大平光代
大平 光代(おおひら みつよ、1965年10月18日 - )は、日本の弁護士、元大阪市助役。大阪弁護士会所属。
経歴[編集]
兵庫県尼崎市出身[1]。両親が共働きだったので、学校から帰ると母方の祖母の家で過ごした。祖母の影響を強く受ける[2]。中学1年生の7月に転校したことがきっかけになり、いじめに遭う。中学2年生になり、1年次とは違うクラスになり親友も出来たが、その年の冬、親友だと思っていた同級生たちからいじめられ、そのショックから割腹自殺を図る。発見が早かったこともあり、未遂に終わり救命される。当時の新聞やマスコミではわずかに公表される程度であった。両親や学校側の強いすすめで中学3年生の新学期に復学する。新しいクラスに入り、当初明るく振舞ったが、前述のいじめ・自殺未遂騒動の影響もあり、それまで以上にいじめられることとなる。[3]
居場所をなくし、14歳の時に暴走族に入る。その後、美容専門学校を受験し合格する。しばらくして暴力団の世界に足を踏み入れる。16歳の時、組の人間に認めてもらいたいという思いから、彫り師に頼み“観音様に蛇”の刺青を入れる。その年に組長と結婚し、その後離婚する。21歳の時に組を離れて[要出典]大阪・北新地のクラブでホステスとして働き始める。
しばらくして、父親の友人である大平浩三郎と再会する。浩三郎はのちに光代の養父となる。浩三郎の強い勧めで立ち直る決意をした後、猛勉強を開始する。22歳の秋に宅建試験に合格する。その後、司法書士試験にも合格する。近畿大学法学部通信教育課程に入学し、同大学3年の29歳のとき最難関の司法試験に1年間の猛勉強の末一度で合格する。弁護士として青少年問題を担当して非行少年の更生に努めたが、人の痛みが分からない子どもがたくさんいる現実に直面する。弁護活動を通じて出会い、電子メールで交流を続ける子供は74人になっている[4][5][6]。
2000年、波乱の半生を描いた自伝『だから、あなたも生きぬいて』(講談社)を公表する。本書は260万部を超えるミリオンセラーとなっている[7]。僧侶を養成する浄土真宗本願寺派の中央仏教学院(京都市)に入学することを決める[6]。
助役時代[編集]
入学を間近に控えた時に、大阪市長当選から間もない關淳一から「ぜひ助役に」との話があり、「子どもたちの気持ちがわかるだろうから、大阪の教育をやってほしい」と依頼される[8]。これを受けて中央仏教学院の通学制ではなく通信教育(3年間)に入学することにする[6]。2003年12月26日[9] 女性初の大阪市助役(現在の大阪市副市長)に就任する。異例の市役所外部からの人事として話題となる。2004年秋、中央仏教学院通信教育部専修課程(3年制の通信コース)に入学し、その後卒業する。同年12月、大阪市の職員厚遇問題が発覚、大々的に報道される。同月19日、關市長はこの問題を解決するために大阪市福利厚生制度等改革委員会[10]を設置し大平を委員長に任命する。
2005年3月7日、關市長が大阪市都市経営諮問会議、本間正明座長を解任する。大平は座長に脅迫されたと告げる。ただし、2日後、解任された本間座長は大平に対して事実ではないとして、反論会見を開いている。同年4月1日、都市経営諮問会議を市改革委員会と統合し市政改革本部が発足、大平が本部長代行に就任する[11]。同年10月17日、關市長の辞任に伴い助役を辞任する。
助役辞任後[編集]
2006年1月6日、大阪市法律顧問(法令遵守担当)に就任することが市から発表される。翌7日、就任を辞退する。後日、市議会議員から反発を受け辞任したと語る。同年2月14日、事務所の先輩でもある弁護士の川下清と結婚する[12] [13]。同年9月3日、帝王切開で女児を出産する。女児はダウン症、肺高血圧症、心臓病、白血病(一過性骨髄異常増殖症)と診断される[14][15][16][17][18]。
2008年6月、家族と丹波地方の山間の地に移り住む。2009年4月、龍谷大学客員教授に就任する[19][20][21][22]。同年7月27日、竹中ナミとともに「村木厚子さんの完全な名誉回復を願うサイト」を開設する[23][24]。2013年、後藤啓二が代表理事を務める「Think Kids(シンクキッズ)こどもの虐待・性犯罪をなくす会」顧問に就任する[25]。2015年大阪市長選挙では自民党推薦の柳本顕候補を支持する[26][27][28][29]。2015年11月21日から30日まで、聞法会館で初の油絵作品展「見えないけれども あるんだよ」を開催する[30][31][32]。
人物[編集]
主張[編集]
- 「耐えられない試練は与えられない、と言います。大事なのは心の持ち方。目の前の壁を「越えられる」と思うことから始めてみる。すると、ひょんなところから、アイデアが浮かんできたりします。どんな状況でも、前向きに考えるようにすれば、必ず良い結果になる」と述べている[5]。
- 「浄土真宗の教えは自分の思い上がりや、思い込みに気付かせてくれます」と述べている[6]。
学習方法[編集]
集中力を高める方法[編集]
次の方法で集中力を高め、計画を達成していると述べている[40]。
- あれもこれも一度にしようと思わない。
- したいと思うことを全部紙に書き出す。
- 書き出したものに優先順位をつける。
- いちばんしたいことが決まったら、それをするためにはどうすればよいのかを考え、紙に書き出す。
- それをするのに必要なものだけをそろえる。
- 必要なもの以外、目にはいるところには置かない。
- すべてにおいて無理な計画は立てない。
暗記のために必要最低限のこと[編集]
暗記のために必要最低限のことは次の2つだと述べている[41]。
- 繰り返す。
- 関連づけて覚える。
効率良く勉強する一番のコツ[編集]
効率良く勉強する一番のコツについて、「遠回りのように見えても、基礎をきっちり学ぶほうが知識が定着し、応用もきくので効率がいい」、「何と言っても最初に基礎をきちんと身につけることです」と述べている[42]。
雑誌連載[編集]
- 「ひかりの中で」『大乗』~2011年3月号
出演[編集]
TV[編集]
ラジオ[編集]
- おはようパーソナリティ道上洋三です(ABCラジオ、2015年11月9日[43])
著書[編集]
単著[編集]
- 『だから、あなたも生きぬいて』講談社、2000年。ISBN 9784062100588。
- 『CDブック だから、あなたも生きぬいて』宮本信子 朗読、講談社、2000年12月。ISBN 9784062105453。
- 『英文版 だから、あなたも生きぬいて』ジョン・ブレナン 訳、講談社インターナショナル、2001年7月。ISBN 9784770027412。
- 『だから、あなたも生きぬいて』ジョン・ブレナン 訳、講談社インターナショナル〈講談社英語文庫〉、2002年10月。ISBN 9784770029638。
- 『だから、あなたも生きぬいて』〈講談社青い鳥文庫〉2002年7月。ISBN 9784061485921。
- 『だから、あなたも生きぬいて』〈講談社文庫〉2003年5月。ISBN 9784062737586。
- 『あなたはひとりじゃない ― 悩める母たちへ子供たちへ』光文社、2001年5月。ISBN 9784334972981。
- 『応援します、あなたの旅立ち―大平流「独学」のすすめ』講談社、2002年2月。ISBN 9784062111386。
- 『働く女性の人生を変える英語勉強法―欲ばって自分の夢をかなえる!』三笠書房〈知的生きかた文庫―わたしの時間シリーズ〉、2011年8月。ISBN 9784837979555。 - 『応援します、あなたの旅立ち』を再編集のうえ改題したもの。
- 『今日を生きる』中央公論新社、2009年7月。ISBN 9784120040399。
- 『今日を生きる』〈中公文庫〉2012年7月。ISBN 9784122056640。
- 『ひかりのなかで―私の子育て・仏教・田舎暮らし』本願寺出版社、2010年6月。ISBN 9784894167162。
- 『陽だまりの時間』中央公論新社、2010年9月。ISBN 9784120041532。
- 『陽だまりの時間』〈中公文庫〉2014年4月。ISBN 9784122059337。
- 『大平光代のくじけない生き方―“自分らしい”幸せをつかむ75のヒント』三笠書房、2012年4月。ISBN 9784837924388。
- 『大平光代の“子育てに効く”論語』中央公論新社、2012年7月。ISBN 9784120044045。
共著[編集]
- 全国不登校新聞社 編 編 『この人が語る「不登校」』講談社、2002年2月。ISBN 9784062110839。
- 河合隼雄、その他 『いのちの対話』潮出版社、2002年7月。ISBN 9784267016400。
- 『いのちとこころのNHK中学生日記〈2〉死ぬのはこわい』有馬朗人・その他 監修、四季社、2003年1月。ISBN 9784884051648。
- キダ・タロー、その他 『これが私の生きる道―キダ・タロー対談 ひと・こころ・いのち 26人からのメッセージ』本願寺出版社、2004年5月。ISBN 9784894163317。
- 読売新聞大阪本社 編 編 『山折哲雄こころ塾』東方出版、2004年5月。ISBN 9784885918827。
- 鎌田實、その他 『大人と子どもの絆 ― いのちの対話』〈岩波ブックレット〉2008年10月。ISBN 9784000094412。
- 石上智康 『いまのあなたのままでいい』徳間書店、2009年6月。ISBN 9784198627508。
- 鎌田實 『くらべない生き方 : 人生で本当に大切にするべき10のこと』中央公論新社、2010年1月。ISBN 9784120040887。
- 鎌田實 『くらべない生き方 : 人生で本当に大切にするべき10のこと』〈中公文庫〉2013年7月。ISBN 9784122058200。
- 釈徹宗 『この世を仏教で生きる : 今から始める他力の暮らし』本願寺出版社、2013年12月。ISBN 9784894160552。
- 友久久雄 『あせらず あわてず あるがまま : 子育てに活かす仏さまのこころ』本願寺出版社、2015年6月。ISBN 9784894160798。
- 釈徹宗 『歎異抄はじめました : 親鸞聖人から届いたメッセージ』本願寺出版社、2018年4月。ISBN 9784894160385。
絵本[編集]
- 『はるちゃんのいただきます』村上祐喜子 絵、本願寺出版社、2010年6月。ISBN 9784894167179。
- 『ひかりの里のハル』おおひら みつよ ステンドグラス制作・撮影・文、本願寺出版社、2010年10月。ISBN 9784894167186。
漫画原作[編集]
- 『あなたなら、どうする』高里むつる 漫画、講談社、2004年4月。ISBN 9784062123570。
脚注[編集]
- ^ a b “弁護士紹介 大平光代”. 梅田総合法律事務所. 2022年4月24日閲覧。
- ^ 「第1章どんな人? 弁護士・大平光代さん」、『福井新聞』2010年10月16日。
- ^ “いじめは「握手」では終わらない。大平光代弁護士の体験談”. 致知出版社 (2020年12月4日). 2021年9月19日閲覧。
- ^ “本当は学校で子どもたちを救ってほしいのです”. 学びの場.com (2002年9月4日). 2016年8月19日閲覧。
- ^ a b 「立命館大講義「日本文化の源流を求めて」 命への感謝教えたい」『読売新聞』2007年10月23日夕刊。
- ^ a b c d 「弁護士 大平光代さん(48)」『中外日報』2014年6月11日、2016年8月16日閲覧。
- ^ “創立10周年記念 大平光代講演会“だからあなたも生き抜いて””. 西尾KIRARAロータリークラブ (2001年5月26日). 2016年8月19日閲覧。
- ^ “子どもの心に寄り添って”. トランタンネットワーク新聞社 (2004年8月). 2016年8月19日閲覧。
- ^ 大阪市市政 歴代市長・副市長(助役)
- ^ 大阪市市政 大阪市福利厚生制度等改革委員会
- ^ 大阪市役所内所蔵(pdf)
- ^ 「大平光代さん(41)「ダウン症の娘(悠(はるか)ちゃん)は私の女神」 "母の覚悟" 命がけで産んだ」『女性自身』2007年3月27日。
- ^ “出会い”. 法曹公正会 (2019年7月4日). 2021年9月19日閲覧。
- ^ 「娘が迷ったときの「道標」に 出産女児がダウン症 大平光代さん「母の決意」」『産経新聞』2006年6月29日。
- ^ 「なくせ いじめ自殺 「出口は必ずある」 ダウン症の娘 9月に出産 あるがまま愛して」『読売新聞』2006年12月7日。
- ^ 「元大阪市助役、弁護士 大平光代さんに聞く 大人が「道標」を 自らの経験重ね子供のために」『産経新聞』2006年12月16日。
- ^ 「こどもと育つ 喜びが毎日生まれる」『日本経済新聞』2007年10月30日。
- ^ 「はるちゃんゆっくり生きる幸せをありがとう 大平光代さん(42)」『女性自身』2008年新春号。
- ^ “大平光代先生特別授業”. 実践真宗学研究科のブログ (2010年1月8日). 2016年8月18日閲覧。
- ^ 「大平光代先生に聞く(一) : 現代における宗教と社会の問題」、『龍谷大学大学院実践真宗学研究科紀要』創刊号、2013年2月28日。
- ^ 「大平光代先生に聞く(二) : 現代における宗教と社会の問題」、『龍谷大学大学院実践真宗学研究科紀要』第2号、2014年2月28日。
- ^ 「大平光代先生に聞く(三) : 現代における宗教と社会の問題」、『龍谷大学大学院実践真宗学研究科紀要』第3号、2015年2月28日。
- ^ 「障害者団体向け割引郵便制度悪用事件」を参照。
- ^ 「親友・村木厚子さんの判決を前に 無罪判決と即時確定を勝ち取って 「ご苦労さまでした」と声をかけたい」『婦人公論』2010年9月22日号。
- ^ 児童虐待防止訴えシンポジウム 現状と課題探る 神戸新聞 2013年2月3日
- ^ “【大阪ダブル選】関〝市政改革〟真の継承者は?…「我こそが!!」柳本氏、吉村氏はや火花 市長選8日告示”. 産経新聞. (2015年11月6日) 2015年11月7日閲覧。
- ^ “「柳本あきら君を励ます会」第1部 柳本あきら記念講演”. 柳本あきらチャンネル (2015年10月26日)。
- ^ “元大阪市助役 大平光代さんから柳本あきらへの応援メッセージ”. 柳本あきらチャンネル (2015年11月19日). 2015年11月21日閲覧。
- ^ “大阪市元助役 大平光代さん 天神橋筋商店街で柳本あきらを応援”. 柳本あきらチャンネル (2015年11月21日). 2015年11月25日閲覧。
- ^ “大平光代弁護士が、油絵作品展―見えないけれども あるんだよ―を開催します”. 梅田総合法律事務所 (2015年10月21日). 2015年11月7日閲覧。
- ^ “ダウン症の娘「はるちゃん」と生き生き暮らす弁護士「大平光代さん」が、絵の個展を開催されます!!”. ナミねぇのブログ (2015年10月23日). 2015年11月7日閲覧。
- ^ “見えないもの信じて◇大平光代さん下京で油絵展 病と闘ってきた長女描く”. 読売新聞. (2015年11月21日)
- ^ “ナミねぇ&大平光代さん 対談講演”. 神戸学院大学 (2006年4月3日). 2016年8月19日閲覧。
- ^ “大平光代さん(弁護士)ビデオメッセージ インタビュー・竹中ナミ”. 第11回チャレンジド・ジャパン・フォーラム(CJF)2006 国際会議 in TOKYO 議事録 (2006年). 2016年8月19日閲覧。
- ^ “弁護士 大平光代さん(みっちゃん)からの、ご祝辞”. 第11回チャレンジド・ジャパン・フォーラム(CJF)2006国際会議 in TOKYO (2006年). 2016年8月19日閲覧。
- ^ 「ユニバーサル社会の実現を目指すシンポジウム」『読売新聞』2008年4月9日。
- ^ 「ユニバーサル社会の実現へ 都内でシンポジウム」『道21世紀新聞 Route Press 21st.』2008年6月号。
- ^ 「すべての人が誇りを持って生きられる社会へ」『NEW MEDIA』2008年6月号。
- ^ “パネルディスカッション”. ユニバーサル社会の実現をめざすシンポジウム (2008年). 2016年8月19日閲覧。
- ^ 『働く女性の人生を変える英語勉強法』三笠書房〈知的生きかた文庫―わたしの時間シリーズ〉、2011年、9および168 - 170頁
- ^ 『働く女性の人生を変える英語勉強法』三笠書房〈知的生きかた文庫―わたしの時間シリーズ〉、2011年、126-128頁
- ^ 『大平光代のくじけない生き方―“自分らしい”幸せをつかむ75のヒント』2012年、181 - 182頁
- ^ “スタッフ日記 大平光代さんが来て下さいました”. おはようパーソナリティ道上洋三です (2015年11月9日). 2015年11月28日閲覧。