エリコンFF 20 mm 機関砲

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
エリコン 20 mm SS (FFS)
Oerlikon 20mm IMG 1554.jpg
一名用旋回砲架に搭載されたエリコン20mm機関砲
種類 機関砲
原開発国 スイスの旗 スイス
運用史
配備期間 1940年–現在
関連戦争・紛争 第二次世界大戦
開発史
開発者 Reinhold Becker
開発期間 1939年
製造業者 エリコン
製造期間 1940年
派生型 エリコンFF, MG FF 機関砲
諸元
重量 • 総銃身重量: 68.04 キログラム (150.0 lb)
• 装填機構を除く: 20.865 kg (46.00 lb)
銃身 • 全長: 2,210 mm (87 in)
• 内径: 1,400 mm (55 in)
• ライフリング: 1,246 mm (49.1 in)

砲弾 20×110mm RB
口径 20 mm (0.787 in)
砲身 • 全長: 2,210 mm (87 in)
• 内径: 1,400 mm (55 in)
• ライフリング: 1,246 mm (49.1 in)
銃砲身 単砲身 (右放物線状螺旋, 9溝)
作動方式 API ブローバック
発射速度 • 連射: 毎分450発
• 実用: 毎分250から320発
初速 820 m/s (2,700 ft/s)
有効射程 低空飛行の航空機: 914 m (1,000 yd) (HE弾)
最大射程 4,389 m (4,800 yd) (HE弾を射角45°で発射時)
アメリカ海軍航空母艦ホーネット II」の舷側に特攻機を迎え撃つべく増設されたMk.IV(エリコンSS)の砲列

エリコンFF 20 mm 機関砲とは、スイスエリコン社が開発した航空機関砲、または同系列の機関砲第二次世界大戦前から改良型が各国でライセンス生産され、一部は現代でも使用が継続されている、ベストセラー兵器である。

目次

概要 [編集]

エリコンFFの原型となったのは、第一次世界大戦中にドイツで開発されたベッカー 20 mm 機関砲である。これは20x70RB弾を使用し、ガス圧作動でAPIブローバックという発射機構を採用しており、薬室への弾薬の装填中に装薬を発火させ、スプリングによりボルトの前進するエネルギーで反動をある程度相殺できるため、本体を軽量化できるという利点をもっていた。

特許を取得してこの機構を受け継いだスイスのエリコン社では、同じ口径20mmだが、より強力な砲弾を用いるFF(Flügelfest=翼内固定式)系の機関砲を開発し、1935年から生産を開始した。これにはサイズや使用弾薬により、20x72RB弾を用いる最軽量のFF、20x101RB弾を用いるFFL、20x110RB弾を用いる大型のFFSの三種類があった。APIブローバック方式のためプロペラ同調式機関砲として戦闘機の機首には搭載できず、翼内装備用として開発された。バリエーションとして、FFSをモーターカノン用としたFFS/MKがあったが、シリンダーからの振動が原因で作動不良を起こすことが多かった。またFFSは地上の砲架や車輌・艦艇に搭載される対空機関砲型としても使用され、エリコンSSと呼ばれた。

なお、APIブローバック方式は給弾力が弱く、機構による牽引力を必要とするベルト給弾化は不可能といわれていた。しかし、日本海軍は改良に成功し装弾数を当初の60発から125~250発と増大させている(九九式二〇粍機銃)。

各国のエリコン20mm [編集]

戦後のイギリス軍艦艇に搭載されたエリコンSS 20 mm機関砲のライセンス生産型。

フランスでは、イスパノ・スイザ社がFFSを改良してモーターカノンとしたHS.7およびHS.9を開発し、ドボワチン D.501およびD.510戦闘機、モラーヌ・ソルニエ M.S.406戦闘機などに搭載された。また、これらの機関砲をさらに発展させたHS.404を開発し、各国で使用された。

ドイツではメッサーシュミットBf109戦闘機用モーターカノンとしてFFSの導入を検討したが、大型すぎて搭載できなかったため、FFを元に弾薬を20x80RBに変更・改良を加えたイカリアMG-FFとしてライセンス生産、これを航空機関砲として第二次大戦前半に多用、途中から火薬量の多い薄殻弾頭が発射できるMG-FF/Mが登場した。しかしドラム給弾式で搭載弾薬が少なく、FFLやFFSに比べ弱装薬で砲口初速や弾道特性、威力で劣り、後にMG 151 機関砲に更新された。フォッケウルフ Fw190戦闘機では一時期、翼の外側(プロペラ圏外)にMG-FF/Mを、内側(プロペラ圏内)にMG 151を搭載している。これは、MG-FF/Mではプロペラ同調ができず、また軽量であることから外側に搭載した場合の機体の運動性低下が抑えられるためである。

大日本帝国陸軍ではエリコンAFの改良型を試作したが、精度・機能共に不十分であったため不採用に終わった。これに代わり、同時期に輸入されていたエリコンALにそのまま改修を施したものを九四式旋回機関砲として採用し、九二式重爆撃機に搭載した。

大日本帝国海軍ではまずFFを採用し、九九式二十粍一号機銃としてライセンス生産を開始した。また爆撃機用としてこれを改造した旋回機関砲型を新規に開発した。九九式二十粍一号機銃にはMG-FF同様の問題点があったため、後にFFLをベースにした九九式二十粍二号機銃を採用した。なお、これらの機銃は弾倉式からベルト給弾式に変更されるなど、日本独自の改良が加えられていった。

アメリカは航空機用20mm機関砲として主にイスパノ系機関砲を搭載していたが、海軍の対空機関砲として、エリコンSSを用いることも多かった。射手1名で肩付けして操作できる防盾付き砲架に搭載され、部品点数を減らすなど改良を加えたSSは、海軍ではMk.IVと命名され、魚雷艇から戦艦正規空母までのあらゆる艦艇に搭載され、大戦末期には特攻機対策として多数が増設されている。Mk.IVは生産終了後も艦載用として使われ続けたが次第に部品が入手難となり、1960年代に河川用パトロール用ボートなどへの武装として、航空機用イスパノ系20mm砲を転用したMk.16にとって代わられた。フランスイタリアイギリスでも艦艇の対空用として同じように搭載されている。

イギリス海軍では、ずっと新型のエリコン30mm GCM-A O3が搭載された後も、SSが練習艦などにそのまま搭載されていたのが確認できる。

イギリス陸軍ではエリコンSSを用いた他、これをもとにした新型20mm機関砲を開発していた。これはポーランド人技術者たちが試作したもので、職人的な切削加工を用いた部品が多いためコストが高かった(1門あたり300ポンド)エリコンを、プレス製のパーツを多用することで低コスト化(1門あたり60ポンド)したものであった。Polandと製造メーカーのSTENを合わせPolsten (ポールステン)と名づけられたこの機関砲は、60発入りドラム弾倉の他に簡易な箱型弾倉に変更できるなどの改良を加えているが、外見はオリジナルのエリコンと良く似ており、砲架も同じものが用いられた。また軽量砲架に載せられ、空挺部隊の装備にもなっている。この他、エリコンSSがクルセーダー対空戦車に、続いてポールステンがセントー対空戦車センチュリオンMk.I戦車の最初の10輌(主砲同軸だが、ポールマウント式砲架で独立して可動できる)に搭載されている。

他、エリコンSSはソ連併合以前のバルト三国や、ドイツ併合前のチェコスロヴァキアポーランドでも対空用として配備されている。

関連項目 [編集]

外部リンク [編集]