カヴール (空母)

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Cavour (550).jpg
竣工時の「カヴール(C 550)」
艦歴
発注 2000年11月
起工 2001年7月17日
進水 2004年7月20日
就役 2008年4月27日
前型 ジュゼッペ・ガリバルディ (C 551)
後型 -
主要要目
艦種 軽空母
排水量 満載:27,100トン
全長 244m
全幅 39m
吃水 最大8.7m
機関 COGAG方式
LM2500ガスタービンエンジン(29,500馬力 4基
スクリュープロペラ 2軸
速力 最大28ノット
航続距離 7,000海里 (16kt巡航時)
乗員 個艦要員451人、航空要員203人
司令部140人、海兵325人、予備91人
武装 シルヴァーA43 VLS
アスター15短SAM用 8セル)
4基
76mm単装速射砲 2基
25mm機関砲 3門
艦載機 AV-8BF-35B(予定) 12機
AW 101NH90SH-3D 8機
レーダー EMPAR 多機能型
RAN-40L 3次元式
SPS-791 RASS 水上捜索用
RTN-25X 射撃指揮用
ソナー WASS 機雷探知用

カヴールイタリア語: Cavour, C 550)は、イタリア海軍軽空母。艦名はイタリア王国の初代首相カミッロ・カヴールに由来する。

来歴[編集]

ジュゼッペ・ガリバルディ」の竣工直後より、イタリア海軍は2隻目の軽空母の保有を計画した。「ジュゼッペ・ガリバルディ」が「ヴィットリオ・ヴェネト」などヘリコプター巡洋艦の延長線上で開発されたのに対し、この2隻目の軽空母は揚陸艦任務も重視してウェルドックを設置するなど、強襲揚陸艦に近いものとして構想されていた[1]

90年代中ごろになると、この計画はNUM(Nuova Unità Maggiore: 新型大型艦)として具体化した。96-97年版のジェーン海軍年鑑で掲載された設計はスペイン海軍の「プリンシペ・デ・アストゥリアス」に近く、20,100トンの制海艦として軽空母任務を重視したものとなっており、艦名は「ジュゼッペ・マツィーニ」(Giuseppe Mazzini)が予定されていた。しかし、続く97-98年版においては、むしろアメリカ海軍タラワ級を小型化したような14,000トンの強襲揚陸艦となり、98-99年版では28,000トンに大型化して、艦名は「ルイージ・エイナウディ」とされた。この案では、主機はLM2500ガスタービンエンジン2基によるCOGAG方式、速力は25ノット、ウェルドックも備えることとされていた。その後、2001-02年版で、主機を2基増やして速度を30ノットに強化、ウェル・ドックも廃した軽空母として再度変更され、この案で発注が行なわれた[1][2]

イタリアの造船会社フィンカンティエリが受注し、セストリ・レヴァンテに所在するリヴァ・トリゴーゾ造船所で、2001年7月17日に起工した。この時点での艦名は「ルイージ・エイナウディ」であったが、建造途中に艦名は「アンドレア・ドーリア」に変更され、2004年7月20日に進水した。艤装中、さらに艦名は「カヴール」と変更されて、就役した[3]

設計[編集]

船型としては平甲板型の空母艦型が採用されており、全通した上甲板はほぼ全域が飛行甲板とされている。その1層下の第1甲板はギャラリデッキとされており、戦闘指揮所(CIC)などの司令部区画や食堂などの居住区が設けられている。その下のハンガーは3層分の高さを確保した。また安定的な航空機の運用能力を確保するため、引き込み式のフィンスタビライザーを片舷2枚ずつ計4枚装備して安定化に努めている[2]

主機関は、基本的には「ジュゼッペ・ガリバルディ」と同様、ゼネラル・エレクトリック LM2500ガスタービンエンジンCOGAG方式で2基ずつ4基、両舷2軸に配しているが、艦型の大型化に伴って、より大出力のモデルが採用されており、合計出力は46%増加して118,000馬力とされた。また所要の速力を確保するため、船型を細長くすることで抵抗の減少を図っているが、それでも最大速力は28ノットと、「ジュゼッペ・ガリバルディ」より2ノット低下している。抗堪性向上のため機関はシフト配置とされており、前部機械室が左舷軸、後部機械室が右舷軸を駆動するものとされ、それぞれの機械室には2基のガスタービン主機と減速機が1組として収容されている。またその間には25mの中間区画が設置されている。推進器としては、ガスタービン艦の通例として可変ピッチ式プロペラ(CPP)が採用されている[3]

また#揚陸艦機能を重視したことから、精密な操艦が要求される場合に備えて2基のサイドスラスターを有するほか、推進軸に接続された発電機をモーターとして使用しての電気推進により、9ノットまでの低速航行にも対応できる[2]。主発電機としては、出力2,200kWのディーゼル発電機を6基搭載しており、3基ずつ前後の機械室に設置されている[3]

能力[編集]

航空運用機能[編集]

飛行甲板は長さ220m×幅34mで、左舷側の前端には12度の傾斜をもつスキージャンプが設置されている。スキージャンプ後方から艦尾にかけての平坦部分184m×14mの空間が、固定翼機の滑走レーン及びヘリコプターの発着用とされている。滑走レーンについては、従来の「ジュゼッペ・ガリバルディ」ではアイランドとの干渉を避けるために、船体中心線からやや斜めにとられていたのに対し、本艦では船体中心線と平行になっており、スキージャンプ勾配の傾斜角が増したのと同様、船体大型化の恩恵があらわれている。またヘリコプター発着スポットについては、滑走レーン上に6個が設定されているほか、常時待機の救難ヘリコプタ―用としてもう1個、アイランド前方の右舷寄りに小型のスポットが設置されている[3]

下に1層にギャラリデッキをおいて設けられたハンガーは船体長の60パーセントに及ぶ長大なもので、長さ134m×幅21m×高さ6mが確保されており、また整備スペースでは11mの高さとされた。ここには、12機のヘリコプターか8機のV/STOL機を搭載可能であり、飛行甲板には8機が待機可能である。飛行甲板とハンガーを連絡するエレベーターは、四角形状の弾薬用エレベーター(耐荷重は15トンと7トン)と八角形状の航空機用エレベーター(耐荷重は20トン)がそれぞれ2基ずつ設置されている。「ジュゼッペ・ガリバルディ」では航空機用エレベーターは全てインボード方式とされていたが、本艦では後方の大型の物がデッキサイド式となっており、はねあげて格納することもできる[3]

揚陸艦機能[編集]

本艦は、軽空母だけでなく、揚陸艦としての機能も有している。居住区には便乗者用スペースも確保されており、標準状態で325名の海兵隊の乗艦が想定されているほか、さらに予備のベッドも用意されている[3]

ハンガーは車両甲板としても転用可能とされており、航空機の代わりに24両のアリエテ主力戦車、あるいは100両の軽車両、あるいは50両の水陸両用装甲兵員輸送車などが搭載可能となっている。右舷中央部と艦尾には、それぞれ60トンまでの車両に対応できるランプが設けられており、RORO機能を発揮できる[3]

揚陸手段としては、#航空運用機能によるヘリコプター揚陸艦としての運用のほか、上陸用舟艇として艦尾両舷のレセスに計4隻の小型揚陸艇(LCVP)が収容可能である[2]

また医療設備も充実しており、手術室3室と病室、歯科治療室、X線撮影装置やコンピュータ断層撮影(CT)装置などが搭載されている[2]

個艦防御機能[編集]

ジュゼッペ・ガリバルディは、フリゲート並みとも称される重装備で知られていたが、本艦では自衛用にほぼ限定された軽装備となって他国の軽空母と同程度となっている。

防空武器システムとしてはPAAMSを装備しているが、これも個艦防空用の縮小構成となっており、艦対空ミサイルは短射程型のアスター15シルヴァー VLSも小型のA43型とされており発射セルはアイランド前方の右舷側の張り出し部と左舷艦尾側に配置されている。レーダーEMPAR多機能レーダーのみとされドームがアイランド頂部に配置された。他にSMART-Lのかわりに、航空機の管制用をかねたRAN-40L 3次元レーダーがアイランドに搭載されている[3]

近接火器としては、イタリア海軍の他の艦と同様、機関砲によるCIWSは装備していないが、替わりにオート・メラーラ 76mmスーパー・ラピッド砲単装砲塔で艦首側に1基と右舷艦尾側に1基の計2基を搭載する予定とされている。他に同じくオート・メラーラ 25mm機関砲を単装砲架で3基搭載して近接防御に使用する[3]

水面下にはガリバルディが持っていたような大型のバウ・ソナーは備えていないが、機雷探知用のWASS小型ソナーは装備している。また、対魚雷防御用のSLAT発射機 2基のほか、対ミサイルのソフト・キル用として、標準的なSCLAR-H チャフデコイ発射機を2基備えている[3]

また、本艦は、SADOCシリーズの戦術情報処理装置を備えており、リンク 16に対応している。

参考文献[編集]

  1. ^ a b 木津徹「現代軽空母の歩み 「インヴィンシブル」から「ひゅうが」まで (特集 現代の軽空母)」、『世界の艦船』第682号、海人社、2007年11月、 76-81頁、 NAID 40015635561
  2. ^ a b c d e 「建造進むイタリア新空母「カブール」 (特集・近未来の空母)」、『世界の艦船』第658号、海人社、2006年5月、 90-93頁、 NAID 40007232536
  3. ^ a b c d e f g h i j 「イタリアの新鋭軽空母「カブール」のメカニズム」、『世界の艦船』第682号、海人社、2007年11月、 88-91頁、 NAID 40015635563

外部リンク[編集]

関連項目[編集]