ビッグイシュー

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ビッグイシュー英語: The Big Issue)は、ホームレス社会復帰に貢献することを目指すとする企業であり、またイギリスを発祥に、日本を含む世界各地で販売されるストリート新聞のことである。

概要[編集]

1991年、イギリスの化粧品製造会社の創業者であるゴードン・ロディックがアメリカで、ホームレスのみが販売できるストリート新聞を見かけたことをきっかけに、知人のジョン・バードに依頼・調査してもらった。すると、「事業としてロンドンで成功するだろう」という結論を導き出した。英語の「イシュー (issue)」には「問題」と「出版物の発行」の二つの意味がある。

1991年、ホームレスの社会福祉情報だけでなくエンターテインメント情報なども重視して、ロンドンで『ビッグイシュー』の第1号を発行し、大成功を収めた。その後、イギリス各地はもとより世界各地に広がり、各言語への翻訳と発行地域での独自取材した記事を組み合わせて、発行されている。

イギリス女王エリザベス2世が1度購入したことがある。

発売している地域、国[編集]

地域版[編集]

各国版[編集]

  • The Big Issue Australia
  • The Big Issue South Africa
  • The Big Issue Namibia
  • The Big Issue Japan(2003年9月より創刊、詳細は「日本版」の項)
  • The Big Issue Korea(2010年7月より創刊)
  • The Big Issue Taiwan(2010年4月より創刊)

日本版[編集]

日本では、2003年9月より大阪市にて、民間シンクタンクの代表であった佐野章二が中心となって日本語版を発行するようになった。体裁はA4判カラーページで32ページ前後。当初は月刊であったが、2018年7月時点では月2回刊(毎月1日・15日)。

発行元である「有限会社ビッグイシュー日本」に登録し、顔写真とナンバー入りの身分証を交付された「ベンダー」と呼ばれる販売者のホームレスから、通行人らが購入する。ベンダーは活動中、身分証を胸元に提示している。定価は350円で、最初の10冊は無料で提供される。それ以降は1冊170円で仕入れ、販売することで1冊につき180円(売り上げの51.4%)がベンダーの収入となる[1]。創刊から2007年9月までは定価200円で、1冊当たり110円(売り上げの55%)がベンダーの収入となっていた。また、2007年10月から2014年4月の消費税率引き上げまでは定価300円で、1冊当たり160円(売り上げの53.3%)がベンダーの収入となっていた。

2011年12月までに、販売員約1280人のうち、およそ150人が就職口を得ている[2]。2010年度に全国で約160人いた販売員は、ホームレス全体の減少を反映して約120人(うち女性1名、2018年7月時点)に減少している[3]。販売地域は10以上の都道府県に広がったものの、部数はピークの年間69万冊(2010年度)から39万冊(2016年度)に減り、採算ラインを割り込んだ。ビッグイシューはホームレスの減少自体は喜ばしいこととしつつ、定期購読者の募集などの対策に取り組んでいる[4]

販売員に対しては「道路の使用許可を得て販売しているのか?」という疑問を持つ者もあるが、実際には道路の使用許可は必要はない[注釈 1]

2006年10月15日発行の59号では、2ページ強にわたってウィキペディアについての記事が掲載された。

2011年発行の167号から徐々に内容を変質させ、2016年7月(第290号[注釈 2])などで、反原発、反自民安倍政権、反米軍基地などを含めた誌面となっている[注釈 3][注釈 4]

ただし全体としては非政治的な記事も多く、国内外の俳優や音楽家、芸術家らのインタビュー、自然や健康、文化、地域づくりなどについて取り上げている。また海外の左派・社会主義政権による人権抑圧や社会問題に批判的な記事も載せている[注釈 5]

2014年発行の204号以降、販売者を紹介する「今月の人」コーナー[5]への日本国内販売者の掲載が減り、海外で同様の雑誌を販売している人たちの紹介が多く掲載されるようになった。

2015年SEALDsを特集した270号[6]からは、41号より続いていた連載「ホームレス人生相談」と枝元なほみによる料理コーナーを統合した[注釈 6]

発売都市[編集]

括弧内の組織名は活動を支援している団体。なお、発行元である有限会社ビッグイシュー日本の事務所がある大阪および東京周辺は、各事務所が活動を支援している。販売者がいない地域に対しては、定期購読による協力を呼び掛けている[7]ほか、オンライン版[8]を配信している。

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ 詳細は講座・講演録 ホームレスの自立支援のための新しい試み(一般社団法人部落解放・人権研究所)の「法律問題と交渉」や道路交通法第5章77-78条を参照のこと。
  2. ^ 『ビッグイシュー日本版』290号では「特集 今、民主主義と日本の未来をつくるには?」として、白井聡雨宮処凛が安倍政権を批判する対談を掲載している。
  3. ^ ビッグイシュー日本11周年、ビッグイシュー基金7周年をむかえて お礼と感謝のごあいさつ[リンク切れ]では、明確に安倍内閣との対峙を表明している。
  4. ^ こうしたスタンスの記事としては、浜矩子による連載「新ストリートエコノミクス」などがある。
  5. ^ 例えば『ビッグイシュー日本版』323号リンゴ・スターのインタビューや、「“うつ”を抜く」という特集、中国で将来に希望が持てない若者に「喪」文化が広がっているという記事を掲載している。
  6. ^ ただし、2008年には『世界一あたたかい人生相談―幸せの人生レシピ』(ISBN 978-4904515006) として書籍化されているため、実質的には以前から統合されていたと言える。
  7. ^ 販売者が次のステップに進み、販売者不在となったため2015年3月から休止。福岡での販売中断のお知らせ[リンク切れ]
  8. ^ 2007年9月から2008年4月までは「北海道の労働と福祉を考える会」が支援団体だった。
  9. ^ 2008年2月から同年6月末までは現在の団体とは別団体が販売支援を行っていたが一時販売休止し、2012年6月より販売正式再開[9]

出典[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]