レーダーピケット艦

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レーダーピケット艦英語:Radar picket ships)とは軍艦の一種。第二次世界大戦の後期にアメリカ海軍が多用した。

概要・目的[編集]

レーダーは第二次世界大戦中に急速に発達し、次第に敵の存在を察知し、適切な防衛を行うために欠くことのできない重要な兵器になっていった。第二次世界大戦終盤、日本の特別攻撃隊による攻撃が行われるようになってから、アメリカ海軍の機動部隊駆逐艦等の自衛能力に優れた小型戦闘艦に大型レーダーを搭載し、「レーダーピケット艦」として早期航空警戒と迎撃戦闘機隊の誘導に使用した。

運用方法[編集]

レーダーピケット艦は機動部隊本隊から遠く先行し、敵空母艦隊が存在すると予想される方向に展開する。ここでレーダーによる情報収集を行い、敵の攻撃隊を探知し次第、味方機動部隊本隊にその情報を送信する。この情報を受け、艦隊旗艦は迎撃戦闘機隊に迎撃を命じ、必要に応じて追加の戦闘機を発進させる。また、戦闘機による迎撃をくぐり抜けた攻撃隊には空母を護衛する艦艇が対空射撃を行い、さらにその対空射撃を突破した敵航空機には空母自身による対空射撃が加えられる。 以上のようにアメリカ海軍はレーダーピケット艦を駆使した「戦闘機による迎撃」「護衛艦の対空射撃」「空母の対空射撃」といった三段構えのシステムで敵攻撃機を迎撃した。

弱点[編集]

レーダーピケット艦はレーダーにより敵を長距離から先制探知できるが、敵からも逆探知されやすく、集中攻撃の対象となりやすい(フォークランド紛争において、レーダーピケット任務に就いていたイギリス海軍42型駆逐艦シェフィールド」がアルゼンチン海軍エグゾセ空対艦ミサイルによる攻撃を受けて撃沈されていることはその一例である)。そこで、アメリカ海軍は第二次世界大戦直前にレーダーピケット潜水艦を開発し、運用した。これは既存の潜水艦を改造して対空用警戒レーダーと戦闘機管制用のレーダーを設置したものである。潜水艦であれば敵攻撃隊が迫っても潜航して攻撃から逃れることができ、従来のレーダーピケット艦よりも生存性が高くなるとされていた。

引退[編集]

空母を海上戦力の基幹とするアメリカ海軍の方針により、専用艦艇搭載のレーダーによる早期警戒は戦後しばらくまで続けられたが、原子力潜水艦「トライトン」が1959年に建造されたのを最後にレーダーピケット用の専用艦は建造されていない。それ以後、機動部隊の早期警戒任務は性能が向上したレーダー(探知距離の増大により、わざわざ専用の艦艇を先行させなくても敵の攻撃に対応できるようになった)と空母で運用される艦上早期警戒機が行っている。

関連項目[編集]