三菱・ランサーエボリューション

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。58.95.203.242 (会話) による 2016年4月7日 (木) 07:55個人設定で未設定ならUTC)時点の版であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

三菱・ランサー > 三菱・ランサーエボリューション

ランサーエボリューションLANCER Evolution 、ランエボ)は、三菱自動車工業が生産(2015年8月を以って生産終了)、および販売している自動車である。

概要

ランサーエボリューションは、ランサー(最新モデルの日本名はギャランフォルティス)をベースに、2,000ccハイパワーターボエンジンを搭載したスポーツモデルであり、公道走行を前提に快適装備を備えたGSRと、競技用ベースモデルの RS の2グレードで展開されている(VIIおよびワゴンではオートマチックのGT-A、IXではGTを追加でラインナップ)。通称ランエボ[1]。ただ単にエボと呼ばれたり(三菱もエボと呼んでいる)、モデルを識別するためにエボ○(○は数字が入る)と呼ばれることもある。エボI〜III、エボIV〜VI、エボVII〜IX、エボXでそれぞれベースモデルが切り替わっているため、第1世代、第2世代、第3世代、第4世代という呼び分け方をされる。

現行のランサーエボリューションはWRCとの関係が次第に希薄化しているものの、他のモータースポーツカテゴリーではその存在感は健在である。また、VIIIからは日本国外での市場に正式に輸出が開始されるなど、国内外における三菱のイメージリーダーとして位置付けられていた。

日本国内外で評価が高く人気のため、車両盗難に遭うケースが非常に多く、エボVIII以降のモデルからはイモビライザーが標準装備されている。

第1世代(CD9A/CE9A)

ランサーエボリューション

三菱・ランサーエボリューション
E-CD9A
Evolution GSR
概要
製造国 日本の旗 日本
販売期間 1992年9月
ボディ
乗車定員 5人
ボディタイプ 4ドア セダン
駆動方式 4WD
パワートレイン
エンジン 4G63型:2.0L 直4ターボ
最高出力 250PS/6,000rpm
最大トルク 31.5kg-m/3,000rpm
変速機 5速MT
前:マクファーソンストラット式
後:マルチリンク式
前:マクファーソンストラット式
後:マルチリンク式
車両寸法
ホイールベース 2,500mm
全長 4,310mm
全幅 1,695mm
全高 1,395mm
車両重量 GSR:1,240kg
RS:1,170kg
テンプレートを表示
1992年9月
  • 発売。型式名“E-CD9A”。通称“エボI”。
  • E39A型ギャランVR-44G63型ターボエンジンをランサーに移植した、ランサーエボリューションシリーズ初代モデルで、エンジン出力はギャランに搭載されているものより10PS高い250PS。車重はギャランVR-4に比べ150kg以上も軽く、戦闘力の向上が図られた。
  • WRCの出場資格を取得するため、ランサーGSR1800をベースにギャランに搭載されていた4G63型ターボエンジンとドライブトレインを、半ば強引に移植されて開発された(ランサーの中でも、車体強度が高めに生産されていた、中東向けのシャシーをベース)。しかし、FIAのホモロゲーション取得のため間に合わせで開発されたため、AWDに見られるアンダーステア傾向が強く、コーナーが曲がれないと不評であった。FIAのホモロゲーション取得のために生産されたモデルであったため、テレビCMや店頭での告知などは一切なかった。2,500台の限定車で、弱気な販売姿勢だったにもかかわらず、わずか3日で完売した。それを受けて、さらに2,500台が追加販売された。
  • 用意されたボデーカラーは、スコーティアホワイト、グレースシルバー、コルトンレッド、ピレネーブラック、サンタムールグリーン。
グレード体系
グレード エンジン型式 エンジン 排気量 最大出力 最大トルク 変速機 車重 価格 生産台数
RS 4G63(ターボ) 直列4気筒DOHC16バルブICターボ 1,997cc 250ps/6,000rpm 31.5kg・m/3,000rpm 5速MT 1,170kg 2,208,000円 1,816台
GSR 1,240kg 2,738,000円 5,812台

ランサーエボリューションII

三菱・ランサーエボリューションII
E-CE9A
概要
製造国 日本の旗 日本
販売期間 1994年1月
ボディ
乗車定員 5人
ボディタイプ 4ドア セダン
駆動方式 4WD
パワートレイン
エンジン 4G63型:2.0L 直4ターボ
最高出力 260PS/6,000rpm
最大トルク 31.5kg-m/3,000rpm
変速機 5速MT
前:マクファーソンストラット式
後:マルチリンク式
前:マクファーソンストラット式
後:マルチリンク式
車両寸法
ホイールベース 2,510mm
全長 4,310mm
全幅 1,695mm
全高 1,420mm
車両重量 GSR:1,250kg
RS:1,180kg
テンプレートを表示
1994年1月
  • 発売。型式名“E-CE9A”。通称“エボII”。
  • 前モデルと同じく台数限定での販売。前モデルの問題点を徹底的に洗い出し、改良したモデル。不評を買った足回りの見直し、ボディ剛性の向上、ギヤ比のローギアード化、タイヤサイズの拡大(エボI 195/55R15→エボII 205/60R15)、ホイールベースおよびトレッドの拡大、エンジン内部と吸排気の改良などが行われ、出力は260PSに向上した。外観は前モデルからあまり変更はないが、走行性能は大幅に改善された。
  • しかし、出力に対しブレーキやタイヤの容量が不足しており、耐フェード性やタイヤのグリップの持続性に欠ける。エボIIIとエボIVでも同様の傾向が見られる。エボVで大幅なタイヤサイズの拡大とブレーキの強化が行われ、ようやくこの問題は解消された。
  • 用意されたボデーカラーは、スコーティアホワイト、クイーンズシルバー、モナコレッド、ピレネーブラック、ムーンライトブルー。
グレード体系
グレード エンジン型式 エンジン 排気量 最大出力 最大トルク 変速機 車重 価格 生産台数
RS 4G63(ターボ) 直列4気筒DOHC16バルブICターボ 1,997cc 260ps/6,000rpm 31.5kg・m/3,000rpm 5速MT 1,180kg 2,308,000円 1,059台
GSR 1,250kg 2,898,000円 5,225台

ランサーエボリューションIII

三菱・ランサーエボリューションIII
E-CE9A
概要
製造国 日本の旗 日本
販売期間 1995年1月
ボディ
乗車定員 5人
ボディタイプ 4ドア セダン
駆動方式 4WD
パワートレイン
エンジン 4G63型:2.0L 直4ターボ
最高出力 270PS/6,250rpm
最大トルク 31.5kg-m/3,000rpm
変速機 5速MT
前:マクファーソンストラット式
後:マルチリンク式
前:マクファーソンストラット式
後:マルチリンク式
車両寸法
ホイールベース 2,510mm
全長 4,310mm
全幅 1,695mm
全高 1,420mm
車両重量 GSR:1,260kg
RS:1,190kg
テンプレートを表示
1995年1月
  • 発売。型式名“E-CE9A”。通称“エボIII”。
  • エボIIで完成された基本構造を引き継ぎ、エンジンの冷却性能や空力性能の向上を目的に開発された。市販車でも異例の大型のリアスポイラーや、開口部の大きいフロントバンパーを備える。外装だけでなくエンジンにも改良が加えられ、出力を270PSまで向上させた。
  • しかし大幅な出力向上のため、比較的高い圧縮比(ターボエンジンの平均的な圧縮比が8〜8.5、エボIIIの圧縮比は9)を採用した結果、少し過給圧を上昇させるだけでもトラブルが発生しやすくなった。対策として、エボIIのピストン(後にエボIX用ピストン)を流用し圧縮比を下げ、カムシャフトを交換することで、オーバーラップを大きく取って圧縮圧力を逃がす、などの方法がある。
  • エボIやエボIIと比べ、派手なエアロパーツや高性能な機構を搭載するため、歴代ランエボの中でも人気がある。また、WRCでも好成績を残し、他のWRC参戦メーカーからも開発の参考とされた。
  • また、ターボラグの解消を目的として、2次エア供給システム(PCCS)が搭載されている。しかし、WRCでの使用を目的としたシステムであり、WRCの規定上、市販車にも同様の機構を搭載する必要があるため搭載されたもので、市販車では動作しないように設定されている。大径タービンを搭載するエボIIIには、特に有効なシステムであった。
  • 用意されたボデーカラーは、スコーティアホワイト、クイーンズシルバー、モナコレッド、ピレネーブラック、ダンデライオンイエロー。
グレード体系
グレード エンジン型式 エンジン 排気量 最大出力 最大トルク 変速機 車重 価格 生産台数
RS 4G63(ターボ) 直列4気筒DOHC16バルブICターボ 1,997cc 270ps/6,250rpm 31.5kg・m/3,000rpm 5速MT 1,190kg 2,378,000円 1,082台
GSR 1,260kg 2,968,000円 8,998台

第2世代(CN9A/CP9A)

ランサーエボリューションIV

三菱・ランサーエボリューションIV
E-CN9A
Evolution IV GSR(右)
概要
製造国 日本の旗 日本
販売期間 1996年8月
ボディ
乗車定員 5人
ボディタイプ 4ドア セダン
駆動方式 4WD
パワートレイン
エンジン 4G63型:2.0L 直4ターボ
最高出力 280PS/6,500rpm
最大トルク 36.0kg-m/3,000rpm
変速機 5速MT
前:マクファーソンストラット式
後:マルチリンク式
前:マクファーソンストラット式
後:マルチリンク式
車両寸法
ホイールベース 2,510mm
全長 4,330mm
全幅 1,690mm
全高 1,415mm
車両重量 GSR:1,350kg
RS:1,260kg
テンプレートを表示
1996年8月
  • 発売。型式名“E-CN9A”。通称“エボIV”。
  • ベースモデルのランサーが前年にフルモデルチェンジしたため、ボディを新型に刷新した。同時に、第一世代に対しエンジン搭載方向を左右反転させ、トランスミッション内部に設けられていたインターミディエイトギヤカウンターシャフトと同じ役割)を廃止したため、駆動ロスを軽減し、全く違うともいえる車に進化した。本モデル最大の特徴はGSRに搭載された、左右の後輪への駆動力を変化させ、旋回性を向上させるアクティブ・ヨー・コントロール(AYC)である。AYCの採用により、エボIIIに比べて大幅に旋回性能を向上させた。
  • しかし、エボIVに搭載されたAYCは比較的完成度が低く、異音が発生するトラブルが多発した。対策として、AYCの作動油の交換や、AYCの調整を行うことで一時的に異音をなくすことができたが、根本的な解決にはならなかった。そのため、HKS関西サービスが発売したコンパクトLSDに交換することが多く見られた。サーキットやジムカーナ等の競技用途では、フロントにヘリカルLSD、リアに1.5WAY機械式LSDが装着された、競技用グレードのRSが用いられた。フロントデフはGSRではオープンデフが採用されている。
  • エンジンは鍛造ピストン、ツインスクロールターボの採用、PCCSおよびタービンのノズル面積アップ、ブースト圧のアップにより出力を当時の自主規制値いっぱいの280PSまで向上させた。しかし、本モデルで採用された鍛造ピストンは過給圧の上昇に弱く、エボVでは再び鋳造ピストンが採用された。対策のため、エボV以降のピストンに交換する、などの方法がある。エアロパーツは、エボIIIでリアスポイラーを大型化した結果、前後の揚力バランスが取れなくなったため、バランスを見直して設計されている。これによりフロントゼロリフト、空気抵抗係数(Cd値)0.30を実現した。
  • 歴代のエボ同様に限定生産というかたちを取ったが、センセーショナルな形が人気を呼び歴代モデルの中では最も生産台数が多い[2]。ただしフルモデルチェンジ後の最初のモデルということでトラブルが多いことが欠点だが、歴代モデルの中でも派手ながらもまとまったデザインであることや、5ナンバーで開発された最終モデルであることなどを好むオーナーも多い。
  • 用意されたボデーカラーは、スコーティアホワイト、スティールシルバー、パルマーレッド、ピレネーブラック、アイセルブルー。
グレード体系
グレード エンジン型式 エンジン 排気量 最大出力 最大トルク 変速機 車重 価格 生産台数
RS 4G63(ターボ) 直列4気筒DOHC16バルブICターボ 1,997cc 280ps/6,500rpm 36.0kg・m/3,000rpm 5速MT 1,260kg 2,498,000円 941台
GSR 1,350kg 2,998,000円 12,193台

ランサーエボリューションV

三菱・ランサーエボリューションV
GF-CP9A
概要
製造国 日本の旗 日本
販売期間 1998年1月
ボディ
乗車定員 5人
ボディタイプ 4ドア セダン
駆動方式 4WD
パワートレイン
エンジン 4G63型:2.0L 直4ターボ
最高出力 280PS/6,500rpm
最大トルク 38.0kg-m/3,000rpm
変速機 5速MT
前:マクファーソンストラット式
後:マルチリンク式
前:マクファーソンストラット式
後:マルチリンク式
車両寸法
ホイールベース 2,510mm
全長 4,350mm
全幅 1,770mm
全高 1,415mm
車両重量 GSR:1,360kg
RS:1,260kg
テンプレートを表示
1998年1月
  • 発売。型式名“GF-CP9A”。通称“エボV”。
  • エボIV以前のモデルの欠点である、ブレーキやタイヤ容量の不足を改善するため、またWRCにおいてWRカーに対抗すべく3ナンバーサイズとなる車幅1,770mmのワイドボディを初めて採用し、タイヤサイズの拡大(エボIV 205/50R16→エボV 225/45R17)、フロント17インチ4ポット・リア16インチ2ポット対向のブレンボ社製キャリパーが採用された。さらに、フロントにヘリカルLSDを装着した(RSはオプション)ことにより、制動力や走行性能、旋回性能などが大幅に改善された。
  • その他、フロント倒立式ストラット、アルミ鍛造ロワアーム、角度調整式リアスポイラー、ノズル面積がアップさせたタービン(エボIV 9cm²→エボV 10.5cm²)、16ビットECUなどが採用された。
  • 馬力はエボIVと変わらず280PSであるが、タービンノズル面積アップおよびブースト圧のアップによりトルクがエボIV比で+2kg-mの38.0kg-mに向上した。
  • 本モデルは、WRCやサーキットにおいても好成績を残した。WRCでは、改造範囲の狭いグループA規定の車両でありながら、比較的改造範囲の広いWRカー規定の車両を圧倒して、マニュファクチャラーズチャンピオン、ドライバーズチャンピオン、グループN優勝という偉業を成し遂げた。筑波サーキットで開催されたチューニングカーのタイムアタックでは、車格が上の大排気量スポーツカーの記録を上回ることも多かった。
  • 本モデルは、歴代ランエボの中でも比較的人気が高い。
  • 用意されたボデーカラーは、スコーティアホワイト、サテライトシルバー、パルマーレッド、ピレネーブラック、ダンデライオンイエロー。
グレード体系
グレード エンジン型式 エンジン 排気量 最大出力 最大トルク 変速機 車重 価格 生産台数
RS 4G63(ターボ) 直列4気筒DOHC16バルブICターボ 1,997cc 280ps/6,500rpm 38.0kg・m/3,000rpm 5速MT 1,260kg 2,598,000円 678台
GSR 1,360kg 3,248,000円 6,939台

ランサーエボリューションVI

三菱・ランサーエボリューションVI
GF-CP9A
EvoVI ラリー仕様
概要
製造国 日本の旗 日本
販売期間 1999年1月
ボディ
乗車定員 5人
ボディタイプ 4ドア セダン
駆動方式 4WD
パワートレイン
エンジン 4G63型:2.0L 直4ターボ
最高出力 280PS/6,500rpm
最大トルク 38.0kg-m/3,000rpm
変速機 5速MT
前:マクファーソンストラット式
後:マルチリンク式
前:マクファーソンストラット式
後:マルチリンク式
車両寸法
ホイールベース 2,510mm
全長 4,350mm
全幅 1,770mm
全高 1,415mm
車両重量 GSR:1,360kg
RS:1,260kg
テンプレートを表示
1999年1月
  • 発売。型式名"GF-CP9A"。通称"エボVI"。
  • 卓越した運動性能で好評を得たエボVをベースに、さらに高次元における性能細部の玉成によるポテンシャルアップを図ると共に、'99WRCラリーレギュレーションへ対応するための外観変更を含めた内外観のリフレッシュを図るため開発された。
  • 空気抵抗および冷却性能、またフロントリフトの改善を目的として、ナンバープレート位置を中央から左側に変更、フォグランプの小径化などによる前面開口部形状の拡大、リアスポイラーの2段ウイング化などで、空力が改善された。しかし、WRC Gr.A規定では問題なかったが、翼面積がWRカー規定の2倍近くになるとしてFIAが指導したため、下段とトランクの間にある隙間をカーボンケブラーで塞ぎ、上段ウィングのみが機能するようになっている。前モデルのエボVで、硬めにセッティングされた足回りが街乗りには向かないことが不評であったため、フロントサスのロールセンター軸をエボV比で30mm低く設定することで、多少ソフトなセッティングに変更された。しかし、競技目的には向かず、全日本ラリー等ではエボVに勝つことができないという、ある種の「退化」を起こしている。そのため、競技用グレードのRSではエボVと同セッティングの足回りをオプションで選択可能となっている。
  • エンジンの馬力・トルクはエボVと変わらないが、冷却オイル路内蔵のクーリングチャンネル式ピストンの採用や冷却水レイアウトの変更、オイルクーラーの大型化など、エンジンの耐久性と信頼性を向上させている。また、RSには純正でチタンアルミ合金製タービンが採用され、タービンブレードの慣性力を50%低減している。
  • 用意されたボデーカラーは、スコーティアホワイト、サテライトシルバー、ピレネーブラック、アイセルブルー、ランスブルー。
  • WRC Gr.Aに1999年第1戦モンテカルロから2001年第10戦ニュージーランドまでの38戦に参戦し、1999年シーズンは第1戦モンテカルロ、第2戦スウェーディッシュ・ラリー、第4戦ポルトガル、第9戦ニュージーランド、第12戦サンレモで優勝し、3年連続となるドライバーズタイトルをトミ・マキネンが獲得した。2000年シーズンは第1戦モンテカルロで優勝し、第9戦ニュージーランドからはフロントバンパーがTMEを模したものに変更された。2001年シーズンは第1戦モンテカルロ、第3戦ポルトガル、第8戦サファリで優勝したが、セディアベースのWRカーへの移行に伴い、市販のランエボをベースにしたワークスマシンの系譜は終焉を迎えた。
グレード体系
グレード エンジン型式 エンジン 排気量 最大出力 最大トルク 変速機 車重 価格 生産台数
RS 4G63(ターボ) 直列4気筒DOHC16バルブICターボ 1,997cc 280ps/6,500rpm 38.0kg・m/3,000rpm 5速MT 1,260kg 2,598,000円 726台
GSR 1,360kg 3,248,000円 6,868台

ランサーエボリューションVI トミ・マキネンエディション(Tommi.Makinen Edition)

三菱・ランサーエボリューションVI TME
GF-CP9A
EvoVI TME Gr.A仕様
概要
製造国 日本の旗 日本
販売期間 2000年1月
ボディ
乗車定員 5人
ボディタイプ 4ドア セダン
駆動方式 4WD
パワートレイン
エンジン 4G63型:2.0L 直4ターボ
最高出力 280PS/6,500rpm
最大トルク GSR:38.0kg-m/2,750rpm
RS:38.0kg-m/3,000rpm
変速機 5速MT
前:マクファーソンストラット式
後:マルチリンク式
前:マクファーソンストラット式
後:マルチリンク式
車両寸法
ホイールベース 2,510mm
全長 4,350mm
全幅 1,770mm
全高 1,415mm
車両重量 GSR:1,360kg
RS:1,260kg
テンプレートを表示
2000年1月8日
  • 発売。型式名“GF-CP9A”。通称“エボVI T.M.E”または“エボ6.5”。
  • 当時の三菱のWRCワークスドライバー、トミ・マキネンの4年連続ドライバーズ・チャンピオン獲得を記念して、同選手の名前を冠した特別仕様車。比較的高速なターマック(舗装路)ラリーを意識して前部のバンパー形状を見直し、フォグランプ設置部の廃止により空力を改善した。
  • 足回りは従来より10mmダウンしたサスペンションを採用。また、標準型エボVIの足回りの替わりに、ターマックでの競技と相性が良いエボVの硬い足回りが標準採用された。(注文により標準エボVIの物に変更可能だった)その他、クイックステアリングギアが採用され、競技で運転しやすい仕様となっている。イリジウムプラグや、プラスチック製クーリングパネルも採用された。タービンが標準でチタンアルミ合金製になったことと、コンプレッサーホイール径の縮小により、最大トルクの発生回転数がエボV、エボVIよりも低くなった(エボV、エボVI 3,000rpm→エボVI TM E 2,750rpm)。マフラーもVIまでの楕円のテールから真円の大口径マフラーへ変更されている。出力などの動力性能での大きな変更点はなかったが、完成度は確実に上がっていた。
  • インテリアは黒色と赤色が基調になり、シフトノブとシフトレバーブーツ及びステアリングホイールはレッドステッチが施されたものを採用、計器類も赤い文字盤となり、TOMMI MAKINENと書かれた赤いレカロ社製シートも採用された。ホイールは、OZ社製の15本スポークホイールからENKEI社製の10本スポークホイールに変更された。パッションレッド・ボディーカラー車には、WRCワークスマシンをイメージしたスペシャルカラーリングパッケージがオプションで設定された。
  • WRCのGr.Aホモロゲーションを取得しなかったのはランエボ史上初である。2000年シーズンに使用されたワークスマシンはフロントバンパーの形状は似ているものの、サイドのカナード形状がダウンフォースを発生させるとして縮小されている。グラベルでの使用に対してはリップ部分も最初から外されていたため、比較的おとなしい外観となっていた。
  • 用意されたボデーカラーは、スコーティアホワイト、サテライトシルバー、ピレネーブラック、カナルブルー、パッションレッド。
グレード体系
グレード エンジン型式 エンジン 排気量 最大出力 最大トルク 変速機 車重 価格 生産台数
RS 4G63(ターボ) 直列4気筒DOHC16バルブICターボ 1,997cc 280ps/6,500rpm 38.0kg・m/3,000rpm 5速MT 1,260kg 2,598,000円 678台
GSR 38.0kg・m/2,750rpm 1,360kg 3,278,000円 2,021台
GSR
スペシャルカラーリングパッケージ
38.0kg・m/2,750rpm 1,360kg 3,298,000円 212台

第3世代(セダン:CT9A/ワゴン:CT9W)

ランサーエボリューションVII

三菱・ランサーエボリューションVII
GH-CT9A
EvoVII GrN仕様
概要
製造国 日本の旗 日本
販売期間 2001年2月
ボディ
乗車定員 5人
ボディタイプ 4ドア セダン
駆動方式 4WD
パワートレイン
エンジン 4G63型:2.0L 直4ターボ
最高出力 280PS/6,500rpm
最大トルク 39.0kg-m/3,500rpm
変速機 5速MT
前:マクファーソンストラット式
後:マルチリンク式
前:マクファーソンストラット式
後:マルチリンク式
車両寸法
ホイールベース 2,625mm
全長 4,455mm
全幅 1,770mm
全高 1,450mm
車両重量 GSR:1,400kg
RS:1,320kg
テンプレートを表示
2001年2月
  • 発売。型式名“GH-CT9A”。通称“エボVII”
  • ベースモデルは前年にフルモデルチェンジしたランサーセディアになり、エボVI以前のモデルと比べ、おとなしい外観となった。新開発のボディは、サスペンション取付部やボディフレーム結合部の補強や、専用リーンフォースメントの追加、スポット溶接の追加、ストラットタワーパーの採用などにより、エボVI比1.5倍の曲げ剛性を実現した。またランサーエボリューションVIIからヘッドライトにHIDが採用され、以降のエボシリーズはGSRグレードにHIDが標準装備されている。
  • ベースモデルのランサーセディアのボディが大型化したことや、アクティブ・センター・ディファレンシャル(ACD)の新規採用による重量増から、「大型ボディと重さで運動性が悪くなる」「エボの進化はVIまで」という前評判が囁かれていた が、実際にはそのような問題は杞憂であった。
  • 前後輪の差動制限を電子制御するACD(電子制御可変多板クラッチ機構)をエボVIIで新規採用した。道路のコンディションに合わせて、『ターマック(舗装路)』・『グラベル(未舗装路)』・『スノー(雪道)』の3モードを車内のスイッチで切り替え、センターデフをコントロール可能で、パーキングブレーキ作動時に作動制限をフリーにする機能も採用された。この機能により、ラリーやジムカーナなどの競技での急旋回が容易になり、前モデルにも増して、旋回性能を高めた。ギア比もエボVI比で、1速がローギアード化され、5速はハイギアード化された。また、これだけの変更点を持ちながら車両本体価格はGSRで299万円[3]と、エボVIよりも安価[4]になり、バーゲンプライスとも取れるほどの価格設定となった。
  • CP型までは「ランサー GSR/RS エボリューション」という、ランサーGSRまたはRSのエボリューションモデルという表記だったものが、このモデル以降は「ランサーエボリューション GSR/RS」と、ランサーエボリューションで一つの車名であるという表記に変更された。
  • このモデルより三菱はWRCでの活動をグループAからCS2A・ランサーセディアをベースとしたWRカーに移行(ネーミングのみエボリューションを継承)するが、実際にはエボとランサーセディアで全長などの違いから、ランサーセディアのファミリーだと認められず、WRカー規定のホモロゲーションが取得できなかった。そのためエボはグループNおよび全日本ラリーやスーパー耐久などの国内レース向けのモデルに特化していくことになる。
グレード体系
グレード エンジン型式 エンジン 排気量 最大出力 最大トルク 変速機 車重 価格
RS 4G63(ターボ) 直列4気筒DOHC16バルブICターボ 1,997cc 280ps/6,500rpm 39.0kg・m/3,500rpm 5速MT 1,320kg 2,518,000円
GSR 1,400kg 2,998,000円

ランサーエボリューションVII GT-A

三菱・ランサーエボリューションVII GT-A
GH-CT9A
概要
製造国 日本の旗 日本
販売期間 2002年1月
ボディ
乗車定員 5人
ボディタイプ 4ドア セダン
駆動方式 4WD
パワートレイン
エンジン 4G63型:2.0L 直4ターボ
最高出力 272PS/6,500rpm
最大トルク 35.0kg-m/3,000rpm
変速機 INVECS-II 5速AT
前:マクファーソンストラット式
後:マルチリンク式
前:マクファーソンストラット式
後:マルチリンク式
車両寸法
ホイールベース 2,625mm
全長 4,455mm
全幅 1,770mm
全高 1,450mm
車両重量 1,480kg
テンプレートを表示
2002年1月
  • 発売。型式名“GH-CT9A”。通称“エボVII GT-A”。
  • ランエボ初のAT採用モデルとして追加販売された。「INVECS-II」と呼ばれるスポーツモード付き5速AT採用によりスポーツセダン需要の取り込みを図ったが、ランエボの進化の過程とオートマチックトランスミッションは両立しがたいものがあった。
  • オートマチックトランスミッションの特性を考慮し、エンジン出力を272PSに落としてピークパワーよりも中・低回転域のトルクを重視したセッティングを採用した。また、競技車輌としてのホモロゲーションを取得していなかった(現在は日本自動車連盟認定済み)ためにアンチラグシステムは不要として、PCCS用パイピングは省かれている。内装は、ランエボ初の本革シートをオプションで用意しスポーツ性一辺倒であった性格を転換させた他、ランエボでは恒例だったMOMO製ステアリングを変速ボタン(ステアマチック)を組み合わせた自社製に変更。外観はシティユースを重視した仕様とし、リアウイングを専用設計の小型のものを標準で装備した(GSRと同じ大型リアウイング、ならびにウイングレス仕様をオプションで選択可能とした)。
  • フロント周りは、ATクーラーの装備に伴ってバンパー左側に通風口が設けられたため、ナンバープレート取付位置をバンパー中央部に戻した。その他、無骨なイメージの転換を目的として、ボンネット上のエアアウトレット・エアインテークも廃している。
グレード体系
グレード エンジン型式 エンジン 排気量 最大出力 最大トルク 変速機 車重 価格
GT-A 4G63(ターボ) 直列4気筒DOHC16バルブICターボ 1,997cc 272ps/6,500rpm 35.0kg・m/3,000rpm 5速AT 1,480kg 3,300,000円

ランサーエボリューションVIII

三菱・ランサーエボリューションVIII
GH-CT9A
EvoVIII
概要
製造国 日本の旗 日本
販売期間 2003年1月
ボディ
乗車定員 5人
ボディタイプ 4ドア セダン
駆動方式 4WD
パワートレイン
エンジン 4G63型:2.0L 直4ターボ
最高出力 280PS/6,500rpm
最大トルク 40.0kg-m/3,500rpm
変速機 6速MT/5速MT
前:マクファーソンストラット式
後:マルチリンク式
前:マクファーソンストラット式
後:マルチリンク式
車両寸法
ホイールベース 2,625mm
全長 4,455mm
全幅 1,770mm
全高 1,450mm
車両重量 GSR:1,410kg
RS[6MT]:1,350kg
RS[5MT]:1,320kg
テンプレートを表示
2003年1月
  • 発売。型式名“GH-CT9A”。通称“エボVIII”。
  • ダイムラー・クライスラーより移籍したデザイナー、オリビエ・ブーレイが三菱車共通のアイデンティティとして提唱した、富士山型のグリルが採用された。コンサバティブな長方形グリルから先述の富士山型グリル(通称「ブーレイ顔」)への変更は発売当時は不評を買い、ラジエターの冷却性低下や空気抵抗の増大を招いた。そのため、性能一辺倒を貫いてきたランエボらしくない“退化”である、と見る向きもある。
  • もっとも、メカニズムにおいては先代のエボVIIより、着実に進化を果たしており、特にトランスミッションは6速MT化(愛知機械工業製)されている(RSには5速MT仕様も設定)。
  • 基本的にグレードはGSRとRSの2種類である。両者ではヘッドライト点灯時のテールランプ点灯パターンに違いがある。ヘッドライト点灯時、GSRはテールランプが4個とも点灯するが、RSは奥の2個のみが点灯し、ブレーキを踏んだ時のみ4個全てが点灯する。
  • AYCの内部構造を見直し、制御トルク量を増加させたスーパーAYCを採用(RSは純正で1.5WAY機械式LSD、スーパーAYCはオプション)。リアスポイラーが量産セダン世界初のカーボン製になった。またこのモデルから日本国外への輸出が正式に開始された。スーパーAYCの性能と評価は高く、操縦性でライバルのインプレッサを超えたとさえ言われた。ただし、輸出モデルにはACDは搭載されていない。また、年々増加している盗難対策に、本モデルからはイモビライザーが全グレード標準装備となった。
グレード体系
グレード エンジン型式 エンジン 排気量 最大出力 最大トルク 変速機 車重 価格
RS 5速仕様 4G63(ターボ) 直列4気筒DOHC16バルブICターボ 1,997cc 280ps/6,500rpm 40.0kg・m/3,500rpm 5速MT 1,320kg 2,518,000円
RS 6速仕様 6速MT 1,350kg 3,160,000円
GSR 1,410kg 3,298,000円

ランサーエボリューションVIII MR

三菱・ランサーエボリューションVIII MR
GH-CT9A
概要
製造国 日本の旗 日本
販売期間 2004年2月
ボディ
乗車定員 5人
ボディタイプ 4ドア セダン
駆動方式 4WD
パワートレイン
エンジン 4G63型:2.0L 直4ターボ
最高出力 280PS/6,500rpm
最大トルク 40.8kg-m/3,500rpm
変速機 6速MT/5速MT
前:マクファーソンストラット式
後:マルチリンク式
前:マクファーソンストラット式
後:マルチリンク式
車両寸法
ホイールベース 2,625mm
全長 4,455mm
全幅 1,770mm
全高 1,450mm
車両重量 GSR:1,400kg
RS[6MT]:1,360kg
RS[5MT]:1,310kg
テンプレートを表示
2004年2月
  • 発売。型式名“GH-CT9A”。通称“エボVIII MR”または“エボ8.5”。
  • ギャランGTOから続くMitsubishi Racingを意味するMRのネーミングを冠した、エボVIIIの熟成型モデル。その変更箇所は数多く、新たに「エボIX」を名乗っても不思議ではないほどの改良が加えられていた。
  • ビルシュタイン社製ダンパーを採用し、ドア内部のサイドインパクトバーをアルミ化、量産車で初となるアルミルーフの採用により、約10kgの軽量化を達成した。またオプションとしてルーフ上に取り付ける「ボルテックス・ジェネレーター」が用意された。アルミホイールはエボVIIIのエンケイ社製の17インチ6本スポークに加え、BBS社製の17インチ鍛造軽量アルミホイールがメーカーオプションとなった(エボIX、エボワゴンにもメーカーオプションで設定される)。外見上のエボVIIIとの相違点は、ヘッドライトリアコンビランプがブラックアウト、ウイング翼端板のガンメタリック(アイゼングレー)塗色化、アルミルーフ採用に伴うルーフパネル端部のプレスリブに留まる。また、このモデルではタービンがエボVおよびエボVIと同じ大容量タービンが採用され(GSRとRS6速MT車のみ。RS5速MT車はエボVII、エボVIIIと同じタービン)、カムプロフィールもVIIIに比べ高回転向きに変更されている。またこのモデルのRSグレードは、CT系(いわゆる第3世代エボ)中で最も軽量である。
グレード体系
グレード エンジン型式 エンジン 排気量 最大出力 最大トルク 変速機 車重 価格
RS 5速仕様 4G63(ターボ) 直列4気筒DOHC16バルブICターボ 1,997cc 280ps/6,500rpm 40.0kg・m/3,500rpm 5速MT 1,310kg 2,740,000円
(2,877,000円)
RS 6速仕様 40.8kg・m/3,500rpm 6速MT 1,360kg 3,275,000円
(3,438,750円)
GSR 1,400kg 3,398,000円
(3,567,900円)

ランサーエボリューションIX

三菱・ランサーエボリューションIX
GH-CT9A
EvoIX ラリー仕様
概要
製造国 日本の旗 日本
販売期間 2005年3月
ボディ
乗車定員 5人
ボディタイプ 4ドア セダン
駆動方式 4WD
パワートレイン
エンジン 4G63型:2.0L 直4ターボ
最高出力 280PS/6,500rpm
最大トルク GSR:40.8kg-m/3,000rpm
GT/RS:41.5kg-m/3,000rpm
変速機 6速MT/5速MT
前:マクファーソンストラット式
後:マルチリンク式
前:マクファーソンストラット式
後:マルチリンク式
車両寸法
ホイールベース 2,625mm
全長 4,455mm
全幅 1,770mm
全高 1,450mm
車両重量 GSR:1,410kg
GT:1,390kg
RS[6MT]:1,360kg
RS[5MT]:1,320kg
テンプレートを表示
2005年3月
  • 発売。型式名“GH-CT9A”。通称“エボIX”。
  • ランエボに搭載されるエンジンとして初の連続可変バルブタイミング機構MIVECを採用[5]、また今回からターボのコンプレッサーハウジングを変更、コンプレッサーホイールにマグネシウム合金を(GSRではオプションとして)採用し、従来のアルミニウム合金よりもレスポンス向上を図った。その結果、最大トルクの発生回転数がエボVIII MRの3,500rpmから3,000rpmに下がり、低回転域のトルクアップおよびトルクバンド幅の増大と高回転域でのレスポンスが向上した。
ただし、マグネシウムコンプレッサー仕様は、過給圧を上昇させるとコンプレッサーブレードが割れやすいことが報告されている。GSR用などのアルミニウムコンプレッサー仕様に交換することにより解消が可能であるが、高額な部品であるためユーザーの負担は大きい。2005年12月以降生産分については対策品がつけられており、タービンの部品番号の末尾が0から1に変更されている。
  • 本モデルから、GSRとRSの中間グレードとしてGTがラインナップに加えられた。GTはリアデフに機械式1.5WAY LSD、5速MT、リア薄板ガラス、ハロゲンヘッドライト、マグネシウム合金ターボを装備。その他のボディーカラーの選択、オートエアコン・キーレスエントリーなどの快適装備、ビルシュタイン社製ダンパー(レスオプション可)、ブレンボ社製ブレーキなどの足回りなどはGSRと同じである。車両本体価格はGSRより抑えられており、車重もGSRより約20kg軽い。
  • その他、エボVIII MRから基本コンポーネンツ(スーパーAYC[6]、ACD、ビルシュタイン社製ダンパー採用、ルーフやドア内部のサイドインパクトバーをアルミ化[7]など)は変わらないものの、先述のエボVIIIで不評だったブーレイ顔が廃止され、スーパー耐久仕様のフロントバンパーに近似したデザインのものとなった。またリアバンパー中央部にディフューザーを装備し空力を向上させ、リアの車高を5mm落し接地性向上を図った[8]
グレード体系
グレード エンジン型式 エンジン 排気量 最大出力 最大トルク 変速機 車重 価格
RS 4G63 MIVEC(ターボ) 直列4気筒DOHC16バルブICターボ 1,997cc 280ps/6,500rpm 41.5kg・m/3,000rpm 5速MT 1,320kg 2,940,000円
GT 1,390kg 3,318,000円
GSR 40.8kg・m/3,000rpm 6速MT 1,410kg 3,570,000円

ランサーエボリューションワゴン

三菱・ランサーエボリューションワゴン
GH-CT9W
GT
GT-A
概要
製造国 日本の旗 日本
販売期間 2005年9月
ボディ
乗車定員 5人
ボディタイプ 5ドア スポーツワゴン
駆動方式 4WD
パワートレイン
エンジン 4G63型:2.0L 直4ターボ
最高出力 GT:280PS/6,500rpm
GT-A:272PS/6,500rpm
最大トルク GT:40.0kg-m/3,000rpm
GT-A:35.0kg-m/3,000rpm
変速機 6速MT/5速ATINVECS-II
前:マクファーソンストラット式
後:マルチリンク式
前:マクファーソンストラット式
後:マルチリンク式
車両寸法
ホイールベース 2,625mm
全長 4,455mm
全幅 1,770mm
全高 1,450mm
車両重量 GT:1,500kg
GT-A:1,540kg
テンプレートを表示
2005年9月
  • 発売。型式名“GH-CT9W”。通称“エボワゴン”。
  • ランエボ初のステーションワゴン形状として登場、エボIXのシャーシをベースとし、ランサーワゴンの「上半分」を溶接して製造された。6速MT搭載のGTと5速AT搭載のGT-Aをラインナップした。
  • GTはエボIXのエンジンと同じMIVECを搭載し、280PS/6,500rpm・40.0kg-m/3,000rpmの出力を発揮する。GT-AはエボVIIGT-Aと同じエンジンを搭載し、272PS/6,500rpm・35.0kg-m/3,000rpmと、GTに比べ抑え目の出力を発揮する。GT-Aのナンバーが中央にあるの理由は、GTのナンバー位置だとAT用オイルクーラーの邪魔をしてしまうため中央になった。反対側にはエンジンオイルクーラーがある。
  • 通常のランサーワゴンとは外観こそ似ているものの、ボディの骨格構造からして異なる。シャーシは基より外観も、フロントマスクを初めとして、リアブリスターフェンダーなどランエボ譲りの相違点を持つ。なおリアルーフスポイラーはランサーセディアワゴンに設定されていた「ラリーアートエディション」のものを流用している。
  • 一般的にワゴン車は、同設計のセダンと比較してボディ剛性面で劣るとされるが、エボワゴンの場合、それを補うためのバックドア開口部への重点的なスポット溶接等により、280PSを発揮するエンジンパワーに負けないよう、十分な剛性を持って設計されている。そのため、リアの車重が増加することとなったが、FFベースで開発されたランエボが元々フロントヘビーであったことにより、前後の重量配分が改善された。その結果、リアのトラクションの向上が見られたという(自動車評論家の中には、ベースのセダンと比較して、操縦性についてはむしろ好ましいとする意見もある)。また、スーパー耐久に参戦した際、空力特性に優れるワゴンボディ形状が作用して、ストレートでの最高速がセダンよりも伸び、適正な重量配分によりコーナリング中の挙動にも安定性の向上がみられた。しかし、絶対的な重量はセダン比で増加しているため、ブレーキングポイントがセダンよりも手前になってしまう、コーナリング中の速度が上げられないなどの弱点を持つためセダンの牙城を崩すに至らなかった。
  • シャーシやパワートレインはエボIXやエボVIII MRのキャリーオーバーで、リアデファレンシャルギアもエボIX GTと同じく、AYCではなく1.5WAY機械式LSDが採用されている。
  • その他、ワゴンとしての使い勝手を考慮し、リアシート収納によるシートアレンジ(2〜3名乗車)により、フラットで大容量なラゲッジスペースを確保できる。ユーティリティ面ではラゲッジスペースに12Vのアクセサリーソケットを装備するなど、走行性能に関わる装備以外も充実している。
グレード体系
グレード エンジン型式 エンジン 排気量 最大出力 最大トルク 変速機 車重 価格
GT-A 4G63(ターボ) 直列4気筒DOHC16バルブICターボ 1,997cc 272ps/6,500rpm 35.0kg・m/3,000rpm 5速AT 1,540kg 3,412,500円
GT 4G63 MIVEC(ターボ) 280ps/6,500rpm 40.0kg・m/3,000rpm 6速MT 1,500kg 3,465,000円

ランサーエボリューションIX MR、ランサーエボリューションワゴン MR

三菱・ランサーエボリューションIX MR
三菱・ランサーエボリューションワゴン MR
GH-CT9A/GH-CT9W
EvoIX RALLIART
概要
製造国 日本の旗 日本
販売期間 2006年8月
ボディ
乗車定員 5人
ボディタイプ 4ドア セダン
5ドアステーションワゴン
駆動方式 4WD
パワートレイン
エンジン 4G63型:2.0L 直4ターボ
最高出力 下記グレード体系を参照
最大トルク 下記グレード体系を参照
変速機 6MT(セダン)/5AT(ワゴン)/5MT
前:マクファーソンストラット式
後:マルチリンク式
前:マクファーソンストラット式
後:マルチリンク式
車両寸法
ホイールベース 2,625mm
全長 セダン4,455mm/ワゴン4520mm
全幅 1,770mm
全高 セダン1,440mm/ワゴン1480mm
車両重量 GSR[6MT]:1,420kg
RS[5MT]:1,320kg
その他は下記グレード体系を参照
テンプレートを表示
2006年8月29日
  • 発売。ランサーエボリューションIX MRの型式名は"GH-CT9A"。通称"エボIX MR"または"エボ9.5"。ランサーエボリューションワゴン MRの型式名は"GH-CT9W"。通称"エボワゴン MR"。
  • Mitsubishi Racingを意味するMRのネーミングを冠したエボIX及びエボワゴンの熟成型であり、同時にランエボとしては、4G63型ターボエンジンを搭載する最後のモデルになっている。セダンがGSRとRS、ワゴンがGTとGT-Aという、それぞれ2グレードずつ、合計4グレードが発売される。
  • エボIX、ワゴンからのエンジン系の大きな変化はなされず、レスポンスアップを狙ってタービン入口の小径化(下記参照)がされた。また、シートの縫い目を赤ステッチへ変更。内装パネルのピアノブラック化、フロントヘッドライト内部のブラックメッキ化、ヘッドライトのオートレベライザーの追加によりミラースイッチの移動。フロントエアダム下部の形状変更、揚力の低減と気流の制御により、さらなる空力特性の向上を図っている。アイバッハ社製コイルスプリングが、GSRでは標準、RSではセットオプションで設定される。このスプリングを装着することで、フロントで-10mm、リアで-5mm車高が変更され、より低重心化を図っている。最高出力とトルク、また発生回転数などはエボIXから変化しないが、MIVECターボのセッティングや制御の最適化・ファインチューニングが成され、さらにレスポンスを向上させている。ACD・スーパーAYCのセッティングも変更され、旋回性を向上させている。IXのエボワゴンに存在したサンルーフのメーカーオプション設定はなくなった。
  • 正式発表前より、「4グレード総計で1,500台限定の希少性」として、希少性を重視した予約販売が行われたが、人気車種であるため例に漏れず、追加生産が行われた。(RSは予約の時点ですでに生産割当台数をオーバーしていた)追加生産分のバックオーダーを含めると総生産台数としては、2,500台程度と噂される。
  • ターボチャージャーは、コンプレッサーホイール入口径を縮小することでレスポンス重視のセッティングになり、材質は、標準装備品がチタンアルミ合金製タービンホイールとアルミ合金製コンプレッサーホイールに変更された(GSR/RS)。標準装備品はハウジングを再設計することで、小型化が図られている。マグネシウム合金製コンプレッサーホイールについては、標準装備品と同様コンプレッサーホイール入口径が縮小されているが、エボIXと同様の寸法で、コンプレッサホイールの肉厚をIXの対策品よりさらに増し、マグネシウム合金の材質を変更した。これにより、当初の懸案事項であったコンプレッサーブレード破損のリスクを低減した。
  • メーカーオプションのマグネシウム合金コンプレッサーは、エボIXの初期型で不良が多発したことで敬遠され、エボIX MRでは予約分の時点で標準のアルミ合金が欠品した。そのため、メーカーオプションのマグネシウム合金コンプレッサー仕様なら即納、標準仕様なら3か月待ちという奇妙な事態となった。前述の通り、エボIX MRのマグネシウム合金はエボIXのそれとは別物である。
ランサーエボリューションIX MR グレード体系
グレード エンジン型式 エンジン 排気量 最大出力 最大トルク 変速機 車重 価格
RS 4G63 MIVEC(ターボ) 直列4気筒DOHC16バルブICターボ 1,997cc 280ps/6,500rpm 41.5kg・m/3,000rpm 5速MT 1,320kg 2,856,000円
GSR 40.8kg・m/3,000rpm 6速MT 1,420kg 3,622,500円
ランサーエボリューションワゴン MR グレード体系
グレード エンジン型式 エンジン 排気量 最大出力 最大トルク 変速機 車重 価格
GT-A 4G63(ターボ) 直列4気筒DOHC16バルブICターボ 1,997cc 272ps/6,500rpm 35.0kg・m/3,000rpm 5速AT 1,540kg 3,412,500円
GT 4G63 MIVEC(ターボ) 280ps/6,500rpm 40.0kg・m/3,000rpm 6速MT 1,500kg 3,486,000円

ランサーエボリューションMIEV

ランサーエボリューションMIEV
  • エボIXをベースに改造が施され、四輪すべてのタイヤ内に独立したモーターを搭載する電気自動車MIEVとは Mitsubishi In-wheel motor Electric Vehicle のこと(詳細はMIEVを参照)。
  • 「ランエボ MIEV」はインホイールモーター("I"n-wheel)式であることに注意。「i-MiEV」のような非インホイールモーター式の種類も含む総称にては「MiEV(Mitsubishi innovative Electric Vehicle)」となる。
  • 内装は一般的なオートマチックトランスミッション車とほぼ変わりはない。シフトレバーもエボVII GT-Aと同様のものが採用されている。リアウイングは、ランサーWRC05仕様と同形状のものを採用。
  • 2005年の発表以来、ナンバープレートを取得して公道での走行を含め、実用化に向けて実験中である。しかし、インホイールモーターの軽量化が難しく、開発は難航している。
性能
  • モーター - 50kWインホイールモーター×4基
  • 最高出力 - 200kW(50kW×4、270PS)
  • 最高トルク - 517N-m(52.8kg-m)
  • 最高速度 - 180km/h(速度リミッターがかかるため)

(参考:東京モーターショー2005 事前情報 三菱 ランサーエボリューション MIEV

第4世代(CZ4A)

ランサーエボリューションX

三菱・ランサーエボリューションX
CBA-CZ4A
EvolutionX GSR
EvolutionX GSR(リア)
概要
製造国 日本の旗 日本
販売期間 2007年10月 - 2015年8月
ボディ
乗車定員 5人
ボディタイプ 4ドア セダン
駆動方式 4WDS-AWC
パワートレイン
エンジン 4B11型:2.0L 直4ターボ
最高出力 MC前:280PS/6500rpm
MC後:300PS/6500rpm
最大トルク MC前:43.0kg-m/3500rpm
MC後:43.0kg-m/3500rpm
変速機 6速DCTツインクラッチSST)/5速MT
前:マクファーソンストラット式
後:マルチリンク式
前:マクファーソンストラット式
後:マルチリンク式
車両寸法
ホイールベース 2,650mm
全長 4,495mm
全幅 1,810mm
全高 1,480mm
車両重量 GSR[TC-SST]:1,540kg~1,600kg
GSR[5MT]:1,520kg~1,580kg
RS:1,420kg
テンプレートを表示
2007年4月26日
  • 新型発表、同年10月1日に発売されたモデル。型式名“CBA-CZ4A”、通称“エボX”。キャッチコピーは、“その進化は、一瞬で次代を抜き去る。”。価格は299万7,750円から375万600円。2007年度の目標販売台数は4,000台と発表されている。 エボシリーズでは現時点ではこのモデルのみ限定生産ではなくカタログモデルとなっている。
  • 2005年に東京モーターショーでこれの原型となるコンセプトカー『Concept-X』を発表。その後2007年デトロイトモーターショーでConcept-Xをより製品版に近くした新型ランサーエボリューションおよび次期ランサーのプロトタイプとなるコンセプトカー『Prototype-X』を展示していた。エボXはそれを市販化したものである。
  • 7代目ランサーの日本向け標準モデルが「ギャランフォルティス」の名称で発売されたため(6代目ランサーは1.5Lモデルのみ併売した後、2010年5月で生産・販売をすべて終了)、日本国内的に言えばエボXはギャランフォルティスベースということになるが、あくまで日本向け標準モデルが名称を変更しただけであり、日本国外向け標準モデルは「ランサー」、そして、スポーツモデルは「ランサーエボリューション」を名乗る。
  • ギャランフォルティスとシャーシは共有しているものの、エボXの方が前輪を15mm前に出した分ホイールベースが長くなっているほか、ボディは前後オーバーハングを切り詰めて全長を75mm短くして旋回能力を高めている。また全高も10mm低くし、逆にトレッドと全幅を長くして走行安定性を高めている。ボディフレームには最高で980MPa級の高張力鋼を使用し、ねじり剛性や曲げ剛性を高めても重量増を抑えている。
  • トランスミッションにはトルクコンバーターを使わない新開発の6速Twin Clutch SSTとオーソドックスな5速MTが搭載されるが、前モデルで採用されていた6速MTは現時点では搭載されていない。またTwin clutch SST(DCT)車は、法律上はAT車扱いとなるため、SST車はAT限定免許でも運転が可能となっている。法規上AT車となるだけではなくTC-SSTには自動変速モードもある為、ランエボセダンとしてはⅦGT-Aに次ぐ2例目のAT車と見ることもできる。
  • エンジンはこれまでの4G63型ではなく、新開発のオールアルミブロックエンジンの4B11型を搭載している。そのため、エンジン重量は軽量化されており、トルクはMIVECとの組み合わせにより422N-m(43.0kg-m)に増強、レスポンスも強化されている。なお、自動車馬力規制が解除された後も「無駄な出力競争を避けるため[9]」エボXは206kW(280PS)にとどまったが、2008年10月に行われた1回目のマイナーチェンジでエンジン出力は300PSに高められた。
  • AWDシステムは新開発の車両運動統合制御システム「S-AWC」が搭載される。ジェット戦闘機をモチーフにデザインされた大きく開いたフロントグリル「ジェットファイターグリル」が特徴的である。
  • モデルは街乗りに主眼を置いたGSRと、競技ベース車となるRSの2モデル。GSRはTC-SST 6速ATと5速MT、RSは5速MTのみがラインナップされる。競技ベース車のRSは、GSRには標準装備されている助手席エアバッグやフルオートエアコンと言ったものが搭載されず、ヘッドライトもGSRのディスチャージヘッドランプに対し、安価なハロゲンランプになっているなどして価格と重量を抑えている。また、これまでは装備されていたリアスポイラーでさえオプション化されている。
2008年7月3日
  • 同年10月より韓国・ソウルの総輸入販売代理店であるMMSKコーポレーションを通じて韓国国内で販売すると発表。販売されるのはツインクラッチSST搭載モデルのみ。
2008年10月9日
  • マイナーチェンジ。リアコンビランプのエクステンション部をレッド塗装からブラック塗装とし、エンジンは280PSから300PSに出力アップされた。その他、RS以外のインテリアや機能性もいくつか向上された。またBBSのホイールや本革レカロシート、HDDナビゲーションを標準装備し静寂性や運動性能を高めた新グレード「GSR-Premium」を追加した。キャッチコピーは“To The Premium Driving”となり、全体的に高級感を高めた改良となった。
2009年10月8日
  • マイナーチェンジ(2010年モデル)。キャッチコピーは、“唯一無二の才能を、この手に。”。主に、サイドスカートの大型化や、樹脂製のエンジンヘッドカバーの採用で約1.5kgの軽量化などが行われた。グレード体系も見直され、GSR-PremiumからMT仕様が廃止された。機能面では、一定速度で走行するクルーズコントロール機能をGSR-Premiumに標準装備、GSRにはオプション設定とした。静粛性にも改良が加えられており、RS以外のフロントウインドウに遮音ガラスが採用された。インテリアでは、メーター部に車両の情報を表示するマルチインフォメーションディスプレイのカラー化など。他に、RSを除いたエアコンダイヤルのクロームメッキ化や、夜間乗降時の照明やワイパーの機能に手が加えられた。また、リアスポイラーをレスオプションにできるようになった。
2010年10月8日
  • マイナーチェンジ(10月21日販売開始)。高着火性点火プラグの採用やエンジン制御、触媒仕様を見直したことで、JC08モード対応の「平成17年基準排出ガス50%低減レベル(☆☆☆)」に適合するとともに加速レスポンス、燃費も向上。Twin Clutch-SST車は制御見直しを行い、変速レスポンスの向上や減速時のスキップシフトを可能にしたことで、よりドライバーのフィーリングにあった変速が可能となった。また、「RS」以外のグレードではブレーキアシスト機構をペダル踏力・踏込み速度感応型に変更、ドアの不正開放や車内への不正侵入、車両の不正移動、ジャッキアップなどによるタイヤ盗難、バッテリーケーブルの切断などの異常を感知し、セルフバッテリー内蔵サイレンの吹鳴とハザードランプが点滅して知らせるプレミアムセキュリティアラーム(サッチャム準拠の盗難発生警報装置・国土交通省許可品)、低燃費運転をアシストするECOランプを追加した。さらに、「GSR-Premium」は7インチワイドディスプレイHDDナビゲーション(MMCS)に地上デジタルチューナーを新たに内蔵し、携帯電話や音楽プレーヤーなどの外部機器をMMCSのタッチパネル・ステアリングオーディオのリモコンスイッチ・ボイスコマンド機能で操作できるリンクシステムを追加。ロックフォードフォズゲート プレミアムサウンドシステムのトータル出力を向上(650W→710W)し、より迫力のあるサウンドを楽しめるようになった。(MMCSおよびロックフォードフォズゲート プレミアムサウンドシステムは「GSR」にもメーカーオプションで装備可能)。なお,2010年モデルで一部採用された遮音ガラスは廃止された。合わせて、今回の一部改良モデルより、5年目以降の車検入庫時に保証延長点検(24か月定期点検相当)を受けることを条件に適用される「最長10年10万km特別保証延長」の対象車種となった。
2011年10月20日
  • マイナーチェンジ(10月27日販売開始)。
  • 走行中にアクセルペダルとブレーキペダルを同時に踏んだ場合、ブレーキを優先するブレーキオーバーライド制御を全車に採用。内装では、RSを除き、アクセントパネルをグロスブラック塗装に変更し、フロントドアトリム上部をソフトパッド、中央部をソフトレザーとした。また、シフトポジションを「R」にすると、ルームミラー内蔵の3.3インチカラー液晶モニターが後方の様子を映し出して安全な後退・駐車をサポートする「リヤビューモニター付ルームミラー(自動防眩機能付)」を、メーカーオプションとして設定した。
2012年10月10日
  • マイナーチェンジ。
  • 「GSR」・「GSR-Premium」でボディカラーの見直しを行い、「ライトニングブルーマイカ」に替わって「コズミックブルーマイカ」を追加設定。「GSR」・「GSR-Premium」にメーカーオプション設定されているMMCSは高解像度・高精細WVGAモニターを搭載した多機能メモリーナビゲーションなどで構成される新型に更新し、ロックフォードフォズゲート プレミアムサウンドシステムには「DTS Neural Surround」などの新機能を採用した。また、「GSR」には6.1インチQVGAタッチパネルを採用し、駐車場などの後退時にリアビューカメラから後方の映像を確認できるディスプレイオーディオをメーカーオプションに追加した。
  • なお、この変更と同時にパジェロから5MT仕様が廃止され、2013年6月には3代目eKからもMTが廃止されたため、このランサーエボリューションXが三菱唯一のMT乗用車となっている。
2014年3月28日
  • 三菱自動車は、ランサーエボリューションを現行モデル限りで生産を終了することを明らかにした。
  • イギリスで販売終了記念車「FQ-440 MR」を40台限定で発売。同モデルではHKS製ターボチャージャー・Janspeed製吸排気系パーツなどが標準装備され、エンジン出力が440ps/57kg・mに引き上げられた。価格も5万ポンド(約845万円)と高めに設定されたが、販売開始からわずか60分で完売した[10]
2014年6月2日
  • 北米市場向けに、ランサーエボリューションの2015年モデルを7月から生産開始する方針が明らかになる[11]。このため北米市場に限っては当面の間現行車種として生き長らえることになった。
2014年7月10日
  • 一部改良(SST車は8月1日販売開始)[12]
  • ドアミラーをウィンカー付に変更し、フロントのドアトリムにステッチを追加。ボディカラーは「コズミックブルーマイカ」と入れ替えで「ライトニングブルーマイカ」を追加した。
  • MT車の競技用ベースグレード「RS」を9月で廃止、SST車は2014年度中に生産終了することが発表された。これに伴い、SST車は成約記念として「Twin Clutch SST FINAL」と打刻されたアクセントスカッフプレートとシリアルナンバー入りプレートが進呈され、販売店で装着される(シリアルナンバー入りプレートはシフトパネルに装着)。
2014年12月下旬
  • SST車が生産終了、以後は在庫のみの販売となる。なお5MT車は2015年8月まで継続生産される。
グレード体系
グレード 販売年 エンジン型式 エンジン 排気量 最大出力 最大トルク 変速機 車重 価格
RS 2007年10月 - 2008年10月 4B11 MIVEC
(ICターボ)
直列4気筒DOHC
16バルブICターボ
1,998cc 280ps/6,500rpm 43.0kg・m/3,500rpm 5速MT 1,420kg 3,150,000円
2008年10月 - 2014年3月 300ps/6,500rpm 1,420kg 3,150,000円
2014年4月 - 2014年7月 3,240,000円[13]
GSR 2007年10月 - 2008年10月 280ps/6,500rpm 1,520kg 3,495,450円
2008年10月 - 2014年3月 300ps/6,500rpm 1,530kg 3,786,000円
2014年4月 - 2014年7月 3,894,172円[13]
2014年7月 - 2015年7月 3,899,880円
2007年11月 - 2008年10月 280ps/6,500rpm SST 1,540kg 3,750,600円
2008年10月 - 2014年3月 300ps/6,500rpm 1,550kg 4,038,000円
2014年4月 - 2014年7月 4,153,372円[13]
2014年7月 - 2015年3月 4,159,080円
GSR プレミアム 2008年10月 - 2009年10月 300ps/6,500rpm 5速MT 1,580kg 4,798,500円
2008年10月 - 2014年3月 SST 1,600kg 5,250,000円
2014年4月 - 2014年7月 5,400,000円[13]
2014年7月 - 2015年3月 5,405,400円

ランサーエボリューション ファイナルエディション

三菱・ランサーエボリューション ファイナルエディション
CBA-CZ4A
概要
製造国 日本の旗 日本
販売期間 2015年8月 - 2016年4月予定
ボディ
乗車定員 5人
ボディタイプ 4ドア セダン
駆動方式 4WDS-AWC
パワートレイン
エンジン 4B11型:2.0L 直4ターボ
最高出力 313PS/6500rpm
最大トルク 43.7kg-m/3500rpm
変速機 5速MT
前:マクファーソンストラット式
後:マルチリンク式
前:マクファーソンストラット式
後:マルチリンク式
車両寸法
ホイールベース 2,650mm
全長 4,495mm
全幅 1,810mm
全高 1,480mm
車両重量 1,530kg
テンプレートを表示


2015年4月10日
  • 三菱自動車はランサーエボリューションXの特別仕様車「ランサーエボリューション ファイナルエディション」を8月に発売することを発表し、先行予約の受付を開始した[14][15]
  • 本モデルは1,000台の限定販売で、販売台数に達した時点で予約の受付を終了。また、「ファイナルエディション」の発売をもって日本国内での「ランサーエボリューションX」の生産・販売を終了することも発表された。これは同時に、日本国内市場において乗用車、及び自社生産車種のラインナップからランサーの名前が消滅するだけでなく日本国内での自社開発によるセダン市場から完全撤退する事も意味している。“走りに生きた、という誇り。”のキャッチコピーが示す通り、これがランサーエボリューションシリーズはもとより、ランサーシリーズの集大成となる。
  • 「GSR」の5MT車をベースに、外観はフロントグリルモールをダーククロームメッキに、バンパーセンターとボンネットフードエアアウトレットをグロスブラック塗装に、BBS社製18インチ鍛造軽量アルミホイールをダーク調塗装に変更。ボディカラーは5色を設定するとともに、メーカーオプションとしてルーフ部をブラック塗装とした2トーンカラーも設定している。内装は基調色をブラックで統一し、RECARO社製レザーコンビネーションシート、ステアリングホイール、シフトノブ、パーキングレバー、フロアコンソールリッドにレッドステッチを施した。
  • エンジンにはナトリウム封入エキゾーストバルブを追加することで最高出力を向上させたほか、ベースグレードではメーカーオプション設定となっているハイパフォーマンスパッケージを標準装備した。
  • その他、リアトランクに「Final Edition」のエンブレムを、フロアコンソールにはシリアルナンバープレートをそれぞれ装着し、マルチインフォメーションディスプレイのオープニング画面には「Final Edition」を表示する専用仕様を施した。
2015年8月20日
  • 前述の特別仕様車「ランサーエボリューション ファイナルエディション」において、限定台数の1,000台が完売となり、納車を開始したことを発表。2016年春までに順次納車される[16]
グレード体系
グレード 販売年 エンジン型式 エンジン 排気量 最大出力 最大トルク 変速機 車重 価格
ファイナルエディション 2015年8月 - 2016年4月予定 4B11 MIVEC
(ICターボ)
直列4気筒DOHC
16バルブICターボ
1,998cc 313ps/6,500rpm 43.7kg・m/3,500rpm 5速MT 1,530kg 4,298,400円

ラリー活動

三菱はWRC(世界ラリー選手権)にミドルクラスセダンのギャランVR-4で参戦していたが、モデルチェンジを迎えて7代目となったギャランのボディが大型化してしまった。さらに、VR-4に搭載されたV6ツインターボエンジンが、FIAのレギュレーションによるリストリクター径の制限が直4シングルターボに比べて小さい(Ø38に対しØ26.9)こともあり、「より小型軽量なベース車を求め、コンパクトセダンのランサーに6代目ギャランVR-4のコンポーネントを押し込んで作り上げたのがランエボである」とされてきた。

しかし、事実は「ギャランのリヤサスペンションは構造が複雑なため、整備性の面でラリーに向かなかった」のが最大の理由で、「より小型軽量なベース車を求め」というのは後から付けた理屈であると、三菱のラリーカー開発者の稲垣秋介が語っている[17]

フォードシトロエンなどのAWDターボ車がラインナップに存在しないメーカーが、レッキを行う際は三菱自動車から購入した(もしくは使用料を支払った上で借用した)ランエボを使用することが多い。

1993年
  • ラリー・モンテカルロからWRCに参戦した「エボI」は、当初苦戦を強いられたものの、毎年のように改良を重ねたエボリューションモデルを投入して進化を重ねた結果、トップレベルの競争力を発揮していく。
1995年
1996年
  • その後フルモデルチェンジを行い、シーケンシャルシフトなどを導入した「エボIV」、WRカーに対抗すべくトレッド幅を拡大し戦闘力を高めた「エボV」、「エボV」をさらに熟成した「エボVI」を駆ったトミ・マキネンにより1996年-1999年にWRCドライバーズタイトルを4連覇、1998年にはトミ・マキネンとリチャード・バーンズのコンビで悲願のWRCマニュファクチャラーズタイトルを獲得した(1998年はグループNもランエボが優勝を納めているのでWRC完全制覇を成し遂げた)。
  • しかし、WRCは1997年にグループAより改造範囲の広いワールドラリーカー(WRカー)規定が導入され、各社がWRカー規定に移行する中、三菱は「市販車をベースにWRCに参戦する」という当初からの目的もあり、グループA規定にこだわりを見せていたが、改造範囲がより幅広いWRカーが競争力を獲得すると次第にグループAの枠内では対抗しきれなくなっていってしまう。(実際はエボV投入時に、ライバルチームの同意を得た上でグループAでは本来禁止のリアホイールハウスの改造が施されており、純粋なグループAカーとは言い難い状態になっていた。)
  • 2000年はマニュファクチャラーズ4位、ドライバーズ5位に終わった。
2001年
  • 第11戦サンレモラリーから三菱初のWRカー「ランサーエボリューションWRC」へと移行した。トミ・マキネンは以降の4戦中3戦でリタイヤするなど苦戦しながらも最終戦までドライバーズチャンピオンを争うものの、その年のマニュファクチャラーズ、ドライバーズランキングは3位で2001年シーズンを終える。この三菱のWRカー、「ランサーエボリューションWRC」はランサーセディアをベースに改造を施したもので、外観はエボVIIのものと相似しているがFIA規定上では別車種である。
ランサーエボリューションWRC2
2002年
ランサーWRC'04
  • そして、2004年に「ランサーWRC04」でWRCへの参戦を再開する。この年から三菱に移籍したジル・パニッツィが初戦で6位入賞し、所々でSSトップタイムを刻むなど速さをみせたが、ラリードイチュランドで2004年度の活動を休止する。
2005年
  • しかし、2005年12月、三菱は2006年のWRCワークス活動休止を発表。理由は、前年に発覚したリコール隠し等により業績が悪化した三菱自動車工業の経営を立て直すべく、自社の再生計画を優先的に行うためとなっている。WRC復帰時期は、再生計画が終了する2008年以降をメドとする予定であった。しかし、2008年下半期に起こった世界的経済後退やレギュレーション改定の影響があってか、2011年9月時点でも、WRC復帰の噂は上がっていない。加えてラリーアートが清算されたため今後の見通しはますます不透明なものとなっている。また、一時次期ランサーのボディが大型化されるためコルトベースの車両通称コルトエボリューションが登場するという情報もあったが、実際には登場しなかった。(この件との関連は不明だが、ラリーアートからコルトのスポーツモデルであるコルトRALLIART Version-Rが登場した。)
2006年 ラリージャパン奴田原文雄選手
2008年

日本でのレース活動

  • スーパー耐久では、RSをベースにノーマルエンジンかつ純正タービンながら、予選では最大過給圧2.3kg/cm²、決勝では耐久性を考え1.7kg/cm²で走行している。今まで、AYCなどのデバイスは耐久性などがレースでの使用に疑問視されていたが、スーパーAYCになってからはこれはドライバーの負担軽減なども含め雨の日のトラクション性能やアンダーステア対策には非常に有効なことからACD+スーパーAYC+スポーツABSを付け走行している。もちろん、ACDとAYCの油温上昇も避けられないので冷却用のオイルクーラーが必要になる。
  • JAF主催の全日本ジムカーナ選手権では4WDターボクラスであるN4・SA3の両クラスでは約8-9割ランサー勢が占め、同じく全日本ダートトライアル選手権においても4WDターボクラスであるN3・SA2両クラスの約8-9割がランサー勢で占めており、競技車両としての人気が高いことを証明している。
  • また、2007年よりD1GP熊久保信重選手がFR化したエボIXで出場を開始した(センターデフをロックしてのFR化ではなく、エンジン自体を縦置きに変更した上でボディも加工を施してFR車用のミッションを搭載という大幅な変更が施されている)。
  • 2008年は、前年発売のランエボXが初出場し、スーパー耐久、全日本ラリー選手権共に第2戦で初優勝を遂げたものの、ラリーでは先に国際デビューし、トラブル潰しが始まったスバル・インプレッサや、熟成され、しかも車体重量が軽いエボIXに圧倒され、最終戦でライバルがミス(スタートを早発)して逆転優勝したものの、総合チャンピオンにはなれなかった。優勝者は2回とも奴田原文雄選手。
  • スーパー耐久では第3戦でも優勝したものの、以後エボIXの優勝が続いた。この年はインプレッサはスポット参戦に留まり、ST2の全戦参加は全車がランエボというワンメーカー状態となった。

日本国外での評価

VWRCでの活躍などで、日本国外でも高い人気を得ている。そのため、エボVIII以降は正規に輸出が行われている。

チューニングのベースとしてのランエボ

  • メーカーの手でチューニングされた車であるため、チューニングのベースとしても人気車種の一つに数えられる。
  • 軽量+コンパクト+ハイパワー+4WDという基本コンポーネントの高さが活き、テクニカルコースを中心にスーパーラップで大活躍している。特に筑波サーキットではHKSサイバーエボJUN AutoMechanicの各チューニングマシンが歴代レコード記録を樹立している。
  • 軽量なハイパワーAWDというメリットを生かして、ドラッグレースに使用されることも多い。

脚注

  1. ^ 三菱 ランエボ、生産終了へ…英国では歴代最強モデルが60分で完売レスポンス公式サイト・2014年3月29日、2014年3月30日観覧
  2. ^ GSRとRSの合算では最多。ただしエボVIIがGSRとRSにGT-Aを足すと僅かにエボIVの生産台数を上回る。
  3. ^ 三菱 ランサー GSRエボリューションVII(2001年2月)のカタログ goo-net
  4. ^ 三菱 ランサー GSRエボリューションVI(1999年1月)のカタログ goo-net
  5. ^ 吸気側の位相変化のみ。
  6. ^ GSRのみ。RSおよびGTでは機械式LSDだが、RSはオプションで選択可能。
  7. ^ オプションでエボVIII MRには無かったスチールルーフが選択可能となり、ディーラーオプションであるベースキャリアの追加が可能となった。
  8. ^ GSRのみ。GT及びRSの車高変更はなされていない。なお、本モデルからは、グレードに関係なくスペアタイヤを載せず、パンク修理キットでの対応に変更され、さらなる軽量化が図られている。
  9. ^ モーターファン別冊・ランサーエボリューションXのすべて p44 三栄書房 ISBN 978-4-7796-0308-2
  10. ^ 三菱/ランエボなくして何残る フィナーレにX FQ-440 MR即売 - Car-life・2014年3月31日
  11. ^ 三菱「ランサーエボリューション」延命! 北米仕様の2015年モデルを間もなく生産開始 - Autoblog日本版・2014年6月2日
  12. ^ 『ランサーエボリューションX』を一部改良して発売 - 三菱自動車工業 プレスリリース 2014年7月10日
  13. ^ a b c d 消費税率の変更によるもの(本体価格は据え置き)
  14. ^ 特別仕様車『ランサーエボリューション ファイナルエディション』の先行予約を受付開始 - 三菱自動車工業 プレスリリース 2015年4月10日
  15. ^ 特別仕様車『ランサーエボリューション ファイナルエディション』 1,000台限定で販売
  16. ^ 特別仕様車『ランサーエボリューション ファイナルエディション』限定1,000台を完売~8月20日よりお客様に納車を開始~ - 三菱自動車工業株式会社 ニュースリリース 2015年8月20日
  17. ^ WRC PLUS '06 vol.6 ラリージャパン速報号、72ページ参照。

関連項目

外部リンク