23型フリゲート

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23型フリゲート
HMS Montrose, a Type 23 Frigate, performed a series of tight turns, during Marstrike 05. MOD 45145955.jpg
艦級概観
艦種 フリゲート
艦名 イギリスの公爵家
建造期間 1985年 - 2000年
就役期間 1990年 - 現在
前級 リアンダー級フリゲート
21型フリゲート
次級 26型フリゲート
性能諸元
排水量 基準:3,500 t
満載:4,900 t
全長 133 m
全幅 16.1 m
吃水 5.5 m
機関 CODLAG方式
12CM ディーゼル発電機(1,510kW: 2,025shp) 4基
GEC 電動機(2,980kW; 4,000shp) 2基
スペイSM1Aガスタービンエンジン(11,595kW; 15,550shp) 2基
推進器 2軸
速力 28kt
航続距離 12,500 km (15 kt (28 km/h)時)
乗員 181 人
兵装 Mk.8 4.5インチ単装砲 1基
DS30 30mm単装機関砲 2基
GWS.26 短SAMVLS (32セル)
1基
ハープーンSSM 4連装発射筒 2基
スティングレイ短魚雷連装発射管 2基
艦載機 リンクス HMA もしくは
マーリン HAS 哨戒ヘリコプター
1機
C4I 指揮支援システム
スカイネット衛星通信
海軍戦術情報システム
SSCSリンク 11/リンク 16
レーダー 996 mod.1型低空警戒/対水上用
997型「ARTISAN 3D」に後日換装
1基
1007型, 1008型航法用 1基
911型 PDMS射撃指揮用 2基
光学式 シー・アーチャー-30 砲射撃指揮用 1基
ソナー 2050型船首装備式
2031Z型曳航式 順次、2087式に換装中
電子戦
対抗手段
タレスUAF-1 / UAT(1) ESM装置
タレス・スコーピオン ECM装置
シーナット 6連装デコイ発射機 4基

23型フリゲート英語: Type 23 frigate)はイギリス海軍が運用しているフリゲートデューク級フリゲートDuke class frigates)とも呼ばれる。1990年から2000年にかけて16隻が建造された。3隻がチリ海軍へ売却されたために退役し、13隻が運用されている。

来歴[編集]

本型はもともと、1970年代後半に、対潜用の軽フリゲートとして開発を開始した。これは、1950年代の傑作フリゲートであるリアンダー級フリゲート、そして第二次世界大戦イギリス初の近代フリゲートであった21型フリゲートを代替するためのもので、これらにかわって、イギリス海軍対潜兵力の基幹となる計画であった。

1984年の時点では、100メートル級の比較的安価な艦として計画されており、曳航ソナーと低シグネチュア性能を重視していた。価格低減のため、ヘリコプター運用に関しては、格納庫を持たず、必要に応じて補給のみを行えるようにし、艦砲ミサイルの搭載を行わないことも検討されていた。

しかしその後、海外の顧客の要望を考慮し、またフォークランド紛争の戦訓を取り入れた結果、艦型は大型化を余儀なくされた。ヘリコプターの有用性が確認されたことから艦載機の運用設備は確保されることとなり、対地射撃の有用性が見直されたことから艦砲も追加された。個艦防空能力も重要であることがわかったので、シーウルフ艦対空ミサイルも搭載された。

特に、紛争中、多くのイギリス軍艦が、敵の攻撃そのものよりも、それによって生じた火災や浸水を制圧することに失敗して沈んだことから、ダメージコントロール能力が重視されることとなった。耐堪性を向上させるため、アルミ合金の使用は中止され、また、配管や各水密区画の設計、配置も見直された。この結果、艦そのもののコストは上昇し、艦の大きさも、当時の主力フリゲートである22型に迫るものとなった。

1番艦の発注は1984年10月29日に行われ、これは1990年6月にF-230「ノーフォーク」として就役した。その後、2002年までに16隻が就役したが、これは、同一の設計に基づくものとしては異例の建造数である。先行して整備されていた22型も14隻が建造されたが、これは建造途中に2度の設計変更が行われている。

船体・機関[編集]

本型の最大の特徴は、推進機関としてCODLAG方式を採用したことにある。CODLAGとは「COmbined Diesel-eLectric And Gas-turbine」の略であり、ディーゼル・エレクトリック方式ガスタービンエンジンを併用するものである。

本型の場合、低速時、あるいは静粛性が求められるときには、スクリュー・シャフト1本につき1基のGEC 電動機 (2,980 kW; 4,000 shp)によって推進される。この電動機は、計4基の12CM ディーゼル発電機 (1,510 kW: 2,025 shp)によって電力を供給されている。高速時には、これにロールス・ロイス スペイSM1A (23,190kW; 31,100 shp) が加わる。なお、本型のスクリュー・プロペラは固定ピッチとなっており、後進時にはディーゼル・エレクトリック推進のみを使用する。

CODLAG方式の採用によって、本型の放射雑音は大きく削減されたが、これと同時に、対レーダー・ステルス性にも意が払われており、本型の外見は非常にスマートなものとなっている。

なお、本型の大きな特徴のひとつが省力性であり、ほぼ匹敵する武装を備えた22型バッチ3よりも70人も少ない人員で運用できる。

装備[編集]

本級が装備する武器システムは、いずれも、先行する22型の最終発達型であるコーンウォール級フリゲート(バッチ3)の搭載しているもの、あるいはその発達型である。

主な対空兵器としてシー・ウルフ個艦防空ミサイルを搭載するが、本型では、イギリス海軍ではじめて垂直発射方式を採用したミサイル・システムであるGWS.26 シー・ウルフ個艦防空ミサイルが採用されており、追随性などは大きく改善した。一方で、CIWSを搭載しないため、シーウルフでの交戦距離より内側における近接防空能力の不足も指摘されている。

低空警戒・対水上レーダーも新型化されており、より長射程の探知が可能となっている。この996型レーダーは、輸出用のAWS-9の発展型であり、S(E/F)バンドを使用する。また現在では新型の3次元レーダーである997型「ARTISAN 3D」への換装が予定されており、2013年にはまず「アイアン・デューク」において換装が行なわれたほか、英海軍に在籍する他の23型フリゲートも逐次換装が進められている。

砲熕兵器と対潜兵器については、基本的に22型バッチ3(コーンウォール級)のそれを踏襲している。前甲板には対空・対水上両用のMk.8 4.5インチ単装砲が1基搭載されているが、これはフォークランド紛争の戦訓を取り入れたものであり、光学式のシー・アーチャー-30による射撃指揮を受ける。また、近接した水上目標と交戦するため、DS30 30mm単装機関砲を2基装備している。

本型の対潜戦闘のコンセプトは22型と同様で、戦術曳航ソナーによって敵潜水艦を遠距離で探知、艦載の哨戒ヘリコプターディッピングソナーによって位置を局限、攻撃して撃破するというもので、また、自艦に近接した敵潜水艦に対しては、自艦装備のソナーと短魚雷によって対処する。本型の一部には、新型の2087型曳航ソナーの装備が進められている。

同型艦[編集]

 イギリス海軍 再就役後
# 艦名 就役 退役 再就役先 # 艦名 就役
F230 ノーフォーク
HMS Norfolk
1989年11月 2005年4月  チリ海軍 FF-05 アルミランテ・コクレーン
Almirante Cochrane
2006年11月22日
F231 アーガイル
HMS Argyll
1991年5月
F229
(ex-F232)
ランカスター
HMS Lancaster
1992年5月
F233 マールバラ
HMS Marlborough
1991年6月 2005年7月  チリ海軍 FF-06 アルミランテ・コンデル
Almirante Condell
2008年
F234 アイアン・デューク
HMS Iron Duke
1993年5月
F235 モンマス
HMS Monmouth
1993年9月
F236 モントローズ
HMS Montrose
1994年6月
F237 ウエストミンスター
HMS Westminster
1994年5月
F238 ノーサンバーランド
HMS Northumberland
1994年11月
F239 リッチモンド
HMS Richmond
1995年6月
F82 サマセット
HMS Somerset
1996年9月
F80 グラフトン
HMS Grafton
1997年5月 2006年3月  チリ海軍 FF-07 アルミランテ・リンチ
Almirante Lynch
2007年3月
F81 サザランド
HMS Sutherland
1997年7月
F78 ケント
HMS Kent
2000年6月
F79 ポートランド
HMS Portland
2001年5月
F83 セント・アルバンス
HMS St Albans
2002年6月

参考文献[編集]

  • 吉原栄一「23型フリゲイトのすべて」、『世界の艦船』第479号、海人社、1994年4月、 86-93頁。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]