人工衛星
人工衛星(じんこうえいせい、英: artificial satellite)とは、惑星、主に地球の軌道上に存在し、具体的な目的を持つ人工天体。目的を持たない使用済みロケットや人工衛星の破片などはスペースデブリとして区別される。また、惑星以外の軌道(月周回軌道、太陽周回軌道)を周回する人工天体は宇宙探査機と呼ばれ、一般に区別される。
有人宇宙船や宇宙ステーション、スペースシャトルも人工衛星に含まれ、アメリカ航空宇宙局等の人工衛星軌道データに掲載もされるが、これらについて触れる際には人工衛星とは呼ばれないのが一般的である。
人類初の人工衛星は、1957年にソビエト連邦が打ち上げたスプートニク1号である。21世紀初頭までに、数千もの人工衛星が地球周回軌道に打ち上げられた。衛星自体は50カ国以上が保有しているが、衛星の打ち上げ能力は10カ国しか保有していない。
人工衛星の用途は多岐にわたり、一般的なものは、軍事衛星、通信衛星、地球観測衛星、航行衛星、気象衛星、科学衛星などである。詳細はそれぞれの項目を参照。
人工衛星は地球を周回する軌道にあるものが大部分であるが、惑星探査目的で火星や土星などの他の惑星の軌道上にも観測機がいくつか到達しており、各惑星の人工衛星となっている。これらは惑星の観測を行ったり、火星探査機などのように他惑星の表面に着陸した宇宙探査機からの各種観測データを地球まで中継送信している。
歴史
構想
人工衛星がフィクション内で初めて描かれたのはエドワード・エヴァレット・ヘイルの短編小説、『レンガの月』である。この話はThe Atlantic Monthly にて1869年からシリーズ化された[1][2]。この概念が次に登場したのは1879年、ジュール・ヴェルヌの『インド王妃の遺産』である。
1903年、コンスタンチン・ツィオルコフスキーは「反作用利用装置による宇宙探検」(ロシア語: Исследование мировых пространств реактивными приборами)を出版。これは宇宙船を打ち上げるためのロケット工学に関する最初の学術論文だった。ツィオルコフスキーは地球の回る最小の軌道に求められる軌道速度を8km/sと計算し、液体燃料を使用した多段式ロケットならば達成可能であることを示した。また、彼は液体水素と液体酸素の使用を提案した。
1928年、スロベニアのヘルマン・ポトチェニクがThe Problem of Space Travel — The Rocket Motor(ドイツ語: Das Problem der Befahrung des Weltraums — der Raketen-Motor)を出版し、宇宙旅行と人間の永続的滞在性について述べた。彼は宇宙ステーションを発想し、ステーションの静止軌道計算を行った。彼はまた、人工衛星が平和的・軍事的に地上の観測に使用できることを詳細に記述し、宇宙空間の特殊な状態が科学実験に有意であることや、静止衛星を通信などに利用できることについても述べた。
1945年、アーサー・C・クラークは雑誌ワイヤレス・ワールド上で、通信衛星を用いたマスコミュニケーションの可能を詳細に記述した[3]。また、クラークは人工衛星打ち上げの計画、可能な衛星軌道などについても調査し、3機の静止軌道衛星で地球全体をカバーすることを提案した。
人工衛星の誕生
第二次世界大戦中に開発されたドイツのV2ロケットの技術とその技術者たちによって、アメリカとソ連のロケット技術は急速な進歩を成し遂げ、人工衛星が現実のものとなりつつあった。
アメリカ合衆国は、1945年より海軍航空局の下、人工衛星の打ち上げを検討してきた。1946年5月に米空軍のランド研究所が提出した報告書、「実験周回宇宙船の予備設計」(Preliminary Design of a Experimental World-Circling Spaceship )には「適当な装置を搭載した人工衛星は20世紀の最も強力な科学ツールの一つになりうる」と述べられており[4]、人工衛星が軍事的重要性を持つとは思っておらず、むしろ科学的、政治的、プロパガンダ的なものと当時見なしていた。アメリカ国防長官は1954年「私は国内の人工衛星計画を知らない」(I know of no American satellite program)と述べた[5]。
1955年7月29日、ホワイトハウスは1958年の春までに人工衛星を打ち上げると発表した。これはヴァンガード計画として知られるようになる。同年7月31日、ソ連は1957年の秋までに人工衛星を打ち上げると発表した。
セルゲイ・コロリョフと助手のケリム・ケリモフが率いるソ連のスプートニク計画が始まり、1957年10月4日初の人工衛星「スプートニク1号」が打ち上げられた[6]。スプートニク1号はその軌道変化を分析することによって大気上層の密度の確認に役立ち、電離層の無線信号外乱のデータを提供した。衛星の機体は加圧された窒素で満たされており、地球に送信された温度データから隕石が機体表面を貫通し、内圧が低下したことがわかった。これは初の流星物質の探知であった。
この突然の成功がアメリカ合衆国にスプートニク・ショックを引き起こし、その後のアメリカとソ連の熾烈な宇宙開発競争に繋がっていった。
スプートニク1号から3年半が経過した1961年6月、米空軍は米国宇宙監視ネットワークのリソースを利用し、115の人工衛星の目録を作成した[7]。
宇宙監視網
米国宇宙監視ネットワーク (SNN) は1957年より宇宙天体を追跡しており、2008年現在8,000以上の人工天体を追跡している。軌道上に存在する人工物は数トンの人工衛星から5キログラムのロケットの部品まで様々である。これらの7パーセントは運用中の人工衛星であり、それ以外は全てスペースデブリである[8]。
SNNは直径10センチ以上の物体を追跡している。アメリカ戦略軍は主に活動中の衛星に関心を持つが、ミサイルの接近と誤認しないように再突入するであろうスペースデブリも追跡している。
非軍事衛星業務
非軍事的な人工衛星の業務は基本的に3種類存在する[9]。
固定衛星サービス
固定サービス衛星は国や大陸をはさんで、特定の地点間の何千億もの音声、動画、データ通信タスクを処理している。
モバイル衛星システム
モバイル衛星システムは辺境にある自動車や船舶、飛行機、人々にナビゲーションシステムとして利用されることだけでなく、世界の違う場所にいる、もしくは他のモバイル・固定通信装置と通信することに使用される。
科学観測衛星(営利・非営利)
科学観測衛星は気象情報や地上情報、といった地球科学的、海洋学的、大気学的調査に利用される。
人工衛星の分類
目的による分類
- 軍事衛星は軍事目的の衛星。今までに最も多く打ち上げられた衛星。
- 通信衛星は電気通信を目的とする衛星。21世紀初頭の通信衛星は一般的に対地同期軌道、モルニア軌道、低軌道を利用する。
- 放送衛星は地上の放送局から発信された電波を各家庭のアンテナまで中継する衛星。
- 科学衛星は地球、惑星、太陽などの天体や宇宙線、電離層といった宇宙空間の科学観測を目的とする衛星。
- 地球観測衛星は環境モニタリングや気象学、地図学といった非軍事的な地球上の観測を目的とした人工衛星。気象衛星や、海洋観測衛星はここに分類される。地球観測システムを参照。
- 生物衛星は宇宙生物学的目的で生物をのせた衛星。科学衛星には分類されない。
- 航行衛星は地上の携帯型受信機が現在の正確な場所を判明できるように無線報時信号を送信する衛星。リアルタイムで誤差数メートルの衛星ナビゲーションシステムを可能とした。GPS衛星。
それ以外の分類
- 小型衛星は小型・軽量の人工衛星[10]。アマチュア衛星、ピギーバック衛星、CubeSatなどはほとんどがここに分類される。新しい分類法ではミニ衛星(500-100kg)、マイクロ衛星(100-10kg)、ナノ衛星(10kg以下)とさらに分けられる[11]。
- 宇宙ステーションは宇宙空間に人間が生存できるよう設計された構造物。推進・着陸装置が無いという点で他の有人宇宙船とは区別される。
- 原子力衛星は原子力を動力源とする衛星。宇宙開発初期に、米ソによって複数打ち上げられたが、現在は打ち上げられていない。コスモス954号は実際にカナダに落下した。
- テザー衛星はテザーと呼ばれる細いケーブルで他の衛星と繋がれた衛星。
構想
- 太陽光発電衛星は軌道上で太陽光発電を行い電力をマイクロ波などで地上に送る衛星。宇宙太陽光発電を参照。
- 掃除衛星はデブリを除去する目的の衛星。2020年度を目途にJAXAが開発に乗り出した[12]。名称も暫定的なものである。
軌道の種類
世界初の人工衛星スプートニク1号は地球周回軌道に打ち上げられた。現在、この種類の軌道が最も一般的なので、軌道名に地球を省略することが多い。地球周回軌道はさらに、高度、軌道傾斜角、軌道離心率によって分類される。
中心による分類
- 銀河周回軌道: 銀河の中心を周回する軌道。地球の太陽は銀河系の銀河核を周回していので、この軌道に分類される。
- 太陽周回軌道: 太陽の周りを周回する軌道。太陽系では全ての惑星、準惑星、彗星、小惑星はこの軌道に属する。人工衛星がこの軌道に入ると人工惑星とも呼ばれる。
- 地球周回軌道: 月のように地球の周りを周回する軌道。2006年時点で、およそ2465機の人工衛星がこの軌道に存在する。
- 月周回軌道: 地球の自然衛星である月を周回する軌道。月探査機を参照。月(平均高度384,403 km、楕円-傾斜軌道)を回りながら地球も回る。
- 火星周回軌道: 火星の衛星のように火星の回りを周回する軌道。
高度による分類
- 低軌道 (LEO): 高度2,000km以下の地球周回軌道。国際宇宙ステーションなどはこの軌道に存在する。
- 中軌道 (MEO): 高度2,000kmから地球同期軌道(35,786km)までの地球周回軌道。
- 高軌道 (HEO): 地球同期軌道より外の地球周回軌道。
軌道傾斜角による分類
- 傾斜軌道: 衛星の軌道傾斜角が惑星の赤道に対して傾いている軌道。
- 順行軌道: 軌道傾斜角が90°以下の軌道。惑星の自転と同方向に周回する。
- 逆行軌道: 軌道傾斜角が90°以上の軌道。惑星の自転方向とは逆向きに周回する。太陽同期軌道は別にして、燃料の問題で逆行軌道に投入される衛星はほとんど無い。なぜなら、地球からロケットを打ち上げる際、飛翔体はすでに射場の緯度と同じ自転速度分を得ているからである。
離心率による分類
- 円軌道: 軌道離心率が0で、円の形をした軌道。
- 楕円軌道: 軌道離心率が0より大きく1より小さい軌道。楕円を描く。
- 静止トランスファ軌道: 近地点が低軌道上で、遠地点が静止軌道上にある楕円軌道。
- モルニア軌道: 軌道傾斜角が63.4°で、公転周期が恒星時の半分である楕円軌道。
- ツンドラ軌道: 軌道傾斜角が63.4°で、公転周期が恒星時と同じである楕円軌道。
- 双曲線軌道: 1以上の離心率を持つ軌道。宇宙速度以上の速度を持ち、天体の引力を振り切る。
- 放物線軌道: 離心率が1である軌道。宇宙速度と同じ速度を持ち、地球の引力を振り切る。速度が増加すれば双曲線軌道になる。
周期性による分類
- 回帰軌道: 1日のうちに惑星を何度か周回し、1日後の同じ時刻に元の地表面上空に戻る軌道。惑星の自転周期が衛星の公転周期の整数倍になっている。
- 準回帰軌道: 1日のうちに地球を何度か周回し、その日のうちには戻らないが、定数日後に元の地表面上空に戻る軌道。
- 太陽同期軌道: 人工衛星の軌道面と太陽光線との角度が常に一定の角度であるような軌道。太陽光が常に利用でき、地表に対して常に太陽光線の角度が一定なので、地球観測衛星に用いられている。
擬似軌道
- 馬蹄形軌道: 地上の観測者から見ると、観測者のいる惑星の周りを周回しているように見えるが、実際には観測物体は惑星と共有軌道となっている軌道。クルースンや2002 AA29を参照。
- エクソ軌道: 軌道に到達する予定であったが、速度不足のため落下する軌道。弾道飛行の類義語。
- ホーマン遷移軌道 (LTO): 推進装置を二回使用して円軌道から他の円軌道に移る軌道。ヴァルター・ホーマンに因んで命名された。
- ハロー軌道/リサージュ軌道: ラグランジュ点の周りを回る軌道。
人工衛星の構成
人工衛星のシステムは「衛星系」と「地上支援系」により構成され[14]、この二つの間でアップリンクとダウンリンクが行われる。衛星系は、その衛星特有のミッションを遂行するための「ミッション機器」と電力、通信、姿勢制御などの基本的な機能に必要な「バス機器」から構成される。また、地上支援系は人工衛星を追跡し、データを取得して運用・管制を行うための機器からなる[15]。
衛星バス部
TTC系
TTCとはテレメトリ(衛星の動作状況を地上に送信)・トラッキング(軌道測定用信号の送受信)・コマンド(機器の電源のオンオフ、モード切替などの動作指令)機能のことである。しかし近年はコマンドは搭載された計算機により自動送信される場合が増えており、TTC系をC&DH系(コマンド・データハンドリング系)と呼ぶようになっている[15]。
電源系
- 太陽電池、バッテリー、シャント装置、電力制御機からなる。太陽電池は機体の表面、または太陽電池パドルに装着される。
- かつては小型原子炉が人工衛星にも使われたことがあるが、現在はほぼ太陽電池が使用される。また太陽電池を装備せず、バッテリのみの衛星も存在する。
- 宇宙探査機では太陽電池が使えない事があるが、その場合は原子力電池など代替の電源を用意する。
姿勢制御系
人工衛星は、地球重力場のひずみ、月・太陽の引力、太陽風や希薄な空気分子など、地球の引力以外の微小な力を受け徐々に姿勢が変動する。姿勢安定には大きく分けて「スピン姿勢安定方式」と「三軸姿勢安定方式」があり、前者は構成が簡潔で、特殊な機器を必要としないため、宇宙開発の初期に多用されたが、形状が円筒形に限定され、太陽電池が円筒の表面にしか貼ることができない。後者は姿勢方向が自由に選択でき、縦型の大きな太陽電池パドルを取り付けられるなどの長所があるが、熱制御が複雑になるなどの短所もある[15]。
推進系
- 計画した軌道に衛星を投入しても、放置しておくと地球の重力異常や、太陽風による擾乱のために、徐々に軌道が変わっていく。そのため、スラスターを稼働させ、軌道制御を行う。
- 偵察衛星の場合、偵察のために必要な軌道変更を行うためにも使われる。
- 静止衛星の場合、静止トランスファー軌道から静止軌道に軌道変更するためのアポジ・モーターを搭載するが、それも推進系を構成する。
- 静止衛星が寿命を全うし、残骸が貴重な静止軌道を占有することがないよう、最後に軌道高度を上昇させるためにも使用する。周回衛星が、地球に落下するとき、安全な突入軌道にするためにも使用できる。
構体系
衛星は打上げ時、分離時に大きな荷重・振動・衝撃を受ける。よって搭載機器への負担を軽減するように機体を設計する必要がある。中央円筒型、パネル支持型、トラス型などの構造があり、これらの複合により構成されることもある。材料としては強度が必要な箇所にはステンレス材、チタンなどが使用される[15]。
熱制御系
衛星は宇宙空間にて高温から低温の過酷な環境に晒される。また、真空である宇宙空間では輻射による廃熱しかない。そのため、搭載した機器が良好に動作するためには、動作温度に収まるよう上手く設計する必要がある。実際のハードウェアとしては、次のような手段を駆使して実現する。
- サーマルブランケット - 断熱材のこと。熱の出入りを抑える。
- ヒートパイプ - 熱源からの過剰な放熱をラジエータまで伝達する。
- ラジエータ - 熱放射器のこと。
- ヒーター - 過剰に冷却されないよう機器を暖める。
静止衛星では、夏至、冬至、春秋分の条件下で、太陽光の当たり具合や、地球からの輻射を考慮しながら、有限要素化した衛星の構造モデルを用いて設計解析する。
ミッション部
観測機器
ミッションを実現するための観測機器。詳細はそれぞれの人工衛星の項目を参照。
トランスポンダ
トランスポンダは通信・放送衛星の場合搭載される機器。地上から発射された電波を受信し、周波数変換し、大電力増幅して再び地上に送出するための送受信機。
アンテナ系
アンテナは電波の出入り口で、放送・通信ミッションやレーダー観測衛星で重要な役割を果たす。
地上管制系
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衛星の廃棄
人工衛星の任務が終了に近づくと、衛星を現在の軌道から離脱するのか、そのままにしておくのか、墓場軌道まで動かすのかという選択肢がある。初期の人工衛星は予算的な都合によって軌道変更のための機能を持つことはほとんど無かった。たとえば、1958年に打ち上げられたヴァンガード1号は4番目に軌道に投入された衛星であるが、2009年8月現在も軌道上に存在し、最も長く軌道上に存在する衛星となっている[16]。
現在、気象衛星をふくめ、静止軌道上の衛星は姿勢・軌道制御を行うためにスラスターを搭載している。スラスターの燃料が切れると衛星は静止軌道を保てなくなるため、寿命末期には静止軌道からさらに高度の軌道(墓場軌道)に上昇させ、停波・廃棄する。しかし、中には何らかの理由により軌道離脱ができず、スペースデブリと化す衛星もある[17]。
打ち上げ能力を有する国
このリストは、自国の打ち上げ機で人工衛星を軌道上に到達させる能力を有したことがある国のリストである。多くの国は人工衛星を設計・製造する能力を有するが、自国で打ち上げることができる国は、2012年4月時点で太字で示した8カ国(ロシア、ウクライナ、アメリカ、日本、中国、インド、イスラエル、イラン)と1機関(欧州宇宙機関(ESA))のみであり、大多数の国々はこれら少数の国と機関に打ち上げ業務を依存することになる。
順位 | 国 | 年 | ロケット | 人工衛星 | 重量 (kg) |
---|---|---|---|---|---|
1 | ソビエト連邦 | 1957 | スプートニク-PS | スプートニク1号 | 83.6 |
2 | アメリカ | 1958 | ジュノーI | エクスプローラー1号 | 13.7 |
3 | フランス | 1965 | ディアマン | アステリックス | 42 |
4 | 日本 | 1970 | ラムダ-4S | おおすみ | 23. 8 |
5 | 中国 | 1970 | 長征1号 | 東方紅1号 | 173 |
6 | イギリス | 1971 | ブラック・アロー | プロスペロ | 65.8 |
- | 欧州宇宙機関 | 1979 | アリアン1 | CAT-1 | 1,602 |
7 | インド | 1980 | SLV | ロヒニ | 35 |
8 | イスラエル | 1988 | シャヴィト | オフェク1号 | 155 |
- | ロシア | 1992 | ソユーズ-U | コスモス2175号 | 6,600 |
- | ウクライナ | 1992 | ツィクロン3 | ストレラ(x3, ロシア製) | ? |
9 | イラン | 2009 | サフィール-2 | オミド | 27 |
- 注釈
- ロシアとウクライナは過去においてソ連の一部であり、この二カ国は衛星打ち上げ能力をソ連からそのまま引き継いでいるため順位に含めていない。
- フランスとイギリスは当初は単独で打ち上げを行っていたが、現在は欧州宇宙機関を結成して打ち上げを行っている。また両国の最初の衛星の打ち上げは、海外の領土にある自国の打ち上げ施設から行われた。
- 北朝鮮とイラクはそれぞれ1998年と1989年に最初の人工衛星の打ち上げに成功したと主張しているが軌道上に衛星が確認されていない。また北朝鮮は2009年4月にも衛星を打ち上げたと主張しているが、アメリカ合衆国と韓国の防衛当局者と軍事専門家は後に、衛星の軌道到達に失敗したと報告した[18][19]。アメリカ、日本、韓国は弾道ミサイルの発射実験だったのではないかと考えている。
- 南アフリカ共和国、スペイン、イタリア、ドイツ、カナダ、オーストラリア、アルゼンチン、エジプトといった国やOTRAGのような私企業がそれぞれの打ち上げロケットの開発を行っているが、衛星の打ち上げには成功していない。
- 韓国、北朝鮮、ブラジル、パキスタン、ルーマニア、台湾、インドネシア、カザフスタン、オーストラリア、マレーシア、トルコなどの国は独自の打ち上げ能力を開発中である。韓国はロシアの協力の下、2009年と2010年に人工衛星の打ち上げを試みたが、いずれも失敗している。
民間団体による打ち上げ能力
- オービタル・サイエンシズはトーラスロケットを用いた打ち上げを行っている。
- 2008年9月28日、民間航空会社スペースXはファルコン1ロケットの軌道への打ち上げに成功した。これは民間が建造した液体燃料ブースターが軌道に到達した初めてのことである[20]。ロケットは長さ1.5mの模型を軌道へ打ち上げた。このRatsatと呼ばれるダミー衛星は5年から10年で大気圏で燃え尽きる[20]。そのほかにも、数は少ないがいくつかの民間会社が弾道飛行可能なロケットを開発している。
- アリアンスペースや三菱重工業などは宇宙機関から業務移管されて人工衛星の打ち上げを行っている。
国別の初人工衛星
カナダは人工衛星を作製した3番目の国であるが[27]、打ち上げはアメリカの射場でアメリカのロケットにより行われた。オーストラリアは、アメリカから寄贈されたレッドストーンとアメリカのサポートチームによりWRESATを打ち上げた[28]。イタリアはNASAの訓練を受けたイタリア人チームとともにアメリカのワロップス島からスカウトロケットを使用して打ち上げた[29]。
計画中
- アゼルバイジャンは現在、アゼルスペースを開発中である。2011年に打ち上げ予定[30]。
- バングラデシュは2011年までに人工衛星を打ち上げると2009年に発表した[31]。
- クロアチアは2013年から2014年の間に人工衛星を製作する予定[32]。
- スリランカは2機の衛星を作製する予定[33][34]。
- ペルーは国立工科大学と人工衛星、チャスキー1号を開発中。このナノ衛星は2010年までに打ち上げられる予定で、設計寿命は60日。
衛星への攻撃
21世紀初頭では、衛星は軍事組織によってプロパガンダ目的や軍事ネットワークから機密情報を盗むため、ハッキングを受けている[35][36]。
低軌道上の人工衛星は地球からの弾道ミサイルによって破壊可能である。ロシア、アメリカ、中国は衛星破壊の実験を行ったことがある[37]。2007年、中国は自国の気象衛星風雲一号Cを破壊し[37]、2008年2月、アメリカ海軍は自国の偵察衛星USA-193を破壊させている[38]。
人工衛星サービス
参考文献
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関連項目
外部リンク
- J-Track 3D - 現在活動中の人工衛星の軌道を3D表示するサイト(NASA)
- Satellite Ground Tracks - リアルタイム衛星地上追跡
- UCS Satellite Database - 現在活動中の人工衛星。更新が早い。
- Current and Historical Launch Calendar - 打ち上げのカレンダー。