂漠の民」で主人公の属する民族・ソクートの王都として登場している。
- アスベル(原,映)
- ペジテの王子。トルメキアへの復讐心に捕われていたが、ナウシカとの出会いにより世界を救うために行動する。腐海からの脱出時にナウシカと供に土鬼マニ族の捕虜となるが、ナウシカを逃がすためにマニ族に留まる(その際、マニ族僧正を人質にしたため、ナウシカを逃がした後に袋叩きにされる)。そしてマニ族の戦士として潜伏。訪れた蟲使いの村にて僧正、ケチャ、潜入していたユパと協力し王蟲の培養槽を破壊。脱出に成功するものの僧正が彼らを庇い死亡。その後、乗っていた船を撃墜され森の人に保護される。そして、腐海から脱出後、ミト達と合流。以後はガンシップの前席を主に担当し、ナウシカを追って再び腐海へと入った。その時、クシャナと合流した際、切りかかろうとするがユパが仲裁に入り事無きを得る(ただ、完全に和解した訳ではない)。その後、ナムリスが北上作戦を試みた際にはマニ族を説得し、ナウシカに秘石を渡した。そして、シュワへ向かったナウシカを追うため、再びガンシップの前席を担当。シュワへ到着後、巨神兵のプロトンビームの余波を受けエンジンを損傷。ミトと『生き残ったほうが、ナウシカに生きるよう伝えよう』と約束を交わし墓所の中へ侵入を試みる。主の元へはたどり着けなかったが、オーマが死亡し悲しみに沈んでいたナウシカと、瀕死のヴ王らを収容し、墓所の中から脱出。ケチャと抱き合い喜びを分かち合った。
- ラステル(原,映)
- アスベルの双子の妹。乗っていた避難民船(映画版ではトルメキアの軍艦。手錠をかけられていることから、人質としてトルメキア本国へ護送される途中だったと推測される)が蟲に襲われ、ナウシカに看取られて息を引き取る。
- ラステルの母(映)
- ペジテ残党に捕らえられたナウシカを逃がす。
- 族長(映)
- 王蟲を使ったトルメキア軍壊滅作戦を進める。
[編集] 蟲使いと「森の人」
いずれも映画版には登場しない。
蟲使いは、蟲を操り遺跡や墓所を探索して宝物を探し当てるのを生業にしている者達である。強烈な悪臭(おそらく、風呂に入る習慣が無いため、あるいは蟲の発する臭い)と死体を好んでまさぐり金品を盗る事、探索用の蟲を連れている事から、一般の人びとには忌み嫌われている。腐海内の換気装置を備えた岩穴に住んでいる。
かれらの発祥は、かつての王国、エフタルの武器商人の末裔であると言われている(しかし、ユパによると森の人が蟲使いの祖であるという伝承もある)。300年前、エフタルの王位継承をめぐり、武器の材料として大量に王蟲狩りをしたため大海嘯が起こった。11の部族が存在したらしいが、長年の間に3つの血が絶え、8つになったらしい。子孫を残すため、自分たちの子供だけでなく、戦争孤児を育てることもしている。
今回の戦争では、トルメキア・クシャナ軍に秘石の探索用に、土鬼側にはオトリ用王蟲確保のためにそれぞれ雇われている。終盤では、各部族から1人ずつ選ばれた屈強な若者たちがシュワに向かうナウシカと行動をともにする。
その蟲使いたちが恐れ敬うのが「森の人」である。作中では蟲使いが「森の人」に対して「住んでいる森に勝手に入って申し訳ありません。すぐに出て行きます」という旨の謝罪をし、いつもはなりふり構わず持っていく墜落した船のエンジンすら置いて帰った。
火を使わず、蟲の腸を衣とし、卵を食べ、体液で作った泡を住処とするかれらの生活様式は、人間と腐海・蟲との共存の一つの形であると言える。また、地上で暮らす人々が使っているマスクよりも彼らが使っているものの方が性能が良く、蟲の体液のテントも腐海の瘴気に耐えられるものである。しかし彼らの素性などは謎につつまれており、多くは語られていない。一説には、エフタルが滅びた際に腐海に入ったエフタルの民(おそらくは王族)では無いかとも言われるとユパが語っている。セルムが「私の祖父と母は蟲使いの出です」とナウシカに語っていることから、蟲使いたちとの関わりも深いようである。
博識のユパさえも実在したことに驚いたほど、外界と接触を持たず、ある種の伝説とされてきた「森の人」だが、ナウシカの考えなどとは繋がるものがあったようだ。なかでもセルムは彼女を孤独の淵から救い、「森の人」しか知らない腐海の秘密を教えた。また、シュワでは肉体を離れて傍に立ち、ナウシカの旅を支えた。1度一緒に来てくれないかと誘ったが、ナウシカは、地上で暮らす人々を愛し過ぎていること、1つ1つの命と関わってしまう自分と対照的に「森の人」は時の流れの中に身を置いている、ということなどを理由に断った。ただし、物語が終わった後のナウシカの消息について、ある伝承は森の人の元へ去ったとも伝えている。
- セルム(原)
- 「森の人」の長の息子。腐海の異変を調べるために派遣された。腐海に墜落したユパたちを救い、ナウシカを導く。
- セライネ(原)
- セルムの妹。ユパたちを救った時にケチャと仲良くなっている。また、そのあとセルムたちとは別行動をとっていたらしい。独り王蟲の群れを追うナウシカと会い、壊れていたナウシカのマスクを修繕する。
[編集] 腐海
巨大な菌類・苔類・シダ類からなる森である。蟲と呼ばれる巨大な節足動物が多数棲んでいる。
腐海植物は、猛毒の瘴気を出すため、腐海内では蟲以外の動物は防毒マスクなしには生きられない。胞子の生命力は強く、僅かでも胞子を持ち込めばその地は腐海に覆われる。腐海周辺の人びとは、都市に胞子を持ち込まないように注意を払っている。胞子は発見され次第、迅速に焼却される。
作品中で、人びとを脅かす腐海の植物群は、科学文明によって汚染された大地を浄化させるために生まれた存在であることが判明する(漫画版では、自らの過ちを悟った科学文明によって人工的に創り出されたものであることも明かされる(バイオレメディエーション))。
瘴気は地中の有毒物質を無毒化・固定化する過程で生じた毒素である。そのため腐海の植物群はその土地を無毒化しきってしまえば枯れて砂になってしまう。腐海の植物の胞子を清浄な水と空気の中で水耕栽培した場合、瘴気を出さず、また大きく育たない事がナウシカの独自の研究により判明した。
腐海を貫くタリア河の石は、その美しさから装飾品として珍重されており、ユパも現金代わりに用いている。
- ヒソクサリ
- 猛毒の腐海の植物。
- ムシゴヤシ
- 王蟲が好んで食べることからこう呼ばれる。新しい腐海が出来るときはムシゴヤシが先駆的に成長し、そのあと小型で多様な植物群がゆっくりと成長し、多様な腐海の生態系を形成していく。成木は光合成を行い、最大50メルテまで成長する。
[編集] 蟲
腐海に生息する巨大な節足動物。さまざまな種類が存在する。地蟲、羽蟲、管蟲などに大別される。 人びとが容易に腐海に踏み込めないように配置された、腐海の守護者的な存在。 瘴気の無いところでは長くは生きられない。
- 王蟲
- 読みはオーム。14の眼を持つ腐海の王的存在。ダンゴムシのような姿をしている。眼の色は普段は青いが、怒ると赤くなる。体液の色は青。口腔から伸びる金色の触手は治癒能力を有している。腐海にある湖の中に巣を持っている。
- 蟲のなかでも最大・最強を誇るが、人の知恵はその王蟲さえも利用するに至った(抜け殻を有効利用。堅牢な表皮を研いで剣としたり、眼球部分をガンシップのキャノピーとして使用。)。
- このデザインはオーストラリアにあるカタ・ジュタ奇岩群を元にしたとも言われているが定かではない。
- 映画版では王蟲の巨大さと重量感を表現するためにハーモニー技法が用いられ、さらに体節の動きを再現する為に、パーツを貼り付けたゴム板を伸縮させて撮影している。
- 大王ヤンマ
- 森の見張り役とされる羽蟲であり、何らかの異常が起こったときにほかの蟲を呼び集める働きを持つ。小さなものは人と同程度の体長で、細長い体に2から4対の羽を持つ。
- ウシアブ
- 乗用車ほどの大きさの羽蟲で、羽を広げるとメーヴェの倍程度ある。丸い体に2対の羽を持つ。
- ウシアブの頭部のデザインは、諸星大二郎の漫画「マッドメン」に登場する怪物「ン・バギ」に良く似ている。
- ヘビケラ
- 竜のような形状で、平たい体に4対の羽、顎には巨大な鍬状の歯を持つ羽蟲。尾の先には太い棘が生えている。バカガラス(トルメキアの輸送船)より速い飛行能力を持つ。
- ミノネズミ
- 地蟲の一種。腐海に落ちたアスベルを襲った。丸くやや扁平な体で、頭部には鍬状の歯を持つ。漫画版では名前の通り毛が生えている。敵に接近するとコメツキムシの様に跳ねて襲いかかる。
- 地蟲
- その名の通り、飛行能力を持たず地を這う蟲を指すようである。腐海に落ちた船や人は主に地蟲の餌食となる。
- 管蟲
- 原作版にのみ登場する。細長い円筒状の形態で、目や体節等は見あたらない。岩肌や腐海の木々などに丸い巣を作る。腐海に落ちたユパ、ケチャ、アスベルはこの巣に引っかかった。
[編集] 動物
- テト
- ナウシカと行動を共にするキツネリス。本来、人には懐かないがナウシカは例外であった。原作では、巨神兵オーマの毒の光をナウシカと共に浴び続けた事により、シュワへ向かう途中ナウシカを保護した(陰では利用しようとしていた)トルメキア王子の戦艦の中で、下着姿で眠っていたナウシカの胸の上で死んでしまう。その亡骸は、シュワへ向かう途中1000年以上その地に生き続けていると思われる木の根元に、ナウシカによって葬られた。
- ちなみに、映画ではテトは死なない。
- クイ、カイ
- ユパの連れている二匹のトリウマ。このトリウマには仲間が死ぬと卵を産む習性があるらしい。原作でクイはカイが死んだ際に卵を産んだ。生まれた雛はチククと仲良くなっている。
- キツネリス
- 長い尾と耳を持つ、小型の獣。雑食性。黄色の体毛に茶色の大きなトラ柄がある。眼は緑色。天空の城ラピュタにも登場しロボット兵の上で戯れる姿が描写されている。
- トリウマ
- 巨大な嘴と頭部、強大な脚を持つ走鳥類。原作のユパの言葉によれば、過去の産業文明が造り出した種であり、作品中ではウマがほ乳類であったことも忘れられている。トルメキア及びエフタルの民の主な移動手段となっている。モデルは化石種の鳥、恐鳥類と思われる。
- 毛長牛
- 土鬼での主な移動手段であり、トルメキアやエフタル諸国でも荷を運ぶ重要な家畜のようである。モデルはヤク。天空の城ラピュタでの冒頭、シータが世話をしている家畜が同じ形態をしている(こちらはヤクと呼ばれている)。
[編集] 巨神兵
前文明の科学技術の象徴的存在であり、「火の七日間」で世界を焼き払った巨大な人工生命体。この世界ではその全てが化石となり腐海にその骸をさらしていると考えられている。
漫画版の巨神兵には歯の部分に「東亜工廠」と読める商標がある。漫画に登場する種々の残骸を見ると、頭部に角のあるものや、口の部分のデザインに異同があり、同じ巨神兵といっても様々なタイプがあることがわかる。骨格に相当する部分は超硬質セラミック製で、「謎の黒い箱」の中にある秘石を右のくぼみから左のくぼみへ移すと、心臓や筋肉が形成される。
漫画版では、ペジテで骨格が発見され、前述の「謎の黒い箱」にある秘石を動かしたことで成長が始まる。当初はトルメキアが奪取に乗り出すが、秘石を発見できなかったために断念。後に土鬼に奪取され聖都シュワにて蘇生される。その後、トルメキアに侵攻するためにナムリスの元にサナギ(人工子宮)の状態で運ばれるが、巨神兵破壊のために撃ったガンシップの砲撃で、逆に孵化が始まり目覚めさせてしまった。このとき秘石を持っていた人物がナウシカであったため、ナウシカのことを「ママ」と呼ぶ。(のちに「母さん」となる)
秘石はアスベルが捨てたと見せかけて隠し持っており、このときナウシカに渡した。秘石を体内に取り込んだ直後に片言の言葉を話すようになり(このあと秘石は壊れてしまう)、ナウシカに「オーマ」(エフタル語で「無垢」の意)の名前を与えられ急激に知性を発達させる。巨神兵という生命体の正体は、前文明があらゆる紛争に対処すべく生み出した調停者にして裁定者であった。
空間を歪め宙に浮き、高速で移動することができる。全身からは「毒の光」を放っている。自分の放つ光が有毒であることは理解しているようで、ナウシカに休息を促し単身でシュワへ向かった。口蓋より強大な破壊力をもつ光線「プロトンビーム」を発射する。額からは出力を弱めたものを発射可能。以前は無闇に使用しようとしていたが、トルメキアの調査隊を皆殺しにした事でナウシカに使用を禁じられ、本人もナウシカの目の前での使用は出来るだけ控えており、使用する時も言葉による最低限の説得は行う様になった(ただし、パニックに陥った兵士に説得など無意味だった)。ちなみにナウシカがプロトンビームの使用を許したのは、墓所の主を葬り去るときの1度のみで、これがオーマの致命傷となった。
当初はオーマの死を願っていたナウシカも、オーマと名付けてより、巨神兵が人格を持っていることを理解し、徐々に愛情を注ぐようになり、オーマの死には涙した。最後はナウシカに立派な息子と認められ、母であるナウシカに看取られながら息を引き取った。汚れの無い純真無垢な心の持ち主で、死ぬ間際までナウシカのことを気遣う優しい心を持っていた。今際の言葉は『母さん。泣かないで…』。
映画版では、ペジテで卵が発見されトルメキアがペジテに侵攻し奪取。その後、大型船で本国へ運ぼうとするが、巨神兵の重さに耐えられず腐海に着陸したため蟲に襲われ、舵を誤って崖に激突し風の谷に墜落。その後、捜索に来たクシャナがそのまま風の谷にて蘇生しようとする。その後、王蟲の大群が風の谷に迫った時に、これを食い止めるためクシャナの手により目覚めさせられるが、目覚めが早すぎたためにプロトンビームを二発撃った後、体が腐食し崩れてしまう。人間による攻撃命令を理解しているようではあるが、漫画版程には知能を感じさせる描写はない。
[編集] 粘菌
漫画版のみに登場する腐海に自然に存在する生物。本来は500円玉ほどの小さな群れを作る。(変形菌)
トルメキア戦役では苦境に陥った土鬼の戦局打開の切り札として、神聖皇帝の命により秘密裏に人為的に強毒化された植物が暴走、変異し粘菌化した。成長するにつれてますます制御不能となり、周囲にある物すべてを飲み込みながら巨大化し、大海嘯の引き金となる。死を賭した王蟲の大群によってもたらされた腐海の植物群と混ざり合い、巨大化した人工粘菌は規模を縮小。その後、大量の王蟲の亡骸は腐海の苗床となり、広大な土鬼の領土の大半が腐海に没した。土鬼は、みずから生み出した粘菌によって滅亡したと言えよう。
[編集] 大海嘯
物語の中では腐海に住む蟲たち(特に王蟲)の大群が、津波のように押し寄せることを大海嘯と呼ぶ。風の谷の大ババの口述によれば、火の7日間の後3回発生している。300年前の最後の大海嘯は、エフタルの王位継承争いの内乱により急増した武具の需要に応えるため、王蟲を組織的に狩る方法をあみ出した武器商人により大量に王蟲が殺されたことが引き金となり、怒り狂った王蟲の大群がエフタル全土を覆った。大海嘯の間、王蟲はエサを食べないため、およそ二十日で飢餓により死に、これによって大海嘯はおさまる。しかし、王蟲の死後はその亡骸を苗床にして腐海の植物が成長するため、大海嘯に襲われた地は腐海に没する。
ちなみに本来「海嘯」とは、アマゾン川で発生するポロロッカのように、大潮の際に海水が河川に猛烈な勢いで逆流する現象をさす。
[編集] 年代記
話の所々に出てくる歴史書。火の七日間とそれ以降の歴史が記されている。ちなみにクシャナは同書物にて『トルメキア中興の祖』[11]と記されている事から、ナウシカ達のいる世界は、未来人から見て年代記に記された4度目の大海嘯の記述だとも推測できる。執筆者は不明だが、最終話にてナウシカの時代に存在していたにもかかわらず、以降も執筆された事が発覚。その事からヒドラ又は庭の主執筆説がある[要出典]。
[編集] 腐海文書
300年前の大海嘯の時に歌われた詩で、当時どの様な惨劇が起きたか記されている。年代記と同じく庭の主執筆説がある[要出典]。
[編集] 滅亡の書
火の七日間の時の事を記した文献。巨神兵の事の記述がある。
[編集] 超常の力
漫画版のみに登場する特別な力のこと。一言で超常と言っても、土鬼の僧のように訓練すればできる念話から、幽体離脱、サイコキネシス、幻影、憑依のように才がなければできないものまで様々である。物語上では、皇弟ミラルパ、森の人セルム、チクク、ナウシカ、高等なヒドラ~人造人間(庭園の主など)が特に強い超常の力を持っていた。
[編集] 船(飛行機)
原作において、エンジンを造る技術が失われて久しく、現存するエンジンのみを回収・再利用して船を建造していることが説明されている。腐海においても瘴気が届かなくなる高度を保てばマスク無しでの移動が可能であり、貴重かつ重要な輸送、移動手段とされている。作中で船と言えば一般的には飛行機である。映画版・漫画版とも風の谷の城の深部には廃棄されたガンシップ(の機体)の描写がある。なお海上を航行する船に関しては、漫画版の第1巻のクロトワがクシャナに主戦線の戦況を報告する場面で、海上から強襲揚陸艦らしき船で揚陸作戦を敢行している描写が見られるが、登場はその一回のみである。
- メーヴェ
- 辺境の風使いが用いる凧。小型だが強力なエンジ
