クイーン・エリザベス級航空母艦

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クイーン・エリザベス級航空母艦
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予想図
艦級概観
艦種 航空母艦
艦名 王族の名前
建造期間 2009年 -
就役期間 2020年 -
前級 インヴィンシブル級航空母艦
性能諸元
排水量 基準:45,000 t
満載:67,669 t[1]
全長 284 m
全幅 39 m
吃水 9.9 m
機関 統合全電気推進方式
MT30 ガスタービンエンジン(36MW) 2基
推進器 2軸
最大速力 26ノット
航続距離 10,000海里(18,520km)
乗員 操艦:767名 航空要員:610名
司令部要員:95名
兵装 ファランクスCIWS 3基
30mm単装機銃 4基
M134ミニガン 多数
搭載機 F-35B 約30機
各種ヘリコプター 約10機[1]

クイーン・エリザベス級航空母艦 (クイーンエリザベスきゅうこうくうぼかん、Queen Elizabeth class aircraft carrier) は、イギリス海軍で配備が予定されている航空母艦である。現在開発中であるF-35統合打撃戦闘機ヘリコプターの搭載を予定している。

目次

開発経緯 [編集]

当初計画 [編集]

イギリスインヴィンシブル級軽空母の後継として、CTOL機運用も考慮に入れた次世代空母の模索を1990年代から進めており、1998年国防戦略見直しで研究が正式に承認された。CVF計画 (Carrier Vessel Future programme) と名づけられた次世代空母の建造に、防衛産業6社から請負と設計の提案があり、翌年には自国企業のBAEシステムズ社とフランスに本拠地を置くタレス・グループの2社に絞られた。

2002年にイギリス海軍とイギリス空軍STOVL機であるF-35B ライトニングIIの導入を発表した。これにより次世代空母がSTOVL機の運用に適していることが必要になり、また前級よりも搭載機の要因から大型であることが重要となった。そして翌年に採用されたのは排水量がインヴィンシブル級の3倍もあるタレス・グループのデザイン案であった。しかし結局、産業育成・雇用推進などの面から自国のBAEシステムズが主幹事社となり、同社とパートナーシップを結ぶバブコック・グループのロシス造船所で建造が開始された。

また、この段階では3隻のインヴィンシブル級を2隻のクイーン・エリザベス級で代替する予定であった。さらに本開発計画は、原子力空母シャルル・ド・ゴール」の姉妹艦となる次期空母を求めていたフランス海軍の興味をひき、共同開発の動きがあったが、フランス政府は導入決定を先送りしている。このことが本級の価格高騰の原因にもなっている。

計画の大幅な変更 [編集]

2010年10月25日、戦略見直し事業に伴いイギリス海軍は、クイーン・エリザベス級の内の1隻の調達を断念すると発表した。艦載機を航空母艦1隻分にすることで、高騰するF-35のコスト76億ポンドを含む82億ポンドを削減でき、2番艦「プリンス・オブ・ウェールズ」を、2018年に退役する揚陸ヘリ空母(ヘリコプター揚陸艦)「オーシャン」の代替艦にすることで、さらに6億ポンドの削減になると見積もられている。同時に開発が遅延・高騰化しているF-35は、短距離離陸垂直着陸機のB型から通常離着陸機のC型に変更することが発表された。そのため1番艦「クイーン・エリザベス」は、2016年に電磁式航空機発艦システム(EMALS)を搭載せずヘリ空母として完成し、EMALSを搭載した「プリンス・オブ・ウェールズ」の2019年就役を待って予備役編入の予定とされた[2]。さらに11月25日には、英『ガーディアン』電子版が、「プリンス・オブ・ウェールズ」がインド海軍に売却される可能性があると報じた[3]

が、2012年5月10日イギリス政府は、C型の実戦配備が2023年まで遅れる見込みのため再度B型に変更すると発表した[4]。またハモンド国防相は、F-35B型に変更されることにより、電磁式カタパルトアレスティング・ワイヤーを装備しないことを示唆している。2012年5月現在の段階では、2020年頃以降に2隻ともがSTOVL空母として完成予定である[1]

設計 [編集]

アイランド [編集]

外見的な特徴としてアイランド(艦橋構造物)が航海・作戦用と航空管制用の2つに分割して設置されており、各アイランドに煙突を配置し機関から排出される排気の通路を短くしている。

推進システム [編集]

約600名の乗員によって操られるが、ハイレベルなシステムの機械化によってインヴィンシブル級よりもわずか15名しか増えていないことを示しており、原子力推進を使わずロールス・ロイスマリン・トレント MT30(36MW)ガスタービンエンジン統合全電気推進方式(IFEP)を採用したことにより予算削減に大きく作用している。

ドック [編集]

一方でポーツマス海軍基地デヴォンポート海軍基地にも、あまりにも大型かつ過重な船体を収容できる乾ドックがなく、当面はハーランド・アンド・ウルフなど民間企業が保有するドックを頼らざるを得ず、ドックの拡張や新設は大幅な出費を強いられるという問題を抱えている。

船体は4つのセクションがポーツマスロサイスバローグラスゴーで建造される。バブコック社のロサイスを除き、2008年以降はBAEシステムズVT グループの合併事業BVT サーフェス・フリートが請け負っている。最終組み立てを行うロサイスの1号乾ドックではクイーン・エリザベスとプリンス・オブ・ウェールズのために改修工事が進められている。[5]

設計調査 [編集]

1999年1月25日ボーイングブリティッシュ・エアロスペースロッキード・マーティンマルコーニ・エレクトロニック・システムズレイセオントムソン-CSFの6社が計画の事前調査に招かれた。[6]

1999年11月23日国防省は詳細な調査をBAe(1999年11月30日にBAEシステムズに改名)とトムソン-CSF(2000年トムソングループに改名)に任せた。30から40機の次期統合軍用機(FJCA)を運用する6案が提出された。[7]

検討された設計と搭載機の仕様[8]
STOVL STOBAR CATOBAR ハイブリッド(折衷案)
F-35B タイフーン海軍仕様 F-35C、F/A-18E/FラファールM
蒸気カタパルトアレスティング・ワイヤーを必要とせず、イギリスはSTOVL技術の運用経験の優位がある。この場合、積載量が増大。(CATOBAR航空母艦と同規模)[9] [10][11] この方法は従来の機体を運用できる。STOVL機よりも優れた機体を運用できる。CATOBAR設計を採用した場合よりも運用効率が高い。
不利な点は、F-35よりもステルス性に劣る事。
カタパルトとアレスティング・ワイヤーを設置したアングルド・デッキを使用する。F/A-18E/FまたはラファールMの運用に適する。
この方法は、航空機・航空母艦共に従来の経験が活用でき、技術上のリスクを減らす事ができる点である。
一方、運用費が高く縮小されつつある防衛費では維持する事は困難。
BAEの提出した案は、カタパルトでCATOBAR機を、スキージャンプ式でSTOVL機を発艦させ、両方ともアングルド・デッキにアレスティング・ワイヤーを使用して着艦させるという物である。
この設計の優位は、STOVL機とCATOBAR AEWを運用できる事。

艦載機 [編集]

当初計画によると、F-35B ライトニングIIとヘリコプターをあわせて最大48機の搭載を予定していたが、後述のようにF-35はB型からC型、再度B型に変更されている。

ヘリコプターはマーリン HM.1哨戒ヘリコプター早期警戒型のAEW.7をアップグレードしたシーキング ASaC.7の搭載を予定しているが、V-22 オスプレイの搭載と運用も視野にいれて設計されている。

標準的な合計運用機数は約40機である。

同型艦 [編集]

番号 艦名 起工 進水 就役 現状
R08 クイーン・エリザベス
HMS Queen Elizabeth
2009年7月7日 建造中
R09 プリンス・オブ・ウェールズ
HMS Prince of Wales
2011年5月20日

脚注 [編集]

  1. ^ a b c 世界の艦船』2012年9月号
  2. ^ 『世界の艦船』2011年12月号 海外艦艇ニュース
  3. ^ 「海外艦艇ニュース 英海軍がクイーン・エリザベス級空母を1隻断念」『世界の艦船』第719集(2010年2月号)海人社
  4. ^ 英国:F-35戦闘機の機種変更 開発3年遅れで 毎日新聞 2012年05月12日
  5. ^ Harding, Thomas (2007年7月26日). “£4bn carriers 'will be jewel in Navy's crown'”. The Daily Telegraph. Telegraph Media Group Ltd. 2007年7月27日閲覧。
  6. ^ Nicoll, Alexander (1999年1月26日). “US companies bid for $2.5bn ships deal”. Financial Times 
  7. ^ “Shipyard in running for Navy contract”. Belfast Telegraph (Belfast Telegraph Newspapers). (1999年11月24日) 
  8. ^ Joint Combat Aircraft - Navy Matters
  9. ^ F-35 Program brief (PDF)
  10. ^ F/A-18 US Navy fact file
  11. ^ F/A-18 Hornet page on Aerospaceweb.org

関連項目 [編集]

外部リンク [編集]