15型フリゲート

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15型フリゲート
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艦級概観
艦種 対潜フリゲート
艦名
前級
次級
就役期間 1951年-1977年
同型艦数 23
使用国 イギリス南アフリカ
性能諸元
排水量 基準:2,300トン
満載:2,700トン
(R級駆逐艦からの改装の場合。以下同)
全長 358 ft(109.12 m)
全幅 37.75 ft(11.5 m)
吃水 14.5 ft(4.42 m)
機関 アドミラルティ 3胴式水管缶 2基
蒸気タービン 2基/2軸
40,000 shp
速力 31ノット
航続距離
乗員 174名
兵装 4インチ連装砲 1基
ボフォース 40mm連装機関砲 1基
スキッド対潜迫撃砲 2基またはMark10 リンボー対潜迫撃砲 2基
航空装備 発着甲板(グレンヴィルおよびアンドーンテッド)
レーダー タイプ293Q目標指示レーダー(のちタイプ993)
タイプ277Q水上レーダー
タイプ974航海用レーダー
タイプ262火器管制用CRBF
タイプ1010 Cossor IFF
ソナー タイプ174(捜索)
タイプ162(目標識別)
タイプ170(攻撃)

15型フリゲート(15がたフリゲート、Type 15 frigate)はイギリス海軍の対潜フリゲートの艦級。第二次世界大戦時に戦時急造計画によって建造された標準的な汎用駆逐艦の船体に改装を施したものである。

存在意義[編集]

1945年までに、戦時の「汎用」駆逐艦は、比較的小型であることと間に合わせの兵装のゆえに存在価値を失っていた。将来の駆逐艦は、バトル級デアリング級のようなより大型の艦型になると考えられていた。また、ドイツ海軍Uボートの技術は17ノットのXXI型や19ノットのXXVI型など、急速に進歩しており、イギリス海軍の最新の護衛艦艇もまた時代遅れとなっていた。

このUボートの技術はソ連海軍に伝えられ、613型潜水艦の建造という形で実現した。イギリス海軍はこの脅威に対抗して、新たな高速対潜フリゲート「12型」と「14型」を設計し、建造を開始した。しかし、それらが実戦配備につくまでには若干の時間が必要であり、また、予算の制約によって新規に建造できる数も制限された。

その問題の解決策として見出されたのがイギリス海軍に残留していた47隻の「汎用」駆逐艦であった。その大半は艦齢が2、3年未満で、ほとんど戦争に参加していなかった。そこでこれらの船を、多くの戦闘経験から学びとられた教訓を取り入れた高速対潜フリゲートに転換する計画が策定された。

改装[編集]

改装に先立って上部構造物、兵装、マストその他の設備がすべて取り除かれ、機関はオーバーホールされた。船首楼甲板は後方に延長され、艦尾甲板はわずかを残すのみとなった。それによって、戦時の多くの乗組員の悩みの種だった居住性の悪さ(あるいは「無さ」)が大幅に改善された。完全にエンクローズされた艦橋(これはイギリスの護衛艦艇では画期的だった)、作戦司令室およびソナー室を備え、艦の幅一杯を占める新しい一層の上部構造物が、煙突の前に追加された。新しい上部構造物のレイアウトは、乗員が戦闘時に外部に出ることなく戦うことを可能にしたが、これは核兵器の時代には極めて重要なことであった。当時の海軍護衛艦艇に必要となった各レンジのレーダーHF/DF、通信装置などのために新たなラティス・マストが立てられた。「トラウブリッジ」、「アルスター」および「ゼスト」は、リアンダー級にいいたる以降のフリゲートすべてに採用される新しい設計の艦橋を備えていた。この艦橋は艦首尾線に対し角度の付いた側壁と外下方に傾いた窓を持ち、全周にわたる良好な視界を提供するとともに、夜間における内部の灯火の反射を防ぐものであった。

高速対潜フリゲートという役割にふさわしい、新しい兵装と電子機器の完全なセットが追加された。兵装の中心は2基のMark10「リンボー」対潜迫撃砲だった。3つの砲身を備えたこの武器は戦時中の「スキッド」の完成型であり、艦尾甲板後部に置かれて悪天候から保護されていた。リンボーは360°の射界を持ち、操作は自動化されていた。両舷におかれた旋回式の2門の発射管に新しい対潜兵器であるマーク20E魚雷を装備することになっていたが、この兵器の開発は失敗し、発射管ものちに撤去された。リンボーをすべての艦に装備するには予算が足りなかったため、「ラピッド」、「ローバック」およびすべてのV級とW級からの改装艦はリンボーでなくスキッドを装備した。自艦防御のためにはマークXIX架台に載った4インチ連装砲を後部に置き、MRS-1近接非目視火器管制装置(Close Range Blind-Fire director、CRBF)によって指揮した。艦橋直後には、ボフォース 40mm連装機銃をマークV汎用架台に載せて装備した。

平時には多くの艦が航海練習船として使用されたが、その場合は不要な40 mm機銃は撤去され、湾曲した前面を持つ既存の艦橋の上に大きな露天艦橋が設けられた。アンドーンテッドの艦尾にはフェアリー・ウルトラライトおよびウェストランド・ワスプヘリコプターの試験を行うために飛行甲板が設けられた。アンドーンテッドはフリゲートとして始めてヘリコプターを搭載・運用した艦となった。グレンヴィルも1959年に飛行甲板を設けたが、後に撤去された。

一覧[編集]

1949年から1957年にいたる期間中に23隻が改装された。

艦名 ペナントNo. 旧ペナントNo. 改装期間 最終状態
R級駆逐艦からの改装
ラピッド(HMS Rapid) F138 H32 1952年-1953年 標的として処分(1981年)
リレントレス(HMS Relentless) F185 H85 1949年-1951年 解体(1971年)
ロケット(HMS Rocket) F191 H92 1949年-1951年 解体(1967年)
ローバック(HMS Roebuck) F195 H95 1952年-1953年 解体(1968年)
T級駆逐艦からの改装
トラウブリッジ(HMS Troubridge) F09 R00 1955年-1957年 解体(1970年)
U級またはV級駆逐艦からの改装
グレンヴィル(HMS Grenville) F197 R97 1953年-1954年 退役(1974年)、解体(1981)
アルスター(HMS Ulster) F83 R83 1953年-1956年 停泊練習船(1977年)、解体(1981年)
ユリシーズ(HMS Ulysses) F17 R69 1952年-1953年 解体(1970年)
アンドーンテッド(HMS Undaunted) F53 R53 1953年-1954年 標的として処分(1982年)
アンディーン(HMS Undine) F141 R42 1954年 解体(1965年)
ウラニア(HMS Urania) F08 R05 1953年-1954年 解体(1971年)
アーチン(HMS Urchin) F196 R99 1952年-1954年 アルスター補修のため解体(1966年)
アーサ(HMS Ursa) F200 R22 1953年-1954年 解体(1967年)
ヴィーナス(HMS Venus ) F50 R50 1952年-1954年 解体(1972年)
ヴェルラム(HMS Verulam) F29 R28 1952年 解体(1972年)
ヴィジラント(HMS Vigilant) F93 R93 1951年-1952年 解体(1965年)
ヴィラーゴ(HMS Virago) F76 R75 1951年-1952年 解体(1972年)
ヴォレイジ(HMS Volage) F41 R41 1952年-1953年 解体(1965年)
W級またはZ級駆逐艦からの改装
ウェイクフル(HMS Wakeful) F159 R59 1952年-1953年 解体(1971年)
ワールウィンド(HMS Whirlwind) F187 R87 1953年-1954年 退役(1974年)、標的として処分(1974年)
ウィザード(HMS Wizard) F42 R72 1954年 解体(1967年)
ラングラー(HMS Wrangler) F157 R48 1951年-1952年 南アフリカ海軍に売却(SAS Vrystaat)(1957年)
標的として処分(1976年)
ゼスト(HMS Zest) F102 R02 1954年-1956年 解体(1970年)

イギリス以外[編集]

アルゴンキン(HMCS Algonquin)とクレセント(HMCS Crescent)について同様の改装を実施した。
Q級駆逐艦5隻のうちクォリティ(HMAS Quality)を除く4隻を15型フリゲートに改装した(1953年-1957年)。

参照項目[編集]

文献[編集]