42型駆逐艦

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42型駆逐艦
Luis Holden Defence Images Photo 08.jpg
艦級概観
艦種 ミサイル駆逐艦
艦名 イギリスの都市名(イギリス海軍)
建造期間 1970年 - 1980年
就役期間 1975年 - 2013年
前級 82型駆逐艦
次級 45型駆逐艦
性能諸元
満載
排水量
4,350t(バッチ1及び2)
5,350t(バッチ3)
全長 125m(バッチ1及び2)
141.1m(バッチ3)
全幅 14m(バッチ1及び2)
14.9m(バッチ3)
吃水 5.8m
機関 COGOG方式
TM3Bガスタービンエンジン (25,000shp; 18.75MW) 2基
RM1Aガスタービンエンジン (4,000shp; 3MW) 2基
推進器 2軸
速力 最大:30ノット
巡航:18ノット
航続距離
乗員 312名
兵装 Mk.8 4.5インチ単装砲 1基
ファランクスCIWS 2基
GAM-B01 20mm機関砲 2基
GWS-30 SAM連装発射機 1基
STWS Mk.2 3連装短魚雷発射管 2基
艦載機 リンクスHASまたはHMA哨戒ヘリコプター 1機
C4I CSS作戦指揮システム
海軍戦術情報システムリンク 10
ADAWS-4/7/8リンク 11
レーダー 965型 対空捜索用
1022型英語版に後日換装
1基
992Q型 低空警戒用
3次元式996型に後日換装
1基
909型 GWS-30射撃指揮用 2基
1007型 航法用 1基
ソナー 2050 / 2016型捜索用
162型海底探査用

42型駆逐艦(42がたくちくかん、英語: Type 42 destroyer)は、イギリス海軍が設計したミサイル駆逐艦。実戦で対艦ミサイルの迎撃に成功した初の艦級である。

イギリス海軍では、1番艦の名をとってシェフィールド級駆逐艦(Sheffield class destroyer)とも呼ばれており、合計14隻が1975年から1985年にかけて就役した。また同型艦がアルゼンチン海軍においてエルクレス級駆逐艦として就役している。

来歴[編集]

本級はもともと、82型駆逐艦の計画を引き継いで開発された。イギリス海軍は1960年代、5万トン級のCVA-01級航空母艦、その対空直援艦として82型をもって洋上兵力を構成することを構想した。しかし、財政難のため、CVA-01級の計画は中止、82型は1隻の建造にとどまることとなった。

その一方、イギリス海軍の第二次世界大戦後第1世代の防空艦であるカウンティ級駆逐艦は、既に、その搭載する艦対空ミサイルには限界が露呈しており、重大化を続けるであろう航空脅威に対処できないことは明白で、早急な代替が求められていた。このことから、82型駆逐艦の搭載システムを、より廉価で小型の船体に盛り込むことで、安価な防空艦を取得することを目的として開発されたのが本型であり、最初の発注は1968年に行なわれた。

設計と装備[編集]

上述のとおり、本型は、82型駆逐艦のものを元にした武器システムを搭載している。艦載機の運用能力を付与するため、GWS-30 シーダート艦対空ミサイルの発射機は1基に減らされているが、それ以外の面ではほぼ同等であり、戦術情報処理装置に関してはより強力ですらある。なお、戦術情報処理装置としては、82型駆逐艦や航空母艦と同様のADAWSシリーズを使用しており、バッチ1が-4を、バッチ2が-7、バッチ3が-8を搭載する。また、戦術データ・リンクとしては、イギリス海軍で一般的なリンク 10に加えて、アメリカ海軍などとの共同作戦を考慮して、これらの国々で使用されているリンク 11も備えており、リンク 10しか搭載しないフリゲートなどにその情報を中継する役割も持っている。

GWS-30艦対空ミサイルは、防空艦としての本型の存在価値の根幹をなす装備である。なお、イギリス海軍は、艦の大きさなどに関係なく、防空艦を駆逐艦、対潜艦をフリゲートとして定義しているため、本型よりやや後発して整備された対潜艦である22型フリゲートは、フリゲートと称されるにもかかわらず、本型よりも大型となっている。また、シーダートによる艦隊防空能力を4,000トン級の艦に付与する代償として、本型は対艦ミサイルを搭載しておらず、対水上打撃力についてはフリゲート部隊に完全に任せることとなっている。ただし、本型はアグスタウェストランド リンクスヘリコプターの運用能力を有していることから、間接的に、最低限の対舟艇火力を備えているということができる。

42型にはバッチ1(初期建造型)からバッチ3までの改正型がある。これらの改正は、フォークランド紛争における戦訓を踏まえたものであり、排水量が大幅に増加したバッチ3については、初号艦の名からマンチェスター級と呼ばれることもある。艦体の延長により艦内容積の不足は改善されたが、縦強度が不足するようになったため舷側に補強材が取り付けられた。バッチ3には、GWS-25 シーウルフ艦対空ミサイルの搭載が検討されたこともあったが、艦隊防空の役割には適さないとの判断から見送られている。

実戦投入と退役[編集]

本型は、暫時改正を施されつつ計14隻が建造され、やや先行して整備された軽装備の対潜艦である21型フリゲート、重装備の対潜艦である22型フリゲートとともに、イギリス海軍洋上兵力の主力を構成した。また、アルゼンチン海軍向けにバッチ1相当の性能の艦が2隻建造されている。

これらの艦はフォークランド紛争において実戦に投入された。この際、42型駆逐艦は「D80 シェフィールド」、「D88 グラスゴー」、「D108 カーディフ」、「D118 コヴェントリー」、「D89 エクセター」の5隻が出動し、シーダートによっては7機の確実な撃墜を記録している。[1]偵察のため、高高度から接近してきたリアジェットとの交戦では、従来知られていた有効射程外で撃墜を達成した。また、アルゼンチン軍航空隊による攻撃に対しては、イギリス海軍空母搭載のシーハリアー戦闘機が不利となる高高度での応戦を担当し、2機のスカイホーク攻撃機、1機のピューマヘリコプター、1機のキャンベラ爆撃機を撃破している。

その一方、極めて優れた低空侵入能力を示したアルゼンチン軍航空隊に対して、シーダート・ミサイルは必ずしも優秀ではなかった。このため、防空艦であるはずの本型は、より短射程だが優れた追随能力を有するシー・ウルフ艦対空ミサイルを搭載した22型フリゲートによって護衛される必要があった。実際、フォークランド紛争においては、「シェフィールド」および「コヴェントリー」の2隻が、アルゼンチン軍の航空攻撃によって戦没している。

ただし、その後、シーダート・ミサイル・システムは数次に渡る性能向上策を受けており、湾岸戦争においては、シーダートによってHY-2地対艦ミサイルを撃墜することに成功した。これは、対艦ミサイルの撃墜に成功した初の例であった。

後継艦[編集]

後継となるのはPAAMS搭載の45型駆逐艦であり、本型は2013年6月までに全数が退役した。

当初は他のNATO加盟国7ヶ国との艦隊防空艦の共同開発計画NFR-90、もしくはフランスイタリアとの共同によるホライズン計画(Horizon, common new generation frigate)によって置き換えられることが考えられていたが、NFR-90計画は頓挫、ホライズン計画からは離脱してしまったため、後者の計画・研究によって得られた成果を生かして、45型駆逐艦の建造が決定された。

同型艦[編集]

運用国 バッチ # 艦名 起工 進水 就役 退役
イギリスの旗
英国
1 D80 シェフィールド
HMS Sheffield
1970年
1月15日
1971年
6月10日
1975年
2月16日
1982年
5月4日
戦没
D86 バーミンガム
HMS Birmingham
1972年
3月28日
1973年
7月30日
1976年
12月3日
1999年
12月31日
D87 ニューカッスル
HMS Newcastle
1973年
2月21日
1975年
4月24日
1978年
3月23日
2005年
2月1日
D88 グラスゴー
HMS Glasgow
1974年
5月16日
1976年
4月14日
1977年
5月25日
2005年
2月1日
D108 カーディフ
HMS Cardiff
1972年
11月6日
1974年
2月22日
1979年
9月24日
2005年
7月14日
D118 コヴェントリー
HMS Coventry
1973年
1月29日
1974年
6月21日
1978年
11月10日
1982年
5月25日
戦没
2 D89 エクセター
HMS Exeter
1976年
7月22日
1978年
4月25日
1980年
9月19日
2009年
5月27日
D90 サウサンプトン
HMS Southampton
1976年
10月21日
1979年
1月29日
1980年
10月31日
2009年
2月12日
D91 ノッティンガム
HMS Nottingham
1978年
2月6日
1980年
2月18日
1983年
4月14日
2010年
2月11日
D92 リバプール
HMS Liverpool
1978年
7月5日
1980年
9月25日
1980年
7月1日
2012年
3月30日
3 D95 マンチェスター
HMS Manchester
1978年
5月19日
1980年
11月24日
1982年
12月16日
2011年
2月24日
D96 グロスター
HMS Gloucester
1979年
10月29日
1982年
11月2日
1985年
9月11日
2011年
6月30日
D97 エディンバラ
HMS Edinburgh
1980年
9月8日
1983年
4月14日
1985年
12月17日
2013年
6月6日
D98 ヨーク
HMS York
1980年
1月18日
1982年
6月20日
1985年
8月9日
2012年
9月27日
アルゼンチンの旗
亜国
D1
→ B52
エルクレス
ARA Hércules
1971年
6月16日
1972年
10月24日
1976年
7月12日
D2 サンティシマ・トリニダー
ARA Santísima Trinidad
1971年
10月11日
1974年
11月9日
1981年
7月1日
1989年

脚注[編集]

  1. ^ また、友軍のヘリコプター1機を誤射している。

関連項目[編集]

同時期のミサイル駆逐艦(第二世代の防空艦

外部リンク[編集]