キングフィッシャー級スループ

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キングフィッシャー級スループ
基本情報
種別 沿岸スループ (コルベット)
運用者  イギリス海軍
就役期間 1935年 - 1950年
前級 P級英語版
次級 フラワー級
要目
基準排水量 510~530トン
満載排水量 740~745トン
全長 74.14 m
最大幅 8.08 m
吃水 2.44 m
ボイラー 水管ボイラー×2缶
主機 蒸気タービン
推進器 スクリュープロペラ×2軸
出力 3,600馬力
速力 20ノット
航続距離 4,000海里 (12kt巡航時)
燃料 重油160~172トン
乗員 60名
兵装45口径10.2cm単装砲×1基
7.7mm4連装機銃×2基
 →70口径20mm機銃×2門
爆雷投射機×2基
・爆雷投下軌条×2条
・爆雷×40発
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キングフィッシャー級スループ英語: Kingfisher-class sloop)は、イギリス海軍の沿岸スループコルベット)の艦級[1][2]

来歴[編集]

1930年代、イギリス海軍は、大型の護衛スループと並行し、局地防衛にあてるための沿岸スループ(後にコルベットに改称)の整備を構想した。当時、1930年のロンドン海軍軍縮会議によって補助艦の制限が課せられており、この沿岸スループはその制約外で整備できる戦力として期待された[2]

最初の幕僚要求事項は1932年に作成され、1933年度から1937年度計画で6隻が建造されることとなった。これが本級である。また1938年度計画でも、本級の小改正型(ギルモット級)3隻が建造された。ただし本級は戦時急造も想定した計画とされてはいたものの、第一次世界大戦世代のPC級英語版をベースとした設計では堪航性などに限界があり、また量産性にも問題があったことから、実際に第二次世界大戦勃発に伴う戦時緊急計画が発動された際には、捕鯨船をベースとしたフラワー級コルベットが選ばれた[2]

設計[編集]

設計は、第一次世界大戦世代のPC級スループ英語版を元に発展させたものとなった。機関構成も同様で、2缶のアドミラルティ式3胴型水管ボイラーをそれぞれのボイラー室に配し、タービンはパーソンズ式オール・ギヤード・タービンとされた[1][2]

ただし堪航性に問題があり、シーステート4以上ではスクリューが海面上にたびたび露出して速力が7ノット程度まで低下したことから、1938年度計画艦では吃水を深くするよう設計が変更された。これは探信儀(ASDIC)の性能発揮にも効果があった[2]

装備[編集]

装備面での最大の変更点は探信儀(ASDIC)の搭載で、駆逐艦と同様の隠顕式ソナードームが採用された。艦砲はPC級と同様、45口径10.2cm単装砲(QF 4インチ砲Mk.V)を艦首甲板に1基搭載した。より強力な砲の搭載も検討されたものの、他の小型艦艇も4インチ砲を標準装備していたことと、大口径・大重量の砲を搭載することで艦の加速性能や運動性能を損ない、対潜戦に不都合となることが懸念されたことから断念された。また1938年度計画艦では高角砲として改修された[2]

なお対空兵器としては、当初計画では7.7mm4連装機銃2基が予定されていた[2]。後には70口径20mm機銃2門が搭載されたほか、「シアウォーター」では更に40口径7.6cm高角砲も搭載された[1]

対潜兵器としては、1933年度計画艦(ネームシップ)では爆雷投射機2基と爆雷40発が搭載されたが、その運用成績を踏まえて、1935年度計画艦では爆雷投射機4基と爆雷60発に増強された。ただし「ウィジョン」では爆雷投射機4基と爆雷40発となり、以後の艦では再び爆雷投射機2基と爆雷40発に差し戻され、「ウィジョン」でも後に爆雷投射機を2基に削減した[2]

同型艦一覧表[編集]

計画年度 艦名 進水 その後
1933年 キングフィッシャー
HMS Kingfisher
1935年2月14日 1947年除籍
1935年 メレード
HMS Mallard
1936年3月26日
プフィン
HMS Puffin
1936年5月5日 1945年3月26日、ドイツ海軍特殊潜航艇体当たり攻撃で撃沈した際に大破
修理せず退役
1936年 キティウェイク
HMS Kittiwake
1936年11月30日 1947年売却
シェルドレイク
HMS Sheldrake
1937年1月28日 1946年売却
1937年 ウィジョン
HMS Widgeon
1938年2月2日 1947年9月25日除籍
1938年 ギルモット
HMS Guillemot
1939年7月6日 1950年11月除籍
シアウォーター
HMS Shearwater
1939年4月18日 1947年除籍
ピンティル
HMS Pintail
1939年8月18日 1941年6月10日戦没

出典[編集]

  1. ^ a b c Roger Chesneau, Robert Gardiner (1980). Conway's All the World's Fighting Ships 1922-1946. Naval Institute Press. p. 62. ISBN 978-0870219139 
  2. ^ a b c d e f g h Norman Friedman (2012). “Defending Trade”. British Destroyers & Frigates: The Second World War & After. Naval Institute Press. ISBN 978-1473812796 

関連項目[編集]