生きる (映画)
| 生きる | |
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| 監督 | 黒澤明 |
| 脚本 | 黒澤明 橋本忍 小国英雄 |
| 製作 | 本木莊二郎 |
| 出演者 | 志村喬 小田切みき 金子信雄 関京子 |
| 音楽 | 早坂文雄 |
| 撮影 | 中井朝一 |
| 編集 | 岩下広一 |
| 配給 | |
| 公開 | |
| 上映時間 | 143分 |
| 製作国 | |
| 言語 | 日本語 |
『生きる』(いきる)は、1952年(昭和27年)に公開された日本映画である。監督は黒澤明、主演は志村喬による。
目次 |
概要 [編集]
数ある黒澤明監督作品の中でも、そのヒューマニズムが頂点に達した作品と評価される名作。その題名通り「生きる」という普遍的なテーマに真っ向から切り込んだ作品であり、時代劇の印象が強い黒澤の、現代劇での代表作である。1948年(昭和24年)の『醉いどれ天使』に出演以降、1965年(昭和40年)の『赤ひげ』まで黒澤映画の看板役者であった三船敏郎が、その間で唯一出演していない作品としても知られている。また、志村は若いころに実際に大阪市役所に勤務していた経験がある。
日本では「お役所仕事批判の作品」と捉えられる傾向も強いが、この作品で舞台を市役所に置いたのは、そのテーマをあぶりだすのに最適な場所という以上の意味は無い。この映画で皮肉られている形式主義的な仕事のやり方、上司に気に入られるための部下のお追従などは、民間企業ひいては日本人の集団行動の底辺に横たわるものの発現としてしばしば見受けられるものである。
志村演じる主人公がブランコをこぐシーンは名シーンとしてよく知られている。脚本はレフ・トルストイの「イワン・イリイチの死」が下敷きにされており、作中にそれを暗示するせりふも盛り込まれている[要出典]。
黒澤はこの当時、東宝争議の影響で、映画界入り以来所属してきた東宝を去り、独立プロ「映画芸術協会」を設立して、他社で『野良犬』、『羅生門』、『白痴』などを制作していた(『野良犬』以外の監督作品は、いずれも配給は大映・松竹である)。労働争議が終息した後の1952年(昭和27年)に、東宝復帰第1作として制作されたのが本作『生きる』である。
黒澤は作中で積極的に流行歌を取り入れているが、「生きる」では作中に絶望した初老の主人公が口ずさむ歌として「ゴンドラの唄」が選ばれた。「ゴンドラの唄」は吉井勇の作詞、中山晋平の作曲で1915年(大正4年)に芸術座の第5回公演『その前夜』(ツルゲーネフ作)の劇中歌として用いられ、のちに流行歌となった。
1953年度のベルリン国際映画祭(第4回)においてベルリン市政府特別賞を受賞した(日本では銀熊賞を受賞したとされることがあるが誤り)[1]。
ストーリー [編集]
注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。
市役所で市民課長を務める渡辺勘治は、かつて持っていた仕事への熱情を忘れ去り、毎日書類の山を相手に黙々と判子を押すだけの無気力な日々を送っていた。市役所内部は縄張り意識で縛られ、住民の陳情は市役所や市議会の中でたらいまわしにされるなど、形式主義がはびこっていた。
ある日、体調不良で診察を受けた渡辺は自分が胃癌だと悟り、余命いくばくもないと考える。不意に訪れた死への不安などから、これまでの自分の人生の意味を見失った渡辺は、市役所を無断欠勤し、これまで貯めた金をおろして夜の街をさまよう。そんな中、飲み屋で偶然知り合った小説家の案内でパチンコやダンスホール、ストリップなどを巡る。しかし、一時の放蕩も虚しさだけが残り、事情を知らない家族には白い目で見られるようになる。
その翌日、渡辺は市役所を辞めて玩具工場に転職していようとしていた部下の小田切とよと偶然に行きあう。何度か食事を共にし、一緒に時間を過ごすうちに渡辺は若い彼女の奔放な生き方、その生命力に惹かれる。自分が胃癌であることを渡辺がとよに伝えると、とよは自分が工場でつくっている玩具を見せて「あなたも何か作ってみたら」といった。その言葉に心を動かされた渡辺は「まだできることがある」と気付き、次の日市役所に復帰する。
それから5ヶ月がたち、渡辺は死んだ。渡辺の通夜では、同僚たちが、役所に復帰したあとの渡辺の様子を語り始める。渡辺は復帰後、頭の固い役所の上司らを相手に粘り強く働きかけ、脅迫にも屈せず、ついに住民の要望だった公園を完成させ、雪の降る夜に完成した公園のブランコに揺られて息をひきとったのだった。新公園の周辺に住む住民も焼香に訪れ、渡辺の遺影に泣いて感謝した。いたたまれなくなった助役など上司たちが退出すると、市役所の同僚たちは実は常日頃から感じていた「お役所仕事」への疑問を吐き出し、口々に渡辺の功績を讃え、これまでの自分たちが行ってきたやり方の批判を始めた。
通夜の翌日市役所では、通夜の席で渡辺を讃えていた同僚たちが新しい課長の下、相変わらずの「お役所仕事」を続けている。しかし、渡辺のつくった新しい公園は、子供たちの笑い声で溢れていた。
キャスト [編集]
- 志村喬 - 渡邊勘治(市役所市民課長)
- 金子信雄 - 渡邊光男(勘治の長男)
- 関京子 - 渡邊一枝(光男の妻)
- 小堀誠 - 渡邊喜一(勘治の兄)
- 浦辺粂子 - 渡邊たつ(勘治の兄嫁)
- 南美江 - 家政婦
- 小田切みき - 小田切とよ(市役所臨時職員 - 玩具工場作業員)
- 藤原釜足 - 大野(市民課係長。渾名は「ナマコ」)
- 山田巳之助 - 齋藤(市民課主任。渾名は「定食」)
- 田中春男 - 坂井(市民課職員)
- 左卜全 - 小原(市民課職員。渾名は「ドブ板」)
- 千秋実 - 野口(市民課職員。渾名は「ハエ取り紙」)
- 日守新一 - 木村(市民課職員。渾名は「糸蒟蒻」)
- 中村伸郎 - 市役所助役
- 阿部九洲男 - 市会議員
- 林幹 - 土木部長
- 小川虎之助 - 公園課長
- 清水将夫 - 医師
- 木村功 - 医師の助手
- 渡辺篤 - 患者
- 伊藤雄之助 - 小説家
- 丹阿弥谷津子 - スタンド・バーのマダム
- 永井智雄、村上冬樹、青野平義 - 新聞記者
- 宮口精二、加東大介、堺左千夫、広瀬正一、宇野晃司 - やくざの子分(ノンクレジット)
- 千葉一郎 - 焼香する警官
- 三好栄子、菅井きん - 陳情の主婦
- 一万慈多鶴恵、上遠野澄代 - 陳情の主婦(ノンクレジット)
- 谷晃 - 飲み屋の親父
- 長濱藤夫 - 下水課職員
- 河崎堅男 - 土木課職員
- 勝本圭一郎 - 公園課職員
- 瀬良明 - 市役所職員
- 光秋次郎 - 市役所幹部(ノンクレジット)
- 鈴木治夫 - 衛生課受付職員(ノンクレジット)
- 今井和雄 - 予防課受付職員(ノンクレジット)
- 加藤茂雄 - 防疫係受付職員(ノンクレジット)
- 安芸津広 - 虫疫係受付所職員(ノンクレジット)
- 川越一平 - 道路課受付職員(ノンクレジット)
- 津田光男 - 都市計画部受付職員(ノンクレジット)
- 榊田敬二 - 区画整理課受付職員(ノンクレジット)
- 熊谷二良 - 消防署職員(ノンクレジット)
- 夏木順平 - 病院待合所の患者(ノンクレジット)
- 深見泰三 - 野球場の男
- 小島洋々 - 総務課長
- 登山晴子、安雙三枝 - 焼香の客
- 小泉博 - ジャズバーの客(ノンクレジット)
- 向井淳一郎 - 映画館の客(ノンクレジット)
以下の3人は「特別出演」としてクレジットされている。
- 市村俊幸 - ジャズバー・ピアニスト
- 倉本春枝 - ジャズバー・ダンサー
- ラサ・サヤ - ヌード・ダンサー
ナレーターは製作者の本木荘二郎だが、クレジットはされていない[2]。
備考 [編集]
- 作中に引用された「トウ・ヤング」「カモナ・マイ・ハウス」など、アメリカのポップスの著作権をめぐってトラブルが起こり、1974年(昭和49年)までリバイバル上映が出来なかった。この点については、公開の翌年1954年に制作されたアメリカのテレビドラマ「十二人の怒れる男」(映画版公開は1957年)にはストーリー構成上の類似点が認められるという裏事情が推測される。
リメイク [編集]
- 松本幸四郎主演。物語の舞台は現代(2007年)に設定されており、それに合わせて一部の登場人物や、終盤にかけての話の流れが変更されている。
- ハリウッドでは、ドリームワークスがリメイク権を獲得しており、2000年代前半に監督ジム・シェリダン、主演トム・ハンクス等のキャストでリメイクが行われると何度か報道されたことがあったが[3][4][5]、その後は続報もなく、名前が挙がった人物もそれぞれが別の仕事をこなしていることから、リメイクの計画は一旦頓挫したと考えられる。
脚注 [編集]
- ^ Special Prize of the Senate of Berlin. 参照:山本英司「徒然映画日記 考えるネコ」第61回「生きる」
- ^ 藤川黎一『黒澤明vs.本木荘二郎 それは春の日の花と輝く』p.240
- ^ シネマトゥデイ (2003年3月27日). “T・ハンクス、ハリウッドリメイク『生きる』へ出演?”. 2009年7月23日閲覧。
- ^ シネマトゥデイ (2004年9月15日). “ジム・シェリダン、『生きる』リメイクへ”. 2009年7月23日閲覧。
- ^ ZAKZAK (2004年9月13日). “黒澤「生きる」ハリウッド版リメーク”. 2009年7月23日閲覧。
外部リンク [編集]
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