リアンダー級フリゲート

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リアンダー級フリゲート
HMS Apollo 1976 SMB-2008.jpg
F70 アポロ
基本情報
種別 汎用フリゲート
命名基準 ギリシア神話の登場人物
運用者  イギリス海軍
 ニュージーランド海軍
 インド海軍
 チリ海軍
 エクアドル海軍
建造期間 イギリスの旗1959年 - 1973年
就役期間 イギリスの旗1963年 - 1993年
建造数 イギリスの旗26隻
前級 12M型 (ロスシー級)
次級 23型フリゲート
要目
その他 #要目例を参照
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リアンダー級フリゲート(: Leander class frigate)は、イギリス海軍などが運用していたフリゲートの艦級。12I型フリゲートと呼ばれる設計を採用しており、26隻が建造された。

概要[編集]

リアンダー級フリゲートは、ホイットビィ級フリゲートから続く12型フリゲート・シリーズの最終発展型であり、多くの面で革新的なコンセプトを採用した、先進的なフリゲートである。本級の設計は12I型: Type 12 Improved)と呼ばれているが、極めて優秀な設計であったことから、イギリス以外にも4カ国が導入しており、またインドでは数次に渡って発展型が開発され、その建造は2004年まで続いていた。

本級は長期にわたって多数艦が建造されたことから、数次に渡る設計変更・改装を受けている。初期建造艦はウェストランド ワスプ対潜ヘリコプター艦載機化により、先行するホイットビィ級フリゲートやロスシー級フリゲートよりもはるかに柔軟な対潜作戦の展開が可能になったが、発着甲板のスペースを確保するためにリンボー対潜迫撃砲を1基に削減した。また全長が112.8mから109.7mとわずかに短くなっており、艦体構造も艦尾部分の後甲板が一段低い長船首楼型から、艦首から艦尾まで甲板の高さが同じ平甲板型に変更されている。さらにバッチ3として建造された後期建造艦10隻では、船体幅が12.5mから13.1mに広くなっている。

バッチ1では個艦防空ミサイルを搭載したが、これは当時のフリゲートとしては極めて先進的なコンセプトである。バッチ2で艦対艦ミサイルを搭載して対水上打撃力を獲得、そしてバッチ3で個艦防空ミサイルを新型化するとともに戦術情報処理装置を搭載して、システム艦としての再構築が行なわれた。これにより、本級は、同時代の同級艦をはるかに凌駕する多任務対応能力を獲得し、この時代のイギリス海軍の中核的な戦闘艦として活躍することとなった。

しかしその一方で、このように極めて先進的な戦闘艦として完成されたことにより、本級は非常に高コストの艦となった。これを補完するため、イギリス海軍は、性能的には劣るがより安価な14型フリゲート第二次世界大戦中に建造された駆逐艦を近代化改修した15型 / 16型フリゲートとのハイ・ロー・ミックス運用を行なうこととした。

本級は、1960年代以降のイギリス海軍洋上兵力の中核を構成し、フォークランド紛争にも「F57 アンドロメダ」、「F56 アルゴノート」、「F45 ミネルヴァ」、「F127 ペネロピ」の4隻が参加した。1980年代以降は、イギリスの軍事予算削減によって減勢を続け、また1989年より新型の23型フリゲートが就役しはじめたこともあって、1995年の「F57 アンドロメダ」のインド海軍への売却をもって運用を終了した。

なお、本級の最終バッチで開発された武器システムは、14型フリゲートの後継である21型フリゲートにほとんどそのまま搭載され、またその後の22型 / 23型フリゲートの武器システムの原型となった。

要目例[編集]

バッチ1改修型の「F15 ユーライアス」
艦首の4.5インチ連装砲を撤去して代わりにアイカラSUMを装備。ヘリ格納庫後端部のシーキャット短SAM発射機を2基搭載。
バッチ2B改修型の「F56アルゴノート」
艦首の4.5インチ連装砲はMM38 エグゾセSSMの箱型発射機4期に置き換えられ、格納庫の左右に3連装短魚雷発射管を搭載。艦尾には可変深度ソナーを搭載し、ヘリ甲板拡張のためリンボーを撤去
バッチ3A改修型の、「F57 アンドロメダ」
エグゾセSSM発射機の前方に、GWS-25 シーウルフ短SAMの6連装発射機を装備。
初期建造時 バッチ1改修艦 バッチ2改修艦 バッチ3A改修艦
建造期間 1959年 - 1971年
改修実施 - 1970年 - 1978年 1973年 - 1982年 1978年 - 1984年
基準排水量 2,350 t 2,790 t
満載排水量 2,860 t 3,000 t
全長 109.7 m
全幅 12.5 m 13.1 m
吃水 5.5 m
機関 ボイラー×2缶 (圧力38.7kgf/cm², 温度450℃)
蒸気タービン×2基 (30,000 hp/22 MW)
スクリュープロペラ×2軸
速力 28.5 kt 28 kt
航続距離 4,000 nmi / 15 kt
乗員 257名
兵装 Mk.6 4.5インチ連装砲× 1基 アイカラ英語版SUM発射機×1基 エグゾセMM38 SSM 単装発射機×4基
GAM-B01 20mm単装機銃×1〜2基
GWS-21 シーキャット短SAM4連装発射機×2基
GWS-22に後日換装
GWS-25 シーウルフ短SAM
6連装発射機×1基
リンボー対潜迫撃砲×1基 STWS-1 3連装短魚雷発射管×2基
艦載機 ウェストランド ワスプ、のちにリンクス 哨戒ヘリコプター ×1機
C4I CIC設置、音声リンクのみ CAAIS DBA-5
戦術情報処理装置
レーダー 965型 対空捜索用 967/968型
対空・対水上捜索用
993型 対水上捜索用 ※一部艦では994型に後日換装
978型 航法用 ※1006型に後日換装
903型 砲射撃指揮用 904型 短SAM射撃指揮用 910型 短SAM射撃指揮用
ソナー 177型 捜索用 ※184型に後日換装
170型 攻撃用
162型 海底探査用
- 2031型 曳航式
(1981 - 1986年に一部艦が搭載)
199型 可変深度式 (一部艦)
電子戦
対抗手段
UA-3電波探知装置 UA-8/9電波探知装置
668型電波妨害装置
4.5インチ チャフ発射機 コーバス チャフ・フレア発射機
FH-4短波方向探知機 FH-5短波方向探知機

同型艦[編集]

イギリス[編集]

 イギリス海軍 退役/再就役後
バッチ # 艦名 起工 就役 退役 再就役先 # 艦名 就役 退役
1 F109 リアンダー
HMS Leander
1959年4月10日 1963年3月27日 1987年4月
F104 ダイドー
HMS Dido
1959年12月2日 1963年9月18日 1983年 7月  ニュージーランド海軍 F104 サウスランド
HMNZS Southland
1983年 7月 1995年 3月
F114 エイジャックス
HMS Ajax
1959年10月19日 1963年12月10日 1985年5月31日
F10 オーロラ
HMS Aurora
1961年6月1日 1964年4月9日 1987年4月28日
F18 ガラティア
HMS Galatea
1961年12月29日 1964年4月25日 1987年1月31日
F15 ユーライアス
HMS Euryalus
1961年11月2日 1964年9月16日 1989年3月31日
F39 ナイアド
HMS Naiad
1962年10月30日 1965年3月15日 1987年4月
F38 アリシューザ
HMS Arethusa
1962年9月7日 1965年11月24日 1989年4月4日
2A F28 クレオパトラ
HMS Cleopatra
1963年6月19日 1966年1月4日 1992年1月31日
F42 フィービ
HMS Phoebe
1963年6月3日 1966年1月4日 1991年2月14日
F45 ミネルヴァ
HMS Minerva
1963年7月26日 1966年5月14日 1992年3月
F40 シリウス
HMS Sirius
1963年8月9日 1966年6月15日 1993年2月27日
2B F127 ペネロピ
HMS Penelope
1961年3月14日 1963年10月31日 1991年  エクアドル海軍 FM 01 プレジデンテ・フロイ・アルファロ
BAE Presidente Eloy Alfaro
1991年 2008年 3月
F56 アルゴノート
HMS Argonaut
1964年11月27日 1967年8月17日 1993年3月31日
F47 ダナエー
HMS Danae
1964年12月16日 1967年9月7日 1991年  エクアドル海軍 FM 02 モラン・バルベルデ
BAE Morán Valverde
1991年 2008年10月
2 F52 ジュノー
HMS Juno
1964年7月16日 1967年6月18日 1992年11月4日 エグゾセ搭載予定であったが改修はキャンセルされ、航法訓練艦として運用された。
3A F75 カリブディス
HMS Charybdis
1967年1月27日 1969年6月2日 1991年9月30日
F58 ハーマイオニ
HMS Hermione
1965年12月6日 1969年7月11日 1992年6月30日
F60 ジュピター
HMS Jupiter
1966年10月3日 1969年8月9日 1992年4月22日
F57 アンドロメダ
HMS Andromeda
1966年5月25日 1968年12月2日 1993年6月  インド海軍
※ 練習艦
F46 クリシュナ
INS Krishna
1996年 2012年5月24日
F71 シラ
HMS Scylla
1967年5月17日 1970年2月12日 1993年12月
3B F69 バッカント
HMS Bacchante
1966年10月27日 1969年10月17日 1982年  ニュージーランド海軍 F69 ウェリントン
HMNZS Wellington
1987年 1999年
F12 アキリーズ
HMS Achilles
1967年12月1日 1970年7月9日 1990年1月  チリ海軍 PFG-08 ミニストロ・ツェンテーノ
Ministro Zenteno
1991年 2006年
F16 ダイアミード
HMS Diomede
1968年1月30日 1971年4月2日 1988年3月31日  パキスタン海軍 F263 シャムシェール
PNS Shamsher
1988年 2001年?
F70 アポロ
HMS Apollo
1969年5月1日 1972年5月28日 1988年8月31日 F262 ズルフィカル
PNS Zulfiqar
1988年 2006年
F72 アリアドネ
HMS Ariadne
1969年11月1日 1973年2月10日 1992年5月  チリ海軍 PFG-09 ジェネラル・バクダノ
General Baquedano
1992年 1998年

なお、各バッチの概要は下記のとおりである。

  • バッチ 1 - アイカラ搭載型
  • バッチ 2A - エグゾセ搭載型
  • バッチ 2B - エグゾセ搭載型
  • バッチ 3 - 幅広船体
    • A - シーウルフ/エグゾセ搭載型
    • B - シーウルフ/エグゾセ非搭載型

インド[編集]

インドでは、1960年代後半から1970代にかけて、リアンダー級フリゲートの幅広型船体を基にした国産フリゲート「ニルギリ級」を6隻建造したほか、1995年にイギリスからの退役艦「アンドロメダ」を導入し、「クリシュナ」に改名の上で練習艦として運用した。

当初はレーダーや兵装もイギリス海軍艦に準拠したものであったが、次第にインド海軍で一般的なロシア製・欧州製への換装が進められていった。2000年代に入ると老朽化や陳腐化により新型フリゲートへの更新が進められ、2013年に最後の艦がが退役した。

後にはリアンダー級の船体をさらに拡大させた発展型もインド独自に設計・建造されるようになり、こちらは2014年現在でもインド海軍の主力の一端を担っている。

オランダ[編集]

オランダは、1960年代にリアンダー級フリゲートに準拠した設計のファン・スペイク級フリゲートを6隻建造した。基本設計や兵装はイギリス海軍艦艇に準じているが、レーダーはオランダのシグナール(現:タレス・ネーデルラント)製の物が搭載されている

1980年代後半に6隻全てがインドネシア海軍に譲渡され、ミサイルや機関の換装などを行い、2014年現在でも同海軍において現役である。

オーストラリア[編集]

オーストラリア海軍のリバー級護衛駆逐艦のうち、1960年代後半に建造された「DE50 スワン」「DE51 トレンス」は、リアンダー級フリゲートに準じた設計となっている。

ニュージーランド[編集]

ニュージーランド海軍へは、1960-70年代にイギリス海軍向けに建造された艦とは別枠で、新造艦が2隻引き渡された。更に1980年代に、イギリス海軍の中古艦2隻が追加で引き渡された。1990年代に3隻が退役し、最後まで残った「F421 カンタベリー」も2005年に退役した。

 ニュージーランド海軍
バッチ # 艦名 起工 就役 退役 その後
2TA F55 ワイカト
HMNZS Waikato
1964年1月 1966年9月 1998年 2000年12月18日、人工漁礁として海没処分。
3 F421 カンタベリー
HMNZS Canterbury
1969年6月12日 1971年10月22日 2005年3月21日 2007年11月3日、人工漁礁として海没処分。
1 F104 サウスランド
HMNZS Southland
(旧英海軍「ダイドー」
ex-HMS Dido)
1959年12月2日 1983年7月18日 1995年3月 インド・ゴアにて解体
3B F69 ウェリントン
HMNZS Wellington
(旧英海軍「バッカント」
ex-HMS Bacchante)
1966年10月27日 1982年 1999年 2005年11月13日、ダイビングスポットとして海没処分。

チリ[編集]

PFG-07 アルミランテ・リンチ

チリ海軍では、1970年代初頭にイギリスへ幅広型船体のリアンダー級フリゲートを2隻発注した(コンデル級フリゲート)。この2隻はグラスゴーのヤーロウ・シップビルダーズで建造され、1973~74年にチリ海軍へ引き渡された。さらに1990年代初頭には、英海軍から退役したリアンダー級バッチ3Bを2隻追加受領した。

しかし、老朽化と陳腐化から同じく旧英海軍の22型 / 23型フリゲートに更新されて退役することとなり、旧英海軍艦はそのままスクラップとされたものの、チリ海軍向けの新造艦はエクアドルに譲渡され、同国海軍で運用されている。

 チリ海軍
# 艦名 起工 進水 就役 退役 その後
PFG-06 アルミランテ・コンデル
Almirante Condell (PFG-06)
1971年6月5日 1972年6月12日 1973年12月21日 2007年12月11日 2008年3月、エクアドルに売却
「プレジデンテ・エロイ・アルファロ (BAE Presidente Eloy Alfaro)」として再就役
PFG-07 アルミランテ・リンチ
Almirante Lynch
1971年12月 1972年12月6日 1974年5月25日 2007年7月4日 2008年3月、エクアドルに売却
「モラン・バルベルデ (BAE Morán Valverde)」の名で再就役
PFG-08 ミニストロ・ツェンテーノ
Ministro Zenteno
(旧英海軍「アキリーズ」
ex-HMS Achilles)
1967年12月1日 1968年11月21日 1991年1月8日 2006年8月 2010年3月、海没処分
PFG-09 ヘネラル・バクダーノ
General Baquedano
(旧英海軍「アリアドネ」
ex-HMS Ariadne)
1969年11月1日 1971年9月10日 1992年 1998年12月 2003年、実艦標的として撃沈。

エクアドル[編集]

エクアドル海軍は、1991年にイギリス海軍から中古のリアンダー級バッチ2Bを2隻受領した。

旧英海軍艦は2008年に退役したが、同年に旧チリ海軍のコンデル級フリゲートを2隻受領し、2014年現在でも運用している。

 エクアドル海軍
# 艦名 旧艦名 就役 退役 その後
FM-01 プレジデンテ・エロイ・アルファロ
BAE Presidente Eloy Alfaro
ペネロピ
ex-HMS Penelope
1991年 2008年3月19日 解体。
FM-02 モラン・バルベルデ
BAE Morán Valverde
ダナエー
ex-HMS Danae
1991年 2008年10月 解体
FM-01 プレジデンテ・エロイ・アルファロ
BAE Presidente Eloy Alfaro
アルミランテ・コンデル
ex-Almirante Condell
2008年3月 現役
FM-02 モラン・バルベルデ
BAE Morán Valverde
アルミランテ・リンチ
ex-Almirante Lynch
2008年3月

関連項目[編集]

外部リンク[編集]