「JR東日本E131系電車」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
配置車両が存在しないのに記載するのは時期尚早では
m →‎番台別概説: 80番台が煩雑なため冒頭に記して整理
109行目: 109行目:
== 番台別概説 ==
== 番台別概説 ==
[[ファイル:E131 series sets R05 20210320 3143M.jpg|サムネイル|0番台]]
[[ファイル:E131 series sets R05 20210320 3143M.jpg|サムネイル|0番台]]
線路設備モニタリング装置を搭載している車両は番台区分ごとに+80番台の別区分となっているが、車体重量・座席配置以外の構成が同一であるため両者を区別せずに記す。


=== 0番台・80番台(房総地区用) ===
=== 0番台(房総地区用) ===
車両[[デザイン]]は、優雅で生命感のある[[房総半島|房総]]の海をイメージした明るい[[青色]]と内陸を彩る[[菜の花]]の色をイメージした[[黄色]]の帯を配し<ref group="新聞" name="kyodo/20200512" />、前面は房総の海の[[波飛沫]]をイメージした[[水玉模様]]としている<ref name="RF721-53" /><ref group="新聞" name="tokyo20210313" />。
車両[[デザイン]]は、優雅で生命感のある[[房総半島|房総]]の海をイメージした明るい[[青色]]と内陸を彩る[[菜の花]]の色をイメージした[[黄色]]の帯を配し<ref group="新聞" name="kyodo/20200512" />、前面は房総の海の[[波飛沫]]をイメージした[[水玉模様]]としている<ref name="RF721-53" /><ref group="新聞" name="tokyo20210313" />。


149行目: 150行目:
</gallery>
</gallery>


=== 500番台・580番台(相模線用) ===
=== 500番台(相模線用) ===
[[File:Series-E131-500 G02.jpg|thumb|200px|500番台]]
[[File:Series-E131-500 G02.jpg|thumb|200px|500番台]]
車両デザインは、遠くまで広がる[[湘南]]の海をイメージした濃淡2色の青色を前面・側面に配し、前面は湘南の海とダイナミックな波の水飛沫をイメージした水玉模様を採用している<ref name="RF728-51" /><ref group="JR" name="jreast/press/yokohama/2021/20210617_y1" />。
車両デザインは、遠くまで広がる[[湘南]]の海をイメージした濃淡2色の青色を前面・側面に配し、前面は湘南の海とダイナミックな波の水飛沫をイメージした水玉模様を採用している<ref name="RF728-51" /><ref group="JR" name="jreast/press/yokohama/2021/20210617_y1" />。
155行目: 156行目:
車内はオールロングシート仕様で、座席表皮は[[相模川]]や湘南の海をイメージしたブルー系のツートンカラーとしている<ref name="RF728-51" /><ref group="JR" name="jreast/press/yokohama/2021/20210617_y1" />。トイレは設置されていない<ref name="RF728-51" />。
車内はオールロングシート仕様で、座席表皮は[[相模川]]や湘南の海をイメージしたブルー系のツートンカラーとしている<ref name="RF728-51" /><ref group="JR" name="jreast/press/yokohama/2021/20210617_y1" />。トイレは設置されていない<ref name="RF728-51" />。


併結運転を考慮していないため、0・80・600・680番台に設置されている[[連結器#電気連結器|電気連結器]]は設けていない<ref name="RF728-50" />。一部の編成のT車にはレール塗油器を設置している<ref name="RF728-50" />。0・80番台からの変更点として、CBM対象機器の見直しと今後の機能拡張を見据えて車両情報管理装置の制御伝送化が行われている<ref name="RF728-50" />。
併結運転を考慮していないため、0・600番台に設置されている[[連結器#電気連結器|電気連結器]]は設けていない<ref name="RF728-50" />。一部の編成のT車にはレール塗油器を設置している<ref name="RF728-50" />。0番台からの変更点として、CBM対象機器の見直しと今後の機能拡張を見据えて車両情報管理装置の制御伝送化が行われている<ref name="RF728-50" />。


; 編成表<ref name="RF728-50" />
; 編成表<ref name="RF728-50" />
190行目: 191行目:
</gallery>
</gallery>


=== 600番台・680番台(宇都宮・日光線用) ===
=== 600番台(宇都宮・日光線用) ===
[[File:Series-E131-600 TN6.jpg|thumb|200px|600番台]]
[[File:Series-E131-600 TN6.jpg|thumb|200px|600番台]]
デザインは[[宇都宮市]]で復元された[[火焔太鼓]]の[[山車]]をイメージした黄色と茶色のツートンカラーを採用し、[[文化遺産 (世界遺産)|世界文化遺産]]である[[日光の社寺]]に施される[[模様|文様]]にも通じる賑やかで高級感のあるデザインとしている<ref name="RF728-51" /><ref group="JR" name="jreast/press/omiya/2021/20210617_o05" />。
デザインは[[宇都宮市]]で復元された[[火焔太鼓]]の[[山車]]をイメージした黄色と茶色のツートンカラーを採用し、[[文化遺産 (世界遺産)|世界文化遺産]]である[[日光の社寺]]に施される[[模様|文様]]にも通じる賑やかで高級感のあるデザインとしている<ref name="RF728-51" /><ref group="JR" name="jreast/press/omiya/2021/20210617_o05" />。
231行目: 232行目:
</gallery>
</gallery>


=== 1000<!-- ・1080 -->番台(鶴見線用)===
=== 1000番台(鶴見線用)===
2023年7月24日にJR東日本横浜支社よりE131系の[[鶴見線]]への投入が発表された<ref group="JR" name="jreast/press/2023/yokohama/20230724_y2" />。[[国鉄205系電車#鶴見線向け(1100番台)|205系1100番台]]の置き換え用として投入されるもので、205系と同じく2M1Tの3両編成が投入される<ref group="JR" name="jreast/press/2023/yokohama/20230724_y2" />。
2023年7月24日にJR東日本横浜支社よりE131系の[[鶴見線]]への投入が発表された<ref group="JR" name="jreast/press/2023/yokohama/20230724_y2" />。[[国鉄205系電車#鶴見線向け(1100番台)|205系1100番台]]の置き換え用として投入されるもので、205系と同じく2M1Tの3両編成が投入される<ref group="JR" name="jreast/press/2023/yokohama/20230724_y2" />。


車両デザインは、海をイメージしたスカイブルーと路線カラーのイエローの帯を配し、前面は歴代鶴見線車両の車両カラーをイメージした茶色と黄色の水玉模様を採用している<ref group="JR" name="jreast/press/2023/yokohama/20230724_y2" />。これまでの0番台・80番台・500番台・580番台・600番台・680番台と異なり車体幅は2778mmのストレート車体となっている<ref group="JR" name="jreast/press/2023/yokohama/20230724_y2" />。この理由について[[メディア・ヴァーグ|乗りものニュース]]編集部がJR東日本横浜支社に取材したところ、具体的な箇所までは言えないとしつつ「鶴見線の設備に制限があるため」と説明している<ref name="trafficnews20230724">{{Cite web|url=https://trafficnews.jp/post/127113|title=鶴見線の新型車両に違和感 「車体幅が狭い」ワケは? 実はけっこう独自仕様 JR東日本に聞く|website=乗りものニュース|date=2023-07-24|access-date=2023-07-27}}</ref>。
車両デザインは、海をイメージしたスカイブルーと路線カラーのイエローの帯を配し、前面は歴代鶴見線車両の車両カラーをイメージした茶色と黄色の水玉模様を採用している<ref group="JR" name="jreast/press/2023/yokohama/20230724_y2" />。これまでの0・500・600番台と異なり車体幅は2778mmのストレート車体となっている<ref group="JR" name="jreast/press/2023/yokohama/20230724_y2" />。この理由について[[メディア・ヴァーグ|乗りものニュース]]編集部がJR東日本横浜支社に取材したところ、具体的な箇所までは言えないとしつつ「鶴見線の設備に制限があるため」と説明している<ref name="trafficnews20230724">{{Cite web|url=https://trafficnews.jp/post/127113|title=鶴見線の新型車両に違和感 「車体幅が狭い」ワケは? 実はけっこう独自仕様 JR東日本に聞く|website=乗りものニュース|date=2023-07-24|access-date=2023-07-27}}</ref>。


車内はオールロングシート仕様で、座席表皮は外観と同様に青と黄色のツートンカラーとしている<ref group="JR" name="jreast/press/2023/yokohama/20230724_y2" />。
車内はオールロングシート仕様で、座席表皮は外観と同様に青と黄色のツートンカラーとしている<ref group="JR" name="jreast/press/2023/yokohama/20230724_y2" />。


番台については2023年7月24日の報道発表において言及されていない<ref group="JR" name="jreast/press/2023/yokohama/20230724_y2" />。なお、[[東洋電機製造]]が発行する「東洋電機技報」147号の交通事業部編において、同社が製造した駆動装置の納入対象として「E131系1000番台」という記述があった<ref>{{Cite web |title=総集編 交通事業部編 |url=https://www.toyodenki.co.jp/technical-report/pdf/giho147/p1-4_147.pdf|archiveurl=https://web.archive.org/web/20230519103741/https://www.toyodenki.co.jp/technical-report/pdf/giho147/p1-4_147.pdf |website=東洋電機技報|archivedate=2023-05-19 |access-date=2023-07-18}}</ref>が、現在は東洋電機技報の関連ページ全てが削除されている。先述の乗りものニュース編集部の取材に対してJR東日本横浜支社は「E131系1000番台」であると説明している<ref name="trafficnews20230724"/>。
番台区分については2023年7月24日の報道発表において言及されていない<ref group="JR" name="jreast/press/2023/yokohama/20230724_y2" />。なお、[[東洋電機製造]]が発行する「東洋電機技報」147号の交通事業部編において、同社が製造した駆動装置の納入対象として「E131系1000番台」という記述があった<ref>{{Cite web |title=総集編 交通事業部編 |url=https://www.toyodenki.co.jp/technical-report/pdf/giho147/p1-4_147.pdf|archiveurl=https://web.archive.org/web/20230519103741/https://www.toyodenki.co.jp/technical-report/pdf/giho147/p1-4_147.pdf |website=東洋電機技報|archivedate=2023-05-19 |access-date=2023-07-18}}</ref>が、現在は東洋電機技報の関連ページ全てが削除されている。先述の乗りものニュース編集部の取材に対してJR東日本横浜支社は「E131系1000番台」であると説明している<ref name="trafficnews20230724"/>。


== 配置・運用 ==
== 配置・運用 ==

2023年8月3日 (木) 10:15時点における版

JR東日本E131系電車
E131系0番台R06編成
(2021年3月31日 香取駅 - 佐原駅間)
基本情報
運用者 東日本旅客鉄道
製造所 総合車両製作所新津事業所
製造年 2020年 -
製造数 0・80番台:12編成24両
500・580番台:12編成48両
600・680番台:15編成45両
鶴見線仕様車:8編成24両(予定)[JR 1]
運用開始 2021年3月13日[JR 2][JR 3]
投入先 房総各線(0・80番台)
相模線(500・580番台)
東北本線宇都宮線)・日光線(600・680番台)
鶴見線(予定)[JR 1]
主要諸元
編成 2両編成(1M1T)(0・80番台)
3両編成(1.5M1.5T)(600・680番台)
3両編成(2M1T)(鶴見線仕様車)(予定)[JR 1]
4両編成(2M2T)(500・580番台)
軌間 1,067 mm
電気方式 直流 1,500 V架空電車線方式
設計最高速度 110 km/h
最高速度 110 km/h(鶴見線仕様車は100 km/h(予定)[JR 1]
起動加速度 2.5 km/h/s
減速度 4.2 km/h/s
編成定員 277名(0番台)
267名(80番台)
604名(500番台)
592名(580番台)
437名(600番台)
426名(680番台)
編成重量 71.9 t(0番台)
72.9 t(80番台)
133.0 t(500番台)[注釈 1]
135.1 t(580番台)
106.7 t(600番台)
108.9 t(680番台)
全長 連結面間距離:20,000 mm
車体長 19,570 mm(Mc・Tc')
19,500 mm(M1・M2・T)
車体幅 2,950 mm(鶴見線仕様車は2778 mm(予定)[JR 1]
車体高 3,620 mm
パンタグラフ折り畳み時:3,950 mm)
床面高さ 1,130 mm
車体 軽量ステンレスsustina
台車 動台車:DT80系、従台車:TR273系(車輪径:⌀860 mm)
主電動機 全閉型誘導電動機 MT83
4基(クモハE131形・モハE130形)
2基(モハE131形)
主電動機出力 150 kW
駆動方式 TD継手式平行カルダン駆動方式
歯車比 14:99=1:7.07
制御方式 SiCハイブリッドモジュール適用IGBT素子VVVFインバータ制御回生ブレーキ発電ブレーキ付き)
保安装置 ATS-P
ATS-Ps
EBTE装置
備考 特記ないものは出典:交友社『鉄道ファン 2021年5月号』、交友社『鉄道ファン 2021年12月号』
テンプレートを表示

E131系電車(E131けいでんしゃ)は、2021年令和3年)3月13日に営業運転を開始した東日本旅客鉄道(JR東日本)の直流一般形電車である。

概要

房総地区の電化路線の末端区間におけるワンマン運転対応車両として、2020年(令和2年)5月12日から投入が発表された[JR 4][新聞 1]

同区間ではそれまで209系2000・2100番台が4両または6両編成で運用されていたが、それぞれの線区・区間の利用状況に合わせて柔軟に列車設定が可能となるようにすること、効率的なメンテナンスを行うための線路設備モニタリング装置および車両状態監視保全に向けた装置を短編成ながら搭載すること、利用客に対して快適な車両を提供することの3つの要件を解決する必要があったため新形式・新造車両の導入に至った[2]

これまで房総地区では、211系209系など、他線区で余剰となった経年車両を転属させた上で運用していた。そのため、房総地区で新製車両が運用されるのは国鉄時代に投入された113系以来、51年ぶりとなった[新聞 2][3]

MM'ユニット方式を採用した209系では最短でも2M2Tの4両編成となるのに対し[新聞 3]、E131系では1M方式を採用して最短2両編成(1M1T)からの組成を可能とし[4]、運転席から乗降を確認するカメラなど、ワンマン運転対応機器を備える[新聞 4]ステンレス製の幅広車体を採用し[5]、スイッチング部とダイオード部、またはダイオード部のみにSiCを採用して消費電力の抑制につなげる[6]

2020年7月に2編成4両が総合車両製作所新津事業所から出場し、本線試運転が行われた[7][8]。2両編成12本の計24両を製造し、2021年(令和3年)3月13日から運用を開始した[JR 2][JR 3]

2021年6月17日の報道発表にて、同年秋頃を目処に相模線[JR 5]、2022年春頃を目処に東北本線宇都宮線)・日光線に投入することを発表[JR 6][9]、同年11月18日より相模線にて[JR 7]、翌年3月12日より宇都宮線・日光線で営業運転を開始している[JR 8]。更に2023年7月24日の報道発表にて、同年冬頃を目途に鶴見線に追加投入する事も発表された[JR 1]

共通事項

本項では共通事項について述べ、番台毎の差異については次項で述べる。

車体

下部にある台枠の一部を除きステンレスを用いた拡幅車体(鶴見線仕様車のみストレート車体[JR 1])で客室部はE235系、乗務員室はE129系を基本とした構造を採用し、209系よりも客室を拡大している[5][JR 4]。将来的にホームドアが整備された駅に乗り入れることを想定し、扉位置を合わせるため、側面の乗降扉は片側4箇所ある[2]。各々の扉の横にはボタンの周囲のLEDが点灯するタイプの半自動スイッチが室内外に装備されている[5]。前面および側面にはフルカラーLED行先表示器が設置されている[6]

前面は踏切事故対策からE721系およびE129系と同等の前面強化を図ったほか、側面衝突対策としてE233系と同等の強度を採用した上で、ロールケージによって更なる強化を図っている[5]。屋根構造としては極力横風の抵抗を小さくするため、抵抗に対して影響の少ない空調装置部を除き歩み板を省略している[5]。郊外・地方線区向けに必要な車両性能を考慮して、ブレーキ抵抗器や霜取りパンタを増設できるようにあらかじめ配慮をした設計が採られている[2]前部標識灯後部標識灯は地上からの視認性を向上させるため前面の上部に取付けられており、照明はLEDとした[10]。着雪防止のため、前面ガラスの内側に配置し、従来のシールドビームHIDよりも発熱量が少ないため前面ガラスの熱線を標識灯の部分まで拡大させている[10]

ワンマン運転に対応するため、車両側面にはE531系3000番台と同様、乗務員が運転台から確認する乗降確認カメラ、ホーム検知装置を設置している[6]。一方、乗務員室は運賃箱や室内確認ミラーなどの従来のワンマン運転で使用している装備は準備工事に留め、運転台上部にホームモニター映像情報装置を配置している[10]

車内

一人分の座席幅は460 mmで、209系と比較して10 mm拡大しているほか、低座面化、クッション性を向上している[11]。袖仕切は立客の姿が隣り合う着席客の視界に入らないようにという利用客からの要望から、E235系1000番台と同様に天地寸法を高くし、これまでのデザインから大きく変更している[5][11]

乗降扉上部には、トレインチャンネルなどを表示する広告枠を省略した[5]、17インチ車内案内表示装置を1箇所ずつ千鳥配置に設置し、多言語による情報提供の充実を図っている[11]。また、扉開閉時には各扉に設置したドアチャイムが鳴り、同時に扉鴨居下部に設置した扉開閉表示灯が点滅する[11]

吊り手高さの改善や、ホームとの段差低減、各車両に車椅子ベビーカーの利用客のためのフリースペースを設置し、優先席とともにわかりやすい配色としている[11][新聞 2]

各車両の客室には車内防犯カメラを設置し、非常通話装置を1両につき4か所に増やすことで、セキュリティ向上を図っている[11][3]

また、荷物が挟まれた場合でも引き抜きやすいドアとしている[11]側引戸装置には、ラック・アンド・ピニオン方式の電気式戸閉装置を採用した[11]

線路設備モニタリング装置搭載対応編成(80番台)の先頭車は、床下に線路設備モニタリング装置を搭載しているために床下スペースが減少していることから、その分のATS-P装置や共通機器箱の機能を室内の機器室や天井部に移設している[12]。そのため、基本編成と座席配置や天井部が異なる[12]

主要機器

制御装置は半導体素子SiCを採用する[6]。補助電源装置として、SC124形静止形インバータ(SIV)を搭載する[6]空気圧縮機はスクロール式(オイルフリー)を採用する。

情報制御装置はMON25型を搭載。モニタリング技術を活用した車両状態監視機能や、一部の先頭車(車両番号を80番台に区分の先頭車)に線路設備状態監視機能を搭載し、故障の予兆を事前に把握することができる[JR 4]

番台別概説

0番台

線路設備モニタリング装置を搭載している車両は番台区分ごとに+80番台の別区分となっているが、車体重量・座席配置以外の構成が同一であるため両者を区別せずに記す。

0番台(房総地区用)

車両デザインは、優雅で生命感のある房総の海をイメージした明るい青色と内陸を彩る菜の花の色をイメージした黄色の帯を配し[新聞 1]、前面は房総の海の波飛沫をイメージした水玉模様としている[4][新聞 2]

座席は乗務員室から遠い箇所をセミクロスシート、近い箇所をロングシートとしている[11][3]。ただし、線路設備モニタリング装置を搭載している車両(80番台)は、機器類が設置されているため一部座席配置が異なる[10]。座席モケットのデザインは外観と同様に、房総の海をイメージした明るい青色と内陸を彩る菜の花の色を採用している[5]

車いす対応大型の洋式トイレを千葉寄りの車両(クハE130側)に設置している[11][新聞 2]

列車制御システムは2+2+2の3編成を連結した最大6両編成に対応している[13]

編成表[4]
← 千葉
安房鴨川
・鹿島サッカー
スタジアム →
   
形式 クハE130
(Tc')
クモハE131
(Mc)
搭載機器 SIV・CP VVVF
車両重量[14]
(t)
35.1(0番台)
35.7(80番台)
36.8(0番台)
37.2(80番台)

500番台(相模線用)

500番台

車両デザインは、遠くまで広がる湘南の海をイメージした濃淡2色の青色を前面・側面に配し、前面は湘南の海とダイナミックな波の水飛沫をイメージした水玉模様を採用している[15][JR 5]

車内はオールロングシート仕様で、座席表皮は相模川や湘南の海をイメージしたブルー系のツートンカラーとしている[15][JR 5]。トイレは設置されていない[15]

併結運転を考慮していないため、0・600番台に設置されている電気連結器は設けていない[16]。一部の編成のT車にはレール塗油器を設置している[16]。0番台からの変更点として、CBM対象機器の見直しと今後の機能拡張を見据えて車両情報管理装置の制御伝送化が行われている[16]

編成表[16]
← 茅ケ崎
橋本 →
   
 
形式 クハE130
(Tc')
モハE130
(M2)
サハE131
(T)
クモハE131
(Mc)
搭載機器 SIV・CP MC SIV・CP MC
車両重量[1]
(t)
33.7(500番台)
34.9(580番台)
32.4 30.0[注釈 2] 36.9(500番台)
37.8(580番台)

600番台(宇都宮・日光線用)

600番台

デザインは宇都宮市で復元された火焔太鼓山車をイメージした黄色と茶色のツートンカラーを採用し、世界文化遺産である日光の社寺に施される文様にも通じる賑やかで高級感のあるデザインとしている[15][JR 6]

車内はオールロングシート仕様で[17]、座席表皮はレトロな茶色と黄色味を帯びた薄紅色を合わせて、落ち着きと温かみのあるものとなっている[15][JR 6]。Tc'車の後端部には車いす対応大型洋式トイレ設置している[15]

寒冷地を走行するため、先頭車には雪かきと霜取りパンタ(Mc車のみ)が、全車の乗降口に凍結防止のためのドアレールヒーターが搭載されている[15][1]。また、勾配線区を走行することからセラミック噴射装置(セラミック噴射装置は中間車の小山日光寄りの台車にも搭載)とブレーキチョッパ装置、ブレーキ抵抗器を搭載している[15]

編成表[16]
← 小山・日光
宇都宮・黒磯 →
   
形式 クハE130
(Tc')
モハE131
(M1)
クモハE131
(Mc)
搭載機器 SIV・CP MC MC
車両重量[18]
(t)
36.3(600番台)
37.5(680番台)
32.3 38.1(600番台)
39.1(680番台)

1000番台(鶴見線用)

2023年7月24日にJR東日本横浜支社よりE131系の鶴見線への投入が発表された[JR 1]205系1100番台の置き換え用として投入されるもので、205系と同じく2M1Tの3両編成が投入される[JR 1]

車両デザインは、海をイメージしたスカイブルーと路線カラーのイエローの帯を配し、前面は歴代鶴見線車両の車両カラーをイメージした茶色と黄色の水玉模様を採用している[JR 1]。これまでの0・500・600番台と異なり車体幅は2778mmのストレート車体となっている[JR 1]。この理由について乗りものニュース編集部がJR東日本横浜支社に取材したところ、具体的な箇所までは言えないとしつつ「鶴見線の設備に制限があるため」と説明している[19]

車内はオールロングシート仕様で、座席表皮は外観と同様に青と黄色のツートンカラーとしている[JR 1]

番台区分については2023年7月24日の報道発表において言及されていない[JR 1]。なお、東洋電機製造が発行する「東洋電機技報」147号の交通事業部編において、同社が製造した駆動装置の納入対象として「E131系1000番台」という記述があった[20]が、現在は東洋電機技報の関連ページ全てが削除されている。先述の乗りものニュース編集部の取材に対してJR東日本横浜支社は「E131系1000番台」であると説明している[19]

配置・運用

特記ない限りは2022年(令和4年)10月1日時点での情報を示す[21][22][23]

房総・鹿島エリア

12編成24両(各2両編成)が幕張車両センターに所属している。

相模線

12編成48両(各4両編成)が国府津車両センターに所属している。

宇都宮線・日光線

15編成45両(各3両編成)が小山車両センターに所属している。

鶴見線

2023年7月24日時点では、8編成24両(各3両編成)を同年冬ごろに導入予定[JR 1]

車歴表

特記ない限りは2022年(令和4年)10月1日時点での新製情報を示す[21][22][23]

0番台・80番台

500番台・580番台

600番台・680番台

沿革

  • 2020年令和2年)
    • 5月12日:JR東日本が、房総地区および鹿島地区向けに2両編成12本の計24両を投入することを発表[JR 4]
    • 7月16日:同日付で2編成4両が落成し[24]、本線試運転を実施[7]
  • 2021年(令和3年)
    • 3月2日:外房線勝浦駅1番線ホームにて展示会を実施[JR 11]
    • 3月3日:内房線館山駅1番線ホームにて展示会を実施[JR 11]
    • 3月6日:鹿島線潮来駅2番線ホームにて展示会を実施[JR 11]
    • 3月13日:同日のダイヤ改正より、内房線(木更津駅 - 安房鴨川駅間)、外房線(上総一ノ宮駅 - 安房鴨川駅間)、成田線(成田駅 - 香取駅間)、鹿島線(香取駅 - 鹿島神宮駅間)へ投入[JR 2][JR 3]
    • 6月17日:JR東日本が、相模線向けに4両編成12本の計48両[JR 5]、東北本線(宇都宮線)・日光線向けに3両編成15本の計45両を投入することを合わせて発表[JR 6]
    • 11月18日:相模線(茅ケ崎駅 - 橋本駅間)と横浜線(橋本駅 - 八王子駅間)で運行開始[JR 5][JR 7]
  • 2022年(令和4年)
    • 3月11日:横浜線(橋本駅 - 八王子駅間)への直通運転を終了[JR 9][JR 10]
    • 3月12日東北本線(宇都宮線・小山駅 - 黒磯駅間)と日光線(宇都宮駅 - 日光駅間)で運行を開始[JR 6][JR 8]。相模線(茅ケ崎駅 - 橋本駅間)、成田線(成田駅 - 佐原駅間)でワンマン運転を開始[JR 9][JR 10][JR 12]
  • 2023年(令和5年)
    • 7月24日:JR東日本が、鶴見線向けに3両編成8本の計24両を投入することを発表[JR 1]
    • 冬頃:鶴見線で運行開始予定。

脚注

注釈

  1. ^ レール塗油器付きは133.1 t[1]
  2. ^ レール塗油器付きは30.1 t[1]
  3. ^ a b 日中時間帯を中心に、両線区で直通運転を実施。
  4. ^ 成田駅 - 佐原駅間では一部列車のみ使用。
  5. ^ 横浜線の橋本駅 - 八王子駅間にも乗り入れていたが、2022年3月のダイヤ改正で乗り入れを取り止めた[JR 9][JR 10]
  6. ^ 小山駅 - 宇都宮駅間は、一部の下り列車のみワンマン運転を実施[JR 9][JR 8]

出典

  1. ^ a b c d 『鉄道ファン』通巻728号、p.52
  2. ^ a b c 『鉄道ファン』通巻721号、p.52
  3. ^ a b c JR東の新顔E131系、地域密着「標準車」の将来性 先輩車両の知見「いいとこ取り」今後の展開注目”. 東洋経済オンライン. 東洋経済新報社 (2021年2月20日). 2021年2月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年3月16日閲覧。
  4. ^ a b c d 『鉄道ファン』通巻721号、p.53
  5. ^ a b c d e f g h 『鉄道ファン』通巻721号、p.54
  6. ^ a b c d e 『鉄道ファン』通巻721号、p.57
  7. ^ a b E131系が登場”. 鉄道ファン・railf.jp 鉄道ニュース. 交友社 (2020年7月17日). 2020年7月17日閲覧。
  8. ^ JR東日本相模線用E131系電車登場! 区分は「500番台」 信越本線で試運転”. 乗りものニュース (2021年7月12日). 2021年8月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年8月9日閲覧。
  9. ^ JR東日本 宇都宮線・日光線向けE131系電車登場! 区分は「600番台」 3両で試運転”. 乗りものニュース (2021年8月5日). 2021年8月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年8月9日閲覧。
  10. ^ a b c d 『鉄道ファン』通巻721号、p.56
  11. ^ a b c d e f g h i j 『鉄道ファン』通巻721号、p.55
  12. ^ a b 『SUBWAY』通巻230号、p.44
  13. ^ 「E131系0代一般形直流電車の概要」『R&m』一般社団法人日本鉄道車両機械技術協会、2021年6月1日、32頁。 
  14. ^ 『鉄道ファン』通巻721号、p.58
  15. ^ a b c d e f g h 『鉄道ファン』通巻728号、p.51
  16. ^ a b c d e 『鉄道ファン』通巻728号、p.50
  17. ^ 『鉄道ファン』通巻726号、p.49
  18. ^ 『鉄道ファン』通巻728号、p.53
  19. ^ a b 鶴見線の新型車両に違和感 「車体幅が狭い」ワケは? 実はけっこう独自仕様 JR東日本に聞く”. 乗りものニュース (2023年7月24日). 2023年7月27日閲覧。
  20. ^ 総集編 交通事業部編”. 東洋電機技報. 2023年5月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年7月18日閲覧。
  21. ^ a b c d 『JR電車編成表』2023冬 p.51
  22. ^ a b c 『JR電車編成表』2023冬 p.62
  23. ^ a b c d 『JR電車編成表』2023冬 p.91
  24. ^ a b 『鉄道ファン』通巻723号 別冊付録、p.33
  25. ^ a b c d 『鉄道ファン』通巻735号 別冊付録、p.33

JR東日本

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 鶴見線への新型車両投入について』(PDF)(プレスリリース)東日本旅客鉄道横浜支社、2023年7月24日。 オリジナルの2023年7月24日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20230724072003/https://www.jreast.co.jp/press/2023/yokohama/20230724_y2.pdf2023年7月24日閲覧 
  2. ^ a b c 2021年3月ダイヤ改正について』(PDF)(プレスリリース)東日本旅客鉄道、2020年12月18日。 オリジナルの2020年12月18日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20201218071035/https://www.jreast.co.jp/press/2020/20201218_ho01.pdf2021年3月16日閲覧 
  3. ^ a b c 2021年3月ダイヤ改正について』(PDF)(プレスリリース)東日本旅客鉄道千葉支社、2020年12月18日。 オリジナルの2020年12月18日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20201218080057/https://www.jreast.co.jp/press/2020/chiba/20201218_c01.pdf2020年12月24日閲覧 
  4. ^ a b c d 房総・鹿島エリアへの新型車両の投入について』(PDF)(プレスリリース)東日本旅客鉄道、2020年5月12日。 オリジナルの2020年5月12日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20200512084545/https://www.jreast.co.jp/press/2020/20200512_ho01.pdf2020年6月9日閲覧 
  5. ^ a b c d e 相模線への新型車両の投入について』(PDF)(プレスリリース)東日本旅客鉄道横浜支社、2021年6月17日。 オリジナルの2021年6月17日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20210617081344/https://www.jreast.co.jp/press/2021/yokohama/20210617_y1.pdf2021年6月17日閲覧 
  6. ^ a b c d e 宇都宮線・日光線に新型車両を投入します』(PDF)(プレスリリース)東日本旅客鉄道大宮支社、2021年6月17日。 オリジナルの2021年6月17日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20210617081308/https://www.jreast.co.jp/press/2021/omiya/20210617_o05.pdf2021年6月17日閲覧 
  7. ^ a b 相模線E131系営業運転開始について』(PDF)(プレスリリース)東日本旅客鉄道横浜支社、2021年9月17日。 オリジナルの2021年9月17日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20210917084401/https://www.jreast.co.jp/press/2021/yokohama/20210917_y1.pdf2021年9月17日閲覧 
  8. ^ a b c 2022年3月ダイヤ改正について』(PDF)(プレスリリース)東日本旅客鉄道大宮支社、2021年12月17日、4頁。 オリジナルの2021年12月17日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20211217064108/https://www.jreast.co.jp/press/2021/omiya/20211217_o01.pdf2021年12月17日閲覧 
  9. ^ a b c d 2022年3月ダイヤ改正について』(PDF)(プレスリリース)東日本旅客鉄道、2021年12月17日。 オリジナルの2021年12月17日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20211217063109/https://www.jreast.co.jp/press/2021/20211217_ho01.pdf2021年12月17日閲覧 
  10. ^ a b c 2022年3月ダイヤ改正について』(PDF)(プレスリリース)東日本旅客鉄道横浜支社、2021年12月17日。 オリジナルの2021年12月17日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20211217064059/https://www.jreast.co.jp/press/2021/yokohama/20211217_y01.pdf2021年12月17日閲覧 
  11. ^ a b c 新型車両「E131系」の展示会を開催します!』(PDF)(プレスリリース)東日本旅客鉄道千葉支社、2021年2月18日。 オリジナルの2021年2月22日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20210222151657/https://www.jreast.co.jp/press/2020/chiba/20210218_c01.pdf2021年3月27日閲覧 
  12. ^ 2022年3月ダイヤ改正について』(PDF)(プレスリリース)東日本旅客鉄道千葉支社、2021年12月17日。 オリジナルの2021年12月17日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20211217064301/https://www.jreast.co.jp/press/2021/chiba/20211217_c01.pdf2021年12月17日閲覧 

新聞記事

参考文献

  • 横山啓之、石井冬貴(東日本旅客鉄道鉄道事業本部運輸車両部車両技術センター)「E131系一般形直流電車」『鉄道ファン』第61巻第5号(通巻721号)、交友社、2021年5月1日、52 - 58頁、OCLC 61102288 
  • 編集部「別冊付録『JR旅客会社の車両配置表2021/JR車両のデータバンク2020-2021』」『鉄道ファン』第61巻第7号(通巻723号)、交友社、2021年7月1日、32 - 39頁、OCLC 61102288 
  • 横山啓之、石井冬貴(東日本旅客鉄道鉄道事業本部運輸車両部車両技術センター)「JR東日本 E131系一般形直流電車の概要」(PDF)『SUBWAY(日本地下鉄協会報)』第230号、日本地下鉄協会、2021年8月27日、40 - 46頁、ISSN 0289-5668オリジナルの2021年10月15日時点におけるアーカイブ。 
  • 編集部「新車速報 E131系500・600番台」『鉄道ファン』第61巻第10号(通巻726号)、交友社、2021年10月1日、48 - 49頁、OCLC 61102288 
  • 横山啓之、石井冬貴、吉田勝博(東日本旅客鉄道鉄道事業本部運輸車両部車両技術センター)「E131系500・600番台一般形直流電車」『鉄道ファン』第61巻第12号(通巻728号)、交友社、2021年12月1日、49 - 55頁、OCLC 61102288 
  • 編集部「別冊付録『JR旅客会社の車両配置表2022/JR車両のデータバンク2021-2022』」『鉄道ファン』第62巻第7号(通巻735号)、交友社、2022年7月1日、32 - 40頁、OCLC 61102288 
  • ジェー・アール・アール編『JR電車編成表』 2023冬、交通新聞社、2022年11月21日。ISBN 978-4-330-06722-3 

関連項目

外部リンク