エグゾセ
| エグゾセ | |
|---|---|
航空機発射型AM39 エグゾセ |
|
| 種類 | 中距離対艦ミサイル |
| 原開発国 | |
| 運用史 | |
| 配備期間 | 1979年 |
| 開発史 | |
| 製造業者 | MBDA |
| 諸元 | |
| 重量 | 670キログラム (1,500 lb) |
| 全長 | 4.7メートル (15 ft 5 in) |
| 翼幅 | 1.1メートル (3 ft 7 in) |
| 弾体直径 | 34.8センチメートル (1 ft 1.7 in) |
|
|
|
| 弾頭 | 165キログラム (360 lb) |
|
|
|
| エンジン | 固体燃料ロケットエンジン
ターボジェット (MM40 ブロック 3型) |
| 行動距離 | 70–180km (43–110 mi; 38–97 nmi) |
| 射高 | シースキミング |
| 速度 | 315metres per second (1,030 ft/s) |
| 誘導方式 | 慣性誘導とアクティブレーダー |
| 発射 プラットフォーム |
複数:
|
エグゾセ[1](フランス語: Exocet:フランス語でトビウオの意)は、フランスのMBDA社が製造している対艦ミサイル。フランス語としての正しい発音は[ɛgzosɛt]であり,同じつづりの語exocet[ɛgzosɛ]「トビウオ」とちがって語尾の t が発音されるのがふつうである。英語では[éksəset]などと発音される。
目次 |
概要 [編集]
水上艦・潜水艦や航空機などから発射可能で、1980年代以降の各地の戦争で実際に使用され、商業的に成功した兵器の一つである。
西側諸国の同種の兵器であるハープーン対艦ミサイルと比較すると小型であることもあり、弾頭重量が若干少なめで、射程距離もハープーンに劣る[2]が、実戦で示された性能によりセールスは好調で、ソビエト連邦/ロシアのSS-N-2(P-15)及び中華人民共和国のHY-1/2”シルクワーム”と並んで世界で広く使われている対艦ミサイルの一つである。
開発・運用 [編集]
エグゾセは1967年にAS30空対地ミサイルをベースにアエロスパシアル社で開発が進められ、1968年には最初の型である水上艦発射型のMM38が完成し、1972年にはフランス海軍に配備が開始された。航空機発射型のAM38は1974年から開発され、AM39として1979年からフランス海軍に配備された。
前述のようにフランス軍以外にもNATO諸国のみならず世界中の軍隊に広く輸出され、数々の実戦で示された実績により、フランスの有力な輸出兵器製品となっている。これまでの生産数は3000発以上を数えている。
語源 [編集]
ミサイルの名称はノール・アビエーションの技術者であったM. Guillotによって与えられた。[3]フランス語でトビウオを意味する。ギリシャ語のἐξώκοιτοςを起源とする。
構造 [編集]
推進方式は固体燃料ロケットであり、公称射程はMM38で約42km、MM40は約80kmである。海面状態にもよるが、電波高度計により飛行高度を3mまで下げて海面上を這うようにして目標に接近する、”シー・スキミング(超低空海面追随飛行)”が可能な、”シー・スキマー”タイプの対艦ミサイルである。
弾頭は165kgの高性能炸薬で、単純炸裂弾頭の通常型の他に、装甲を持つ軍用艦艇や船体が大きく外板の厚い大型艦船を目標とする状況に対処するための徹甲榴弾型がある。
1991年に発表されたMM40 Block2では敵の迎撃を回避する運動を取るようプログラムされているという。2007年現在はMM40 Block3を開発中で、射程距離を160kmと倍増させ、回避運動を高度化させたものになっている。
戦歴 [編集]
フォークランド紛争 [編集]
イタリアの実業家で、当時駐伊アルゼンチン大使館の「経済顧問」の肩書でアルゼンチン軍の武器調達を担当していたリーチオ・ジェッリを経由して入手したエグゾセを、フォークランド紛争(1982年)において、アルゼンチン海軍が使用したことにより、エグゾセは世界的に有名になった。
アルゼンチン海軍は、やはりフランス製のシュペルエタンダール艦上攻撃機から発射したエグゾセにより、イギリス海軍の駆逐艦「シェフィールド」(5月4日)や、コンテナ船「アトランティック・コンベアー」(5月25日)を撃沈し、他にも陸上からの発射により駆逐艦グラモーガン(6月12日)に損害を与えた。アルゼンチン側は、5月30日に軽空母「インヴィンシブル」に命中させて損害を与えたと発表したが、イギリス側は否定している。
シェフィールドに命中したエグゾセは不発であったにもかかわらず、秒速315mの速度での突入と残燃料による火災は、同艦に重大な損害を与えた。突入時の衝撃により、艦上の発電システムが破壊され、防火システムの効果的な作動が妨げられ、これらが火災による沈没を引き起こした。シェフィールドの損失によってイギリスの自信は揺るがされ、エグゾセは一風変わった種類の尊敬を勝ち得ることになった。また、このエグゾセなる語は、イギリスにおける「致命的な一撃」を意味する口語体の表現にまでなった。
グラモーガンに命中したエグゾセもまた不発であったが、この時も残燃料が大火災を発生させた。これはグラモーガンの乗員の迅速な行動が艦を救ったというのが事実のようである。エグゾセ突入までの1分未満の短い間に、グラモーガンは飛来するエグゾセに対して最大限の転舵を行った。その結果、艦は大きく左舷に傾斜し、エグゾセの舷側への命中は避けられたものの左舷甲板コーミングに命中して上方に弾かれた。この命中痕はグラモーガンの修復が1982年末に開始されるまではっきりと残っていた。
フォークランド紛争の後、イギリス政府とその情報機関が明らかにしたところによれば、当局はイギリス海軍艦艇の対艦ミサイル防御能力が不十分であると評価されていたことや、エグゾセの潜在的な能力が、海戦をアルゼンチン軍側に決定的に有利にしてしまうことに重大な懸念を抱いていた。イギリス政府では、悪夢のようなシナリオが予想されていた。そこでは、イギリス海軍の2隻の空母(「インヴィンシブル」と「ハーミーズ」)の片方もしくは両方が、撃破されるか無力化されるのではないかと言われていた。そのような状況では、アルゼンチン軍からフォークランド諸島を奪回するのはきわめて困難になると考えられていた。
このような事態を防ぐべく、アルゼンチン軍がエグゾセを追加入手するのを妨げるためにイギリスの情報機関[4]が世界的な規模での活動を行なった。また、フランスもペルーへの輸出を拒否した。というのも、ペルーは、自らが入手したミサイルをアルゼンチンに渡してしまうと信じられていたからである[5]。しかしこの時点で、すでにEC及びNATO加盟国からアルゼンチンへの禁輸措置が取られていた。
イラン・イラク戦争 [編集]
イラン・イラク戦争において、イラク軍は200発とも推定されるエグゾセの空中発射型をミラージュF1により運用してイラン海軍の艦艇を攻撃したが、戦果はまちまちであった。投入されたエグゾセはタンカーやその他の民間船にもしばしば命中したが、大部分が不発であった(タンカー戦争を参照)。アメリカやイギリスの爆発物処分専門家のチームは、そうした船舶から弾頭を、ときには完全なエグゾセを回収した。
1987年5月17日、イラク空軍のミラージュF1は、アメリカ海軍のフリゲート、「スターク」をイランのタンカーと誤認し、2発のエグゾセを発射した。2発とも命中したが、弾頭が炸裂したのは1発のみであった。これによりスタークは重大な損害を受け、37名が死亡、21名が負傷したが、乗員の懸命の働きにより沈没を免れ、修復のために後送された(スターク被弾事件を参照)。
なお、イラクのMiG-23MLにはミラージュF1EQ-5/6からパイロンを流用し、エグゾセを搭載できるよう改修された機体があった。この場合、エグゾセを機体中央線下に装着するため、本来の固定装備の連装機関砲は取り外されていた。
各型 [編集]
- MM38:海上(水上艦)発射型
- AM39:空中発射型
- SM39:潜水艦発射型
- MM40:海上発射型 地上発射型としても使用可能であり、同型がキプロスに沿岸防衛用として配備されている。
- 尚、各型には”Block*”と呼ばれる細かいサブタイプがある
要目(MM38) [編集]
- 全長 5.2 m
- 本体直径 34.8 cm
- 翼幅 113.5 cm
- 重量 666 kg
- 弾頭重量 165 kg(HE/徹甲弾頭)
- 最大速度 マッハ0.93
- 射程 約 50 km
- 誘導方式 慣性誘導(中間期)
- アクティブ・レーダー誘導(終末期)
採用国 [編集]
- アルゼンチン海軍 - MM38, MM40 and AM39
- ブラジル海軍 - MM38, MM40 Block 2 and AM39
- チリ海軍 - MM38, AM39
- MM40
- MM40
- AM39, MM38 & MM40
- MM38, MM40 Block 2/3, AM39
- MM38, MM40 Block 2
かつての採用国 [編集]
- ベルギー海軍(2008年まで)
- イギリス海軍(2002年まで)