望遠レンズ

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望遠レンズ(ぼうえんレンズ)は、カメラ用の撮影レンズで、長い焦点距離を持ち、名前の通り遠くのものを拡大あるいは手前に引き寄せて写すことができるレンズである。

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[編集] 定義

どのようなレンズが望遠レンズに該当するといった正式な定義は存在せず、カメラメーカー・レンズメーカーでも各社見解が異なっていることがあるが、35mm判で標準レンズとして作られた最長焦点距離のレンズは60mm[1]であり、その対角線画角39度であるため、一般的には対角線画角39度未満のレンズを望遠レンズとして扱うことが多い。特に、35mm判カメラでは60mmの次に長い焦点距離は85mmが多く、一般的には85mm以上の焦点距離のレンズが35mm判の望遠レンズとして扱われることが多い。

カメラシステムにはさまざまな画面サイズが存在し、画面サイズの異なるシステム間では画角に対する焦点距離が異なるため、望遠レンズの定義を焦点距離で説明するのは適当ではない。さらにデジタルカメラではフルサイズ機を除けば35ミリフィルムカメラより小さな素子を使っているので、実質的な画角は1.5倍から2倍程度狭くなる(望遠よりになる)ので注意を要する。

[編集] 効果

ライカ判の210mmレンズで撮影した写真
ライカ判の210mmレンズで撮影した写真

望遠レンズは、ある狭い範囲を大きく写すことができる。近くの被写体も遠くの被写体も同じように大きく写るため、遠近感が少ない写真になる(圧縮効果)。同じ原理で、カメラに対して傾斜した面の傾斜角が、極端に急角度に見える。また、焦点距離が長くなるほど、被写界深度が浅くなる。このため背景をぼかすなどのボケ表現に用いられることがある。

35mm判用望遠レンズの、焦点距離が85mmから135mm程度までのレンズは望遠効果があまり強くないので、中望遠レンズと呼ぶことが多い。特に85mmから105mm程度までのレンズは、ある程度近距離を写す場合に遠近感が標準レンズよりも自然で、被写体と撮影者の間に適当な距離を置くことができ、被写界深度が浅いので被写体が背景や前景から浮き上がるなど、人物撮影に向いた特性を持っているので、ポートレート・レンズと呼ばれることがある。また、この特性はマクロ撮影用途にも有効であり、現在はマクロレンズの焦点距離は100mmや105mmが多い[2]

35mm判で300mmまたは400mm以上の焦点距離を持つレンズはきわめて望遠効果が強く、超望遠レンズと呼ぶことが多い。

[編集] 機構上の特徴

望遠レンズは被写界深度が浅いので、より精密なピント合わせが必要である。このため、本格的な望遠レンズの使用は使用するレンズの焦点距離にかかわらず測距精度が一定の距離計連動式カメラでは難しく、ピントを直接確認できる一眼レフカメラが望遠レンズに適する。

望遠レンズは、光学設計上どうしても長く重くなってしまう。これを直進式ヘリコイドで全体を前後させるピント合わせ機構にすると、ピントリングの回転が重くなってしまう。このことはマニュアルフォーカスの時代は問題にならなかったが、オートフォーカスカメラ用のレンズでは、あまりピント合わせに力が必要だとモーターでピントリングが動かせなくなってしまうため、レンズ構成の一部だけを前後させる方式[3]に切り替わっている。

超望遠レンズでは、軽量化・小型化と色収差軽減のため、レンズの代わりに反射鏡を用いたものも存在する。その代わり暗く、ボケがリング状になる、絞りが無く露出調整はNDフィルターを用いるなど欠点も多い。

また、焦点距離が長くなればなるほど、ピント合わせ時のレンズ繰り出し量が長くなる。そのため、最短撮影距離は焦点距離が増えるにつれて長くなっていく傾向がある。

[編集] 手ブレについて

望遠レンズは、焦点距離が長いほど手ブレを起こしやすい。以前は、焦点距離分の1秒より速いシャッタースピードで、つまり500mmレンズは500分の1秒以上で[4]撮影すれば手持ち撮影が可能と言われていたが、特に35mm判で300mm以上の焦点距離を持つ望遠レンズでの撮影には、なるべく三脚など支持器具を使ったほうが安全である。 焦点距離だけでなく、大口径レンズや中判カメラ用レンズなど非常に重量が重いレンズを使う場合も、三脚を使ったほうが確実である。

近年では特にデジタル一眼レフカメラ用のレンズまたはボディに手ぶれ補正機構が搭載されるようになり、手持ちでもある程度のブレを回避しての撮影が可能になった。

[編集] 脚注

  1. ^ コニカ・ヘキサノン60mm F1.2
  2. ^ かつては、マクロレンズの焦点距離は50mmが一般的だった。
  3. ^ 前玉回転式・インナーフォーカス式・リアフォーカス式など。
  4. ^ 35mm判カメラにおいて。