家屋
家屋(かおく)は、一般には人が住むための建物、または家・屋舎などの建物を指す語である[1]。地方税法上は、固定資産税に関する用語として「住家、店舗、工場(発電所及び変電所を含む。)、倉庫その他の建物」をいう[2]。このため、日常語としての「住む家」に限らず、税法上は店舗・工場・倉庫などの非住宅建築物も家屋に含まれる。
法令上の家屋
[編集]地方税法では、土地・家屋・償却資産を総称して固定資産とし、そのうち家屋を「住家、店舗、工場(発電所及び変電所を含む。)、倉庫その他の建物」と定義している[2]。固定資産税における家屋は、一般に不動産登記法上の建物と同じ意義で捉えられ、土地への定着性、屋根・周壁による外気分断性、居住・作業・貯蔵などに供し得る用途性を備えるものが課税対象となる[3]。
家屋調査
[編集]家屋調査という語は、目的に応じて複数の意味で用いられる。固定資産税の分野では、新築・増築された家屋の評価額を算出するため、市町村の担当職員が行う調査を指す[4]。自治体は登記所からの通知や所有者からの連絡などによって新増改築家屋を把握し、所有者に連絡した上で、外観・内装・建築設備・使用資材などを確認する[4]。調査では、工事請負契約書、竣工図、見積書などの建築資料が参照されることがある[4]。
固定資産税の評価額は、総務大臣が定める固定資産評価基準に基づいて算定される[5]。この評価額は、実際の建築費や取得費そのものではなく、固定資産税額を算出するための評価上の価格である[5]。固定資産税は、毎年1月1日に存在する固定資産を対象として課されるため、年末年始に建築中の家屋については完成日が確認される場合がある[5]。
一方、土地家屋調査士が行う家屋に関する調査・測量は、不動産の表示に関する登記に必要な土地または家屋の物理的状況を明らかにする業務である[6][7]。建物を新築した場合の建物表題登記、増築・一部取壊しなどによる変更登記、建物滅失登記、区分建物に関する登記などでは、建物の所在、種類、構造、床面積などを確認する必要がある[7]。
空き家・廃屋
[編集]長期間、居住者や使用者のいない家屋は空き家(空家、あきや、あきいえ)と呼ばれる。居住者・使用者がなく、荒廃した家屋は廃屋という。
日本では、空き家の増加が防災・防犯・衛生・景観・地域コミュニティの維持などの面で問題とされている。総務省統計局の2023年住宅・土地統計調査によれば、2023年10月時点の全国の空き家は900万戸で、2018年から51万戸増加し、過去最多となった。総住宅数に占める空き家の割合は13.8パーセントで、これも過去最高である[8]。このうち、賃貸用・売却用・二次的住宅を除く空き家は385万戸で、2018年から37万戸増加した[8]。
空き家の発生には、人口減少、住宅の相続、所有者の高齢化、改修・解体費用、住宅用地に対する固定資産税等の特例など、複数の要因が関係する。空き家が放置されると、倒壊の危険、衛生上の問題、景観の悪化、犯罪・火災のリスクなどを生じることがある。
2014年には、空家等対策の推進に関する特別措置法が成立し、市町村が空家等対策計画の策定、空き家の調査、所有者への助言・指導、特定空家等に対する勧告・命令・行政代執行などを行う枠組みが整えられた[9]。2023年の改正では、管理不全空家等に関する措置が加えられ、改正法は同年12月13日に施行された[10]。
空き家対策としては、所有者による管理、売却、賃貸、解体、空き家バンクを通じた流通、移住体験施設や宿泊施設への改修、地域活動拠点としての活用などが行われる。自治体によっては、非居住住宅の利活用や流通を促すための独自制度を設ける例もある[11]。
家屋内の生物
[編集]家屋は人間の生活空間であると同時に、さまざまな動物や微小生物の生息場所にもなる。ダニ目では、家屋内で発見された種が多数知られ、日本国内でも100種以上が記録されている[12]。これらには外部から一時的に侵入したものや偶発的に発見されたものも含まれるが、室内環境に常在的に生息するものもある[12]。
室内のほこりには、チリダニ類、ササラダニ類、ホソゲチトゲダニ類などが見られることがある。チリダニ類は、ちり、ふけ、毛髪などに由来する有機物を利用し、一部はアレルゲンとなる。コナダニ類は、ほこりのほか、小麦粉・砂糖などの保存食品に発生する場合がある。ツメダニ類はチリダニ類やコナダニ類を捕食し、人を刺して皮膚炎を起こすことがある。イエダニは家屋に住むネズミに寄生し、ときに人からも吸血する[12]。
家屋内に生息する動物には、人間の移動や物流に伴って分布を広げたと考えられるものもある。クモ類では、野外にも見られる種から、家屋内でよく見られる種まであり、家屋性の種には広い分布を示すものがある。例として、アシダカグモ、チリグモ、ユカタヤマシログモ、オオヒメグモ、チャスジハエトリなどが挙げられる[13]。
脚注
[編集]- ↑ “家屋”. コトバンク. DIGITALIO. 2026年6月28日閲覧。
- 1 2 “地方税法 第341条 固定資産税に関する用語の意義”. ZEIKEN LINKS. 税務研究会. 2026年6月28日閲覧。
- ↑ “課税対象となる家屋とは、どのようなものですか”. 行田市 (2022年1月20日). 2026年6月28日閲覧。
- 1 2 3 “家屋調査のお願いについて(新築又は増改築した場合)”. あま市 (2024年11月21日). 2026年6月28日閲覧。
- 1 2 3 “新築、増築に係る家屋調査について”. 藤沢市 (2026年4月18日). 2026年6月28日閲覧。
- ↑ “土地家屋調査士の業務”. 法務省. 2026年6月28日閲覧。
- 1 2 “不動産登記について”. 日本土地家屋調査士会連合会. 2026年6月28日閲覧。
- 1 2 “令和5年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計(速報集計)結果” (PDF). 総務省統計局 (2024年4月30日). 2026年6月28日閲覧。
- ↑ “空家等対策の推進に関する特別措置法”. e-Gov法令検索. 2026年6月28日閲覧。
- ↑ “空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報”. 国土交通省. 2026年6月28日閲覧。
- ↑ “非居住住宅利活用促進税について<令和12年度課税開始予定>”. 京都市 (2026年6月17日). 2026年6月28日閲覧。
- 1 2 3 江原 1990, pp. 60–68.
- ↑ 八木沼 1969, p. 78.
参考文献
[編集]- 八木沼健夫『クモの話 : よみもの動物記』北隆館、1969年。
- 江原昭三 編『ダニのはなし 1』技報堂出版、1990年。