仮設住宅

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仮設住宅(かせつじゅうたく)は、地震水害山崩れなどの自然災害などにより、居住できる住家を失い、自らの資金では住宅を新たに得ることのできない人に対し、行政が貸与する仮の住宅日本の行政用語では「応急仮設住宅」。略称は仮設

概説[編集]

関東大震災後に靖国神社に設置された仮設住宅(1923年)
阪神・淡路大震災で建てられた仮設住宅(脇浜町、1995年写真)
中越地震の被災者のための仮設住宅(2005年)
東日本大震災後に七ヶ浜サッカースタジアム内に設営された仮設住宅(竣工前)

大正関東地震関東大震災)では多くの家屋が焼失したため、靖国神社などに仮設住宅が設置された。その後、兵庫県南部地震阪神・淡路大震災)、新潟県中越地震東北地方太平洋沖地震東日本大震災)、福島第一原子力発電所事故でも設置されている。現在の日本では、主にプレハブ工法による、組立タイプとユニットタイプが用いられている。民間賃貸住宅の借上げ(みなし仮設)も仮設住宅の一つである。災害救助法の適用については、都道府県知事がその適用の適否を判断し、着工は災害の発生の日から20日以内としており、貸与期間は完成の日から2年以内と規定されている。避難生活初期には、集団で収容避難場所に寝泊りしている被災者は、隣人と毛布一枚・段ボール一枚で隔てられているだけの事が多い。これが長期に及ぶとプライバシーの問題やゆっくり休めない事から来る疲労が蓄積するため、これを予防するために応急的に建てられる。

近年の仮設住宅の歴史[編集]

1947年 応急仮設住宅は昭和22年の災害救助法第23条制定により制度化された。

1995年 「阪神・淡路大震災」 発注4万8300戸[1]

2004年 「中越沖地震」 建設3460戸[2]

2009年 「台風 9 号」 兵庫県 建設42戸

2011年 「東日本大震災」 建設52182 戸[3]

2011年 「7 月 28 日からの大雨」 福島県 新潟県 建設8戸

2012年 「九州北部豪雨」 九州 建設75戸

2012年 「台風第 16 号」 鹿児島 建設8戸

2013年 「7 月 28 日からの大雨」 山口県 建設40戸

2013年 「台風 24 号」 鹿児島 建設25戸

2013年 「台風 26 号」 東京都 建設29戸

近年の仮設住宅[編集]

現在の日本では、主にプレハブ工法による、組立タイプとユニットタイプが用いられている。一般に仮設住宅と言うと、これを指すことが多い。

建設地[編集]

仮設住宅は公園学校の校庭、その他様々な理由で生じている空き地に設けられ、いずれの場合も本来の居住地から遠く離れる事例も多い。

価格と広さ[編集]

2011年時点で、厚生労働省が災害救助法に準じて示している1戸あたりの標準仕様は、広さが29.7、価格が238万7000円となっている。それ以外の細かな仕様は、被災地の都道府県に委ねられている[4]

供給[編集]

インフラの破壊されている災害の起こった地域にて、一度に早く・安く・大量に供給が求められる。その為、都道府県が業界と普段から業界と協定を結んでいる[5]。 ただし、立地・電気・水道・下水のインフラの整っている場所の大量の確保は課題となる為、後述の諸問題が起こってくる。あまりに大規模な災害の場合、業界の設備投資を超えての供給能力が問題となる。

特殊な仮設住宅[編集]

大規模災害においては建設のスピード・建設用地の確保がしばしば問題となる。また、木材が手に入る場所では木造仮設住宅が適するケースもある[6]。 通常は簡易な平屋建てのプレハブ仮設住宅が建てられる事が多いが、東日本大震災では一度に需要が集中した為、従来の工法だけでは期限内に建てられる仮設住宅の数が不足した。その結果、様々な仮設住宅が提案・建設・設置された。また、リスク分散の観点からも多数の工法を役所と業界団体が協力して事前に準備することが望ましい。

移動式住宅の事例[編集]

2011年6月大島気仙沼市の離島)などでは、アメリカ製のトレーラーハウスが、東北地方太平洋沖地震の仮設住宅の代わりとして使用されることが決まった(支援団体による20台の提供)[7][注 1]

ログハウスの事例[編集]

福島県二本松市では、ログハウスの仮設住宅が建設されている[8][9]

木造仮設住宅の事例[編集]

岩手県大槌町では、ロフト付き木造仮設住宅も設置された[10]

建設地問題対応の事例[編集]

宮城県女川町では、平らな土地が少ない女川町に対応する為、海上コンテナを使用して日本の仮設住宅としては初の3階建構造を実現した[11]

諸問題[編集]

ペットの可否[編集]

1995年の兵庫県南部地震で神戸市は、被災者に対する制約軽減の一環として、ペットを連れての入居を禁止しなかった[12]2005年に動物愛護法(動物の愛護及び管理に関する法律)が改正され、災害時における動物救護対策の必要性が、国の方針に盛り込まれた。2011年の東北地方太平洋沖地震でも、被災地各県と地元獣医師会が連携して、被災動物の救援本部を設置した[13]

孤立化[編集]

兵庫県南部地震では入居者が本来の居住地に関係なく割り振られた事からコミュニティが分断・消滅してしまい、高齢者を中心に孤独死も発生した。そこで、新潟県中越地震以降は元の居住地ごとにまとまって入居できるような配慮も行われている[14]

不完全なプライバシー[編集]

壁や窓が簡素であることからプライバシーの問題も指摘されている。

長年月暮らすには不十分な環境[編集]

仮設暮らしは体育館などでの段ボールなどで仕切った環境よりは良いのだが、さりとて本物の一般的な住宅ほど快適というわけではなく、震災後の復興支援がうまくいかず仮設住宅暮らしが1~2年以上に及んでしまうと、仮設暮らしの環境の悪さによって健康に異常をきたす居住者の割合が次第に増えていく[15]

二重ローン問題[編集]

だが、仮設から簡単に脱出できるかと言うと、災害で唯一の大切な住宅を失い、仕事も失い、さらにすでに高齢になっている人は、余生のために高価な住宅を新たに購入して長期のローンを組むわけにはいかず(実際にはたとえば70歳~80歳などでローン返済するために労働はできないので銀行などがローンを認めない)、結局なんら良い解決策や明るい未来が描けないままにあまり快適ではない環境である仮設住宅暮らしをつづけざるを得なくなり、精神的に閉塞感にさいなまれる人の割合が増えていく。また、年齢が若くローンを組むことができ新たな住宅を購入して仮設から出られた人でも、すでに失った住宅の分と新たな住宅の分と二重にローンを背負うことになり、過重な債務により家計が成り立たず、家庭が崩壊したり、離婚に追い込まれたりといった事態に陥るという問題も控えている[15]

これらに対して、個人に対しては「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」、事業者に対しては東日本大震災事業者再生支援機構法案があり、救済が図られている。(二重ローン問題を参照)

東北地方太平洋沖地震における事例[編集]

東北地方太平洋沖地震における事例

海外の仮設住宅[編集]

公営住宅制度によって被災者の住居問題を解決することが多い[16]

イタリア シビルプロテクション英語版 イタリアの対応官庁

アメリカ 連邦組織管理庁英語版 アメリカの対応官庁

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ 支援団体によると、一般の仮設住宅を設置・撤去する費用よりもコストが安上がりだという(トレーラーハウスは1台あたり約300万円)。

出典[編集]

  1. ^ 4万8300戸 前例のない仮設住宅の大量供給”. 神戸新聞社. 2017年4月4日閲覧。
  2. ^ 新潟県中越地震 被災から2年 復興の現状と課題”. 長岡造形大学. 2017年4月4日閲覧。
  3. ^ 被災者に対する住宅供給の現状と課題”. 国立研究開発法人 建築研究所. 2017年4月4日閲覧。
  4. ^ 仮設に「格差」 - 読売新聞夕刊 2011年7月19日
  5. ^ “[www.toshi.or.jp/app-def/wp/wp-content/uploads/reportg19_2_2.pdf 東日本大震災 復興の課題 - 日本都市センター]”. 日本都市センター. 2017年4月4日閲覧。
  6. ^ 木を活かした応急仮設住宅等事例集 - 内閣府防災情報”. 内閣府. 2017年4月4日閲覧。
  7. ^ 【震災】仮設住宅の代わりに“トレーラーハウス” - テレ朝ニュース 6月13日
  8. ^ 建築家の目「仮設」に提案 - 読売新聞 6月9日
  9. ^ ブログ6月 - はりゅうウッドスタジオ 6月9日
  10. ^ 仮設に「格差」 - 読売新聞夕刊 2011年7月19日
  11. ^ 宮城最後の仮設住宅、入居始まる=土地少なく初の3階建て-女川 2011年11月6日 時事ドットコム
  12. ^ ペット同伴、割れる対応 仮設住宅で自治体 - 岩手日報 2011年4月4日
  13. ^ ペット避難所24時 - 読売新聞 2011年5月22日
  14. ^ 「仮設住宅の悩み相談を」 柏崎市、心のケアセンター開設へ - 共同通信 2007年8月18日
  15. ^ a b NHK総合「震災4年 被災者1万人の声」2015年3月8日放送
  16. ^ 過去の大規模災害と 海外事例からみる 東日本大震災と都市財政”. 財団法人 日本都市センター. 2017年4月4日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]