関西フォーク
関西フォーク(かんさいフォーク)とは、1960年代後半から1970年代初頭にかけて、関西から生まれたフォークソングにメッセージをのせたプロテストソング及びその全国で旋風をおこしたムーブメントのこと。
関西フォークの歴史[編集]
アンダーグラウンドとしての関西フォークの誕生[編集]
「商業主義的」なカレッジ・フォークを中心にしていたフォークソングが大きく変化したのは、京都の学生のフォーク・バンドであるザ・フォーク・クルセダーズの登場であった。ザ・フォーク・クルセダーズは、1967年に京都で開催された第1回フォークキャンプに参加し、自主的な音楽活動の中心的な役割を果たしていた。ザ・フォーク・クルセダーズがアマチュア時代に自主制作したアルバム『ハレンチ』に収録されていた「イムジン河」が京都、「帰って来たヨッパライ」が神戸のラジオで放送されたことが話題となり、メジャーデビューし、大ヒットとなる。
これまでのフォークソングと違ったメッセージ性の強い、アンダーグラウンドな音楽の登場に人々は驚きブームとなった。
関西フォークのブーム[編集]
フォーク・クルセダーズが活動を終えると、高石ともやや中川五郎、五つの赤い風船などが続き、高田渡や遠藤賢司などが関西に活動の拠点を移し、岡林信康の登場で最高潮を迎えた。1967年から関西フォークキャンプやフォーク・スクールなどを端緒として、各地にフォークが広がりを見せた。
全共闘運動激化の時代背景の中、理不尽な差別や社会への批判を歌詞にした関西フォークは学生たちから支持を受けて、新宿駅西口広場の『フォーク・ゲリラ』による反戦集会には数百人が参加した。
1969年から岐阜県恵那郡坂下町(現在の中津川市)で『全日本フォークジャンボリー』、1971年から大阪で『春一番』がはじまった。
ブームが去った後[編集]
全国的に一気に火がついたブームであったが、全共闘運動などの消滅により、フォークソングが「アングラ」から「メジャー」へと移行していった。 『春一番』も1979年を最後に中断するなか、京都では高石ともやなどが中心に1985年まで『宵々山コンサート』や『コンサート 夏の時代』などの活動を継続していた。
復活への取り組み[編集]
1994年から京都での『宵々山コンサート』が復活。阪神・淡路大震災のあった1995年には『春一番』が大阪城野外音楽堂で復活。
1999年、フォークキャンプのリーダー的存在だった藤村直樹が高石ともや、高田渡、豊田勇造、中川五郎、中山ラビ、中川イサト、遠藤賢司ら往年のフォークキャンプ参加者に呼びかけて、京都市の円山公園音楽堂で『京都フォークキャンプコンサート』を開いた。
きたやまおさむ企画の『コンサート 夏の時代』は、2000年に大阪で一度だけ復活。
京都での宵々山コンサートは、その後も続き、2009年に終了を迎えたが、同年、中津川で『全日本フォークジャンボリー』を受け継ぐ『'09 椛の湖フォークジャンボリー』が開催された。
福岡風太、阿部登がプロデュースする『春一番』は、会場を服部緑地野外音楽堂に変えて毎年継続中。しかしながら、主要メンバーの他界もあり、2020年が最後の春一番となる模様?
文化的人脈とメディアのサポート[編集]
関西フォークは、京都を中心に発展したが、その背景には京都を中心とした文化的人脈とメディアのサポートがあった。
オーラル派の詩人たちと訳詞者たち[編集]
まず、京都の喫茶店「ほんやら洞」を拠点に活動していた秋山基夫、有馬敲、片桐ユズルらオーラル派と呼ばれる詩の朗読に取り組む詩人たちの存在が知られる。片桐ユズルは、関西のフォークの状況などを伝えるミニコミ「かわら版」に執筆し、有馬敲の詩に関西フォークのミュージシャンたちが曲をつけて歌ったオムニバスLP『ぼくのしるし わらべうた24』が1970年3月に発表されるといった動きもあった。
また、中山容は、片桐ユズルとともに、ボブ・ディランの楽曲の歌詞の翻訳に力を入れた。それらは、フォークキャンプコンサートなどの取り組みを通じて、さらに補作され、普及していった。
メディアのサポート[編集]
近畿放送(現在の京都放送)で1960年代から70年代に音楽番組を担当していたディレクターの川村輝夫は、ザ・フォーク・クルセイダーズの「イムジン河」が1968年に発売中止になった後もラジオでかけ続ける[1]など、関西フォークのシンガーたちの楽曲を積極的に放送して応援した。
注[編集]
- ^ 「朝日新聞」2009年10月18日社会面、加藤和彦の自殺を報じる記事。
主なミュージシャン[編集]
- 高石ともや
- 岡林信康
- 中川五郎
- はしだのりひこ・加藤和彦・北山修(ザ・フォーク・クルセダーズ)
- 坂庭省悟
- ひがしのひとし・古川豪・豊田勇造・中山ラビ・三浦久
- 西岡たかし・中川イサト・長野たかし・金森幸介(五つの赤い風船)
- 有山淳司・武部行正
- 早川義夫・高橋照幸(ジャックス・休みの国)
- 杉田二郎・真崎義博
- 藤村直樹
- 小林隆二郎(ばとこいあ神戸)
- 加川良
- 松山猛
- 金延幸子
- 塚本正治
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