アマゾン川

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アマゾン川
Sunset on the Amazon (7613489930).jpg
コロンビアレティシアにおけるアマゾン川の夕焼け
延長 6,516 km
水源の標高 5,597 m
平均流量 291,000 /s
(河口)
流域面積 7,050,000 km²
水源 ミスミ山
河口・合流先 大西洋
流域 ブラジルの旗 ブラジル (62.4%)
ペルーの旗 ペルー (16.3%)
ボリビアの旗 ボリビア (12.0%)
コロンビアの旗 コロンビア (6.3%)
エクアドルの旗 エクアドル (2.1%)
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アマゾン川(アマゾンがわ、: Rio Amazonas, 西: Río Amazonas, 以前は 西: Rio Orellana)は南米ブラジルとその周辺国の熱帯雨林アマゾン熱帯雨林)を流れ、大西洋に注ぐ世界最大の河川である。数多くの巨大な支流を持ち、アマゾン川という名称はそれらの総称として用いられている。

概要[編集]

アマゾン川流域

アマゾン川は世界最大の河川の一つである。特に流域面積では2位以下のコンゴ川ナイル川ミシシッピ川のそれぞれ2倍程度、オーストラリア大陸の面積に匹敵する705万km²にわたる。1973年から1990年の平均流量は毎秒 291,000 t と推定される[1]。全世界の川の流量の 25% を占めている。水深も深く、河口から 4,000 km 上流まで遠洋航海用の船が航行できる。平均水深は雨季で 40 m である。

名称としてのアマゾン川は、ペルーではアンデス山脈のミスミ山スペイン語版英語版を源流とするウカヤリ川と、ラウリクチャ湖スペイン語版英語版から流れ出たラウリクチャ川スペイン語版英語版/マラニョン川イキトス付近で合流する所からの川を指す。ただしブラジルに入るとこの川はソリモンエス川ポルトガル語版英語版と呼び名が変わる。ブラジル国内や約2000km下ったネグロ川との合流地点から、ふたたびアマゾン川と呼ばれるようになる[2]。このアマゾン川には、支流では最大の流量・流域面積を持つマデイラ川と、次いでタパジョース川シングー川などの大きな河川が南側から合流しながら河口まで続く[2]

アマゾン川の標高河口から 1,600 km 遡っても 32m 、3,800 km 遡っても80 m しかない。アマゾニアと呼ばれる広い大湿原の低地が広がっている。新生代以降にアンデス山脈が隆起するまでは太平洋側に流れていた。

アマゾン川の流域面積は世界最大であり[2]、ジャングルや大湿原などのいわゆる自然のダムや地下に含まれている水の量は世界の全河川の 2/3 に当たる膨大な量である。

世界主要河川の比較
アマゾン川 ナイル川 ミシシッピ川 長江 ヴォルガ川 コンゴ川
長さ(km) 7,025 6,671 3,779 6,300 3,700 4,700
流域面積
(100万km²)
7,0 2,9 3,2 1,8 1,3 3,7
平均流量
(1000m³/s.)
209 2-3 18 32 8 41

規模[編集]

アマゾン川の源流 ペルーのミスミ山山麓。木製の十字架が立てられている (2006年)
アマゾン川の水源

長さの論争[編集]

南米大陸の北部を大きく流れるきわめて巨大な水系を持ち、いくつもの支流に分かれる。このため、アマゾン川の定義は複数存在する。規模についても出典により、複数の値が示されている。しばしば「アマゾン川本流論争」が持ち上がる[2]

  • 6,299 km - 『アマゾン 生態と開発』
流量が多いラウリコチャ湖を源流とするマラニョン川からの長さ[2]
  • 6,400 km - 理科年表 2006年
The Water Encyclopedia, Second Editionなどに基づくものであり、アマゾン川の源流として支流のウカヤリ川、さらにウカヤリ川の支流としてアプリマック川を採用したもの。
  • 6,516 km - 理科年表 2006年
The Times Atlas of the World, 2004などに基づくものである。

これらの値は、ナイル川の長さである 6,650 km ないし 6,695 km に近い。さらに、アマゾン川の流路は複雑であり、より長い支流が存在するとして、アマゾン川が世界一長い河川であるという主張も存在する。例えば、2007年6月22日に共同通信は、ミスミ山の奥深くで新たな源流が発見されアマゾン川の全長は 400 km も伸びて 6,800 km となりナイル川を超えると報道した[2][3]。 2008年7月3日アマゾン川とナイル川の衛星写真を比べてアマゾン川の長さは 6992 km になりナイル川よりも長いと報道された9月の会議で正式な話し合いがされるが、衛星写真や源流調査からもアマゾン川のほうがナイル川より長い可能性はより一層高くなっている[4]

アマゾン川の上流部分はアンデス山脈の奥深く入り込んでいる。ナショナルジオグラフィック協会[5]などによる調査では、ペルー南部のボリビアチリ国境近くにあるミスミ山 (Nevado Mismi, 5597 m) が最も遠い水源と考えられ、ここから河口のマカパまでは 6,400 km の長さになる。主要な支流全体の長さは延べ 50,000 km にもなり、赤道を一周した長さよりも長い。

流域面積[編集]

アマゾン川の流域面積も、様々な数値が示されている。資料により、580万km2から600万、650万、705万、750万とばらついている。その中で、ブラジル地理統計局 (IBGE) は750万km2を採用している。いずれの数値を取っても、世界2位のコンゴ川(370万km2)と比べれば、突出した世界1位の流域面積を誇る[2]

流量と水量の収支[編集]

オビドスにおけるアマゾン川の流量(m³/s)
(1928年から1996年の69年間の平均データ)[3]

アマゾン川の流量は何度も計測・試算されているが、資料によってまちまちである。最新の調査資料によると291,000トン/秒と計算されたが、この流量は世界第2位にあるコンゴ川の7-8倍に相当し、全世界の河川流量の20-25%を占める[2]。この流量は季節によって変化し、流域の降雨量変化をやや遅れて追うように推移する。河口から537㎞さかのぼったパラ州オビドスでの計測によると、毎年11月頃から水位上昇が始まり、翌5-6月に最高位に達する。ここから低下を始めた水位は10-11月に最低となる。したがって上昇には7-8ヶ月、下降には4-5ヶ月というサイクルを持つ[2]。この変化による水面の高低差は約5-6mとなる[2]

アマゾン川は支流だけでも規模が巨大で、最大の支流ネグロ川の年平均流量マナウスで毎秒38,400 t、マデイラ川の年平均流量は合流点で毎秒31,200 tある。タバチョス川は毎秒23,500 t、シングー川は毎秒9,7000 t、トカンチンス川の年平均流量は 1,3800 tある[4]。もし、世界最大の湖であるカスピ海にアマゾン川を流れ込ませたとすると、蒸発散する分を含めても、一年間に水位が 20 m 上昇してしまうという。

アマゾン川流域の年間平均降雨量は2300mm前後であり、流域面積750万km2に一様に降るとすると、総量は17兆トンになる。一方、河口流量を291,000トン/秒とすると年間9.5兆トンである。この差異から、アマゾン川流域で蒸発蒸散される水は年間9.5兆トン、単位面積で割ると約1460mmとなる。アマゾン川流域の蒸発・蒸散量試算はこの他にも様々あり、1000-1905mmの間と言われる[2]。ブラジル国立アマゾン研究所のシミュレーションによると、流域降雨の50%は川や湖水からの蒸発に土壌や植物等から蒸散したアマゾン川由来の水が蒸発したもので、残り50%は大洋の蒸発水である[2]

その他[編集]

河口は大きく広がっており、どこからどこまでを河口と考えるかにより大きく異なるが、その幅は東京から長崎大阪までの距離に匹敵する 500 km とも 700 km ともされる。一般的には、九州より僅かに広い面積を持つマラジョ島中洲島と考えられている。水量、流出物の量が莫大なため、河口から約 520 km 沖合いまで大西洋は海水の塩分濃度や、海面の色が変化している。

アマゾン川の水深は極めて大きい。本流は通常でも50-60mであり、場所によっては120mほどの深さを持つ。このため、かなり上流まで大型の船が航行できる。喫水が6m程度の船ならばマナウスまでの航行が可能で、4m程度の船ならブラジルを超えペルーのイキトスにたどり着ける。なお、河口とイキトスの距離は3900kmあるが、標高差は100m程度であり、アマゾン川は非常に流れが緩やかな点も特徴である[5]

2012年5月16日ネグロ川上流域における水位が、1902年に観測が始まって以来、最高となる29.79mに達した[6]。上流域で降り続いた豪雨が原因とみられている。その一方で、ブラジル北東部の高地では過去50年間で最悪とされる干ばつに見舞われた。これらは地球温暖化による異常気象が原因とみられる。

水の色[編集]

ブラジルマナウス付近のソリモンエス川とネグロ川の合流点。白がソリモンエス川、黒がネグロ川である。

アマゾン川の本流の水の色はコーヒーのように茶褐色に濁っているが、水の色は支流によって違ってくる。

白い川[編集]

ソリモンエス川・マデイラ川・ブルス川・ジュルアー川・ジュタイ川などは、本流との合流地点で薄い黄褐色の水を流しており、その特徴から「白い川」と呼ばれる。これらは主に偏西風が当たり降雨量が多いアンデス山脈東部を源流としているが、そのあたりは森林に覆われ侵食が起きにくい部分と、風化が進んだ岩石部分がある。急峻な渓谷では風化した岩石の崩壊がしばしば発生し川に落す。川は流下に伴って含んだ風化物質を微細に砕き、水の色を白くする[7]

白い川の水は10-50cm程度の透明度であり濁っている。しかし岩石由来の栄養塩を豊富に含み、中性から弱アルカリ性を示す肥沃な水である。このため別名「肥えた川」(リオス・ファルトス)とも呼ばれ、魚類も多く棲息する[7]

黒い川[編集]

ネグロ川の「ネグロ」は黒を指し、その名の通り流れる水は薄いコーヒーのように黒味がかっている。ネグロ川はベネズエラ国境付近を源流とするが、同じくこの地域から流れ出るオリノコ川の水も黒い。2本の川が発する地域は高低差があまりない森林が広がる場所で分水界も不明瞭であり、2つの川を繋ぐカシキアレ・カナールと呼ばれる天然の水路も存在する。森林はほとんどが浸水林(イガッポ林)であり、多雨も相まって枯れた植物が多く水に沈んだ状態にある。これが分解し、有機物粒子が水に溶け込んで色を黒くする[7]

黒い川の水は有機酸の作用でpH3.8-4.9と酸性となり、栄養塩類も少ない。このため別名「飢餓の川」(リオス・デ・フォーメ)とも呼ばれる[7]

緑の川[編集]

アマゾン本流と南から合流するタバジョース川やシングー川は澄んだ水を湛え、青みがかった緑色に見える事からこれらは「緑の川」と呼ばれる。古い地層で硬い結晶質の岩石からなるアマゾン高原は起伏も少なく、浸食作用が起きにくい。ここを源流とする緑の川には水に粒子が紛れ込む事が非常に少なく、水深4m程まで見通せる透き通っている[7]

緑の川の水は含有物質が少なく、pH4.5-7.8程度の酸性から弱アルカリ性となる。タバジョース川はしばしば川岸に美しく白い砂浜をつくるが、これは川が分を流しさってしまったもので、有機物や酸素の含有もわずかであり、植物が育ちにくい[7]

合流点[編集]

このような水の色が異なる支流が合流する場所では、川面に2色がぶつかり合う情景が見られる。ソリモンエス川とネグロ川が合わさる都市マナウスでは、並行する白と黒の水がなかなか混ざり合わずに10km程度まで流れてゆく景色を楽しめる観光地となっている[7]。このような現象は、タバジョース川が合流する地点でも観察できる[7]

名称の由来[編集]

アマゾンの名の由来は定かではない。一般には、アマゾンの名はギリシア神話の女人族アマゾネスにちなみ、初期の探検者フランシスコ・デ・オレリャーナによって命名されたという説が流布している。別の説では現地語で似た音をもつ名があり、それによってアマゾナスと名づけられたという。他に、インディオの言葉で "Amassunú" といい、これに由来するともいう。アマゾン川にちなむ地名としては、アマゾン盆地のほか、ブラジルベネズエラコロンビアの行政区画がある。アマゾンも参照。

形成[編集]

アマゾン川が流れるアマゾン平野は約4億年前に形成されていた。その頃南アメリカ大陸ゴンドワナ大陸の一部であり、現在のアフリカ大陸と一体となった大陸を東西に貫く地溝帯が走っていた。ここには東西からが流れ込み、海水起源の堆積物が徐々に積もりつつあった。やがて3億年前頃には大陸東側が干上がり、海の侵入は西側からのみとなった。そして中生代白亜紀には大西洋中央海嶺からのマントル上昇によってゴンドワナ大陸は分裂を始めた[5]

西へ移動を始めた南アメリカ大陸の中心部では、東から西に流れ太平洋に注ぐ河川が形成された。ところが大陸がマントルの沈み込みが起こる現在のペルー・チリ海溝に到達すると、新生代新第三紀頃に大陸西端には造山活動によって6000m級のアンデス山脈が形成され、行き場を失った水は平野部に停滞して巨大な淡水湖を作り上げた。段々と水位を高めた湖はギニア高地とブラジル高原の間に流出先をつくり、大西洋に河口を設けた[5]

その頃、地球氷河期にあり、海面は低かった。流れる水は高低差を勢いをもって流れ、湖底の堆積物を深く削った。この際に残された丘がテラフェルメと呼ばれる増水時にも冠水しない台地となった。やがて氷河期が終わって海面が上昇すると、海水が内陸まで入り込んで堆積物がバァルゼアを形成した。このような形成過程から、アマゾン川の水深は深くなった[5]

歴史[編集]

アマゾン川にはじめてヨーロッパ人が到達したのは1500年のことである。南アメリカ大陸の海岸線沿いに航行していたビセンテ・ヤーニェス・ピンソンがアマゾン河口近くにたどり着いた時、この付近の水が淡水であることに気づき、マーレ・ドゥルセ(ポルトガル語で「甘い海」を意味する)と名付けた。アマゾン川のほぼ全域を航行した初の人間はスペインのコンキスタドールであるフランシスコ・デ・オレリャーナである。インカ帝国の征服に参加していた彼は、1541年ゴンサロ・ピサロによるエル・ドラード探索行にも参加し、アマゾン最上流域のナポ川から出発し、全区間を航行して1542年8月に河口に到達した。この時にオレリャーナは地元住民と激しい戦闘を繰り広げたが、その際女性戦士に攻撃されたことを記しており、これがギリシア神話の女人族アマゾネスを連想させたことから、この川にアマゾン川という名がつけられたとされる。

アマゾン川は河口部分のごく一部を除いて全域がトルデシリャス条約の境界線の西側に位置し、ほぼ全域がスペイン領となる区域であった。しかしスペインはアンデス方面に重点を置いてアマゾンへの進出を全く行わない一方、河口近くにいたポルトガル人は1616年にベレンの町を建設し、ここからアマゾン川沿いに内陸へと進出していった。1669年にはマナウスの町が開かれ、さらに南のサンパウロから進出したバンデイランテスたちが1730年代にマット・グロッソにて鉱を発見し、この金の輸出の河川ルートがアマゾン川へとつながったためにより一層アマゾン流域はポルトガルの勢力が強くなっていった。1750年にはマドリード条約が結ばれ、アマゾン川流域の中央部分はほぼポルトガルの領域となった[8]

また、この間も広大なアマゾン川流域の各支流については探検が進んでおらず、流域にはヨーロッパ人と全く接触を持たないインディオ達も数多かった。各支流の探検はこの時代にも続けられており、1799年から1800年にはアレクサンダー・フォン・フンボルトが探検を行い、流域北部においてアマゾン川流域とオリノコ川流域とを結ぶカシキアレ水路の存在を明らかにした。

ブラジル帝国独立後もアマゾンの開発は進まなかったが、1852年にマウアー子爵がアマゾン川汽船会社を設立してアマゾン川に蒸気船を就航させるようになり[9] 、さらに1866年にブラジル政府はアマゾン川の外国船の航行を認めた[10]。これにより、アマゾン川上流のペルー領イキトスも貿易港としての機能を持つようになった。19世紀末から20世紀初頭にかけては天然ゴムのブームによってアマゾン川は一躍脚光を浴びるようになり、マナウスやイキトスなどは繁栄期を迎えた。とくにゴムの集散地となったマナウスは熱帯のパリと呼ばれるほどの繁栄期を迎えた。またこの時代、天然ゴムを採集するセリンゲイロと呼ばれる採集人たちが各支流の奥深くまで入り込むようになり、ほとんどの支流にヨーロッパ人たちの足跡がしるされるようになった。しかし、マレー半島などの農園で生産されるアジア産のゴムが急速にシェアを伸ばし、1915年ごろまでにほぼ天然ゴム市場を席巻し、最終的には合成ゴムの開発によってこの繁栄は終わりを迎えた[11]

ゴム景気終息後、旧共和政期(カフェ・コン・レイテ期)には新たな開発計画は見られなかった。この時期まで、アマゾン経済は基本的に熱帯雨林からのゴムやブラジルナッツなどの採集経済が中心であり、農園は川沿いのわずかな地域にしか開かれておらず、開拓も進んでいなかった。しかし、1930年に政権を握ったジェトゥリオ・ドルネレス・ヴァルガス1940年にブラジル大統領としてはじめてアマゾン入りし、アマゾン開発の必要性を強調。1953年にはアマゾン経済開発庁を設立した。1967年にはマナウスフリーゾーンが設立され、本格的な工業開発が始まった。しかし、本格的なアマゾン開拓は、1970年に発表された「国家開発計画」によってはじまった。この計画によりアマゾンは初めて本格的に開発の手が入るようになり、各地に道路が建設され、アマゾンのいくつかの支流に大規模なダムが計画されるようになった。

流域の町と産業[編集]

ネグロ川とアマゾン川の合流地点に位置するアマゾナス州最大の都市、マナウス

アマゾン川流域には河口都市ベレン、1,600 km 上流の町マナウス、3,900 km 上流の都市イキトスがあるがその他にも小さな町や村は多くある。ベレン、マナウス、イキトスは人口も多く遠洋航海用の船が接岸できる港があるが、小さな町や村には港がなくて大型船から小型船に乗り換えて品物などの取引をしている。 

アマゾン川は雨季と乾季の水位の差が大きい。乾季と雨季ではアマゾン川の水位は 20 m 以上も違うところがあり、数十万平方キロメートルの熱帯雨林が雨季には水没する。アマゾン川の近くで暮らす人々は、雨季になれば水没してしまう地域「バァルゼア」と雨季でも水没しない「テラフィルメ」と呼ばれる地域を知っており、乾季や雨季に適した暮らしを行なっている。アマゾン地方の交通手段は船が重要である。ジャングルには道路も通っているが、アマゾン川には橋が一つもかかっていないので、船を主な交通に利用している。

アマゾン川の流れは絶えず変化しており、大きく蛇行して蛇行部分が切り離された三日月湖(河跡湖)になる。そしてその肥沃な土壌と豊富な水分、強い日光によって樹木は瞬く間に生長し、三日月湖はやがて埋まって元の熱帯雨林に戻り、再びアマゾン川が蛇行して三日月湖になるという変化を絶えず繰り返している。

あまりにも巨大な川であるため、本流にはダムが一つも作られておらず開発から取り残されているので、アマゾン川は世界一健康な川(世界一汚染の少ない河川)でもある。アマゾンの熱帯雨林は世界の二酸化炭素の 1/4 を酸素に変えているといわれているが、最近では木材を切り出したり工業用の木炭の生産やを作るために森林破壊が続いており、自然環境破壊の問題も起きている。また沿岸に住む人たちは生ゴミ汚物をアマゾン川に垂れ流しているが、世界の他の河川のような公害問題が起きていないのはアマゾン川の規模が桁違いに大きいからに過ぎない。アマゾン川は地球の最後の水資源の宝庫とも言われている。

アマゾン川の川幅は広く、海洋から中流域まで船舶が乗り入れることが可能である。かつてはゴム栽培が盛んであり、中流域のマナウスは天然ゴムの集散地として栄えた。

このゴム産業には日本人からの移民も多数参加した。1900年代前後にペルーやブラジルに移住した日本人の一部が、ゴム採集やゴム工場の肉体労働者として働いていた。このため、マナウス付近やボリビアリベラルタなどには現在も日本人の子孫が多く暮らしている。

生物[編集]

アマゾン川は長年生態的条件や気象的条件が比較的安定していたため、セルバと呼ばれる熱帯雨林や水中の世界でも、豊かで多様性に富んだ動植物が数多く見られる。アマゾン川流域には、約 250 種類の哺乳類、約 1,800 種類の鳥類が生息している。特に昆虫全体に至っては、100 万種以上が生息していると推測されている。

水生生物では、約2,000から3,000といわれる種類の魚類が豊富に存在し、川が増水している期間は浸水林の中で棲息し、乾季になると川に集まって産卵活動に入る[12]。種類の約半分はナマズ目である点はアマゾン川の特徴のひとつである[12]ピラルクーは約1億年も姿を変えることのない古代魚で、世界最大の肉食淡水魚である。産卵期にはを守って川底でじっとしているためよく漁撈の標的にされ、淡白な味から「アマゾンのタラ(バカリョ)」と呼ばれる[12]。獰猛で有名なピラニアは24種ほどが発見されているが、動物を襲うのは10種程度である[12]。他にもトゥクナレタンバキなど食用で知られた魚も知られる[12]。また、本来は海に棲息していた魚類が入り込み淡水化したものも多く、サメノコギリザメメカジキヒラメエイカマスイシモチなどが生息している[12]

水生爬虫類ではカメが豊富で、大きな種類は1m程になりタルタルーガと呼ばれて珍重された。哺乳類ではマナティーが知られ、カメ同様に乱獲の影響で数を減らしたため現在では捕獲が禁止されている[12]イルカ類(アマゾンカワイルカコビトイルカ)も代表的な水生哺乳類だが、インディオはこれを「ボート」と呼んで魔術的・超自然的な力を持つ生き物と考えたため乱獲されなかった。逆に美男子に変化して人間の女性を惑わすとか、魔力を宿した左の眼球を通して意中の人を見れば想いが叶うといった迷信がつくられた[12]

ポロロッカ[編集]

大潮の時に海水と川の流れがぶつかり合い、大きな波となって川を遡る現象が発生する。この現象をポロロッカという。一般的な海の波が 20 - 30 秒で消えるのに対し、ポロロッカによる波は 30 分以上持続する。

主な支流[編集]

アマゾン川には1,100を超える支流がある[13]。本流と主な支流、延長距離および水の色[14]は以下の通り(長さ順)

  1. 6259.2-6712km – アマゾン川、南アメリカ大陸[15]
  2. 3250km – マデイラ川(白)、ボリビア/ブラジル[16]
  3. 3211km – プルス川(白)、ペルー/ブラジル[17]
  4. 2820km – ジャプラー川ポルトガル語版スペイン語版英語版(ポルトガル語名)/カケタ川(スペイン語名)(白)、コロンビア/ブラジル[18]
  5. 2639km – トカンチンス川、ブラジル[19]
  6. 2627km – アラグアイア川、ブラジル(トカンチンス川の支流)[20]
  7. 2400km – ジュルアー川ポルトガル語版スペイン語版英語版(白)、ペルー/ブラジル[21]
  8. 2250km – ネグロ川(黒)、ブラジル/ベネズエラ/コロンビア[22]
  9. 1992km – タパジョース川(緑)、ブラジル[23]
  10. 1979km – シングー川(緑)、ブラジル[24]
  11. 1900km – ウカヤリ川(白)、ペルー[25]
  12. 1749km – グアポレ川、ブラジル/ボリビア(マデイラ川の支流)[26]
  13. 1575km – プトゥマヨ川(スペイン語名)/イサ川(ポルトガル語名)、南アメリカ
  14. 1415km – マラニョン川(スペイン語名)/ソリモンエス川(ポルトガル語名)(白)、ペルー
  15. 1370km – テレスピレス川ポルトガル語版スペイン語版英語版(スペイン語名)/サン・マヌエウ川(ポルトガル語名)、ブラジル(タパジョース川の支流)
  16. 1300km – イリリ川、ブラジル(シングー川の支流)
  17. 1240km – ジュルエナ川、ブラジル(タパジョース川の支流)
  18. 1130km – マドレ・デ・ディオス川、ペルー/ボリビア(マデイラ川の支流)
  19. 1100km – ワジャガ川スペイン語版英語版、ペルー(マラニョン川の支流)
  20. 1050km – ジャバリ川(白)、ペルー/ブラジル[27]

脚注[編集]

  1. ^ Moliner et al. "Hydrologie du Bassin de L'Amazone"[1], Grands Bassins Fluviaux, 22-24 novembre 1993, p340.
  2. ^ a b c d e f g h i j k 西沢・小池、p.55-65 川の素顔と水の循環
  3. ^ GRDC - Amazon Basin - Station: Obidos
  4. ^ 以上各支流の流量はMoliner et al. "Hydrologie du Bassin de L'Amazone", p340.
  5. ^ a b c d 西沢・小池、p.38-44 アマゾンの誕生
  6. ^ 地球が変だ! アマゾン水位、過去最高に産経新聞2012年5月17日14:30配信
  7. ^ a b c d e f g h 西沢・小池、p.66-74 白い川・黒い川・緑の川
  8. ^ 「概説ブラジル史」p55-60 山田睦男 有斐閣 昭和61年2月15日 初版第1刷
  9. ^ 「ラテンアメリカを知る事典」p399 平凡社 1999年12月10日新訂増補版第1刷 
  10. ^ 「概説ブラジル史」巻末資料13項 山田睦男 有斐閣 昭和61年2月15日 初版第1刷
  11. ^ 「ラテンアメリカを知る事典」p405 平凡社 1999年12月10日新訂増補版第1刷 
  12. ^ a b c d e f g h 西沢・小池、p.94-100 魚と魚にまつわる話
  13. ^ Tom Sterling: Der Amazonas. Time-Life Bücher 1979, 8th German Printing, p. 20
  14. ^ 西沢・小池、p.72
  15. ^ Greatest River”. Extremescience.com. 2011年2月13日閲覧。
  16. ^ Madeira (river)”. Talktalk.co.uk. 2011年2月13日閲覧。
  17. ^ Purus River: Information from”. Answers.com. 2011年2月13日閲覧。
  18. ^ Japura River (river, South America) – Encyclopædia Britannica”. Encyclopædia Britannica. 2011年2月13日閲覧。
  19. ^ Private Tutor”. Infoplease.com. 2011年2月13日閲覧。
  20. ^ Araguaia River (river, Brazil) – Encyclopædia Britannica”. Encyclopædia Britannica. 2011年2月13日閲覧。
  21. ^ Juruá River: Information from”. Answers.com. 2011年2月13日閲覧。
  22. ^ Negro River: Information from”. Answers.com. 2011年2月13日閲覧。
  23. ^ Tapajos River (river, Brazil) – Encyclopædia Britannica”. Encyclopædia Britannica. 2011年2月13日閲覧。
  24. ^ Xingu River”. International Rivers. 2011年2月13日閲覧。
  25. ^ HowStuffWorks "The Ucayali River"”. Geography.howstuffworks.com (2008年3月30日). 2011年2月13日閲覧。
  26. ^ Guapore River (river, South America) – Encyclopædia Britannica”. Encyclopædia Britannica. 2011年2月13日閲覧。
  27. ^ The Nation, Volume 50

参考文献[編集]

関連項目[編集]