空飛ぶゆうれい船

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
空飛ぶゆうれい船
監督 池田宏(「演出」名義)
脚本 辻真先、池田宏
原作 石森章太郎
製作 大川博
出演者 野沢雅子
田中明夫
里見京子
岡田由紀子
音楽 小野崎孝輔
主題歌 「空飛ぶゆうれい船」(スタジオ女声コーラス)
製作会社 東映動画
配給 東映
公開 日本の旗 1969年7月20日
上映時間 60分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
前作 長靴をはいた猫
次作 ちびっ子レミと名犬カピ
テンプレートを表示

空飛ぶゆうれい船』(そらとぶゆうれいせん)は、1969年7月20日に「東映まんがまつり」で公開された東映動画製作の劇場用アニメ映画。60分。カラーワイド版。

原作は、1960年の月刊誌『少年』に掲載された石森章太郎の短編漫画「ゆうれい船」。

60分の児童向け映画ながら、巨大コンツェルンが自己の利益のために陰から政府を動かしたり、テレビの情報操作(スタジオでの大騒動が放送途中でカットされ、CMが延々と流される)など、政治的な内容を子供にも判りやすい形で表現している。また、巨大ロボット・ゴーレムと国防軍の戦闘シーンでは、攻撃する戦闘機パイロットからの視点で表現するという当時としては斬新な演出がなされている。

ストーリー[編集]

大企業・黒潮コンツェルンに関係する貨物船やタンカーばかりが謎の幽霊船に襲われる事件が頻発していたある日、大好きなボアジュースを飲みながら両親とモーターボートを楽しんでいた隼人は、海岸の道路で交通事故を目撃する。事故に遭ったのは隼人の父・嵐山が勤める造船所の親会社・黒潮コンツェルンの黒潮会長夫妻で、隼人と父は、介抱するため、幽霊屋敷と呼ばれる洋館に夫妻を運び込んだ。その洋館で隼人は、ドクロの仮面を付けた幽霊船の船長と遭遇する。

数日後、隼人と父が街に出かけている時、幽霊船の使者と名乗る巨大ロボット・ゴーレムが現われ、 街を破壊しはじめた。防衛軍の戦車隊や戦闘機が出撃するが、全く歯が立たず、隼人の父もビルの破片に当たって重傷を負ってしまった。重傷の父親を何とか家に連れ帰り、ドアを開けた隼人が見たのは、ガレキに押しつぶされた母親の姿だった。

その夜、臨時の救護センターで、瀕死の父は、隼人に驚くべきことを語る。十年前、父親が勤める造船所の海岸に板切れに乗った赤ん坊が流れついた。子供のいなかった嵐山夫妻は、その赤ん坊を自分たちの子供として育てることにしたが、その赤ん坊が隼人だったのである。その時一緒にあった赤ん坊の隼人と実の両親が写った写真を隼人に託すと、父は息を引き取った。

数日後、隼人は黒潮会長を訪ね、黒潮会長が組織しようとしている幽霊船討伐隊に自分を加えるように頼み込んだ。両親の仇を取るためである。ちょうどその時、テレビの臨時ニュースで、巨大ロボット・ゴーレムが出現し、街を破壊していることを放送していた。ニュースはさらに驚くべきことを告げていた。白昼堂々、幽霊船が東京湾に出現したのである。

幽霊船を発見したゴーレムは、ロケットを噴射して空中に飛び上がり、腹部からミサイルを発射した。しかし、なぜか、ミサイルは見えない壁(恐らくバリヤー)にぶつかるように幽霊船の直前で自爆してしまった。

やがて、幽霊船も、空中に浮き上がると、船体のハッチを開けていく。中から、ミサイルランチャーが次々に現れてきた。外見はボロボロの帆船でも、中身は最新兵器で武装し、空中浮遊も可能なハイテクメカだったのである。このような発想も当時としては斬新であった。当時は見た目が新しく最新鋭で大きく強そうに見えるというのが子供受けをする普通の発想だった。後年製作されるマジンガーZは、同社制作の空飛ぶ幽霊船の政策意図を色濃く反映させているが、子供向け玩具販売の為にその意図とは逆の発想で作れている。

巨大ロボット・ゴーレムは、当初は果敢に幽霊船に対して腹部開口より次々とミサイルを連射するもそのぜい弱な部分を幽霊船のミサイルで逆に集中攻撃を受けた。更に片腕を吹き飛ばされると、船首レーザー砲の直撃を受けて、海に墜落していった。

テレビ放映中に中座した黒潮会長を捜していた隼人は、偶然、黒潮邸の秘密を発見してしまう。黒潮邸の地下には秘密の兵器工場があり、しかもその兵器は輸出までされていたのである。

兵器工場の奥には秘密基地もあり、そこには幽霊船との戦闘で吹き飛ばされた片腕の後も生々しいゴーレムが鎮座していた。

隼人は最奥部の会議室で、黒潮会長たちの会話を聞いてしまう。黒潮会長は、任務に失敗した埴輪国防長官を処刑し、系列のテレビ局を使って幽霊船の脅威と国防軍増強の必要性を訴える一方、系列の建設会社にはゴーレムに破壊された街の再建工事受注を指示していた。幽霊船の使いという触れ込みで巨大ロボット・ゴーレムを動かしていたのは、実は黒潮会長だったのである。さらに隼人は黒潮会長の背後にボアという黒幕がいることまで知ってしまう。

隼人は、黒潮邸の秘密を警察に訴えに行くがまったく相手にされない。警察では、人間が衣服だけを残して消えると言う謎の蒸発事件が話題になっていた。

警察署を出た隼人は謎の黒服に拉致されてしまうが、連れて行かれたのはテレビ局のスタジオだった。スタジオには黒潮会長もいた。隼人の少年らしい正義感を、幽霊船討伐キャンペーンに利用しようとしていたのである。

この状況を逆手に取った隼人は、黒潮会長自身がゴーレムを操っていること、黒潮邸の秘密、黒幕のボアのことまで、テレビ放送で暴露する。

その時、巨大なカニがスタジオに乱入し、スタジオ内は大混乱に陥る。ボアの名前が表に出たことで存在価値がなくなった黒潮会長をあっさり消し去った巨大カニは、凶暴なツメを隼人に向けた。必死に逃げる隼人だが、テレビ局の屋上に追い詰められてしまう。絶体絶命の隼人を救ったのは、空飛ぶ幽霊船だった。

隼人の勇気を称えた船長は、幽霊船の船内を見学させてくれた。動力源の原子炉、船を推進させる反重力装置、ミサイル、レーザー砲、磁力砲などの強力な兵器、さらに、レーダー電波を吸収し、ステルス化するためのレーダー吸収装置などに感嘆する隼人。ところが、たまたま操舵室を見学していた時、隼人はボアジュース中毒で突如苦しみだし、うっかりレーダー吸収装置のスイッチを切ってしまう。

ボアに発見され猛攻を受ける幽霊船。回復した隼人が見たのは、メチャメチャになった船内だった。ボアの攻撃により、幽霊船の主兵器は完全に破壊され、船長は負傷、生き残った大人はドクターだけとなってしまう。隼人は看護婦の少女とふたりでボアと刺し違えることを決意し、ボアの本拠地へと幽霊船を向けるのだった。幽霊船はボアの本拠地の巨大ゲートが閉じるわずか前にその内部に突入し自爆する。このようなラストシーンもスターウォーズ、さらば宇宙戦艦ヤマト等でも用いられており矢張り当時としては非常に斬新であった。出来栄えとしては当時の最高技術や手法が用いられており後年製作される日本アニメの原器ともいえる本作品である。

スタッフ[編集]

キャスト[編集]

同時上映[編集]

関連事項[編集]

  • 原画スタッフの一員として若き日の宮崎駿が参加している。ゴーレムと戦車の破壊シーンを手がけたことは有名。この戦闘機のパイロットの目線での描写は後の金田伊功の作画に影響を与えたと言う。この場面のシチュエーションは、そのまま彼の演出による「ルパン三世 (TV第2シリーズ)」の最終回「さらば愛しきルパンよ」で再現されている。またここで使われた表現技法はその後の宮崎演出の中にたびたび見ることができる。
  • 「ボワジュースのうた」は本編中でジュースのCMソングとして使用されているが、本編で流れなかった部分では当時の有名なテレビCMフレーズ(パイロット万年筆の「はっぱふみふみ」など)のパロディが含まれており、コマーシャリズムへの強烈な皮肉を伴った内容となっている。なお、画面上では「BOA Juice」と表示されるが、曲名および歌詞においては「ボジュース」である。
  • 2007年にアニメ化された同じく石ノ森章太郎原作のスカルマンの主要キャラの一部に本作の主要キャラの名前が流用されている。
  • テレビアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』とその映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』には、黒潮物産製の「BOAビール」や「ボアジュース」、KUROSHIOのロゴの入ったビーカーや重機が登場する。
  • 巨大ロボット・ゴーレムは、「マジンガーZ」(68話)でDrヘルの機械獣として数体が1カット登場している。
  • 本作はその後TBS系列で、『夢の世界旅行 クイズジャンボ』(司会:前田武彦)終了後、同じ石ノ森章太郎原作・東映動画制作作品『原始少年リュウ』開始までのつなぎ番組秋のまんが祭り』(土曜19:00 - 19:30)の一環として、1971年10月2日&10月9日に2分割して放送した。更に翌10月16日&10月23日では、1970年に上映した石ノ森&東映動画作品『海底3万マイル』を2分割して放送した。
TBS 土曜19時台前半枠(当番組よりアニメ
前番組 番組名 次番組
空飛ぶゆうれい船
TBS系 秋のまんが祭り
(なし)
空飛ぶゆうれい船
海底3万マイル

映像ソフト[編集]

  • ビデオ化(VHS)やLD化はされたが絶版、2003年6月21日にDVDが発売された。