ツィクロン
ツィクロン(Циклон, ラテン文字転写の例:Tsiklon)はソビエト連邦・ウクライナ共和国で開発された使い捨てロケット。本項目ではツィクロンとその派生型を記す。
目次 |
ツィクロンシリーズ [編集]
ツィクロンには派生型としてツィクロン-2とツィクロン-3があり、アメリカ国防総省によってそれぞれSL-11とSL-14として知られている[1]。
2段式のツィクロン-2は1969年8月6日にカザフスタンのバイコヌール宇宙基地から初号機が打ち上げられ、2006年に退役した。再着火可能な3段を特徴とするツィクロン-3は1977年1月24日にプレセツク宇宙基地から初号機が打ち上げられ、2009年1月30日のコロナス・フォトン衛星の打ち上げを持って退役した[2]。ツィクロン-4は開発中で2012年に初めての打ち上げを予定している。
打ち上げ実績 [編集]
| Р-36-O | ツィクロン (ツィクロン-2A) |
ツィクロン-2 | ツィクロン-3 | ツィクロン-4 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 段数 | 2 | 2 | 2 | 3 | 3 |
| 打ち上げ回数 | 24 | 8 | 106 | 122 | |
| 成功 | 16 | 6 | 105 | 114 | |
| 失敗 | 7 | 1 | 1 | 5 | |
| 部分的失敗 | 1 | 1 | 3 | ||
| 成功率 | 66,67% | 75% | 99,06% | 93,44% | |
| 初打ち上げ | 1965年12月16日 | 1967年10月27日 | 1969年8月6日 | 1977年6月24日 | |
| 最終打ち上げ | 1971年8月8日 | 1969年1月25日 | 2006年6月25日 | 2009年1月30日 | |
| 現在の状態 | 退役 | 退役 | 退役 | 退役 | 開発中 |
ツィクロン [編集]
| 機能 | 中型ロケット |
|---|---|
| 製造 | ユージュマシュ |
| 開発国 | ソビエト連邦 |
| 大きさ | |
| 全高 | 39.7 m (130.2 ft) |
| 直径 | 3 m (9.8 ft) |
| 重量 | 182,000 kg (401,000 lb) |
| 段数 | 2 |
| 積載量 | |
| LEOへのペイロード | 3,000 kg (6,600 lb) |
| 打ち上げ実績 | |
| 状態 | 退役 |
| 射場 | バイコヌール宇宙基地 LC-90射場 |
| 総打ち上げ回数 | 8回 |
| 成功 | 7回 |
| 失敗 | 1回 |
| 初打ち上げ | 1967年10月27日 |
| 最終打ち上げ | 1969年1月25日 |
| 特筆すべきペイロード | IS-A/IS-P RORSAT |
| 第一 段 - 8S671 | |
| エンジン | 1基のRD-251 |
| 推力 | 2,640 kN (593,4090 lbf) |
| 比推力 | 301秒 |
| 燃焼時間 | 120秒 |
| 燃料 | 硝酸/UDMH |
| 第二 段 - 8S672 | |
| エンジン | 1基のRD-252 |
| 推力 | 940 kN (211,410 lbf) |
| 比推力 | 317秒 |
| 燃焼時間 | 160秒 |
| 燃料 | 硝酸/UDMH |
GRAUインデックスは11K67で、サイクロン (Cyclone) とも呼ばれる。主にコスモス衛星を低軌道へ打ち上げる用途に使用されていた。ツィクロン-2Aとして表記される場合があるが、後に生産されたツィクロン-2とは別の機種である。
ツィクロンミハイル・ヤンゲリによって設計されたR-36 ICBM(NATOの表記ではSS-9、Scarp)を基にしており、1967年10月27日に最初の打ち上げが行われた。打ち上げは全てバイコヌール宇宙基地のLC-90射場で行われ、8機のうち7機が成功して1機が失敗した。初期型のツィクロンは1969年に退役し、以降は改良派生型のツィクロン-2やツィクロン-3が使用された。
ツィクロンはユージュノエ設計局が設計してユージュマシュが生産した(両方ともウクライナ共和国のドニプロペトロウシクにある)。制御装置はウクライナ共和国のハルキウにあるNPO "Electropribor"[3]によって設計された。
ツィクロン2 [編集]
ツィクロン-2 |
|
| 機能 | 衛星打ち上げ用ロケット |
|---|---|
| 製造 | ユージュマシュ |
| 開発国 | ソビエト連邦 (ウクライナ) |
| 大きさ | |
| 全高 | 39.7 m (130.2 ft) |
| 直径 | 3 m (9.8 ft) |
| 重量 | 182,000 kg (401,000 lb) |
| 段数 | 3段 |
| 積載量 | |
| LEOへのペイロード | 2,820 kg (6,210 lb) |
| 関連するロケット | |
| シリーズ | R-36, ツィクロン |
| 競合機 | デルタ II |
| 打ち上げ実績 | |
| 状態 | 退役 |
| 射場 | バイコヌール宇宙基地 LC-90射場 |
| 総打ち上げ回数 | 106回 |
| 成功 | 105回 |
| 失敗 | 1回 |
| 初打ち上げ | 1969年8月6日 |
| 最終打ち上げ | 2006年6月24日 |
| 特筆すべきペイロード | IS-A/IS-P RORSAT EORSAT |
| 1 段 - 11S681 | |
| エンジン | RD-2511基 |
| 推力 | 2,640 kN (593,4090 lbf) |
| 比推力 | 301 秒 |
| 燃焼時間 | 120 秒 |
| 燃料 | N2O4/UDMH |
| 2 段 - 11S682 | |
| エンジン | 1 RD-252 |
| 推力 | 940 kN (211,410 lbf) |
| 比推力 | 317 秒 |
| 燃焼時間 | 160 秒 |
| 燃料 | N2O4/UDMH |
| 3 段 | |
| エンジン | 1 RD-861 |
| 推力 | 77.96 kN (17,526 lbf) |
| 比推力 | 317 秒 |
| 燃焼時間 | 112 秒 |
| 燃料 | N2O4/UDMH |
ツィクロン-2(Tsiklon-2)はツィクロン-M(Tsyklon-M)、GRAUインデックスでは11K69としても知られ、ソビエト連邦とウクライナで人工衛星の打ち上げに使用されたロケットである。R-36 ICBMから派生したツィクロン系列の一つで、全長は39.7メートル (130 ft)、燃料を充填した状態の重量は182トンである。初打ち上げは1969年8月6日。2006年6月24日の最終打ち上げまで106回打ち上げられた。
引退当時運用されていた世界のロケットの中で最も信頼性の高いロケットのひとつで、106回の打ち上げの中で失敗はわずか1回だけで、63機全機の打ち上げに成功したアトラスIIに次いで2番目に信頼性の高いロケットである。将来の近代化とアンガラ・ロケットのような全てロシア製のロケットへの切り替えにより引退した。
ツィクロン3 [編集]
メテオール3気象衛星を打ち上げるツィクロン-3 (プレセツク1991年8月15日) |
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| 機能 | 衛星打ち上げロケット |
|---|---|
| 製造 | ユージュマシュ |
| 開発国 | ソビエト連邦 (ウクライナ) |
| 大きさ | |
| 全高 | 39.27m (128.83 ft) |
| 直径 | 3 m (9.8 ft) |
| 重量 | 189,000 kg (416,000 lb) |
| 段数 | 3段 |
| 積載量 | |
| LEOへのペイロード | 4,100 kg (9,000 lb) |
| 関連するロケット | |
| シリーズ | R-36, ツィクロン |
| 派生型 | ツィクロン-4 |
| 競合機 | デルタ II |
| 打ち上げ実績 | |
| 状態 | 退役[4] |
| 射場 | プレセツク宇宙基地 LC-32 |
| 総打ち上げ回数 | 122回 |
| 成功 | 114回 |
| 失敗 | 8回 |
| 初打ち上げ | 1977年6月24日 |
| 最終打ち上げ | 2009年1月30日[4] |
| 特筆すべきペイロード | Tselina メテオール Okean Geo-IK Strela |
| 1 段 - 11K69 | |
| エンジン | RD-2611基 |
| 推力 | 3,032kN (681,620 lbf) |
| 比推力 | 301 秒 |
| 燃焼時間 | 120 秒 |
| 燃料 | N2O4/UDMH |
| 2 段 - 11S692 | |
| エンジン | RD-2621基 |
| 推力 | 941 kN (211,545 lbf) |
| 比推力 | 318 秒 |
| 燃焼時間 | 160 秒 |
| 燃料 | N2O4/UDMH |
| 3 段 - 11S693 | |
| エンジン | RD-8611基 |
| 推力 | 78.70 kN (17,694 lbf) |
| 比推力 | 317 秒 |
| 燃焼時間 | 125 秒 |
| 燃料 | N2O4/UDMH |
ツィクロン-3は、Tsiklon-3、GRAUインデックスでは 11K68としても知られるソビエト連邦とウクライナで人工衛星の打ち上げに使用されたロケットである。R-36 ICBMから派生したツィクロン系列の一つで、全長39.27メートル (128.8 ft)で燃料を充填した状態の重量は186から190トンである。初打ち上げは1977年6月24日。2009年1月30日の最終打ち上げまで122回打ち上げられた[4]。
2000年12月27日、6機のロシア製人工衛星を載せたツィクロン-3が衛星の軌道投入に失敗した。第3段の電気系統が失敗の原因として疑われている。
アンガラ・ロケットのような全ロシア製ロケットの開発や、毒性の強いハイパーゴリック推進剤を燃料とする事が原因で引退した[5]。
ツィクロン4 [編集]
| 機能 | 衛星打ち上げロケット |
|---|---|
| 製造 | ユージュマシュ, JSC "Khartron" (制御システム) |
| 開発国 | |
| 大きさ | |
| 段数 | 3 |
| 関連するロケット | |
| シリーズ | R-36, ツィクロン |
| 競合機 | ゼニット |
| 打ち上げ実績 | |
| 状態 | 開発中 |
| 射場 | アルカンタラ バイコヌール 第90射場 プレセツク 第32射場 |
| 1 段 - 11K69 | |
| エンジン | RD-2611基 + RD-855 補助推進器 |
| 推力 | 3032kN |
| 比推力 | 301 秒 |
| 燃焼時間 | 120 秒 |
| 燃料 | N2O4/UDMH |
| 2 段 - 11S692 | |
| エンジン | RD-2621基 + RD-856 補助推進器 |
| 推力 | 941kN |
| 比推力 | 318 秒 |
| 燃焼時間 | 160 秒 |
| 燃料 | N2O4/UDMH |
| 3 段 | |
| エンジン | RD-861K |
| 推力 | 7,91 ts |
| 比推力 | 330 秒 |
| 燃焼時間 | 370 秒 |
| 燃料 | N2O4/UDMH |
ツィクロン-4[6]またはサイクロン-4、Tsiklon-4は、ウクライナの商業衛星打ち上げロケットである。ツィクロン3に新たに開発された3段目と大型のペイロードフェアリングと改良された誘導装置を備える事により打ち上げ重量と軌道投入制度が向上した[7]。制御装置はJSC "Khartron"によって開発中である[8][9]。
ブラジルのアルカンタラ射場から打ち上げられる予定である[10]。他の打ち上げ施設としてバイコヌール宇宙基地やプレセツク宇宙基地も予定されると報告された[11]。
開発の歴史 [編集]
2006年の初打ち上げを目指して2002年に開発が始まったが、開発と製造が遅延し2012年に初打ち上げの予定である。2004年にはツィクロン4による衛星打ち上げ業務を請け負うアルカンタラ・ツィクロン・スペース(Alcântara Tsyklon Space)が設立されている[12]。
2008年には、ブラジルが計画から撤退し代わりにロシアとアンガラ・ロケットの派生機種の共同開発を行うと報告された[13]。しかし、2009年末にウクライナ大統領のヴィクトル・ユシチェンコとブラジル大統領のルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァは最初のツィクロン4を2010年末にアルカンタラから打ち上げる事を含む共同宣言に署名した[14]。
その後打ち上げは何度も延期され、2013年4月現在は、2014年11-12月に打ち上げは延期されている[15]。なお、初号機の打ち上げでは、日本の国立天文台が開発した小型衛星Nano-JASMINEを搭載する。
仕様 [編集]
ツィクロン3の1段目と2段目を使用する。新機能は新たに開発された3段目に集中している。
- 3段目の推進剤の容量は3倍になった。
- 新たに開発された再着火機能(3回から5回)を備えるRD-861K。
- 近代化された西側製のような制御装置によって正確な軌道へ投入が可能になった。
- アリアン4のフェアリングの派生型を開発中。直径4mで内部の温度と清浄度が制御される。
- 推進剤の補給時に毒性の蒸気を捕集する事により手順が向上した。
- 5500kgを高度500kmの低軌道へ、または1700kgを静止トランスファ軌道へ投入することができる[16]。
外部リンク [編集]
脚注 [編集]
- ^ Parsch, Andreas (2008年7月2日). “Designations of Soviet and Russian Military Aircraft and Missiles”. www.designation-systems.net. 2009年3月22日閲覧。
- ^ Barbosa, Rui C. (2009年1月30日). “Russian Tsyklon-3 bows out with CORONAS launch”. NASASpaceflight.com. 2009年1月30日閲覧。
- ^ Krivonosov, Khartron: Computers for rocket guidance systems
- ^ a b c Barbosa, Rui C. (2009年1月30日). “Russian Tsyklon-3 bows out with CORONAS launch”. NASASpaceflight.com. 2009年1月30日閲覧。
- ^ APMC - Космические войска обеспечили реальность сроков сдачи в эксплуатацию перспективного РКК "Ангара" (ロシア語)
- ^ Wade, Mark. “Tsyklon 4”. Encyclopedia Astronautica. 2010年閲覧。...
- ^ “Cyclone-4 Launch Vehicle”. NPO InterCoS. 2010年閲覧。...
- ^ Control systems for intercontinental ballistic missiles and launch vehicles
- ^ Krivonosov, Khartron: Computers for rocket guidance systems
- ^ Stathopoulos, Vic. “Tsyklon”. Aerospaceguide.net. 2010年閲覧。...
- ^ “Brazil - Launch Vehicles”. GlobalSecurity.org. 2010年閲覧。...
- ^ “Tsyklon (Cyclone)”. Space Launch Report. 2010年閲覧。...
- ^ Zaitsev, Yury (2008年9月17日). “Russia Begins Elbowing Ukraine Out From Brazil's Space Program”. RIA Novosti. 2010年閲覧。...
- ^ “Brazil, Ukraine to launch rocket together in 2010”. UNIAN (2009年12月3日). 2010年閲覧。...
- ^ “Пуск украинской ракеты-носителя "Циклон-4" откладывается на 2014 год”. RIA Novosti. (2013年4月10日) 2013年4月11日閲覧。
- ^ “Cyclone 4”. National Space Agency of Ukraine. 2010年閲覧。...
外部リンク [編集]
- Циклон-2К (Роскосмос)(ロシア語)
- Циклон-3 (Роскосмос)(ロシア語)
- Cyclone-2K (Yuzhnoye SDO)(英語)
- Cyclone-3 (Yuzhnoye SDO)(英語)
- Cyclone-4 (Yuzhnoye SDO)(英語)
- Alcantara Cyclone Space(英語)
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