舟を編む

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舟を編む
著者 三浦しをん
発行日 2011年9月16日
発行元 光文社
日本の旗 日本
言語 日本語
形態 四六判ソフト
ページ数 259
コード ISBN 978-4-334-92776-9
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舟を編む』(ふねをあむ)は、日本の光文社より出版された三浦しをんによる小説。および、それを原作とした日本映画

概要[編集]

「玄武書房」に勤める変人編集部員・馬締光也が、新しく刊行する辞書『大渡海』の編纂メンバーとして辞書編集部に迎えられ、個性豊かな編集者たちが辞書の世界に没頭していく姿を描いた作品。「辞書は言葉の海を渡る舟、編集者はその海を渡る舟を編んでいく」という意味でこの書名が付いている。執筆にあたって、岩波書店および小学館の辞書編集部の取材を行なっている。

女性ファッション雑誌CLASSY.』に2009年11月号から2011年7月号にかけて連載され、2011年9月16日に単行本が刊行された[1]2012年本屋大賞を受賞。

2013年石井裕也監督、松田龍平主演で映画化された。

あらすじ[編集]

出版社・玄武書房では中型国語辞典『大渡海』の刊行計画を進めていた。営業部員の馬締光也は、定年を間近に控えて後継者を探していた辞書編集部のベテラン編集者・荒木に引き抜かれ、辞書編集部に異動することになる。社内で「金食い虫」と呼ばれる辞書編集部であったが、馬締は言葉への強い執着心と持ち前の粘り強さを生かして、辞書編集者として才能を発揮してゆく。

登場人物[編集]

馬締 光也(まじめ みつや)
玄武書房辞書編集部員。27歳。大学院言語学を専攻したのち入社して3年目。
入社当初は第一営業部に配属されるが、対人コミュニケーション能力の低さから厄介者扱いを受けていた。しかし言語学専攻のキャリアと言語感覚の鋭敏さを荒木に認められて辞書編集部にヘッドハンティングされ、辞書作りに没頭していく。
「早雲荘」という下宿に学生時代から住み続けており、下宿をまるまる自らの蔵書で埋め尽くしている。
皮肉が通じず他人の言うことを額面通りに受け取るなど、アスペルガー症候群の特性とみられるような言動をとることがある。
13年後は主任に昇進し、『大渡海』編集を取り仕切る責任者となっている。
「馬締」姓は実在する苗字であり、全国に10世帯ほど存する。作中では「両親は和歌山出身」と語っている。
林 香具矢(はやし かぐや)
馬締が暮らす下宿「早雲荘」の大家の孫娘で、板前見習い。板前の修行のためにかつて交際相手と別れた経験を持つ。
馬締のよき理解者であり、その後結婚する。
13年後は自らの小料理屋を開店している。
荒木 公平(あらき こうへい)
玄武書房辞書編集部のベテラン編集者。入社以来辞書編集一筋であり、その能力は監修担当の松本から高く評価されている。
定年退職後は嘱託として『大渡海』編集部に携わっている。
西岡 正志(にしおか まさし)
玄武書房辞書編集部員。27歳。入社5年目。
当初は言葉や辞書に対する関心は低かったが、馬締の影響を受け次第に辞書作りに愛着を持ち始める。しかしその矢先、宣伝広告部に異動となる。
大学時代からの腐れ縁である麗美とセックスフレンドのような関係を続けていたが、のちに結婚する。映画版では職場恋愛という設定に変更されている。
軽薄でチャラい現代風の若者であるが、社交的で対人折衝能力が非常に高く、馬締とは違った方向性で有能な人材である。
13年後も宣伝広告部に在籍しており、四人の子宝に恵まれ子煩悩なパパとなっている。『大渡海』のプロモーションで活躍を見せる。
佐々木 薫(ささき かおる)
玄武書房辞書編集部の契約社員。
辞書編集部の事務作業を一手に引き受ける中年女性。黙々と着実に仕事をこなす。
タケ
馬締の暮らす下宿「早雲荘」の大家であるおばあさん。香具矢の祖母。トラさんという猫を飼っている。
13年後は既に故人となっており、「早雲荘」は当時馬締と結婚した香具矢が住居として譲り受けた。
岸辺 みどり(きしべ みどり)
作中13年後に登場する玄武書房辞書編集部員。女性ファッション誌から配属されてきた、入社3年目の女性編集者。
当初は馬締の独特のキャラクターに圧倒されるも、のちに辞書作りに情熱を持ち始めるようになる。
宮本 慎一郎(みやもと しんいちろう)
あけぼの製紙の営業部員。『大渡海』にふさわしい辞書用紙の開発に心血を注ぐ。
三好 麗美(みよし れみ)
西岡の交際相手。大学時代からの腐れ縁であったが、のちに結婚する。
映画版では玄武書房の営業部に勤務する同僚で、西岡とは職場恋愛という設定となっている。
松本 朋佑
『大渡海』監修である老国語学者。荒木と共に様々な辞書の編集に携わり、荒木の能力を高く評価している。
定年前に大学の教授職を辞し、辞書編集に人生を捧げてきた情熱家。しかし『大渡海』出版を見ることなく死去する。
映画版では新語、俗語、流行語や誤用も収録しようと務めるなど、かなり先進的で気質の若い学者として描かれている。

映画[編集]

舟を編む
The Great Passage
監督 石井裕也
脚本 渡辺謙作
原作 三浦しをん
出演者 松田龍平
宮崎あおい
オダギリジョー
音楽 渡邊崇
撮影 藤澤順一
編集 普嶋信一
製作会社 「舟を編む」製作委員会
配給 アスミック・エース松竹
公開 日本の旗 2013年4月13日
香港の旗 2013年8月22日
上映時間 133分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
興行収入 8.27億円[2]
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2012年夏に撮影され、2013年4月13日松竹/アスミック・エースの配給で公開された。監督は石井裕也。英題はThe Great Passage。映画版では、物語の開始時点で1995年という年代設定がされている。

キャッチコピーは「マジメって、面白い。

2013年9月に日本映画製作者連盟により第86回アカデミー賞外国語映画部門日本代表作品(英題:The Great Passage)に選出されている[3](ノミネートには至らず[4])。選出時30歳の石井裕也監督は史上最年少での日本代表選出作となった[5]。日本の映画賞では第37回日本アカデミー賞で最優秀作品賞をはじめ6部門の最優秀賞、第68回毎日映画コンクール日本映画大賞、第38回報知映画賞作品賞、第26回日刊スポーツ映画大賞作品賞などを受賞。このほか監督の石井裕也・主演の松田龍平をはじめとするスタッフ・キャストも多くの個人賞を得ている。

キャスト[編集]

スタッフ[編集]

辞書制作指導:瀧本多加志(三省堂)、萩原好夫(三省堂)、山本康一(三省堂)、平木康成(岩波書店)、桑島寛(三省堂印刷)
デザイン:井上嗣也
ポスタースタイリング:伊賀大介
ポスタースチール:新津保建秀
ポスターヘアメイク:加茂克也

公開[編集]

日本では全国237スクリーンで公開され、動員数ランキング(興行通信社、文化通信社、配給元など調べ)で初登場3位となり、土日2日間は20代 - 60代の女性を中心に動員9万3,065人、興収1億1,374万4,400円を記録した[6]。公開3週目時点のランキングでは10位で、累計動員42万1,703人、累計興収4億9,672万1,550円となっている[7]。その後、観客動員は68万人を、興行収入は8億円を超えている[8]。最終興収は8.27億円[2]。2014年2月8日から、数々の映画賞受賞を受けて『凱旋公開』が全国で行われた[9]

香港では2013年8月22日から公開され、当初限定公開映画として2スクリーンで封切られたがのちに4スクリーンに拡大され、翌年までロングランの予定で上映されている。現地の評論や口コミなどによりヒットしたとされ、同年11月10日時点で興行収入は213万香港ドル(約2735万円)を突破、観客動員は3万7000人以上となり、同年度に限定公開された日本映画の中ではトップの成績である[10]

韓国では2014年2月に公開が予定される[10]

日本国外の映画祭では第37回香港国際映画祭(2013年3月)[3]、第17回プチョン国際ファンタスティック映画祭のビジョン・エクスプレス部門(2013年7月)[11]、第57回ロンドン映画祭(2013年10月)ラフ部門[12]で上映された。2014年には第25回パームスプリングス国際映画祭に出品の予定[10]

受賞歴[編集]

関連商品[編集]

  • Blu-ray/DVD - 2013年11月8日発売
    • 初回限定生産豪華版(2枚組)
    • 通常版(1枚組)
  • サウンドトラック - 2013年4月3日発売 全22曲

参考文献[編集]

  1. ^ 書籍詳細 舟を編む”. 光文社. 2014年1月4日閲覧。
  2. ^ a b 「2013年 日本映画・外国映画業界総決算」、『キネマ旬報(2月下旬決算特別号)』第1656号、キネマ旬報社2014年、 201頁。
  3. ^ a b 「舟を編む」が米アカデミー賞出品作に”. 読売新聞 (2013年9月13日). 2013年9月17日閲覧。
  4. ^ アカデミー賞外国語映画部門9作品に絞られる 「舟を編む」は落選”. 映画.com (2013年12月24日). 2013年12月26日閲覧。
  5. ^ 『舟を編む』がアカデミー賞日本代表に決定!史上最年少監督作品で5年ぶり受賞&ノミネートを目指す”. シネマトゥディ (2013年9月5日). 2013年11月10日閲覧。
  6. ^ 壬生智裕 (2013年4月16日). “『ドラゴンボールZ』がV3!『ドラえもん』は新シリーズ最高興収を更新!【映画週末興行成績】”. シネマトゥデイ. 2013年10月11日閲覧。
  7. ^ 壬生智裕 (2013年5月1日). “名探偵コナン』100万人突破でV2!強敵『アイアンマン』『仮面ライダー』に勝利!【映画週末興行成績】”. シネマトゥデイ. 2013年10月11日閲覧。
  8. ^ 主演・松田龍平からのコメントも 映画『舟を編む』アカデミー賞外国語映画賞部門日本代表作品に決定ダ・ヴィンチ電子ナビ2013年9月18日
  9. ^ 賞レース快進撃「舟を編む」、凱旋公開決定”. 映画.com (2014年1月24日). 2014年5月29日閲覧。
  10. ^ a b c 松田龍平「舟を編む」香港で異例のロングランヒット!”. 映画.com (2013年11月18日). 2013年11月20日閲覧。
  11. ^ 松田龍平がプチョン国際映画祭で舞台挨拶、『あまちゃん』効果か現地でも大人気!”. ムービーコレクション (2013年7月20日). 2013年11月20日閲覧。
  12. ^ 山口ゆかり (2013年9月11日). “ロンドン映画祭のラインナップ発表!トム・ハンクス作品がオープニング&クロージングに”. シネマトゥデイ. 2013年10月11日閲覧。
  13. ^ 第5回TAMA映画賞 | 第23回映画祭TAMA CINEMA FORUM、2013年、TAMA CINEMA FORUM、2013年10月11日閲覧
  14. ^ “「舟を編む」3冠!石井裕也監督「松田さん受賞の安堵強かった」…報知映画賞”. スポーツ報知. (2013年11月28日). http://hochi.yomiuri.co.jp/feature/entertainment/20130404-476995/news/20131127-OHT1T00257.htm 2013年11月28日閲覧。 
  15. ^ “松田龍平「思いつながった」史上初!父子で主演男優賞…報知映画賞”. スポーツ報知. (2013年11月28日). http://hochi.yomiuri.co.jp/feature/entertainment/20130404-476995/news/20131127-OHT1T00254.htm 2013年11月28日閲覧。 
  16. ^ “池脇千鶴「え、何事?」また「タナボタ」で助演女優賞…報知映画賞”. スポーツ報知. (2013年11月28日). http://hochi.yomiuri.co.jp/entertainment/news/20131127-OHT1T00264.htm 2013年11月28日閲覧。 
  17. ^ 2013年日本映画ベストテン”. ヨコハマ映画祭. 2013年12月7日閲覧。
  18. ^ 2013年日本映画個人賞”. 第35回ヨコハマ映画祭. 2013年12月7日閲覧。
  19. ^ “石井監督初の原作映画 作品賞/映画大賞”. 日刊スポーツ. (2013年12月10日). http://www.nikkansports.com/entertainment/news/p-et-tp1-20131210-1229497.html 2013年12月10日閲覧。 
  20. ^ “松田龍平主演賞「結局父の道」/映画大賞”. 日刊スポーツ. (2013年12月10日). http://www.nikkansports.com/entertainment/news/p-et-tp1-20131210-1229298.html 2013年12月10日閲覧。 
  21. ^ “黒木華、作品に溶け込み新人賞/映画大賞”. 日刊スポーツ. (2013年12月10日). http://www.nikkansports.com/entertainment/news/p-et-tp1-20131210-1229309.html 2013年12月10日閲覧。 
  22. ^ “「舟を編む」が13年度日本映画ペンクラブ賞ベスト1”. スポーツ報知. (2014年1月8日). http://hochi.yomiuri.co.jp/entertainment/news/20140108-OHT1T00078.htm 2014年1月8日閲覧。 
  23. ^ 第37回日本アカデミー賞優秀作品発表!”. 日本アカデミー賞公式サイト. 2014年3月7日閲覧。
  24. ^ 第68回毎日映画コンクール発表!『舟を編む』が日本映画大賞 シネマトゥデイ 2014年1月21日
  25. ^ 「映画芸術」2013年日本映画ベストテン&ワーストテン決定!!(2014年1月17日)、映画芸術、2014年1月28日閲覧。
  26. ^ ムービープラス・アワード 2013”. ムービープラス. 2014年1月26日閲覧。
  27. ^ 第23回東スポ映画大賞が決定!たけしのエンタメ賞特別賞にはタモリ”. 東京スポーツ. 2014年1月29日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]