隠し砦の三悪人

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隠し砦の三悪人
The Hidden Fortress
監督 黒澤明
脚本 菊島隆三
小国英雄
橋本忍
黒澤明
製作 藤本真澄
黒澤明
出演者 三船敏郎
千秋実
藤原釜足
藤田進
志村喬
上原美佐
音楽 佐藤勝
撮影 山崎市雄
編集 黒澤明
配給 東宝
公開 日本の旗 1958年12月28日
上映時間 139分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
興行収入 3億4264万円
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隠し砦の三悪人』(かくしとりでのさんあくにん)は、1958年12月28日に公開された黒澤明監督による日本映画。

概要[編集]

黒澤作品初のスコープサイズ(TohoScope) 作品。主な撮影は兵庫県西宮市蓬莱峡で行われた。上映時間139分。白黒・モノラル作品。東宝配給。

劇中、火祭りの歌の歌詞は本作品の舞台である戦国時代をやや遡る室町時代の成立である『閑吟集』の「なにせうぞ くすんで 一期は夢よ ただ狂へ」に由来する。この歌集に先行する類似の文句としては、室町幕府初代将軍足利尊氏の清水寺への請願文の書き出しとして有名な「この世は夢のごとくに候」がある。

あらすじ[編集]

百姓の太平と又七は、手柄と褒美を夢見て山名と秋月の戦いに参加したが、何も出来ないまま、秋月の城は落ち、その後は散々使役され、今、不満をぶつけ合いながら、帰郷の途についていた。が、その道中、泉の中で、金の延べ棒が仕込まれている薪を見つけ驚く。延べ棒には秋月の紋章が刻まれている。すると、不思議な風体の男が「それは俺の物だ」と取り上げる。男は屈強で、結局ふたりは、分け前欲しさに、男に従うようになる。さらに今度は気の強そうな若く美しい女が現れ、男はその女も「俺のものだ」と言うが、それは秋月家の生き残り、雪姫で、男は秋月家の侍大将、真壁六郎太だった。

落城後、六郎太は雪姫、重臣らとともに、山中の隠し砦に身を潜めていたのだった。大量の金は薪に仕込み、泉に隠していたのだ。秋月家再興のため、同盟国の早川領へ逃げ延びる方法を思案していた六郎太であったが、秋月領と早川領の国境は山名に固められていた。しかし太平と又七が口にした、1度敵の山名領に入ってから早川領へ抜けるという脱出法を聞いてこれを実行に移すことと決める。大量の薪は分け前を与えるということにして、強欲なふたりの百姓に運ばせる。気性の激しい雪姫は、その正体を百姓ふたりにも隠し通すために聾唖者で通してもらうこととなった。

最初の関所でさっそく一行は怪しまれ、薪を背負った馬を連れた男三人と若い女一人を見つけ次第拘束せよというお達しが出されるが、最初の宿場で、女郎に売られた秋月領の百姓娘を姫が買い戻せと六郎太に命じ、また六郎太の馬を、欲しがる侍に売ったため、一行は、薪を積んだ荷車と男三人、女二人となり、一時怪しまれなくなる。

しかし六郎太の前に、山名の侍大将でかつての盟友にして宿敵の田所兵衛が立ちふさがる。六郎太は一騎打ちで打ち負かすが、そのあいだ又七と太平は、姫へ手を出そうとする。しかし、姫と見抜いて恩義を感じている百姓娘に阻まれる。

一行は火祭りの準備のために薪を運んでいる群集にこれ幸いと紛れ込む。しかし薪を持った一行で怪しい素振りの者がいればすぐに捕えろと監視の兵が配されていた。又七と太平は祭りの火に薪をくべることを拒むが、六郎太は「燃やせ燃やせ!、踊れ踊れ!」と燃やしてしまい、楽しそうに踊る姫に反して、二人は情けない顔で踊る。

翌朝、金の延べ棒を灰の中から拾い上げ、一行は薪を背負って進むが、山名と戦闘となり、又七と太平は逃亡してしまう。なんとかその場は切り抜けるも、早川領まであと一歩ということころで姫と六郎太は山名に捕えられてしまう。雪姫は、身代わりになろうとする百姓娘を諭し、「姫は楽しかった。潔く死にたい」と言い「人の命は火と燃やせ」と火祭りの歌を歌い六郎太も百姓娘も泣く。しかし処刑の場で田所兵衛が突然、火祭りの歌を歌いだしたかと思うと、姫と六郎太、百姓娘を開放し、自らも「裏切り御免!」とともに馬に乗って逃げてしまう。

又七と太平は早川の城に呼び出され、殿中姿の姫と六郎太に再会。素性を明かされ、ささやかな褒美を受け取り、仲良く家路につく。

キャスト[編集]

スタッフ[編集]

主な受賞歴[編集]

影響と逸話[編集]

  • スター・ウォーズ』(1977=新版では『エピソードIV/新たなる希望』)のアイディアはこの映画を元に考えられたと監督ジョージ・ルーカス自らが回想している。姫を救うという流れ、冒頭シーンとラストシーンの類似、姫の男勝りの性格や行動には雪姫の影響があり、C-3POR2-D2は、太平と又七である。
  • 撮影の前半は順調に進んだが、後半は天候に災いされて大幅に遅れた。映画自体はヒットしたが、制作日数と予算がオーバーしたため、東宝はその後、黒澤側にプロダクションの設立を要求することになる。一連の予算的なリスクをプロダクションに負担してもらうためである。
  • 劇中、疾走する馬にまたがってのチャンバラはスタントを使わず、三船敏郎自身が演じている。この撮影シーンは、黒澤映画の中でも語り草となるところで、三船は馬で騎馬武者を追いかけて切り捨てるが、両手は刀を握り八双の構えをとり、膝で馬を制御している[1]。また、狙撃されるシーンで黒澤はリアリティにこだわり、本物の銃弾を撃たせ、三船らに銃弾をかわさせようとしたが、さすがに三船は拒否した。なお、その前年に公開された黒澤の映画『蜘蛛巣城』で三船に対し同じようなスタント(本物の矢が三船に射かけられる)があり、三船を激怒させたというエピソードがある。
  • 雪姫を演じた上原は、東宝社員にスカウトされたまったく素人であったため、撮影前に馬術剣道を習い、撮影中はそのつど黒澤が演じてみせ、それに従って演じた。
  • 冒頭の千秋と藤原が落武者に出会う場面では、藤原が細かい台詞をよく覚えてなかったため、曖昧にしゃべっていた。離れて撮影していた黒澤は気がつかなかったが、アフレコのときに発覚した。
  • 落武者が殺され倒れている横を馬が駆け抜ける場面では、一頭の馬が加藤の頭を蹴ったため加藤は少し頭を上げたかたちで死体を演じつづけた。黒澤はのちに対談で、撮影後加藤の衣装を脱がせる手伝いをした際に、妻が加藤にもたせたお守りを見てほろっとしたと語った。
  • 2008年、東宝の配給で本作品のアイドル映画への翻案である『隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS』が公開された(主演は松本潤)。

脚注[編集]

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  1. ^ 松田美智子「三船敏郎の栄光とその破滅」(月刊文藝春秋誌 2013年11月号) より、のち改訂され『サムライ 評伝三船敏郎』(文藝春秋、2014年)に収録。

外部リンク[編集]