キッチンカー

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揚げパン』を販売するキッチンカー(フードトラック)

キッチンカー: food truck)は、ケータリングカーフードトラック等と呼ばれ、特に食品調理を目的とした設備を備える車両の一般名称である。特種用途自動車の一種ではあるが、ほとんどの車両には飲食のための客席を車内に備えられていないため道路運送車両法等に定められる食堂車とは必ずしも言えない。一般に食品の移動販売ケータリングに用いられるが、陸上自衛隊、警察の機動隊等の調理施設を備えた車両も一般にキッチンカーと呼ばれている[1][2][3]

世界のキッチンカー事情[編集]

日本[編集]

国見バーガーキッチンカー

日本での「キッチンカー」の形態としては、「移動販売の発展型」「自走可能な屋台」「諸外国のキッチンカーの形態を日本に持ち込んだもの」がある。移動販売や屋台の発展形としては、石焼き芋蕎麦ラーメン等がある。また、キッチンカーの形態を持ち込んだものとしてはピザクレープケバブアイスクリームなどがあり、この形態を活用してから揚げ丼物等の日本食も扱われるようになっている。東日本大震災の直後から復興むけての支援や、コロナ禍におけるテイクアウト需要の高まりでもキッチンカーの存在はよく認知されるようになった。

日本国内でキッチンカーを用いて食品を提供するには、管轄の保健所による「営業許可(自動車)」が必須となる。食品衛生法に基づくものと各都道府県・市による条例に基づくものがあり、その許可基準は都道府県及び市により異なるため、ある都道府県で営業許可(自動車)を受けたキッチンカーが必ずしも別の都道府県で営業許可(自動車)を受けられるわけではない。具体的な設備要件としては、例えば東京都では「車内での調理加工」を伴う営業を届け出る場合は、「耐水性および耐久性を有し、かつ、固定された屋根及び壁を有する自動車であること(すなわち「幌付きトラック」「リアカー」「屋台」等は不可)」「塵埃、昆虫類の侵入を防止できる構造であること」「耐水性を有し、飲用適の水を供給する指定容量以上の給水タンクと、同容量の廃水タンクを設けること」「流水式洗浄設備を設けること」「電源装置を設けること」「自家発電による冷蔵設備または同等の食品を冷却保存できる設備を有すること」などが定められている[4]

道路運送車両法の面では、「加工車」として特種用途自動車登録されているものと、トラック軽トラックを含む)に着脱可能な調理スペース(コンテナ)を備えることで貨物自動車のまま登録されているキッチンカーがある。

アジア[編集]

台湾のキッチンカー

アジアでは、古くから屋台の文化があり、歴史的に天秤棒で担ぐ物からリアカーなどを人力、自転車等で牽く移動形態をとるものも多いため広く受け入れられている。簡単な調理技術と設備、そして最小限の投資で開業可能であり、立地や時間的拘束がないことから飲食店開業の足掛かりとしてこの業界に参入するものも多い。提供される食品は主に地元の文化と味を反映するものが多く、また、消費者にとって安価で迅速に食事を済ませられることが魅力とも言える[5]

カナダ[編集]

特にケベック州では、コンチナ(フランス語カフェテリア)として知られ、キッチンカー自体は全国的に広く用いられメキシコ料理からグリルチーズサンドイッチに至るまで幅広い料理を提供している。バンクーバー発祥のキッチンカーVij’s Railway Expressは、新鮮なインド料理を提供し、国営航空エア・カナダの機内誌の世論調査で強豪を抑え2013年カナダ最優秀新レストランとなっている[6]

アメリカ合衆国[編集]

オースティンのWildlife Expoで再現されたチャックワゴン

アメリカ合衆国のキッチンカーの起源は、19世紀初頭、牛の買い付けに際し、生産地である西部から消費地である北部東部への数か月にわたる牛の移動が強いられたため[7]チャックワゴンと言う移動式調理施設が南北戦争の放出品の馬車などからチャールズ・グッドナイトによって作り出された[8]。また、もう一つの起源として19世紀後半に入り主に都市部で、サンドイッチパイと言った軽食をビジネス街で提供する調理施設を備えた車両がみられるようになっている[9]。どれも安価で手軽な食事スタイルが定評であると共に、ある種のなつかしさや郷愁を誘うものとして人気を博している。

メキシコ[編集]

メキシコには路上での食品販売の規制はないため、近年大きな成長を遂げている。キッチンカーのオーナー達は2013年に業界団体を設立しその地位を確立しようと努めている。路上で調理をする個人営業主の他、自社製品の宣伝のためにキッチンカーを用いて正規店として営業を行う企業もある[10]

ヨーロッパ[編集]

ホットドッグ(アムステルダム)

イギリスでは動力移送の出現により第二次世界大戦時代からキッチンカーはもちいられ、兵士の士気を高めるものとして各地の劇場などでティーレディー等によって利用されていた[11]。現在ではスナック・バンとして知られ、タコス、ハンバーガーの他、ドーナツなど幅広い食品を扱い、ほぼ全ての幹線道路の人出のある地域の路肩などに見られ、旅行者の中には比較的高価なサービスエリアなどよりも安価なキッチンカーの料理を好む者もいる[12]ベルギーでは郷土料理であるフライドポテトのキッチンカーが古くから見られ、ブリュッセルでは毎年5月にヨーロッパ最大のキッチンカーフェスティバルが催されている。フランスでのキッチンカー営業は、地元警察機関を始めとした4つの異なる所管機関に届け出が必要とされているが、屋外の市場などを中心にタコス、ハンバーガーを含む商品は特筆すべき人気を博している[13]。イタリアでは、その認知度は低く2014年になって初めてキッチンカーの祭典が催された[14]

オーストラリア[編集]

ブリスベンサウスバンクパークランズのモバイルカフェ
ニューカレドニア、ヌメアの中華料理キッチンカー

オーストラリアでは全国的にキッチンカーが利用され、メディアでも最近の流行として取り上げられている[15] 。また全国のキッチンカーを一覧表示するサイトなども登場している[16]

活用事例[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 咲村珠樹 (2011年7月27日). “「ミリタリーへの招待」”. おたくま経済新聞. 2016年2月4日閲覧。
  2. ^ キッチンカー警察機動隊”. 自衛隊イベント情報アトラスウェブ. 2016年2月4日閲覧。
  3. ^ 警察向け緊急車両”. AWK オートワークス京都. 2016年2月4日閲覧。
  4. ^ 新たに食品に関する営業を始められる皆さんへ -自動車関係営業許可申請等の手引- (PDF) - 東京都福祉保健局、2020年5月25日閲覧。
  5. ^ Winarno,F.G. & Allain, A.. “Street foods in developing countries: lessons from Asia”. 国際連合食糧農業機関. 2011年9月7日閲覧。
  6. ^ Baker, Paula (2013年10月24日). “Food truck takes top people’s choice ‘restaurant’ honours; Pidgin ranks in top 10”. Global News. 2014年12月12日閲覧。
  7. ^ Thompson, Bill. “American Chuck Wagon Association”. 2014年10月30日閲覧。
  8. ^ In the Driftway.(1928). [Article]. Nation, 126(3281), 589-590.
  9. ^ Engber, Daniel (2014年5月2日). “Who Made That Food Truck?”. New York Times'. 2014年12月13日閲覧。
  10. ^ Asociación Mexicana de Food Trucks”. Time Out México. Time Out Group (2013年9月3日). 2016年2月7日閲覧。
  11. ^ Your Mobile Canteen in Action”. Imperial War Museum. 2010年7月25日閲覧。
  12. ^ Snack vans: food on the go - in pictures”. The Guardian (2013年9月26日). 2014年12月12日閲覧。
  13. ^ Moskin, Julia (2012年6月4日). “Food Trucks in Paris? U.S. Cuisine Finds Open Minds, and Mouths”. The New York Times: pp. A1. http://www.nytimes.com/2012/06/04/world/europe/food-trucks-add-american-flavor-to-paris.html?src=me&ref=general&pagewanted=all 2012年6月4日閲覧。 
  14. ^ Il cibo di strada diventa gourmet: a Milano il primo festival europeo dei Food truck”. Il Sole 24 ore. 2014年6月29日閲覧。
  15. ^ Grey, Tim (2014年1月21日). “Meals on wheels: Australia’s best food trucks”. The New Daily. 2015年2月19日閲覧。
  16. ^ Where The Truck At”. 2015年2月19日閲覧。
  17. ^ 鴨沢 浅葱 (2015年5月25日). “駅前でキッチンカー導入のオープンカフェ社会実験、前橋市”. 新・公民連携最前線. 日経BP. 2016年2月4日閲覧。
  18. ^ キッチンカー”. animate. 2016年2月4日閲覧。
  19. ^ ネオ屋台村とは”. 2016年2月4日閲覧。
  20. ^ 疾走キッチンカー若者たちのランチ革命”. NHK (2013年6月21日). 2016年2月4日閲覧。
  21. ^ ネスカフェキッチンカー”. ネスレアミューズ. 2016年2月4日閲覧。
  22. ^ ネスカフェ キッチンカープログラム 説明会につきまして”. 養老乃滝株式会社. 2016年2月4日閲覧。
  23. ^ キッチンカー”. すき家. 2016年2月4日閲覧。
  24. ^ 新たな設備で食事支援 シダックスがキッチンカー寄贈”. 相馬市. 2016年2月4日閲覧。
  25. ^ 釜石キッチンカー”. 2016年2月4日閲覧。
  26. ^ 女川・出張おちゃっこクラブ仮設を回るキッチンカー型交流場”. 震災リゲイン (2014年6月20日). 2016年2月4日閲覧。
  27. ^ 「福井発コシヒカリ」全国キャラバン”. 福井県. 2016年2月4日閲覧。
  28. ^ うまからっ新体験 辛ラーメンキッチンカー全国横断中”. 株式会社 農心ジャパン. 2016年2月4日閲覧。
  29. ^ 南砺市市民協働課 (2015年11月22日). “地域おこし協力隊萩中雅之隊員担当のキッチンカーがデビュー!”. 2016年2月4日閲覧。
  30. ^ 日清食品ホールディングス (2014年7月14日). “もしもの時の日清メン 養成プロジェクト 〜自分を守り、人を助ける〜”. 2016年2月4日閲覧。
  31. ^ 日清食品 (2013年8月5日). “「ラーメン記念日フェスタ2013」イベント開催のご案内”. 2016年2月4日閲覧。

関連項目[編集]