ピースウィンズ・ジャパン

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特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン
Peace Winds Japan
略称 PWJ
国籍 日本の旗 日本
格付 特定非営利活動法人
法人番号 2010005017549 ウィキデータを編集
専門分野 人道支援
設立日 1996年2月
代表者 代表理事 兼 統括責任者 大西健丞
活動地域 イラクケニア南スーダンウガンダスリランカミャンマー東ティモールネパールハイチバングラデシュインドネシア日本
主な事業 緊急人道支援、難民支援、国内災害支援、地域再生、犬の保護、フェアトレード
事務所 本部:〒720-1622 広島県神石高原町近田1161-2 2F
東京事務所:〒151-0063 東京都渋谷区富ヶ谷2-41-12 富ヶ谷小川ビル2F
佐賀事務所:〒840-0831 佐賀県佐賀市松原1-3-5 ゼロワン佐賀ビル6F
外部リンク https://peace-winds.org/
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特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン(Peace Winds Japan=以下PWJ)は1996年2月に設立されたNGOであり、紛争地や災害被災地での人道支援を中心に活動してきたが、近年では、人道支援に加えて国内の地域再生、動物愛護活動などの多様な社会問題の解決に取り組んでいる。代表理事兼統括責任者は大西健丞(おおにし・けんすけ)。本部は広島県神石高原町[1]

主な沿革[編集]

  • 1996年 1996年の設立以来、イラク北部のクルド人自治区を中心に人道支援と復興支援活動を行ってきた。2012年からはシリア難民の支援も開始し、2014年からはシリア内戦の影響でイラク北部に逃れてきた国内避難民も支援している。在イラク日本国大使館は2019年2月、これらの事業を通した日本・イラクの相互理解と友好関係の促進への貢献を称えて、ピーウィンズ・ジャパン在イラク代表のカワ・サミ・サブリ・アルソラニ氏に在外公館長表彰を授与した[2]。 2019年10月、トルコがシリア北部に越境攻撃を開始したことで、約1万8000人のクルド人がイラク北部のスヘーラに避難。ピースウィンズ・ジャパンは、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)からの要請を受けて、シリア難民が一時避難するための巨大テントを4棟設置した[3]
  • 1999年 東ティモールでは独立の是非を問う住民投票が1999年に実施され、その後の騒乱で大量の国内避難民が発生したことを受けて、ピースウィンズ・ジャパンは現地で緊急支援を開始した。2003年からは、現地のコーヒー生産者の自立支援と産業育成の一環としてフェアトレード事業を開始し、「ピースコーヒー」の製品化までのすべての工程を管理・指導している[4][5]
  • 2006年 20年以上続いた第二次スーダン内戦の終結を受けて、ピースウィンズ・ジャパンは2006年より南スーダンで活動を開始し、井戸掘削やトイレ建設などを通して水・衛生支援を行っている[6][7]
  • 2011年 東日本大震災では、発災直後に宮城県気仙沼市を中心に緊急支援を開始[8]。その後、南三陸町、岩手県陸前高田市、大船渡市に活動地域を拡大した。東北の被災地では、仮設住宅への生活用品・暖房器具の配布、商工会への資機材支援、バスの運行、子どもの遊び場の提供、自主防災支援、コミュニティ支援など多岐にわたる支援活動を行った[9][10][11]
  • 2012年 2011年から2012年にかけて起こった東アフリカ大干ばつの影響で、ソマリアから45万人を超える難民がケニアに押し寄せたことを受けて、ピースウィンズ・ジャパンは2012年2月よりダダーブ難民キャンプにて支援活動を開始した。2018年12月までに、外務省のNGO連携無償資金などを活用して約14,000軒の仮設住宅を建設し、難民の住環境を改善した[12][13]
  • 2015年 2015年に起きたネパール大地震を受けて、ピースウィンズ・ジャパンはバグマティ県にスタッフを派遣し、給水施設の修繕・復旧や耐震技術の普及活動などを行った。2017年からは、国際協力機構(JICA)の資金を活用し、地震の被災地において営農改善による生計向上事業を行っている[14]
  • 2016年 震度7を2回観測した2016年4月の熊本地震では、ピースウィンズ・ジャパンは熊本県益城町にて避難所支援を行い、益城町総合体育館前広場に女性専用の大型シェルターやペット連れ向けのテントを設営した[15][16][17]。5月からは、益城町に本社を置く再春館製薬所の芝生広場にペット同伴避難が可能なテント村避難所を開設。後に、熊本テクノリサーチパーク内に設置したエアコン完備のユニットハウス村に避難所を移転した[18]。避難生活の長期化に伴い、避難所の施設形態を変えながら10月末までの約7カ月間に渡って避難所を運営した[19]
  • 2017年 福岡県と大分県を中心に甚大な被害が出た2017年7月の九州北部豪雨を受けて、ピーウィンズ・ジャパンは朝倉市に災害救助犬とレスキューチームを派遣し、行方不明者の捜索活動を行った。また、企業と連携し、避難所に寝具、衣類、衛生用品などの支援物資を配布した[20]
  • 2018年 保護する犬25匹に法定の狂犬病の予防注射を受けさせなかったとして、大西健丞代表理事と職員2人が狂犬病予防法違反の疑いで福山北警察署他に書類送検された。[21]
  • 2018年 西日本豪雨に災害発生直後から現地に入り、岡山県・広島県でレスキュー活動、避難所支援、物資支援、医療支援などを2019年2月現在に至るまで続けている[22]
  • 2018年 インドネシアで4800人以上の死者・行方不明者を出したスラウェシ島地震を受けて、ピースウィンズ・ジャパンは地震の発生から間もない2018年10月に現地入りした。地元の救援団体ACTやジャパン・プラットフォーム(JPF)と連携し、6300世帯に台所用品などの生活支援物資を配布するとともに、仮設住宅を建設し、256世帯に新しい家を提供した[23]
  • 2019年 多数の犬を犬舎の中で飼育させることで犬同士のけんかを発生させ2匹の犬の殺傷につながったとして法人としてのピースウィンズ・ジャパンと2人が書類送検された[24][25]。(その後、不起訴処分が決定した)
  • 2019年 令和元年房総半島台風(台風15号)による千葉県の大規模停電を受けて、ピースウィンズ・ジャパンは医師と看護師を含む支援チームを県南部に派遣し、診療や支援物資の配布などを行った[26]。その後、鋸南町災害ボランティアセンターの運営支援を開始し、被災家屋のブルーシート張りに関わる案件を担当した[27]
  • 2019年 令和元年東日本台風(台風19号)による豪雨で千曲川が決壊した長野市では、ピースウィンズ・ジャパンの支援チームが消防やDMATに加わって高齢者200人以上の転院搬送を支援し、避難所で医療支援を行った[28][29]
  • 2019年 ピースウィンズ・ジャパンは、NPO法人アジアパシフィックアライアンス・ジャパンと公益社団法人シビックフォースとともに「空飛ぶ捜索医療団ARROWS」を発足させ、医師や看護師などが空路で被災地に駆けつけて救援活動や医療支援にあたる災害支援プロジェクトを開始した[30]
  • 2020年 国内における新型コロナウイルスの感染拡大を受け、ピースウィンズ・ジャパンはJPFの助成事業として、感染拡大地域における高齢者施設へのマスクなどの支援物資の配布を開始した[31]
  • 2020年 長崎港に停泊中のクルーズ船「コスタ・アトランチカ」で新型コロナウイルスの集団感染が発生したことを受けて、ピースウィンズ・ジャパンは4月下旬、長崎県からの要請で「空飛ぶ捜索医療団ARROWS」を現地に派遣し、医師や看護師などが医療支援にあたった[32]
  • 2021年 ウガンダに逃れたコンゴ民主共和国(DRC)の難民を支援するため、ピースウィンズ・ジャパンは2019年7月から活動を継続している。2021年10月現在は、難民居住地区において、新型コロナウイルス感染症予防給水衛生支援を行っている[33]
  • 2021年 ピースウィンズ・ジャパンは、パートナー団体の国連児童基金(UNICEF)と協力し、イラクの子どもたちが定期予防接種や新型コロナウイルスワクチン接種を受けられるよう、モースルにワクチン貯蔵庫を建設した[34]

批判[編集]

2018年5月10日発売号の週刊新潮において、「ピースワンコ事業で殺処分ゼロを謳いながら52匹にも及ぶ犬の安楽死が行われている」、「数十人のスタッフのみで1200匹にも及ぶ犬が劣悪な環境で飼育されている」、「保護犬に不妊去勢手術をしないのは、保護団体として不適切」だと批判記事が掲載された。記事に対しては同日付けで公式HPで「助かる可能性のない犬のみを安楽死している」、「犬舎等の清掃を外部の清掃業者に委託している」、「今の状態はまだ理想的ではないが、現状でも日本の保護施設のなかで相対的に良い環境」であると反論した[35]

さらに同年9月12日発売の週刊新潮では、「殺処分より酷い虐待」、「フードも1日1回」、「犬がケガをしても処置さえできない」、「団体が広島県神石高原町へのふるさと納税などを利用して活動資金を調達し、『殺処分ゼロ』の美名で10億円集金」などと再度批判記事が掲載された。同記事には9月14日、公式HPで「2500頭の犬がいるが、約2億円をかけて犬舎3棟を新たに建て、居住スペースは1400平米増加した。現在、1頭あたり畳1枚ほどのスペースを確保している。私たちはこれで十分とは考えず、常に拡充の努力を続けていますが、現状でも日本の保護施設のなかでは相対的に良い環境。」だと再反論した[36]

同年12月6日発売号の週刊新潮において、11月26日広島県警福山北警察署に送られた告発状で動物愛護管理法に違反しているとして、ピースワンコの事業を司るピースウィンズ・ジャパンの大西健丞代表理事とピースワンコの責任者である大西純子氏が告発されたと報じられたが、全て不起訴処分が確定した(平成30年検第101377号、令和元年検第100572号)。

脚注[編集]

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  1. ^ 死亡は静岡の男性操縦士 広島ヘリ墜落”. 産経ニュース (2022年8月16日). 2022年8月17日閲覧。
  2. ^ ピースウィンズ・ジャパン在イラク代表カワ・サミ・サブリ・アルソラニ氏に対する在外公館長表彰の授与 : 在イラク日本国大使館”. www.iraq.emb-japan.go.jp (2019年2月21日). 2019年11月14日閲覧。
  3. ^ 国追われた家族たち 手を差し伸べたい、日本人のバトン:朝日新聞デジタル” (日本語). 朝日新聞デジタル (2020年1月8日). 2020年1月21日閲覧。
  4. ^ 月刊!プロジェクトマネージャーの1日 第28回 | 草の根技術協力事業 | 市民参加 | 事業・プロジェクト - JICA”. www.jica.go.jp. 2019年11月15日閲覧。
  5. ^ 東ティモール産「PEACE COFFEE(ピースコーヒー)」” (日本語). びんちょうたんコム. 2019年11月15日閲覧。
  6. ^ 南スーダン通信 A Letter from the Ambassador of Japan to South Sudan : 在南スーダン日本国大使館”. www.ss.emb-japan.go.jp (2015年7月15日). 2019年11月11日閲覧。
  7. ^ 特定非営利活動法人 ピースウィンズ・ジャパン – アフリカ日本協議会 -Africa Japan Forum-” (日本語). 2019年11月11日閲覧。
  8. ^ ピースウインズ・ジャパンスタッフ3名と緊急支援物資、気仙沼に到着” (日本語). GiveOne. 2019年11月11日閲覧。
  9. ^ 特定非営利活動法人 ピースウィンズ・ジャパン - 陸前高田市まちづくりプラットフォーム” (日本語). 2019年11月11日閲覧。
  10. ^ 東日本大震災:気仙沼市で「森のつみ木広場」実施 現地レポート⑨<松岩公民館> « OISCA news” (日本語) (2012年3月21日). 2019年11月11日閲覧。
  11. ^ 2012年開始事業|東日本大震災被災者支援特設サイト 認定NPO法人ジャパン・プラットフォーム(JPF)”. tohoku.japanplatform.org. 2019年11月11日閲覧。
  12. ^ ODAメールマガジン(第406号)の発行” (日本語). 外務省 (2019年9月27日). 2019年11月11日閲覧。
  13. ^ 日本放送協会. “世界最大の難民キャンプはなぜ閉鎖に追い込まれたのか - 記事 - NHK クローズアップ現代+”. NHK クローズアップ現代+. 2019年11月11日閲覧。
  14. ^ NGO-JICAジャパンデスク(JICAプラザ)| ネパール事務所 | 海外のJICA拠点 | JICAについて - JICA”. www.jica.go.jp. 2019年11月11日閲覧。
  15. ^ INC, SANKEI DIGITAL (2016年4月25日). “【熊本地震】避難所に女性目線 着替え・授乳…悩みに対応” (日本語). 産経ニュース. 2019年11月11日閲覧。
  16. ^ ペット同行避難 難しく 一時預かりなど支援は拡大 場所、人手 なお不足 熊本地震” (日本語). 西日本新聞ニュース (2016年4月27日). 2019年11月11日閲覧。
  17. ^ 熊本地震で被災ペットを救う活動が続々始まる いざという時の犬猫「備蓄用品」と避難方法は”. J-CASTニュース (2016年4月21日). 2019年11月11日閲覧。
  18. ^ 再春館ヒルトップ『ペット同居テント村』終了しました。” (日本語). 【再春館製薬所】熊本復興への取組み (2016年7月11日). 2019年11月11日閲覧。
  19. ^ 環境省_熊本地震における被災動物対応記録集”. www.env.go.jp (2018年4月27日). 2019年11月11日閲覧。
  20. ^ 九州北部豪雨・緊急支援のNPOスタッフが振り返る” (日本語). オルタナS (2017年8月14日). 2019年11月11日閲覧。
  21. ^ ピースウィンズ・ジャパン代表理事ら書類送検 狂犬病予防法違反の疑い” (日本語). MSN. 2018年12月8日閲覧。
  22. ^ まび記念病院で緊迫の患者救出 稲葉医師「時間との闘い」語る” (日本語). 岡山の医療健康ガイド MEDICA (2018年7月18日). 2019年11月11日閲覧。
  23. ^ 256世帯に仮設住宅 被災地パル ピースウィンズが支援”. www.jakartashimbun.com (2019年4月26日). 2019年11月11日閲覧。
  24. ^ 狭い犬舎で犬同士けんか発生、2頭殺傷し書類送検 - 社会 : 日刊スポーツ” (日本語). nikkansports.com (2019年6月4日). 2019年6月7日閲覧。
  25. ^ 劣悪環境で保護犬2匹死なせる 容疑でPWJ代表らを書類送検:山陽新聞デジタル|さんデジ” (日本語). 山陽新聞デジタル|さんデジ. 2019年6月7日閲覧。
  26. ^ 停電続く館山・南房総 NPOが医師派遣、避難所へは物資も”. 東京新聞 (2019年9月15日). 2019年11月11日閲覧。
  27. ^ 台風15号被災者支援2019|国際協力NGOジャパン・プラットフォーム(認定NPO法人)”. www.japanplatform.org. 2019年11月14日閲覧。
  28. ^ 「恩返ししなければという思い」 西日本豪雨での経験を生かし、台風19号の被災地で医師らが支援活動 岡山(KSB瀬戸内海放送)” (日本語). Yahoo!ニュース. 2019年11月11日閲覧。
  29. ^ 長野県立総合リハセンター、千曲川氾濫で膝まで泥水 |医療維新 - m3.comの医療コラム” (日本語). www.m3.com. 2019年11月15日閲覧。
  30. ^ 「空飛ぶ医療団」活動広げ 発足半年、クルーズ船に派遣も 神石高原 /広島” (日本語). 毎日新聞 (2020年5月28日). 2020年6月1日閲覧。
  31. ^ 新型コロナウイルス対策緊急支援(寄付受付中)|国際協力NGOジャパン・プラットフォーム(認定NPO法人)”. www.japanplatform.org. 2020年4月25日閲覧。
  32. ^ 長崎に停泊中のクルーズ船の医療支援 県外の医療チームも参加(KTNテレビ長崎)” (日本語). Yahoo!ニュース. 2020年5月9日閲覧。
  33. ^ ウガンダ国内コンゴ民主共和国難民緊急対応支援-ジャパン・プラットフォーム(JPF)” (日本語). www.japanplatform.org. 2021年11月12日閲覧。
  34. ^ イラク:長年の破壊を受けた街に、ワクチンが希望をもたらす” (日本語). www.unicef.org (2021年10月11日). 2021年11月12日閲覧。
  35. ^ 【お知らせ】『週刊新潮』5月10日発売号の記事について”. ピースワンコ・ジャパン (2017年5月10日). 2018年12月18日閲覧。
  36. ^ 【お知らせ】『週刊新潮』9月12日発売号の記事について”. ピースワンコ・ジャパン (2018年9月14日). 2018年12月18日閲覧。

外部リンク[編集]